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前田委員 安本長官に
質問を通告しておりますが、後日に讓りまして、
勞働大臣に伺いたいのですが、第
七條は、
恩給あるいは
隱退料をもら
つた場合に、その額が超過した場合は
給付しない、被
保險者でなくなるというような項目ですが、もしこれがこのまま適用されますと、
官廰等において十年、二十年勤めてお
つた者が、
失業保險の被
保險者として掛金を掛けながら、結局適用が受けられないことになりますし、しかも
隱退料のごときは
勤續年數が長ければ相當の金額になりますので、この
關係をもつと別途に
考える
考慮が必要ではないかと
考えます。
恩給、
隱退料と
失業保險とを一緒にしてやるという
やり方は、全然別に
考えるように
考慮を願いたいと思いますので、この點に對してもつと明確にしてもらいたいと
考えます。
次に負
擔額の問題でございます。原案は、
政府勞資双方三等分ということにな
つております。
政府の方については、あとで
意見を申述べますが、
勞資双方の負
擔額については、勞働組合でも産別あるいは共産黨
關係の組合では、
事業主が全額負擔すべきだ、あるいは四分六に負擔すべきだというようなまちまちの
意見等もございます。しかしこの點は明確に、
勞資双方の掛金はともに對等の立場に立
つて同額を負擔すべきであると力説しておるわけです。その理由は、今後の社會
保險は、使用者の恩惠的な
給與によ
つて經濟的に援助してもらうという觀念を一擲いたしまして、
勞働者も使用者と同等の負
擔額を負擔するという建前が、今後の健全なる社會
保險發達の原則だろうと
考えます。また
事業家に全額負擔をさせなければならぬという言い方は、勞働組合が十分發達していない、あるいは
勞働者自身が勞働組合の
訓練を受けていない場合に、幼稚なものを取上げまして、勞働組合がいかにも
事業者からそういう勞働
條件をと
つてや
つたというような
一つの餌にするという行き方も見受けられます。結局はその
工場における勞働
條件全體を總括して、勞働
條件をどういうようにきめていくかということにな
つてまいりますので、
保險金を會社負擔にするとか、あるいは税金を會社負擔にするというような
工場等がございますが、こうした問題はすべて全體の勞働
條件の中に包含しているということをわれわれははつきりと銘記して、その勞働
條件の一部であるということを
考えますがゆえに、そうした税金とか社會
保險の負擔金等は當然同額負擔する、そうしてあくまで全體の勞働
條件を高く維持しつつ高能率をあげるという建前をと
つていきたいと
考えます。ただし今日のような情勢下における
政府を含めての三等分という按分の負
擔額につきましては、社會黨でも論議されましたように、
政府は事務負
擔額が別にありますが、むしろこの際全體の負
擔額の上においても
政府が四割を負擔して、殘りの六割を二等分して
勞資双方が負擔するという建前をと
つたらどうかと私は
考えます。もちろんこれは
政府の豫算に重要な
關係がありますので、容易でありませんが、この際
民間企業その點につきましても、
經濟的に非常な負擔が加重されている現状でございますから、社會
保險の重要な
部面をなすこの
保險においても、
政府が相當多くの負擔をもつように努力してもらいたい。それと併せまして、今朝の新聞によりますと、
失業保險額が追加豫算の中から減額されるという記事がありましたが、もしそうしたことになりますと、せつかく審議しておるこの
失業保險制度の根本に狂いが出てくると私は
考えますので、この點についてこの際
勞働大臣から明確に御答辯願
つておきたいと
考えます。
その次は五十三條の罰則の點でございますが、このような法規を施行するにあたりまして、罰則の五十三條は、これに違反したる者は一萬圓以下の罰金に處すというだけでございます。もしこの法律を無視しても、罰則は一萬圓以下の罰金だけであるということになりますならば、今日一萬圓くらいの罰金なら出してもいいという不心得な
事業主も、相當出てきはせぬかと私は
考えます。そこで、あくまでこの一萬圓以下の罰金の上に、相當な體刑を科すという條項にすべきだと私は
考えます。そういう罰則を設けましても、違反者をなからしむるということが法の趣旨であります。
政府の處置よろしきを得ればそうなると思いますが、しかし悪質な違反者があ
つた場合には、罰金以外に體刑を科し得る條項に訂正したらどうかと思います。この點も併せて御答辯を願いたいと
考えます。