○中崎敏君 ただいま議題となりました
法律案について、
委員会における審査の経過並びに結果を簡單に御報告申し上げます。
まず
労働基準法等施行に伴う
政府職員にかかる
給與の
應急措置に関する
法律案について、その審議の経過を概略御報告申し上げます。
新憲法の
施行に伴い、
政府職員の
給與に関する基準は
法律をもつて定めなければならないことになつており、また労働基準法、船員法及び失業保險法の
施行に伴いまして、
政府職員にかかる現行
給與体系についても所要の改正を加えることが必要となつたので、
政府は、これに應じ
給與全般に関する基準を定めた
法律案を國会に
提出すべく準備中でありますが、これが檢討になお若干の時日を要するので、とりあえず應急的措置として、この
法律案が
提出された次第であります。
まず第一案について申し述べますと、現行の
政府職員の
給與制度は、
昭和二十二年
法律第七十二号及び同年勅令百六十一号により、新憲法
施行後も、経過的にそのまま本年十二月末日まで存続するわけでありますが、
労働基準法等の
施行に伴い、現行の
給與制度に一部改善を加える必要が生じたのであります。よつて、包括的な
給與法案のできるまで暫定的の措置として、
政府職員についても、少くとも
労働基準法等の
規定による最低基準まで
給與を増額支給するため、現行の
給與で労働基準法の定める労働條件に相当するもの、または失業保險法の定める給付に相当するものが、それぞれの
法律に定めた基準に達しない場合に、その基準に達するまで
給與を増額して支給することとしたものであります。なお第二項においては、この措置により増額して支給する
給與と從前の例による他の
給與との調整及びこの措置による
給與の支給手続については、大藏大臣が定める旨を
規定したものであります。この
法律が実施せられました場合、実際に現行の
給與より増額せらるるおもなものは、時間外、休日または深夜の勤労に対する超過勤務手当、公務に基いて殉職しまたは傷病にかかつた場合の災害補償、退職手当等であります。なお適用の時期については、超過勤務手当については
昭和二十二年七月一日以後、その他については九月一日以後、失業保險給付に相当する
給與については十一月一日以後、その
給與を支給するべき事由の生じた
給與につき適用すべきことといたしました。
本法案については、七日より質疑に入りましたが、包括的な
給與法案のできるまでの暫定的な措置として妥当なるものとし、討論省略、全会一致をもつて可決いたしました。
次に
大藏省預金部特別会計、
國有鉄道事業特別会計、
通信事業特別会計並びに簡易生命保険險及郵便年金特別会計の
保險勘定及び
年金勘定の
昭和二十二年度における歳入歳出不足補填のための
一般会計からする繰入金に関する
法律案について御説明いたします。
まず
大藏省預金部特別会計については、
昭和二十二年度特別会計予算補正特第三号に掲げてあるように、新規の歳入不足額が七億八千七百余万円生ずるのでありますが、当初予算におきましても、借入金をもつて補足することとした歳入不足額が九億八千余万円あるのでありまして、その收支の不足の補填を多額の借入金に負うことは適当でないのみならず、
一般会計及び特別会計を通ずる健全財政の趣旨にも副わぬと考えられますので、前述の新規歳入不足額のうち二億千余万円は、これを積立金のうちから補足することといたしますが、なお五億七千余万円に上る歳入不足額が残ることになりますので、この際
一般会計からこの会計に十億円を繰入れることとし、これを補足するとともに、かつ残る金額四億二千余万円については、本会計における経費節約額二千八百余万円と合わせ、当初予算における借入金の減少に充当しようとするものであります。
次に、
國有鉄道事業特別会計及び
通信事業特別会計におきましては、今次補正予算の編成にあたつて、人件費及び物件費等について相当の節約を行うことといたしましたにもかかわらず、現在の收支状況におきましては、当初予算及び補正予算を通じ歳入不足が、鉄道会計におきまして百十一億九千余万円、通信会計におきまして四十三億六千余万円に上る情勢であります。しこうして、これが補填の方策としては、さしあたり両会計において本年十一月以降本年度一ぱいに生ずると見込まれます大体の歳入不足額、すなわち國有鉄道事業において五十億、通信事業会計において二十五億円を限度とし、その不足財源を
一般会計から当該各会計へ繰入れることとせんとするものであります。
以上申し上げましたのが、今回の補正予算の編成にあたりまして
一般会計及び特別会計を通ずる健全財政の方針を堅持するための措置であり、これに関する予算的措置は、補正第七号、第八号及び補正特第三号をもつて繰入れに関する予算的措置を講じたのであります。
しかるところ、今回
政府職員の
給與の現状に鑑みまして、
政府職員に対して一時手当を支給することに方針を決定したのでありますが、前述の三特別会計及び
簡易生命保險及郵便年金特別会計の收支の現状に鑑みまして、今回の一時手当の財源につきましては、これまたその不足額を
一般会計から繰入れることがやむを得ないものと存ぜられますので、
大藏省預金部特別会計につきましてはさらに九千六百余万円、
國有鉄道事業特別会計につきましてはさらに九億九千余万円、
通信事業特別会計につきましてはさらに五億二万円を
一般会計から繰入れることといたしますとともに、新たに
簡易生命保險及郵便年金特別会計の
保險勘定につきましては八千八百余万円、同会計の
年金勘定につきましては二百五十九万円を限度として
