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黒田委員 政府が
自分自身だけでこういう仕事をやると仰せられますが、それはわれわれからみますと、その
政府が
從來のごときいわゆる官僚的、翼贊會的な宣傳
方法に陷ることなく、眞に民主的な
方法によ
つてそういう仕事をなし得るということを、前提としていなければならぬと思うのであります。そういう點につきましては、私は
政府の仕事というものに對しまして、まだそれがわれわれの
考えるごとく、眞に民主的な
方法によ
つてなされるかどうかということについては、はなはだ疑念をも
つているものであります。むしろ
民間から結成せられておりますそういう
團體に大いに
協力させるということの方が、私はかえ
つて農業協同
組合の趣旨の
普及宣傳の
ために、眞に民主的な
方法が選ばれるのではないかというふうに
考え、そういう立場から、私にはただいまの御方針が十分納得いかない點があるのであります。しかしこの問題につきましては、これ以上は
議論となりますので、また別の機會におきまして、當局に對しましてもいろいろわれわれの
意見を申し述べる機會を得たいと思います。
次に、協同
組合に
關係いたしまして、いま一點承
つておきたいと思うのでありますが、元來今囘近く
農業協同
組合法が公布施行せられることに相なりまして、
農業會が徹底的に解體させられて、新たなる理念と構成メンバーのもとで、
農業協同
組合が
組織せられるというときに、その
農業協同
組合の取扱います
事業につきまして、
從來わが國の
農業協同
組合運動として行われてまいりました産業
組合を中心といたします、いわゆる主として流通面における協同の
事業以上に、さらに
農業生産の協同ということが、私は新しい協同
組合の最も中心的な仕事ではなかろうかと
考えておるのであります。こういう仕事をしようということを
考え、またそれに著手する者は、農村におけるどういう人々であるかと申しますと、これは
從來農業會において指導權をも
つておりましたような、いわゆる地主ないし富農の人々というよりか、むしろ農村におけるもつと經濟的に下層にある、働く農民であると私は
考えております。
從つてそういう者がこういう仕事の
ために最も意義のある活動を開始するということになるのでありますが、仕事の性質からいたしまして、こうした仕事をいたします
ためには、
相當多額の
費用も要るし、また資材が必要であると
考えております。ところがこういう仕事を農村でまつ先に始めようというそれらの農村における階層は、
從來の農村における
生産關係の上から、絶えず
農業の成果を十分に享受することができないような状態に置かれてお
つた人々であります。
從つてそういう人々に、資力が十分あるわけはない。
從つていろいろと
農業協同
組合法に示されておりまするこうした
農業の
生産の協同というような面に觸れた仕事を始めようと思いましても、そう物資的な諸種の條件からいたしまして、十分理想的な仕事をすることができない、そういう現實にあるのであります。農村におけるこうした
生産の近代化ということを促進する
ためには、單に農民自身が、そうした企畫をもち、そうした計畫を立てるということだけでは、わが國の現状では、十分にこの仕事を推進していくことができない。どうしても進歩した
農業政策をも
つた民主的政權が樹立せられまして、その有力なる指導と援助とを必要とすると
考えております。この力がなければ、なかなか農民の力だけでは、こうした仕事を進めてい
つても、十分な成果をあげることができないと思うのであります。けれども、これは
一般論でありまして、今日はあまりそこまで進めて、いろいろ
經費の問題等を論ずるということは許されないのでありますが、今囘
豫算の上に現われた面に、技術指導農場の
事業費の
増加、その
專任職員の
給與改善等を行い、
生産増強に必要な
農業技術の進歩
普及をはかるというような項目がございますが、これに關連しまして、この仕事と
農業協同
組合というもを結びつけて
考えてみたいと思うのであります。
從來わが國の
農林省の技術指導は、はなはだ官僚的である、
民間の
實情に副わないという非難を受けておりました。このことにつきましては、私は今日詳しいことは申しませんが、それが
一般の結論にな
つておるようであります。またそれは私は確かであると思います。そこで現實の問題といたしまして、本
豫算の中におきまして、技術指導農場の
事業費の
増加というような問題が取上げられておるのでありますが、今後
農業協同
組合が設立されまして、その
組合によ
つていろいろ
農業の近代化をはかるというような
事業をいたそうと思います場合に、必ずこれと結びつかなければならないのは、技術の問題であると
考えます。さらにこれを
具體的に申しますれば、よき
技術員がこの
組合に結合するということが、絶對に必要であると私は
考えるのであります。ところが、先ほども申しましたように、協同
組合に
經費の上におきましてなかなか十分な
費用がないので、この點は現實の問題といたしまして、今後こうした仕事を始めようという人々にと
つて、一つの惱みの種とな
つておるようであります。そこで私は、こうした技術指導農場というようなものを
政府が設置いたします場合に、今後
農業協同
組合におきまして
生産の協同その他の
農業近代化の方向に向
つての仕事をいたしますような場合に、こうした協同
組合の農場を、技術指導農場として指定するというような
方法によりまして、ただいま申しますような、
農業協同
組合の力の不足しておる
部分を滿たしていくというようなことを
考えられるのでありますが、
政府はこういう點につきまして、どういうふうにお
考えにな
つておりますか。もちろんこれはわれわれの立場からいたしまして、いわゆる官僚的技術指導というものを、協同
組合に結びつけるという意味で
考えてはならないので、むしろそういう協同
組合事業と結びつくことによりまして、技術を民主化する、そういう方向に向けてわれわれは進むことができる、そういう立場からこれを
考えてみたいのでありますが、將來こういう新たにこれから生れてまいりますそうした協同
組合による農場の指定ということにつきまして、積極的に何かお
考えにな
つておるところがありますかどうか、お伺いしてみたいと思います。