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政府委員(伊能繁次郎君) 現在の石炭事情が假に解消したとして、今直ちに現有勢力を以てどの程度の輸送力の増發ができるかという問題でありますが、貨物輸送につきましては、私は餘り多くは期待できないと
考えております。併し現在貨物輸送は一日二十三萬六千キロ程度の列車運轉を繼續をいたしております。現在の状況におきまして、籍すに石炭を以てするならば、二十八萬キロ程度のものはやり得る、三十萬キロまでは無理ではないかと、かように
考えております。旅客列車につきましては御
承知のように一日二十一萬キロの列車キロを運行しております。この外に、御
承知のように、相當量の進駐軍
竝びに復員列車がございますが、純粹の旅客列車としては一日二十一萬キロの運行をいたしております。これは列車を動かすことによ
つて、必ずしも
機關車を餘り多くを必要としない區間がローカル・ライン等においては特に多いと思います。
從つて私共は
現状において同じく二十七、八萬キロまでは動かし得る、かように
考えております。
第二段の枕木の確保の状況についてでございますが、御指摘の
通り鐵道の資材は、いずれも確保困難でございまするが、そのうち枕木については、國内問題として尚私共が努力をすべき餘地が殘されておりはしないかという
お尋ねでございましたが、大變御尤もでございまして、從來枕木につきましては、價格決定の當初におきまして、いろいろな沿革から一般建築用材、一般材に比較しまして、やや値上り率が低いのが例にな
つておりまして、私共、枕木確保の觀點からは、値段が低い方がベターではありまするが、實際問題として、他の用材との
關係竝びに枕木適材の木取りその他の
關係から、枕木だけが他の用材に比較して安いということでは、熱意を以て枕木を作る者が減少するということを虞れまして、一般材と餘り權衡の取れない價格決定は困るということで、農林當局その他ともしばしば折衝いたし、物價廳とも折衝いたしておりまして、最近兩度の枕木に關する價格の値上りがございまして、今囘の値上り價格では、ほぼ一般材とやや權衡の取れた價格に相成りまして、又戰時中いろいろな事情から、枕木の配給に關する統制機構その他も種々な変革を辿りましたが、最近の自由主義時代において自主的な枕木生産業
組合の結成等も各府縣に可なり根を卸して、古くから枕木を作
つてお
つたような人々が又この事業に從事するというようなことに相成りましたために、最近の枕木の確保の
實情は極めて良好でございます。他の資材に比較いたしましても著しく良好でありまして、第三・四半期におきましては、昨年度に比較いたしますと、倍以上の確保を枕木については示し得たのでございます。從いましてこの分で參りまするならば、本年度は必要最少限度の五百萬挺程度は何とか確保できるのではなかろうか、かような非常な
希望と意氣込を以て、目下これが調査に當
つております、殊に北海道
方面の枕木につきましては、壱岐丸その他
運輸省鐵道總局の自家用船を北海道へ出航せしめまして、これによ
つて關西
方面の枕木の足らんところへ送り込むというような
措置も取りまして、ここのところ非常に順調な状況で推移をいたしております。
第三の、現在の國有
鐵道の
運營をやるのにどの程度の人間が必要であるかという點は、理論的にも又實際問題としても、非常にむつかしい問題でございます。私共目下
勞働組合側とも折衝もいたしておりまするし、現場末端における作業の實體から定員査定基準を作り上げて、下から積上げて見て一體どのくらいに相成るであろうかという研究と調査を實際に行な
つております。又過去の沿革的な方法によりまして人瓲キロ當りの人員、列車キロ當りの人員、又營業キロ當りの人員、
具體的に新らたな
仕事の配分、例えば進駐軍
關係の
仕事でありますとか、港灣事務局、
鐵道警察官、旅客係、警備係の
仕事でありますとか、又食糧増産
關係の
仕事でありますとか、各般の、
白書の
内容に書いてございますような、戰時中には豫想しなか
