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荒畑委員 次に歳入の面について伺います。
政府のと
つておられる
健全財政の
建前から申せば、税收入が必要なことは言うまでもありません。
追加豫算、本
豫算を合わせて二千億圓のうち、租税は一千四百億を算しておりますが、それは第一にいわゆる自然増收、第二に増税または新税によ
つて賄われることにな
つておる。自然増收は
一般的な物價騰貴に伴
つて生じたものでありまして、大體これと同じ割合で歳出も増大せざるを得ないのでありますから、本格的には本
豫算に伴う自然的な膨脹にすぎない。何ら
追加豫算の特質に
關係ないものと解すべきだと思うのであります。
從つて新しい
財源は増税又は新税によることが當然であります。
國民負擔が限度に近づくにつれまして、徴税の困難から、新税または増税が最も捕捉しやすい
財源に集中してくることも明らかであります。そうしてこれの税源は、直接税においては勤勞所得である。また間接税においては
大衆消費品であります。これは單に捕捉しやすいばかりでなくて、徴税に對する抵抗が最も弱いからであります。この
追加豫算に現われた新規
財源ほど、その特徴を明瞭に暴露したものは、私は未だか
つて例を見ないと言
つてもよいと思うのであります。なるほど勤勞所得税については小額所得に多少の低減が行われまして、一應の社會
政策的な
意味は認められるのでありますが、しかし酒税は約倍加しておる。物品税は二倍ないし三倍の値上にな
つておる。一方で五十億圓の負擔輕減を唱えながら、半面に二百億近くの
大衆課税をと
つておるのでは、これは朝三暮四のそしりを免れないと思うのであります。合計一千四百億の租税負擔は、
國民一人當りにすれば千八百圓である。その上に
タバコの値上による益金増加は合計四百八十五億圓で、一人當り千六百二十圓、以上の間接税が附課されることにな
つておる。現下の緊急
状態におきましては、庶民階級も
經濟再建のためにこういう苦痛を忍び、耐乏
生活に甘んずる
覺悟をも
つておるものと思うのでありますが、しかしそのためには、先ほ
ども申したように、少くとも負擔の衡平ということが嚴守されなければならぬと思います。
政府は初め甘味料の專賣によ
つて二十億の
財源を得る豫定である。それが業者の反對によ
つてさた止みに
なつた。これはうわさでありますが、そういううわさをわれわれは耳にしておるが、その眞僞のいかんを第一にお伺いしたいのであります。
資本家に對する負擔は、ややもすると常に
全力によ
つて反對や妨害が行われ、そうして從來はそれが多く成功している例を見るのであります。しかるに酒であるとか、
タバコであるとか、そういうものを値上げされましても、
勤勞大衆はこれに抵抗する手段をもたない。
片山内閣は私はこういう場合にこそ、
ほんとうに
大衆の利益を擁護する牧民官たる性格をもたなければならぬはずであると思うのでありますが、依然としてこういう風聞を耳にすることは、實ににがにがしく思うのでありまして、この眞僞を私はお伺いしておきたいのであります。