○栗栖國務大臣 青木
委員の御
質問は、當
大藏大臣及び
安本長官の兩方にわたりますので、
大藏大臣に關するものについてお
答えいたしたいと思うのであります。今囘の
追加豫算は均衡をとることに主力をおいて、
豫算面を見ると、
生産的面が非常に壓迫されておる、貿易資金、
復金資金等についてもそれがはつきりわかる、こういうような點が第一に上
つてお
つたのでありますが、私はこの
追加豫算は均衡を得さするということだけでなしに、現下の諸事情を考えます限りにおいて、實質的にも均衡を得させ、
インフレーシヨンの激成の原因である日銀券の發行を食止めることに全力を盡したのであります。特別會計に七十五億も立替えをするとか、あるいは
復金資金、貿易資金、預金部資金等、八十五億の資金を一般歳入から賄おうというような趣旨がそうであります。これが赤字にな
つておるのでありまして、このままで置きますと、それは日銀券の増發に頼らざるを得ないのであります。しかし日銀券の増發が、すなわち通貨の増發、すなわち
インフレーシヨン激成でありますので、一般歳入からこれを賄うようにいたしたのであります。こういう赤字を出さないで濟むならば問題でありませんけれども、赤が出ることは現實であり、それを何ら一般歳入から賄わぬということにいたしますならば、それはすなわち日銀借入れということによ
つて賄わざるを得ないことになるのであります。すなわち大きな資金が増發される次第であります。こういう點を十分考えまして、一般歳入でこれを賄おうと努力をいたした次第であります。それから
生産的意義が少いという
お話もありましたが、これは今回は追加預算でありまして、前
内閣におきましてこの本
豫算が組まれたのでありまして、これの追加であります。もちろん今囘の
追加豫算をいたしますにつきましては、本
豫算を通じて全面的に再檢討をいたして、この
追加豫算を計上した次第でありますが、終戰以來この占領下にある實情その他におきまして、
財政上の需要が非常に大きいその間に處して、
生産的意義を認め、しかも
生産方面におきましては、企業再建整備その他を行いつつあるのと見合わしてこれをやるというような點から考えまして、能う限りの
生産的意義をも含ますという點に努力した次第であります。貿易資金は赤字を補うのでありますが、これ以上の貿易が進行し、囘轉基金その他によ
つて、
資材その他がどんどんはいるようになりますれば、これは借入金その他によ
つて賄うようにな
つておるのでありまして、この借入金は
財政の範圍を出て賄えるのでありまして、この邊は十分考慮もいたしたのであります。
復金資金につきましては、ただいま二百八十億の餘力があるのでありますが、これは世間ではよく間違いますけれども、これだけを貸付資金と見るのは間違いでありまして、そのほかに囘收の資金があるのであります。その囘收の資金を加えて新たな貸出資金、こういうようになるのでありまして、
政府としてはこれをも
つて十分と考えておるのであります。そういうような關係でありまして、こういう面からこの
インフレ激成ということは、つとめて避けたいと考えて努力をいたしておるような次第であります。
さらに千八百圓のベースその他によ
つて、第二次の大幅な
追加豫算がどうしても必要だというお考えでありますが、
政府といたしましては、先ほどもお
答えをいたしましたように、あるいは法務廳とか、内務省の解體その他についてのごく小口の
豫算というものは、これを考慮いたしておるのでありますが、大口の
豫算ということは、つとめてこれを避けるということに全力を盡しておる次第でございまして、私はさらに數百億の
追加豫算を盛るというようなことは考えておらぬような次第であります。
それから災害
對策、水害、旱害その他について、
追加豫算を出すつもりがあるかというのであります。これは本
追加豫算におきましては五十二億の金額を盛
つたのであります。これは災害費のみに限りませんので、不足をいたしておると考えるのであります。こういう點について旱害、水害等の
追加豫算は、
資材財源等とも十分見合わせまして考慮もいたしたい、かように考えておる次第であります。
次に國鐵の
追加豫算について、
食糧増産豫算三千
萬圓を二十三
年度は削除して欲しい、こういう御趣旨でございましたが、これは御
質問の趣旨がよく私に徹底しないような次第で、二十三
年度についてはまだこういうところまで考えておらぬような次第でございます。編成方針を今立てて、議論をしておるのでございまして、そこまでは詳しく話が進んでおらぬということをお
答えいたしたいと思うのでございます。
それから通貨増發の點でありますが、あるいは三千億をも突破するであろうというような見方もあるかと思いますけれども、
政府はこれにつきましては、極力
追加豫算及びその實行、さらに金融等についてこの抑止に全力を盡しておるのであります。今
お話のように税の取立てが十分ではあるまい。ゆえに藏券が出てこれが日銀の引受けによ
つて賄われる、あるいはこのゆえに通貨増發の大きな原因になる、こういうお説でありますが、お説のように運びますならばそういうことに相なるのであります。それを避けるために、
政府といたしましては税の取立て等に、先ほど來申し上げましたように十分の努力をいたしまして實をあげる、こういうことにいたして藏券の増發を防ぐということに全力を盡しておるのであります。税はこの
