○北村徳太郎君 ただいま
議題となりました
経済力集中排除法案について、
財政及び
金融委員会における
審議の経過並びに結果の概略を御
報告申し上げます。
まず
政府原案についてでありますが、
政府はすでに財閥の解体、独占禁止法等の実施をいたしておりますけれども、わが國の現状を見まするに、これら各般の
措置が必ずしも所期
通りの効果をあげているとは言いがたい点があるのであります。すなわちここにおいて、目前に堆積いたしました過去の軍國主義的ないし封建主義的経済の残滓ともいうべきいわゆる経済力の集中をできるだけ速やかに排除するのでなければ、私的独占禁止法等による恒久的
措置についても、とうてい所期の効果を期待し得ないと思うのであります。
從つて、経済力の集中排除は経済の民主化の
基礎をつくるのがその目的でありますから、いたずらにわが國の産業経済をこまかに解体、分解するものではなくして、それはまた將來の民主的秩序に相應ずる経済の合理的な再
編成を行うという積極的作用をもつものでなければなりません。もとより経済力の集中排除は、わが國産経済に相当の変動を與え、また
國民の権利に重大な影響を及ぼすものであり、またさらに
政府機関に相当大幅の委任をしようとするものでありますから、そのやり方いかんによりましては、経済界はあるいは不安動揺に陷り、企業の萎微、
生産の沈滯、金融の梗塞等のおそれがないとは言えないのであります。
從つて、その運用はきわめて
愼重でなくてはなりません。
この
法律は、本文二十七條と附則一項から成
つております。以下、その内容の一班を申し上げますと、第一條はこの
法律の目的を規定し、第二條ではこの
法律における用語を定義いたしております。また指定の対象となる経済力の集中は、第三條の各号にあります
通り、独占的性質の企業、関連性のない事業を兼営する企業、役員の兼任、株式の保有等の
方法で、他の企業を支配する企業、カルテル、シンジケート、トラスト等の制限的もしくは独占的な協定、契約等、さらに個人または家族の富の集中で独占的企業を支配するもののいずれかに該当するものであ
つて、かつこの
法律施行の日において現に存するもの及び
昭和二十年八月一日からこの
法律の施行の日前において存したものが対象となるのであります。
この指定を行うのは持株会社
整理委員会でありまして、第六條各号に掲ぐる事項その他必要な事項を考慮し、指定の具体的
基準を定めてこれを公示し、
昭和二十三年九月三十日までの間に指定を行うのでありますが、経済界に與える不安等を考慮し、なるべく短
期間に終るようにしたいというのであります。指定は、文書で利害
関係人に通知して行うことに
なつておりまして、利害
関係人には、当該会社その他の團体または個人、株主、債権者、社債権者のほかに、当該会社の從業員も含んでおります。利害
関係人が多数で、個々の通知が事実上困難な
事情もありますので、通知は公告して行うこともできることと
なつております。指定につきましては、ある特定事業について指定を行わないといつた
意味の、適用除外の規定は別にありませんが、國、地方公共團体、公團、労働組合については指定を行わないことに
なつております。またこの
法律は、配給統制に関する法令の適用を妨げるものでないことが規定の上に明らかにされております。指定された経済力の集中を公共の利益のために排除することが必要と認められるときは、持株会社
整理委員会は当該会社その他の團体または個人に対して、その排除の
措置をとらなければなりません。しかし、指定されたものについて必ずしも全部が全部排除の
措置がとられるとは限らないのでありまして、指定されたものについて檢討の結果、排除の
措置をとる必要のないことが明らかになれば、指定の取消が行われることに
なつております。
次に第七條第二項は、持株会社
整理委員会の権能の態樣について並列的に掲げておりますが、排除の典型的な進行はおおむね次の
通りになるのであります。まず持株会社
整理委員会は、会社その他の團体または個人に対して経済力の集中の指定をいたしまして、それが公共の利益のために排除されねばならないときは、これに対して排除の
計画、すなわち企業再
編成計画あるいは財産処分
計画の提示を求めます。提示を求めて
計画の
提出がなかつたとき、または
計画が著しく不適当であつた場合には、持株会社
整理委員会はみずからこれらの
計画を作成することができます。排除の
計画を承認しまたは作成しようとするときは、その指令案を文書で利害
関係人に通達します。この通達は、公告してこれを行うことができるのであります。指令案を通達した日から十五日を経過したのちに、持株会社
整理委員会は利害
