○大森玉木君 私は、やみ撲滅に対して私の
意見を申し述べ、さらに
政府の所信を承りたいと思うのであります。
やみ撲滅は、申すまでもなく
國民生活の安定の上において最も必要であります。そこで、今日のやみの大半は、やむをえざるものが多いのであります。また悪性的なやみ者もあるのであります。しかし、そのおもなるものとして食糧問題を
考えてみるのであります。今日の食糧事情から
考えまして、統制によ
つて、あるいは鮮魚は何十何匁、また野菜は何十何匁ということであります。しかし、これはただの一度もその
通りに配給に
なつたことはないのであります。(「その
通り」)また米にいたしましても、しかりであります。米は二合五勺とな
つておりますが、その米の二合五勺が満足に配給されておりましようかどうか。あるいは二十日、二十三日間というものが、都会においては欠配・遅配をいたしております。
そこで、これをこのままにじつとこらえておりますならば、やみをいたさなければ、先日
新聞で見ましたごとく、あの最も貴い犠牲者であるという判事のようにならなければならぬ。詳しく申し上げる時間はありませんが、この間の
新聞を見ますると、やみを裁く判事なるがゆえに、やみをいたさないと観念いたしまして、配給だけを守
つてお
つた。そのために餓死いたしたということを見たのであります。そういたしまするならば、私を初め、おそらくこの食糧について、やみをいたさないとたれが断言できましようか。この点について
政府の方々に、やみはこうであるが、しかしこういうふうにすれば、やみをしなくてもよろしいという教え方が何かあるかどうか、それを承
つて私はそれに協力いたしたいと、こう思うのであります。どうでありますか。
私どもが着ております毛織物であります。戰爭中統制をいたされてから、まだただの一回も配給はありません。こういうふうにいたしまして、どうしてこの衣食住ができましようか。これを私は
はつきりとお尋ねして、やみを撲滅することは必要であるが、しからば
國民に生活の安定を與えよということを
要求いたす者であります。
さらに私のお尋ねをいたしたいのは、千八百円ベースについてであります。千八百円ベースということに対しましては、
新聞でいろいろ論議いたされておりますが、また
政府当局といたしましても、もみにもんでおられるようでありますが、これは千八百円はいけないということを断言いたします。何かと申しますると、これもこの間の
新聞で見たのでありますが、中國において戰前三十元をと
つてお
つたところの人が、四万九千倍にな
つたのでありまして、百四十七万元と
つているということであります。一箇月の給料であります。
日本の現状はどうですか。
日本の現状は、
昭和五年、六年、七年の物價水準價格を、今日は六十五倍に上げたのではないか。六十五倍に上げました以上は、これを六十五倍にいたすのが当然でなければならぬ。しからば、五十円と
つてお
つたところの給料取りは、三千二百五十円と相なる。また百円と
つてお
つた人は、六千五百円と相ならなければならないのである。そうしなければ生きていくことができない。食うためであります。
そこで、おもしろい話がある。これはどうであるかというと、
政府におかれましては、予算の賄い方かは存じませんが、專賣局はあの專賣の專の字は物の数の千と書いていただきたい。何かと申しますと、もはやピースは千倍に
なつた。千倍となりまして、やはり俸給取りに対しても千倍を與えるということになりますならば、百円の月給取りは十万円になる。また五十円の月給取りは五万円に相なるのであります。
さらにお尋ねをいたしたい。戻るようでありますが、この千倍にせなければならなか
つた理由はどこにあるのであるか。やはり、いわゆる大藏省の資金の足りないがために、その資金のために千倍にいたしたのでありましよう。やむを得ないことである。しかし、タバコは千倍が適当なりと
考えられるかどうか。
政府におかれまして、
政府が千倍のものを賣
つて、これは高くないと断言いたしましようかどうか。これは物であります。税金ということを申されますけれども、タバコは物であります。物である以上は、物價を千倍にあげても
