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中原委員 勤勞者のための
所得税は大きな問題であ
つて、これをただこのままに課税することは、もはや何人もが認めておりません。
大臣も申されましたように、
ほんとうに熱意をも
つてこのような
矛盾の解消のために、一層の御努力を願いたいと思います。さてそれに關連しまして、なるほど今日の
國家財政の
實情から考えれば、
勤勞者のこのような
苦衷もまた氣の毒ではあるがやむを得ないというふうに申されますが、しかし別個にゆたかな
財源がないということが、
ほんとうに實證されるときに、初めてその
言葉も
意味をなすのでありまして、萬一他に相當の
財源があり、しかもそれに
十分手をつけ得ないという
實情があるとするならば、そういうことは、もはや單なる詭辯にすぎないということに相なると考えるのであります。聞くところによりますると、
東京都
管内だけに考えましても、ある大きな
やみ利得者が相當強力な
暴力を備えておるために、その大きな
やみ利得者の
所得を追究することが許されない。さる
財務關係の
職員の話によりますると、さる
東京都内の
やみ大
利得者に向けて、その
所得のありかを指摘することを、非常に
遠慮をいたして、うやむやに葬り去るというような場合があつた、そういうようなことも實は聞いておるのであります。何がゆえに
財務當局の
上級部は、そのような相手方に對して
遠慮をしなければならぬのであらうか。これはまことにいぶかしい問題でありまして、
具體的に申しますと、非常に明らかになるのでありますが、その點は差控えます。はなはだ抽象的な言い方でありますけれども、およそお氣づきが願えると思います。そういうようなことがあつたのでは、眞によるべき
財源があ
つても、そのよるべき大
財源に對しては斧鉞を加えることができないで、そうして特にたれもが申しますように、とりやすい者からとるというような弊に陷るのであ
つて、それが結局
税法の面に現われてくるのではないかと憂えるのであります。そういうことは斷じてないと、おそらく仰せになると思いますが、實際はあるのであります。ひとりこれは
東京都
管内關係だけではなくて、全
國津津浦々にそういうことがあることも承知をいたしております。いわゆる最近の
やみ成金なるものは、しばしば
暴力團と結び、また
暴力を備え、そうしてまた一面には非常に忌むべき
懷柔手段を弄して、その
當局者を自由に行動せしめないというようなきらいがあるのであります。これに關連しまして、最近
地方の
税務官吏が
全員辭表を
提出するというようなことが起
つておりまするが、これは
ひとり給與に對する反感だけではなくて、そのような
徴税面における、はなはだしい
矛盾に對して、公の憤りを感じた
あまり辭表を
提出しておるということを聞いております。これらの
財務關係の
官吏諸君は、
自分の職責とはいえども、あまりにも
徴税の
方法の
矛盾を痛感して、いわゆる
弱き者、とりやすき者に
徴税の矛をぐんぐん向けなければならぬ。しかも顧みれば一面そういう大きい
利得者がそのまま見逃されておる。それへの追究はなされておらないということに對する彼らの良心的な憤りが、ついに
全員辭表提出というような運びにさえな
つておることを聞いておりまするが、これらはおそらく單なる
言葉として言うておるのではなくして、そういう
實情に逢著したその
關係官吏諸君の、痛苦の表現であると私は信ずるのであります。そのようなことがもし
事實であるとせばあるいはまたそれが全面的にその通りでなくとも、少くともそういう傾向があるということが言えるならば、これはわが
日本財政を取扱う
當局者としては、相當大きな
決意が要るのではないかと私は思うのであります。こういう點について、もとより私のただいま申しましたことについて、
當局がさようなことがあると御
承認になるとは思いませんけれども、ただ
言葉の先だけで、
委員會の席上で、何とかそこをうまくや
つておけばよいというような無責任な
態度でなくして、そういう
眞相に對して、
眞劍な檢討が必要なのではないかと思うのであります。ただいまも
大臣が申されましたように、苦しい
生活に
惱む勤勞者から、
勤勞者の
給與をまたはね返させて、それを
國家財源に繰入れなければならぬというような
現状は、まことに遺憾であると述べられましたが、そういうような行き詰
つている今日であればなおさらのこと、この問題は
ほんとうに
決意を固うして對處される必要があるのではないかと思うのであります。從いまして、このことにつきまして一應
大臣の御
決意を承
つておきたいと考えます。
さらに、さきの
委員會においても一應問題に
なつたことでありますが、ただ、そのままに不問に付されていくおそれがあると思いますので、もう一度繰返して申し上げておきたいと思うのであります。それは今度の
價格差益金の問題でありまするが、
價格差益金は、
追加補正によれば百億圓と踏まれておるようでありますが、これはその筋の專門家である全
財勞働組合代表が、この
公聽會の席上において、少くとも三百億超えるものがあると言明いたしております。この全
財關係の
代表者の
公聽會における
言葉が、まつたく
根據なきものであるということが立證されるならば別として、少くとも私はそれを
根據なきものとは考えられないのであります。從いましてこの
價格差益金の徴收については、大藏
當局におかれてはどういうふうにお考えになられるか。ことにこれは今日物價廳の管掌事務にな
つておると聽いておりますが、このことについても、成績のあがらない方面にその
徴税を任しておくというようなことは、これははなはだ一大事であると私は思うのであります。少くともこれは專門機關の手に移して、十分徹底的に徴收を進めていくという計らいが必要なのではないか。もしそれができるならば、かりに今の一百億が三百億あるというような見透しで、その差額二百億、それをかりに話半分に聽くという大ざつぱな扱いとして考えましても、ゆうに百億の増收が可能なのであります。そうなれば、すでに二・八箇月分の
給與も、それだけをも
つてしてもおよそ豫想がつく、ただちにこのことにこたえるだけの見透しがつくのではないかとさえ思われるのであります。それはともかくとして、とにかく
價格差益金の取立て方についてのお考えを、この際一應承
つておきたいのであります。