関係人に対し聽聞会を開き、指令案に対する異議の申立や
意見の具申を聽き、これに必要な変更を加えて決定することができるのであります。指令を決定したときは、決定指令を利害
関係人に文書で通達し、または通達にかわ
つて公告しなくてはなりません。持株会社
整理委員会の指令の決定に際して、事実の認定が実質的な証拠を
基礎としていない場合または実質的な証拠を採用していない場合は、利害
関係人は決定指令が通達または公告されてから六日以内に、内閣総理大臣に対して不服の申立ができることに
なつております。内閣総理大臣は、利害
関係人の不服が至当であると認めるときは、事件を持株会社
整理委員会に差し戻すのであります。また、右の不服申立の
期間及び不服申立のあつた場合は、その事件が確定するまでの間は当該決定指令の執行は停止されます。
次にこの
法律は、公正取引
委員会について数個の規定を設けております。この
法律が独占禁止法とその目的、作用を異にしていることは、今までの説明で明らかにしていると思うのでありますが、第十六條の規定中の「他の法令」の中には、当然に独占禁止法を含んでおり、また第二十七條には、独占禁止法の規定はこの
法律の規定によ
つて変更されることがない旨の規定があります。この
二つの
法律は、それぞれの目的に
從つて独自に運用されるのであります。しかしながら、この
法律は独占禁止法とその目的、繋りにおいて密接でありまして、その発動の対象において実際上競合する場合があります。そこで、持株会社
整理委員会が再
編成計画の承認その他の処分の指令案を承認しようとするときは、その指令案を公正取引
委員会に対して通達し、公正取引
委員会は、その指令案について独占禁止法の規定と違反する場合は、その旨を持株会社
整理委員会に指示し、その支持に基いて、持株会社
整理委員会はこれを変更することができ、また公正取引
委員会は決定指令の執行を掌り、決定指令の変更の申立を受け、持株会社
整理委員会は職権の一部を公正取引
委員会に委任することができるのであります。持株会社
整理委員会は臨時的機関でありますから、一定
期間ののち、この
法律の職権を公正取引
委員会に移すこと等の規定を設け、独占禁止法とこの
法律の
調整ないし
関係を明らかにするようにしているのであります。
最後に、第二十一條ないし二十五條は罰則の規定と
なつております。
次に、この
法律と企業再建整備法との
関係でありますが、この
法律の第十二條に、企業再
編成計画による債権者、株主等の権利の変更に関する規定があります。しかし、この
法律による企業再
編成計画は、企業を実体的な見地から再
編成していくのが目的であり、またその内容であります。
從つて、この再
編成計画による債権者、株主等の権利の
措置等企業の経理面の処置は、すべて企業再建整備法または金融機関再建整備法等に委ねるのを適当とし、このため必要とする
法律案は、目下
審議中であります。以上が
本案の要旨であります。
本案は、去る十月六
日本委員会に
付託されましたが、商業
委員会及び
鉱工業委員会とも関連がありますので、連合審査会を開き、十八日、
政府より
本案についての説明を聽取いたしましたが、この法案は、その内容が公共の福祉のためとは言いながら、企業上の権利の制限であり、産業界に與える影響も大きいので、経済界各
方面よりそれぞれの権威者の出席を求め、それらの諸君から忌憚のない
意見をきくことといたし、懇談会を開きました。第一回は十八日、
日本鉱業株式会社常務取締役の三間安市君、大
日本麦酒株式会社專務取締役山本爲三君、化学労働組合全國協議会幹事久保田誠君、三菱化成の常務取締役桑田時一郎君、経済團体連合会長の石川一郎君の諸君よりそれぞれ
意見の開陳があり、これに対し、
委員諸君よりいろいろ
質疑がありました。
次に二十二日には、三共製藥会社の社長塩原禎三君、帝國銀行頭取の佐藤喜一郎君、
日本製鉄の社長三鬼隆君の諸君に、また二十八日には、持株会社
整理委員会より笹山
委員長の出席を求め、同じく懇談会を行いました。大体この三回の懇談会で、参考に聽くべき
意見の範囲もほとんど盡すことができたかと存じますので、十月二十九日より三回にわたり、
政府委員に対して
質疑にはいりました。以下、その主なるものについて、きわめて簡單に御
報告申し上げます。
まず委員より、ポツダム宣言受諾以降、財閥の解体は政令をも
つて行われたが、独占禁止法以下少くとも許された範囲内において、今後この
法律を運用する者は
日本政府でなければならないが、これらを運用する場合において、なおかつ財閥解体と同じような圧力をも
つて、この
法律の上をいくような指令を発するものかどうか、また先般來、独禁法、企業再建整備法、集中排除法と、相次いで一連の