日本の税制のあり方、あるいは會計
年度のあり方、殊に今度の
追加豫算の編成というような經路から考えまして、下期に重點が置かれまして、上期には重點があまり置かれないというよにな關係であるのでありますが、しかしこの四月から九月まででは、二百六十三億ばかりの税を取立てておるのでありまして、さらにこの第三・四半期で二百億、それから二百六十億、それからこの第三・四半期では六百五十億ばかりというものも取立て、完全に藏券の増發を防ぎたいと考えているのであります。なおこの百億だけは三月に取立てましても、ずれで四月にはいるということもありますけれども、こういうような計畫を立てまして、極力この實效を期するということにいたしておる次第であります。なお、そういうような關係上、資金が中小
工業その他にはまわらないで非常に困
つておる、こういうような
お話なのであります。これは現在の金融情勢を申しますと、企業再建整備とか、集中排除等によりまして、
市中銀行その他の金融權關が、貸出の對象としておりますものが動搖いたしておるのでありまして、それがために非常にこの資金が日銀へ囘收されまして、出ない。それがためにもつぱら復興金融金庫が全面的に資金の供給をしておる、こういうような現状があるのであります。しかしこれは本
委員會においてもすでに申し上げましたように、こういう形態を改めまして、
市中銀行の復興金融の引受け、あるいは復興金融金庫の保證のもとに
金融機關が貸出をするというような方法をとりまして、極力これを矯めておる次第であります。殊に年末にも迫
つてまいりますので、その邉はこの繰作を十分にいたしましまして、間違いのないようにいたしたいと思うのであります。中小
工業への金融ということになりますと、これは一種の特異な點もあるのでありまして、
市中銀行その他が十分に働けないという點もあると思うのであります。
政府といたしましては
復金の資金を商工組合中央金庫というものにまわしまして、そうして貸出を十分にやらしたい。商工組合中央金庫は中小金融については專門の經歴をも
つておるのでありますけれども、しかしながら資金が足りないので、その資金へこの復興金融金庫の資金をまわす。そうして必要に應じては單に商工組合中央金庫が組合を對象として貸出をするに止まらず、個人を對象としても、中小
工業者に對しては融通を疏通いたしたい。かように考えておるわけであります。
それから
地方債、
復金債の引受が日銀に非常に多いということでありますが、この點につきましても、今は資金調整の一形態として起債協議會があるのでありまして、
復金債、殊に
地方債は、
消化ということを十分目あてにして、市場
消化のできるものを發行するということにいたしておるのであります。殊に六・三制その他につきましては、預金部資金等をもちまして、中央資金の
地方還流と併せ兼ねてこれを引受けさすということもいたしたい。なお
復金債につきましては、すでに申し上げましたように、
金融機關の貯蓄増、純増、というものの大體半分を
財政資金に振り向ける。
財政資金としては國債及び
復金債の共同引受というようなこともいたしまして、今日まで日銀引受に依存が多かつたということも、十分矯めて、日銀の資金がこれがために市場に増發されるというようなことを、十分矯めたいと思
つておる次第であります。
それから赤字金融は原則として行わない。しかしながら今の製品の單價その他から見ると、單價を
引上げるか、あるいは赤字金融をしなければできないじやないかという
お話があるのであります。これは企業の内部について十分精査をいたしますと、單に單價のみならず、
經營の
合理化という點を促進する必要が多分にあるのでありまして、その促進をすることによ
つて、この採算がとれるというものも相當あるのであります。そこで
經營の
合理化のために資金が必要だというものは、いわゆる金融資金の形においても融通はいたすのであります。漫然と單價が高いから、それは赤字金融をするとかというようなことは考えておりません、しかしながらここは十分
金融機關にしても、あるいは
大藏省としても
經營の健全化、
合理化ということを指導いたしまして、その範圍において資金も融通し、なお
經營を健全にし、單價等の引下等も努力いたしておるような次第であります。
それからなお健全金融は彈力性がないというような
お話がありましたが、これは私も金融につきましては長年の經驗をも
つておるのでありまして、殊に時期的、その他については十分考えておる次第であります。ただ出しました資金が、正當なる
生産の面に向わないで、それが他の消費とか、好ましからざる方面に向うことが非常に危險であります。またこれが
インフレーシヨンの因にもなるのでありますから、そういう點は十分注意いたしましす、
大藏省におきましても、日銀においても、さらに各種の
金融機關におきましても、貸出をすると同時に、監査制度というものを十分活用させまして、その點十分實績のあがるようにいたし、その監査の結果必要なる資金というものは供給をし、好ましからざる方への資金は抑えるということが、すなわち健全金融でありまして、その邉は理論だけにとらわれず、實際について十分活用いたし、そのために彈力性を失わすというようなことはいたさないつもであります。