政府だからいいということがありましようかどうか。この点も併せてお聞きいたしたいのであります。
さらに、時間がないから
簡單に申しますが、今日の中小工業に対するところの資金の圧迫、これは資金の圧迫ではないというふうに申しておられますが、私どもは資金の圧迫だと思う。どういうことかと申しますれば、現在地方において銀行に聞いてみると、地方におけるところの銀行に対しては、預金の半額を重点主義に貸出せよということに相な
つております。しかしながら、預金はないのである。この間
大藏大臣かどなたかの
答弁には、預金は殖えておると言う。とんでもないことだ。私どもは金を借りに行
つてよく知
つておる。ないのである。その預金のないものをとらえて、半額を貸出せよというのであるから、これは皆無であるということになる。そこで、地方におけるところの中小工業者はどういう状態であるか。中小工業者の状態は実に悲惨なものである。もはや明日に閉鎖、今日にいわゆる餓死せんとするような状態である。これに対して救済の道を以下に
考えられるか。これらの点も併せてお尋ねをいたしたいのであります。
また農山漁村に対しましても、私は、農村にも金がない、また漁村にも金がないということを、ここに断言いたす者であります。何かと申しますと、物價高によ
つて、農村もあるいは漁村も相当の金をも
つておると
考えておられる当局は間違いである。物價高によ
つて、悪性インフレという大きな川ができまして、その川に流れ込んでしま
つたのであります。ただいまでは漁村においても、その資材仕入れのためには第三國人の資金を融通いたしておるというような状態であります。(「ヒヤヒヤ」「その
通り」)また農村においては、いかがであるか。農村の現状を知らずして、また漁村の現状を知らずして、税の
内容をみますと、どういうことにな
つておるか。税は中小工業に対して昨年の六倍である。また農村に対しましては昨年の四倍である。しかし、この税收をどうして取るつもりであるか。中小工業に対しましては、私はこう
考えている。彼らはミイラとな
つておる。ミイラを搾
つても血も肉もないのだ。こういうものに対しても租税力があるがごとく
考えておられるところに間違いがないかどうか。(
拍手)この点を非常に私は憂うるのであります。
さらに、現在あります税務署、それには今までは民間代表が出て、仲裁員というものを設けて徴税方法、調査方法を行うたものであります。現在はこれを撤廃いたしました。そうして、役人をおそらく全國には三万人、五万人と、私は数は知りませんが、大多数の役人を殖やしたのであろうと思う。そうして今どういうことをしておるか、今どういう状態かと申しますと、
國民申告によるという形のもとに税を申告せよとい
つて、それから呼び出して、今日も來い、明日も來いというがごとく、被告人を白州に呼び出すことがごとき状態である。(
拍手)民主主義を口にせられるところの現
内閣、すなわち
片山総理のもとにおいて、徳川政治の專賣であ
つたようなこのやり方は、実に遺憾に思うのであります。
さらに私は、現在この民主主義ということに対して割切れない点がありますので、これを
総理大臣大臣にお聽きをいたしたいのである。何かと申しますると、終戰と同時に私どもが喜んで受けたものは何であ
つたかと申しますると、民主主義によるところの自由と権利であ
つたと思う。その自由と権利の民主主義、これが今日のこの形でありましようか、これを承りたい。民主主義とはすなわち今日のいわゆる官僚政治ではないと私は断言してよいと思う。これは民主主義じやない。あらゆるものが國営、國管あるいは公團、こういうふうにして、今やもうすでに官僚の支配下にある。
國民全体が支配下にあるというてよい。そういう状態に
なつた。また自由はどこにありましようか。今日ほど不自由な時代は絶対ない。また今日ほど権利のない時代はない。はしのあげおろしまでも干渉を受けなければならないというのが今日の状態であります。これらの三点。現在の民主主義がこれなりや。どういうことか。私はこれが割切れない。この点を
総理大臣に伺いたいのであります。(
拍手)これをも
つて、私の
質問を終ります。
〔
政府委員小坂善太郎君
登壇〕