法律が出たが、これらをも
つて仕上げができると思うか、それともまだまだ出さねば解決できないかどうかという二点について
質疑がなされましたが、これに対し
政府当局より、
経済力集中排除法案は形式的には一應
法律で制定されるとはいうものの、その背景には、極東
委員会の対日占領
政策に関する基本原則があるので、実際の運用においては殆ど政令によるものと変らないだろう、また後者の問題は今はつきりは答えられないが、復興のための企業、会社の経理面の
措置は再建整備法で、企業面は集中排除法で、また恒久的な
措置はすでに定められた独禁法で行うわけで、大体この辺で山が見えているのではないかという氣がするとの
答弁がありました。
次に、巷間傳えられる三百ばかりの企業対象を分割した場合、税收の
方面に多大の影響を與えると思うがどうか、またこの法案の実施により、再
編成後は公正自由な取引ということが
建前になるので、その結果再び大きなものが出てくるということが
考えられるが、さういうものに対しては、
本案はいかなる
関係をもつものであるかとの
質問がありました。第一点については、現実の問題として制限会社あるいは特定会社等はほとんど利益をあげていないから、さう大きな狂いはないと思うし、第二点に関しては、この法案自体では未だそこまで
考えていないが、独禁法の方では公正なる競争が許されてゐる、ただそれが再び公共の利益に反するほど大きく
なつて、独占的な支配力をもつようなことになればいけないというのであ
つて、独禁法の事業能力の較差ということに触れない限り、大きくなることは許されるであろうとの
答弁がございました。
次に、合理的な再
編成の合理的ということは、現在の実情を対象とするのか、それとも將來展開さるべき世界経済との関連において
考えるのかといふ点を質しましたところ、
政府は、その再
編成したものが後に合理的な経営になるようにということは、平時の
経済状態を想定し、そのときにおけるあり方が合理的になるようにという
考え方であるから、外國貿易等も予想されている今日は、そうしたことも頭に入れて檢討しなければならぬと思
つているとの
答弁がありました。
また化学工業の分野では、二、三の工場が一つの單位に
なつている場合が多く、これを分割すると全体の工場が成立しなくなるが、これは工場單位でいくのか、もしくは企業の成立する総体を一括して
考えるのかについて
質疑があり、これに対し
政府より、工場が別であ
つても、互に有機的な関連性の上に立
つている場合は、それらが同一経営内にある方が合理的であるから、そういう点が立証されるならば分割されることはないと思うとの
答弁がありました。
次に、もしこの法案によ
つて種々の水平的な結合あるいは垂直的結合が分割されるとすれば、そのために採算不能になり、脱落していく企業が相当ありはしないかとの
質問が行われ、
政府委員より、本法案は産業の合理的な再
編成を所期している、單に採算不可能だからとい
つて、それを切捨てることにはならぬよう、あらゆる努力をしたい、特にそれを分割して、分割したために相互に品質を惡くするとか、原價が高くなるとか、あるいは経理上非常に不健全な状態になるというごとき場合が
考えられるならば、かかることは絶対になきよう努力し、その点については、業者の方でも確実にして詳細なる資料をも
つていろいろ
答弁されると思うが、それを十分くみと
つて、合理的な分割のしかたをしたいと
考えている、しかし、もし
國民経済全体の立場から、しかも平和的に
日本経済を再
編成するために絶対にそれに應ずる物資が必要であるが、その物資が今の
経済状態では採算不能だというような場合には、
資材なり
資金の特別な
措置を講じて、
生産の供給力に十分に見込みのあるように努力をしなければならないと思う、ただ平和的に再
編成するのであるから、か
つての軍事経済のもとに必要としていたような企業全部が全部現在の状態において必要だということは言えないと思うとの
答弁がありました。
次に、持株会社
整理委員会に勤労階層の
代表者をも加えることによ
つて、これを眞に民主的なものにする
意向はないかという点と、持株会社
整理監査
委員会の概況の二点について
質疑がありましたが、これに対して
政府より、まず
委員会の職員について申し上げると、委員はもちろん、部長程度まで一切財閥
関係の者は不適当とされている、ただ有價証券とか金銭的なものを多く扱わなければならない
関係上、大銀行の職員等が多く來ているし、また
委員会は永久的な機関でないから、若い人を養成してかかるという時間的余裕がないので、なるべく直ぐに間に合うような、訓練のできた適任者をとる
