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米窪國務
大臣 昭和二十二年度一
般會計竝びに
特別會計の
豫算補正といたしまして、
補正第七號、さらに
經費節約の意味の
補正第八號と、失業保險、失業手當のための特第三號を一括して、三案を御
説明申し上げます。
まず第一に、
昭和二十二年度一
般會計豫算の
補正第七號のうち、
勞働省所管豫算補正追加要求額は總計で十億五千八百十七萬六千圓となるのであります。そのおもなるものについて概略の御
説明をいたします。
まず勞政局
關係において、中央勞働
委員會事務局機構の追加整備のために二十七萬二千圓を計上いたしました。これは
現下勞働情勢に鑑みまして、中央勞働
委員會の職責がきわめて大とな
つてまい
つたのでございまして、過日全遞及びその他の官公吏からの要請に基いて中央勞働
委員會が重大なる調停案を決定してそれを發表したことに鑑みましても、今後ますます勞働
委員會の活動が期待されるわけであります。ところが各委員の手當がはなはだしく低額にな
つておりましたので、これを増額するために必要な
經費を勞働者勞政局の分に計上いたした次第でございます。
次は九月一日から實施されました勞働基準法の施行に關して、その施行の任に當る勞働保護官署の機能を充實するために必要な
經費二千百一萬七十圓でございますが、これは基準法の施行に伴いまして、都道府縣勞働基準局及び勞働基準監督署の機構整備をいたしつつありまするが、本
豫算を組んでから、諸
物價が御
承知の
通り非常に高騰したために、これら官署の整備をはかる上に多大の支障を來しておりまして、これが地方においていろいろの問題にな
つておるのでございまするが、これが機能充實を期するため必要な
經費を勞働保護官署分として計上いたしたのでございます。
次に職業紹介
事業の整備に必要な
經費として、主として職業安定所のために百四十九萬六千圓、さらに職業安定所を連絡する機能をも
つておる職業安定
事務所を
設置するために必要な
經費として七十
萬圓を計上いたした次第でございます。
ただいま
國會に提出中の職業安定法の制定實施に伴いまして、職業安定
行政機構の第一線機關でありまする公共職業安定所の擴充整備をはかるとともに、勞務の需給調整の圓滑適正を期するため、府縣間の連路機關として職業安定
事務所を
設置するため必要な
經費を職業官署分に計上いたしました。
次に失業手當及び失業保險に必要な
經費として九億六千六百二十三萬六千圓を計上いたした次第であります。これについては、また本
國會に提出中の失業保險法及び失業手當法の運營のため、失業保險
特別會計を設けまして、これに一
般會計より所要
經費を繰入れまして、本年度はこれに要する
經費として右
金額を勞働省職業安定局に計上いたしました。
以上のほか、官廳の民主化、官廳
事務の能率化をはかるため
行政監察
委員會を
設置するため必要な
經費十萬圓を
大臣官房分に計上しました。さらに
財政法、
會計法施行に伴い、都道府縣勞働基準局及び産業安全
研究所における
會計事務の増高に對處するため必要な
經費二百六十五萬三千圓を計上し、その中二百五十九萬七千圓を勞働保護官署分に、五萬六千圓を産業安全
研究所分に計上しました。なお
政府職員の
給與改善を行うに伴ひ、勞働省
職員分として必要な
經費四千九百六十八
萬圓を
行政共通費に、勞働
關係地方
職員の待遇改善を圖るため必要な
經費千六百七萬六千圓を勞働省勞政局分に計上いたしました。
第二に、
昭和二十二年度
一般會計豫算補正第八號中の
勞働省所管分について御
説明申し上げます。本
豫算は、十月十四日、閣議決定に基く
豫算節約額を計上いたしたものであります。
勞働省所管豫算は、
厚生省所管よりの移替額を含めて、その
總額は三億七千五百五十七圓であり、これより職業補導協會補助及び勞働省廳舍營繕費六百三十萬八千圓を
