○庄司(一)委員
片山總理にお伺いいたしたい第一點は、第三囘目の冬を迎えんとする在外同胞、特にソヴィエト社會
主義共和國内のシベリヤ地方一帶に分布されて強制勞働を受けておる方の報道等によれば、約六十萬にわたるところの元軍人軍屬あるいはその他北滿地帶で活動されてお
つた在留同胞が、未だに歸國することができず、あるいは零下四十度以上の酷寒と鬪い、
日本人として適合するところの
食糧を與えられず酷使されておると、歸還者によ
つて傳えられておるわが同胞は、今や三たびの冬を迎えんとしておるのであります。この際この方々の家族は、一日も速やかにその夫、その父、その兄弟が歸國することを熱望しておるのであります。また本院においても引揚同胞議員連盟を初め、議院全體として、一日も速やかに歸還の運びができ得るよう待望しておるのでありますが、
總理は
組閣以來この問題に對し相當苦心はされておると思いますが、いかなる手、いかなる方法とをも
つて最善を盡されておるか、またこれらの
對策いかん。あるいは萬國キリスト教の大會に訴え、あるいはローマ法王に訴え、あるいは國連に訴えることも
一つの方法でありましよう。何らかの名手は打たれておるものとは信じますが、
組閣以來の經過竝びに今後の
對策いかんということを、切に
國民とともに
總理大臣の適當なる活躍を待望する
意味において、これを第一點の
質問といたします。
第二の
質問は、けさの新聞報道によれば、アメリカより第二囘目の温かいラ・ラ物資がプレゼントされるという報道を讀んで、まことに感謝にたえない次第でありますが、過般の第一囘のラ・ラ物資の
配給の面においては、はなはだ遺憾の點がなきにしもあらずであ
つたのであります。最も貧困をきわめておる戰災者、あるいは引揚同胞中の未だに國立病院等に取殘されておる氣の毒な元軍人軍屬、その他ほんとうに困
つておる人々の上に、せつかく眞心こめてプレゼントされた物資が完全に
配給されませんで、全然戰災も受けない、また相當な財産家の家庭の女學校の生徒さん方が、りつぱな冬コートを頂戴したという
事實を私は知
つております。アメリカのラ・ラ物資はもとよりわが國の
國民中最も困
つておる
諸君に對する温かい愛のプレゼントである。さいわい今囘再度目のラ・ラ物資の贈與があるそうであります。ときまさに冬を迎えんとし、全國の孤兒院、養老院その他引揚同胞中無縁故にして社會事業團體等に收容されておる氣の毒な人々、また戰災者中には、未だに見るに忍びないトタンのバラツクの中に住居をしておる氣の毒な同胞もあるのでありますから、今囘のラ・ラ物資の
配給については、前囘のような轍を履まぬように、最善完全なるところの
配給方法を講じてほしいのであります。またひとりアメリカのラ・ラ物資のみに依存せず、
政府は何らかの方法において、たとえばただいま上程されておる
追加豫算中の豫備費であるとか、前年度の繰越金、剩餘金というようなものの中から適當な施策を講ぜられて、最低線におられる
諸君に、特に年末を迎えて温かいクリスマス・プレゼントを贈られるような措置を講ずる意圖はございませんか。從來宮中におかれては、天皇が年末には各社會事業團體等に、それぞれの温かい愛が送られたのでありますが、ただいまは皇室財産の
關係等より、そのことは思われてもならない昨今の
状態でありますから、
總理は熱烈なる絶對愛の信仰をも
つておる人格者であると聞いておりますが、あなたが
日本國民中、大きなサンタクロースになられて、ラ・ラ物資の
配給と同時に、さようなことを講じられて、氣の毒な最低線の人々の上に、最高限度に
生活保護法を發動されたり、その他の適當の方法をも
つてやるとか、そういう
一つの施策を講じてほしい、そういう御意圖がないか、これが第二點であります。
第三點は、前
農林大臣時代のできごとであるから、お尋ねするのは少々お氣の毒でございますけれ
ども、やむを得ません。米一升が前米穀年度において五圓五十錢で供出されたものを、
政府は約三倍に近いところの十二圓餘によ
つて、去る八月一日より消費大衆に賣られた。一人一日二合五勺の
配給をも
つて新米穀年度の端境期まで、その概算を推定すると、約十四、五億になるのではないかと思う。これは概算でありますが、この十四億なり、あるいは十五億なりの消費者と供出
農民との間の幅は、一體會計法規の上からどこに合法的に處理されたものであるか、またされんとするものであるか、大炭の場合においても値上げをされ、一俵十三圓のものが五十四圓五十錢になり、それが最終小賣におきまして白炭は八十四圓五十錢、黒炭は九十四圓五十錢ですが、本炭一俵について約三十圓の大きな幅がある。ややこうしい手數料もありますし、運賃のプール計算その他の經費もかかりましようけれ
ども、わずか正味四貫目の木炭一俵から三十圓の幅というのは、あまりにひど過ぎる。
片山さんの所屬の政黨から言えば、あまりにもこれは大きな搾取ではないでしようか。ゆえに木炭生産者の
諸君は、非常に不愉快な感情をも
つて、極端に言えば思想惡化の傾向をたど
つておる。そういうことはあ
つてはならない。なるべくこの幅を最小限度にして、でき得る限り消費大衆により安く
配給させるということが、あなた方の多年唱えておられる社會
主義政策の上において、最も望ましいものであると私は思う。私は私の所屬の政黨のきわめて高度なる社會
政策のイデオロギーの上からしましても、でき得るだけその幅を少くして、より安い消費者價格で大衆に消費させることが最も望ましいことであると
考えておるが、
農林大臣を兼務されておる
總理はどうお
考えであるか、かような問題をどう處置されるのであるか、
インフレ防止の面から言いましても、より高く消費者大衆に販賣することは望ましくないことと思うのでありますが、なお將來に對してどうお
考えになりますか。この三點をお伺い申し上げて簡單明瞭な御囘答を要求するものであります。