方針であるので、現にそういう人が非常に多いが、みな勤労者である、なお勤労者
方面との連絡については、理論的でなく実際の経驗ある方をという
意向から、本年六月大阪の金正米吉氏に任命があり、この方を通じていろいろ
事情を伺うことにしているが、今後
機構の改革にも大いに努力していきたいと思う、また後者についてであるが、これは
國会議員をも
つて構成されているが、
委員会が内閣総理大臣の所管に属し、一つの
政府の代理機関という形になるので、それ自体が一つの行政機関的な性格を帶びる、これについては、今まで若干あいまいな点があつたが、今度
提出予定の改正案では、監査
委員会を
國会の
代表者が構成することは行政と立法との混淆になるから、これを廃止することにしたいと
考えてゐる、さうなると、
國会との
関係であるが、その場合は、直接に内閣総理大臣の監督に属している機関を、総理大臣についての審査、監査という形において、
國会自体で
審議していただくことになると思うとの
答弁がございました。
その他具体的な問題について種々
質疑應答が交されましたが、詳しくは
会議録に讓ることにいたします。
かくて、
本案に対する論議もほとんど盡され、昨日各派より共同の
修正案が
提出され、各派を
代表しまして、
自由党の塚田委員から、経済力の集中排除はその目的が過度の経済力の集中排除にある点から、字句の上でもこれを明確にいたしておくべきであろう、單に経済力の集中排除でなく、その経済力の過度に集中せられた場合にこれを排除するのである、過度の経済力の集中を排除するというように
修正すべしという
修正意見が出ました。
かくして、
討論を省略いたしまして
採決の結果、ただいまの
修正案のように
修正議決をした次第であります。
なお、本法の実施
期間が一箇年と
なつているのでございますが、その間の経済界の不安を早く除く必要がある、一日も早く指定を終りまして、いたずらに経済界に不安を與えないようにすることを特に強くここに附言いたしまして、以上、
経済力集中排除法案の審査の経過並びに結果を申し上げた次第であります。
次に、
持株会社整理委員会令の一部を改正する
法律案の審査の経過並びに結果につきまして、ごく簡單に御
報告いたします。
本改正案につきましては、御
承知のごとく
経済力集中排除法案と不可分の
関係にありまして、
経済力集中排除法案が制定施行せられることになりますと、それに伴
つて、その実施は持株会社
整理委員会が担当いたすことに相
なつておりますので、これに應じて
持株会社整理委員会令の一部を改正する必要が生ずるのであります。改正の形式につきましては、同
委員会令が最高司令官の覚書に基いて、
昭和二十年勅令第五百四十二号、すなわちポツダム勅令として公布せられておりますので、その改正は
法律の形式をも
つてなされる次第であります。
この改正案の概略を申し上げますと、第一に、持株会社
整理委員会の目的及び業務に、経済力集中排除法の施行に関する事項を加えたこと。第二に、同
委員会が
委員長、常務委員、監査委員及び平委員より構成されていたのを、監査様式の変更に伴
つて、このうちの監査委員を廃することにしたこと。第三に、持株会社
整理委員会の
経費は、從來同
委員会が持株会社及び指定財閥家族から讓り受けました株式その他の財産から生ずる配当等の
收入及びそれらの財産を換價処分して得ますところの代金を持株会社及び財閥家族に引渡す前に、所要額を差引いて必要
経費に充当するとともに、
委員会はこれらの者以外の者から株式の議決権の行使を委任せられているので、それについて手数料を徴收することと
なつております。この点、実質においては変りはないのでありますが、法文上、これらの
收入を手数料として徴收し得る旨を明確に規定したこと。さらに、今回の経済力集中排除法によ
つて増大した事務のうち、主として企業に関連する純行政的性質の事務については、その
経費相当額は國庫より
予算をも
つて交付することとし、
委員会の
経費は、手数料とこの交付金をも
つて支弁することとしております。第四は、持株会社
整理委員会に対する監査について、從來内閣総理大臣の監督の下に持株会社
整理監査
委員会が設けられ、同
委員会の業務の運営を監査することに
なつていたので、不必要と認めて之を廃止し、
整理委員会は直接内閣総理大臣の監督に属する旨を明らかにしております。
本改正案は、去る十一月十四
日本委員会に
付託されたのでありますが、初めに申し上げました
通り、
経済力集中排除法案と一連不可分の
関係にあり、從いまして、持株会社
整理委員会の構成機能についての審査も、集中排除法案と同時併行的に行われましたので、重複をさける