一般会計から繰入れる必要があるのであります。なお繰入金につきましては、これらの特別会計の性質上、今後適当な時期において、当該各特別会計からそれぞれ繰入金額を
一般会計へ返償することとする予定でありまして、これに関する
規定を設けたのであります。
本案については、去る六日
政府より提案理由の説明を聽き、翌七日質疑に入りましたが、前述の会計に対して
一般会計から所要の繰入金をせんとする本案の趣旨を諒とし、同日、討論省略、採決に入りましたところ、全会一致をもつて可決いたしました。
次には、
貿易資金特別会計法を改正する
法律案について御説明を申し上げます。
今回改正しようとする第一点は、附則の第十九條及び第三十條の
規定であります。現行法の第四条の
規定によると、
貿易資金の運用による利益または損失の計算は、これを毎年度行うこととなつており、その結果生じた利益または損失は、終局において
一般会計への繰入れとなり、また
一般会計からの繰入れとなる構成となつておるのでありますが、現在のところ、外貨請求権の評價及び輸入物資の價格が計算困難の状況にあります関係上、この
規定による損益の計算もまた実行困難の状況となつておりますので、今回これに対する措置を講じたのであります。すなわち、現行法の第四條またはこの
法律案の第
五條の
規定による
貿易資金の運用による損益計算は、
昭和二十一年度から外貨請求権及び輸入物資の輸入價格の計算可能の状態に立ち到るまでの期間中、各年度ごとの計算を省略して、前述の計算ができる状態になつた曉において、その時までの全期間について損益の計算を行うこととし、その期間中は、毎年度
貿易資金の運用上生ずる円資金の不足額を一定の計算のもとに
一般会計から補填する途を開こうとするものであります。なお、
昭和二十二年度における
一般会計からの補填見込額は五十五億円となつております。
第二は、
貿易資金の運用範囲についての
規定でありまして、現在は、その一部を政令に讓つておるのでありますが、今回全部を
法律で定め、運用範囲を明らかにいたそうとするものであります。
第三は、
貿易資金の運用に関しても、歳出予算に基くものと同樣、財政法に基く契約等の計画及び支拂計画の制度を実施することにいたそうとするものであります。本法については、六日
政府より提案理由の説明あり、七日には補足的な説明を聽き、ただちに質疑にはいりましたが、
貿易資金に関する経理の実情に鑑み、
貿易資金の運用による利益または損失の計算について臨時に所要の措置を講ずるとともに、財政法の制定に伴い所要の改正をする必要のあることを認め、討論を省略、採決の結果、全会一致をもつて原案通り可決いたしました。
第四に、
特別都市計画法第四條の
規定による
國庫補助を
國債証券の
交付により行う等の
法律案について概略御報告申し上げます。
本案は、土地区画整理事業に対する
國庫補助金のうち、
特別都市計画法第十六條の
規定に基く公共用地造成のため私用地の減少が一割五分を超過する部分について
交付する補償金に対して行う補助金については、この際
國債証券をもつて
交付することとするとともに、事業
施行者が土地所有者及び関係者に
交付する減少補償金につきましても、その
交付を受けた
國債証券をもつて補償金の
交付の決済をなし得る途を開き、もつてインフレの抑制に努力せんとするものであります。なおこの減少補償金は、その性質が面積減少の代價であり、資産の一部が土地から
國債証券に移つたとも見ることができるのでありますので、現下の経済事情から見て、この程度の措置はやむを得ないものと考えられるのであります。
本案については、去る六日提案理由の説明を聽き、翌七日質疑をいたしましたが、
特別都市計画法に基く土地区画整理事業に関する経費につきましては、高率の
國庫補助を伴うものであります関係上、國の財政負担も巨額に上るものと考えられ、從つて、この事業の
施行にあたつては、事業の緊急性と現在の財政及び金融の事情との調整をはかることが必要と相なるのでありますが、本案は、大体これらに対する措置として妥当であると認め、同日、討論省略、原案通り可決いたしました。
最後に、物品の
無償貸付及び讓與等に関する
法律案について、簡單に御説明を申し上げます。
財政法の
施行に伴い、同法第九條の
規定により、國の所有に属する財産の適正な対價を伴わない貸付又は讓渡につきましては、
法律の
規定に基くことを要することとなつたのでありまするが、國の所有に属する財産のうち、國有財産法の適用を受ける國有財産については、國有財産法の中に
無償貸付及び讓與に関する
規定が置かれているのであります。物品につきましては、その
無償貸付、讓與等は、從來一部のものが
法律の
規定に基き行われていましたほか、大部分は勅令等の
規定によつて行われておりましたので、これについて、今回新たに
法律を制定して、物品の管理処分の適正を期する必要があるのであります。なお財政法第九條の
規定は、本年四月一日から
施行せられておりまするので、本法案の
施行期日も本年四月一日にさかのぼる必要があると考えるのであります。また、地方自治法
施行の際、都道府縣において使用しております國費をもつて調弁した物品につきましては、この際当該都道府縣に讓與または
無償貸付の措置をすることが適当と思われますので、併せてその
規定を置いたのであります。
本案については、去る七日質疑に入りましたが、技術的な問題で、さして異論もなく、翌七日、討論を省略し採決にはいり、全会一致をもつて可決いたした次第であります。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)