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米窪國務大臣 三浦さんの言われたのは、常識論としてはもつともでございまして、
政府としても、その御
趣旨に副うような方法が見つかれば、そういうことにしたいのでありますが、今のところなかなか困難であります。この問題は國際
勞働總會へ
勞働代表を派遣するとき、今から二十年も前からこれが問題にな
つて、當時の
日本の組織率は、はるかに今日よりも下であつたにかかわらず、
一般の
勞働者の利害を代表する者をも
つて勞働代表とすべしというような聲があり、經營者側からも、そのときに桝本卯平氏が第一囘の
勞働代表として行
つたのでありますが、これはけしからぬ、いやしくも
勞働代表というものは、組織
勞働者から選ぶべきであるという、いわゆる
勞働者側の
意見が通
つて、まだ組織率の非常に低かつた友愛會、それの後進である
日本勞働總同盟、あるいはその他の
勞働團體から、未組織と組織の率を比べると、未組織の方が多かつたにかかわらず、組織
勞働者から
勞働代表が派遣されたという、歴史的なそういうことから
考えてみて、今日
勞働者の代表という
意味から
考えると、組織されておるものがやはり
勞働者を代表するものとして、まず優先的に
考えなければならぬというのが常識論ではないか。世界各國の法制、あるいはそういう行政を
考えてみましても、やはり大體において、組織
勞働者を代表とするということが、おそらく常識論にな
つておる。組織以外の未組織の
勞働者は相當あります。しかしながら今日のように五百萬、六百萬という組織率をも
つておる
日本においては、一應はやはり組織
勞働者からその
代表者を選ぶことが、まず時勢に適しておるのではないかと
考えるのであります。また經營者の側においても同様でありまして、やはり經營者の方において團體のある場合には、その團體にその
代表者の選考を一任するということも、
當然ではないかと
考えております。それから
中立側の問題については、これはなるほどおつしやる通り、官僚的であるという
意見も成り立つでしようが、使用者側及び
勞働者側に、たれでも君の好きな者を選べとい
つても、基準を示さなければなかなか困難でございますから、一應
政府はその定員の倍くらいの候補者を示して、しかしてその中から經營者側、
勞働者側から選定してもらう。しかしその候補者が、
勞働者側及び經營者側から、たれも好む者はない、皆落第であるということであれば、
政府はまた
考え直すという餘地は殘されておるのであります。