意味で、この際
政府当局との
質疑應答の概略の御
報告は省略いたしたいと存じます。ただ
経済力集中排除法案の趣旨はとも
かくとして、運用に関しましては、將來
日本の経済再建に重大なる影響がありますので、細心の注意をも
つてなさるべきものでありまして、これを担当し、全権を掌握しておると見てよいのが持株会社
整理委員会そのものであり、
從つて、この
委員会の構成、機能は非常な影響力をもつものでありまして、この点に鑑み、
政府当局に対し、持株会社
整理委員会の委員の人選については特に
愼重にすべしとの
意味から重要な
質疑が行われ、各委員より、新しい権限の増大とともに、その人選の標準をかえて、すなわち從來財閥解体事務を主としていたが、今回の改正により産業、
生産方面に、また企業の再建
方面に大きく影響するので、
從つて、これに最も適した学識経驗のある者の中より廣くこれを求め、相当増員して経済力集中排除法の適正な運用を期するよう、十分
愼重の考慮を拂われたい旨の強い要望がありました。
昨日午後、集中排除法案の
採決の後本改正案の
討論に入り、
自由党周東委員より、特に次の二点について、本法の運用に関し強い要望があつたのであります。その第一点は、持株会社
整理委員会委員の選任または
増加の場合において、新たに附け加えられるところの
委員会の職能権限に副うよう十分に考慮すべきこと。第二点は、新たにその権限を拡大された
委員会は、相当に多額の讓り受けをしたり、あるいは讓り受けをする財産をもち、
巨額の財産権移動に関する実効的立場に立つのであるから、それについて
委員会の
委員長または会計を掌る委員、職員等については、たとえば会計法の出納官吏に準ずるがごとき不当
支出等の場合における賠償責任等責任に関する規定を置くことが至当であるという
意見でありまして、これはいずれも本法運用上の最も重要な点であり、きわめて妥当適切なる
意見と
考えられますので、特にここに附加して御
報告しておきたいと存じます。
かくして
討論を終局し、
採決にはいりまして、全会一致をも
つて本改正案は原案の
通り可決確定いたした次第であります。以上をも
つて報告を終ります。
なお、
議題に供せられております
政府職員に対する
臨時手当の
支給に関する
法律案について、
財政及び
金融委員会における
審議の経過並びに結果を御
報告申し上げます。
まず、
本案の内容を簡単に申し上げますと、
政府職員の
給與は月收平均千六百円を
基準としていたのでありますが、本年七月の新
物價体系の樹立に伴い、
給與水準もこれに應じて
引上げることが適当であると認め、七月以後の
給與については、千八百円水準によ
つて補正予算が組まれた次第であります。しこうして、新
給與体系の確立に至りますまでには未だ時日を要しますので、それまでの應急的
措置として、千六百円水準と千八百円水準との差額二百円を毎月
支給するのが適当との
考えから、さきのその七月ないし九月分
合計六百円を
支給されましたが、十月以降も同樣の
措置をとりたいとの
意味から、この
法律案が
提出された次第であります。
この
法律案によります、
臨時手当の
支給方法といたしましては、前回の
法律とはいささかその
基準を改めまして、各人の現に受けております俸給、暫定加給、暫定加給臨時増給、臨時家族
手当及び臨時勤務地
手当の
合計額千六百円分の二百円、すなわち八分の一を
支給することにしたのであります。
この
措置によりまして
支給を実施いたしますため必要な
予算額は、概算いたしますと大約
一般会計一億二千二百余万円、
特別会計二億四千七百余万円、
合計三億六千九百余万円でありまして、この金額は、十、十一月分については、すでに
一般会計補正予算第五号及び
特別会計補正予算特第二号に計上し、残りの十二月以後の分につきましては、目下
審議中の
一般会計補正予算第七号及び
特別会計補正予算特第三号に計上いたしております。なおこの金額のほかに、地方
負担により地方職員に
支給せられる金額が約九千八百余万円でございますので、この分も
合計いたしました四億六千八百余万円というものが、今回の
措置により官公職員に
給與せらるべき月総額と相なるわけであります。
本案は、昨二十一日
政府より提案
理由の説明を聽き、ただちに
審議にはいり、二、三
質疑が行われましたが、これは前回に論議を盡し、すでに
國会の議決を経た
法律第百十九号の延長でもあり、
政府職員の最近の
生活の実情をもくみとり、これを諒とし、
討論省略、
採決の結果、全会一致をも
つて原案
通り可決いたしました。簡單でございますが、以上御
報告申し上げます。(拍手)