つた新らたな人員を別にいたしまして、純粹に現在の業務だけを遂行するとしたならば、どの程度でいいかという問題を、演繹的にも既存の資料を以て精査をいたしております。
現状につきましては大體御
承知かと存じまするが、二十一年度末、この三月末で五十八萬人近い現在人員を持
つておりまして、その後、八時間
勞働制、十時間から九時間、九時間から八時間
勞働制の
實施によりますと、五萬人餘りの増員、
竝びに勞働基準法に關する人員というようなものの定員面の増員、その他考慮いたしまして、定員としては現在資本勘定、中間勘定、收益勘定、この三者を合計いたしまして約五十八萬程度に相成
つておるかと思います。現在實際の人員は六十一萬を超えております。
從つてその間の差額四萬に近い者は過員になる。併しこの五十八萬近い者が果して合理的な定員であるか否かということにつきましては、今後十分實質的な調査と研究をいたさなければなりません。過去の沿革的な定員に加うるに、八時間
勞働制の問題、
勞働基準法に關する問題等を假に定員査定の基準として繰り入れた結果にな
つておりますが、終戰後の新らしい現在の事態に處して、果して何人が妥當であるかというような、本當の理論的な根據にまではまだ私ども到達をいたしておりません。併し地方的には相當な過員……札、仙、新、門、この四局には相當な過員のあることも事實でございます。從いまして一方又東京
鐵道局、名古屋
鐵道局、大阪
鐵道局、廣島
鐵道局、この東海、山陽筋の四局には現實に數千人の缺員のあることも事實であります。從いましてこれらのものを
具體的に、各現場においてどの程度の人員を以てやり得るかということを一々目下積み上げて、合理的な定員査定基準を作
つて行かなければならん。問題は我々戰後における從事員の熟練度の低下ということでありまして、この熟練度の低下による定員の暫定的な増加ということも認めております。これが査定員だけでも二萬人を超えているというような状況で、又熟練度の低下による東海、山陽筋の定員の補充限度を確保するための特別定員ということも暫定的に設けられております。從いまして、これらの者を全部洗
つて、
現状において合理的な人員がどの程度にな
つておるかということは、今後の經営合理化の問題に關聯いたしまして至急決定をいたしたい、かように
考えております。
次に御
質問に關聯いたしまして、今囘の豫算査定の際に人員を整理するような
内容が押突けられておるのではないかというようなお話がございましたが、そういうことは大藏、
運輸當局の間にはなか
つたということを
はつきり申上げて置きたいと思います。
それから最後に、人件費と物件費の
關係でございまするが、この問題につきましては、國有
鐵道の從事員の人件費が從來大體五十對五十であ
つたものが、三十九對六十一にな
つておる。これをして直ちに從事員の給與が餘りに低いという結論にはならないかと思います。併し一般論といたしましては、國有
鐵道の從事員の給與水準が各官寮全體のランクの上におきましても、半ばよりやや低いところにあることは事實でございます。併しながら
鐵道運賃が先般御
説明申上げましたように、貨物二十一倍強、旅客二十二倍強に
引上げられましたが、そのラインにおいては國鐵從事員の賃金水準より二十數倍、平均して二十數倍に
引上げられておるということで、今囘の新物價體系における物價水準と賃金水準とが、鑛工業千八百圓水準、
官吏についても千八百圓水準が
適當である、
從つてそれによ
つて新物價水準との調整をと
つておるというように
政府としては
考えておりまするので、その角度から
考えまするならば、七月以後の
官吏の給與水準につきましては、一應千六百圓水準から千八百圓水準に
政府においても考慮中であるということで、全體の均衡は今囘の政策としては一應取れておる。併し實體的に國有
鐵道の從事員の給與水準が高いかと申しますれば、これについては決して私共高いとは
考えておりませんが、今囘の
政府の政策としては、一應首尾一貫しておるということは申上げ得るのではないか、かように存ずる次第であります。