差引いた三億六千九百二十六萬二千圓を今囘の節約對象額とし、右の一割相當額三千六百九十二萬一千圓を科目別、部局別に節約したものでありまして、これを費途別に見ますならば、八件費二千五百四十
萬圓、物件費八百九
萬圓、補助費三百一
萬圓その他四十二
萬圓と相な
つておるのであります。
以上によりまして
勞働省所管一
般會計歳出豫算總額は
厚生省所管より移管した二十二年度
成立豫算二億六千六百二十一萬二千圓、
補正第一號第四號及び第五號による追加計上額二億一千二百五十九萬八千圓及び今囘提案の
補正第七號追加計上額十億五千八百十七萬六千圓でありまして、以上を
合計しますれば十五億三千六百九十八萬六千圓となりますが、これより、今囘提案の
補正第八號の
修正減少額三千六百九十二萬一千圓を
差引きますれば、勞働省一
般會計の
歳出豫算現額は十五億六萬五千圓と相なるのであります。
第三に、特第三號中の
昭和二十二年度勞働者災害、補償保險
特別會計について御
説明申し上げます。勞働者災害補償保險
特別會計の
補正豫算は、
歳入歳出とも
修正減少額六千五十七萬六千圓であります。
厚生省所管より移し替えしました、二十二年度
成立豫算額と、今次
國會において決定を見ました特第一號及び特第二號
歳出豫算補正額との
合計額は三億二千九百二十六萬九千圓でありまして、右の
合計額から今囘の
補正減少額を
差引いたしますと、
歳入歳出とも二億六千八百六十九萬三千圓と相なるわけであります。
今囘
補正いたしました
追加豫算の概略について御
説明いたしますと、
當初豫算は六月末日をも
つて勞働者災害
扶助責任保險法を廢止し、七月一日より勞働者災害補償保險法に吸收施行の豫定をも
つて成立いたしたのでありますが、勞働基準法とともに勞働者災害
扶助責任保險法が七月一日より施行の豫定が九月一日よりとなりましたので、これに伴い本
特別會計においても、差額二箇月分を
修正減少することとし、さらにさきに申し上げた本年度
豫算一割節減の方針により
既定經費を節約するため、
歳出において百八十八萬六十圓の
補正をいたしておるのであります。第四といたしまして、特第三號中の
昭和二十二年度失業保險
特別會計豫算について御
説明申し上げます。先ず失業保險
特別會計豫算は
歳入十七億一千二百四十五萬九千圓、
歳出九億七千四百六十一萬一千圓、
歳入過七億三千七百八十四萬八千圓であります。
今囘の
補正豫算の概略について御
説明いたしますと、わが國は現在すでに相當厖大なる失業者の發生を見ているのでありますが、
政府の經濟緊急對策の強力なる實施に伴いまして、さらに相當の失業者を生ずることも豫想されますので、これ等失業者に對し、まずさしあたり
失業手當制度により對處し、さらに失業保險制度の確立により根本的救濟政策を樹立するため、本
國會に提出中の失業手當法及び失業保險法の運營のため、失業保險
特別會計を設けることとし、これが所要の
經費として右
豫算を計上いたしたのであります。その内譯を申し上げますと、
歳入においては一
般會計より受入れ九億六千六百二十三萬六千圓、保險料收入七億四千四百四十八
萬圓、雜收入百七十四萬三千圓、
合計十七億一千二百四十五萬九千圓でありまして、
歳出は、失業手當給付金八億三千七百五十四
萬圓、失業手當實施に要する
事務費六千六百八十八萬四千圓、失業保險實施に要する
事務費二千九百八十八萬六千圓、諸支出金千四百萬一千圓、豫備費四千三百七十六萬九千圓、
合計九億七千四百六十一萬一千圓と相なるのでありまして、
差引き
歳入過七億三千七百八十四萬八千圓は
昭和二十三年度本
會計豫算へ繰越すものであります。
以上、
勞働省所管の一
般會計及び
特別會計の
補正豫算の
大要の御
説明を申し上げたのであります。本
豫算案の
成立につきましてその重要性に鑑み、愼重審議の上、一日も早く御可決あらんことをお
願い申し上げる次第であります。