○川崎
委員 勞働基準法に矛盾しないという御囘答でありますし、われわれも現在北海道の山々などで行われておる勞務時間をみましても、極端なのは四時間二十分とか——實働時間でありますが、あるいは相當働いているところでも六時間を超えておらない。これではどうしても三千萬トン増産の要請には報いることはできないと
考えておりましたので、何とかして實働時間を殖やす
方法がとられなければならない。その
一つの
方法としては、やはり坑口八時間というものが延長されなければ、往復の切羽までの道程だけでも、片道一時間近くかかるような山々が北海道や九州にはある。それではとうてい
實績はあがらぬと私ども
考えてお
つたところが、今囘はしなくも二十四時間實施體制というものをマツカーサー元帥の書翰から示唆されて、
政府が石炭増産
對策要綱を國家管理案と裏づけて御
發表に
なつたことについては、實は贊意を表してお
つたのであります。
そこでこの石炭國家管理案は、今度の議會におきましては、はしなくも純經濟問題から政治問題にまで發展をせんといたしている状況を
示しているのでありますが、この石炭國管案が成るか成らないかは、まさに
日本の經濟の基底を築くか築かないか、安定に導く誘いの水をここで十分に盛り得るかどうかという岐れ目、いわば
經濟安定か不安定かの分水嶺に立つのが、私は實は國家管理案だとさえ
考えている。先般來、私どもの黨内では、この問題は今議會における最大の問題として、種種な民主的な論議をたたかわしております。現在黨の
方針は御承知のごとく、わが黨の
考え方と
政府の
考え方の間には相當の距離があるものの、國家管理案成立の方向に向
つて連日苦心をいたしておるのでありますが、
勞働大臣竝びに商工大臣は、經營者が全面的に今日反對をしている、その全面的反對の
原因はといえば、いろいろのとり上げられることもありましよう。増産にならないで、かえ
つて減産を招くのだというようなことを言
つている經營者もあるのでありますが、事實
個々にあた
つてみると、經營者の中では、こんど出た國家管理案ならば、われわれは十分にこれに賛成をし協力をすることができるということを個人では言
つている人がある。しかしながらその國家管理案のふり出しというものが、どうもイデオロギー的な色彩が強か
つたために、そのことのために反對をし、また
勞働大臣竝びに商工大臣が常に
勞働者側に——これは社會黨の立場上やむを得ないのでありましようが、
勞働者側にのみ相談をされてことを進めておられるというような點にも、私は相當大きな
原因があると思う。なんでも、ここ二、三日中には、經營者側とも
お話し合いにな
つて了解のいくようにするというような手が打たれるそうでありますが、なぜ
もつと早く經營者側と十分に肚を割
つて話し合わなか
つたかという點については、非常に遺憾に思
つているのであります。商工大臣はいろいろ言説の上において多くの話題を投げましたが、
勞働大臣はこれをやはりバツクアツプをして、どうしても石炭國家管理案は
勞働者の福祉のためにも、また
日本國民全體のためにも必要なものであるという御認識のもとに、商工大臣と併行して、國管案成立については十分の御
努力を私は願いたい。特にこの
勞働委員會の席上をかりまして、實はお願いを申上げようと思
つてお
つた次第であります。
政府が國管案を出した意義ということは、これだけの資材と資金というものを山に注ぎ込んでいるのだから、國家管理をするんだということの一點張りで進められてきておりますが、私はむしろさらにこれを進めて、
勞働者と資本家、經營者との協力態勢を炭鑛において
實現する、そのことによ
つて日本の經濟が安定する最初のきつかけをつくるんだというていの斷乎なる信念が、特に
勞働大臣に必要ではないか、かように私は
考えます。私はこれで
質問を終りますが、これらの問題に關連して一應
勞働大臣の御信念のほどをお聽きいたしておきたいと思う。