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前田(種)
委員 私は
大臣の
答辯にいささかもの足らぬ點がありますので、一言私の
意見を申し述べて次の問題、
質問に入りたいと
考えます。私は終戦翌日、日にちを申し上げますと、一昨々年八月十六日に、
再建日本の建直しのためには立派な勞働組合をつくらなければならない、そのことに成功するか否かということは、
日本國家再建ができるかどうかというほど重要なる問題であるということを相談をいたしまして、それ以来広く勞働組合運動の再建につくしてきておる者でございますが、それとともに、勞働組合がほんとうに組合らしく認識されるためには四、五年の歳月が必要である。四、五年の歳月をいただくことができますならば、勞働組合が各人の間において立派な
國家的役割を果すということが認識されるものである。その
程度の歳月がほしいということをその當時申しましたが、今なお私は三、四年の歳月がほしいと思うのであります。今日終戦以来の方向は、連合國側の指示等もありまして、予想以上に勞働組合は発達したものでございます。しかし実質的には今日勞働組合がそれほど発達したとは
考えておりません。社会が勞働組合に期待するところの期待というものは余りにも大きいが、勞働組合自體の
内容というものはそれほど充実しているとは言えないのであります。私はこの
意味において、もう三、四年の歳月をもらいますならば、勞働組合の使命が立派に果し得るところの
内容を充実するものに
日本の勞働組合がなり得ると確信をも
つております。またそういう方向に導かなくてはならぬと信じております。そういう觀點からみて前の
質問者は
勞働者の
権利のみを強く主張いたしまして、
義務的觀念の法制上の不備を指摘されたのでございますが、この點について私もある面において賛成する點もありますが。もちろん私の申しますところの健全なる勞働組合とは、
権利義務を明確にしたところの勞働組合でなくてはならぬ。むしろ今日は資本主義社会組織だというようなことをいろいろいわれておりますが、敗戦後の
日本の現状は形はそうであるかもしれませんが、再建されるところの
日本のほんとうの姿というものは、はたして資本主義社会組織か社会主義社会組織かということは未知数であ
つて、國民多数、いかに協力して再建をするかということに
なつた主體勢力が、次の時代の社会情勢というものを築き上げているものだと私は
考えます。その
意味において、あくまで勞働大衆が結集的に、敗戦
日本を建直すということに主力を注がなくてはならぬと
考えるものでございます。そういう觀點からみましても、現実の生活面その他の実情は余りにも窮迫しておりますために、えてしてその面ばかりを勞働組合が取上げまして、日足らない今日の現状は情けない
状態でありますが、勞働組合指導者の間においては、この窮迫した現状というものは、敗戦のもたらしたところの當然の帰結である、これを救い出すものは資本家の責任でもなく、
政府の責任でもない、すべて
日本國民全部が努力してこの難局を打開するという気迫がなくてはならぬと私は
考えます。この
意味において、勞働組合も今日いろいろな面において、一年半の過程をふり返りまして、反省するものもあり、また成長するものもありますが、
政府は少くともこのあり方を
はつきり把握いたしまして、今後の勞働組合の助成発達の上に健闘していただきたいと思います。
次に私は、昨日
質問がありましたところの勞務者住宅の問題等について数字的に申されましたが、炭鉱の現状におきましても、ただ単に食料を配給するだけによ
つて増産になるというものではない。食料よりもむしろ今日は住宅が先決問題だという痛切な希望が炭鉱からもきております。焼け出された各都市の勞務者住宅の問題等を見ましても、今日容易でない問題が
考えられるのでございます。二十何万戸の勞務者住宅を二十二年度の
予算の面においてつくられるという
計画は結構でありますが、この
計画がはたしていつ家にな
つて住めるようになるかということを
考えてみますと、寒心にたえないものがあります。しかしいろいろな面は割いてもこの勞務者住宅の建設のためには努力していただきたい。それとともに、これから建てようとしては間に合いませんので、全國にはおそらく終戦前後におけるところの軍需会社等が社宅その他の建物を建てかけて、そのままにしているところの建築物が相當あると私は
考えます。
日本の官庁は横の連絡がないためにその調査が十分でありませんが、内務省が調査しているかどうかわかりませんが、内務省の
下部組織を動員してこうしたものを拾い上げてみまするならば、相當数量の建物が、立
つたままで中途半端で置かれているというものがかなりあるものと
考えますが、勞務者住宅に代替できるかどうかわからぬ點もありますが、どうかこれは他の行政官庁との連絡もとられまして、ぜひそうしたものが勞務者住宅に充て得るものがありますならば、所有権その他の問題等にこだわることなく、活用するようにしていただきたい。
それからもの
一つは、高級住宅をこの際開放してもらうことを思切
つて政府はやるべきだ。住宅難のために今日所定の増産ができないというような現状において、國がまさに潰れようとしておるときに、一部には高級住宅に住ま
つて、そして、やみの生活をしている者が相當多数おります。こういう
状態において勞働階級に
仕事をせよと
言つても無理でありますがゆえに、私はこの際思切
つてある一定以上の建物は一年なら一年
政府が信用して、その勞務者住宅に充てるというような對策を立てなければ、この難局の打開はできないと
考えますが、こうした點に對する
大臣の御
意見を承
つておきたいと
考えます。