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1947-09-18 第1回国会 衆議院 本会議 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年九月十八日(木曜日)     午後二時十三分開議     —————————————  議事日程 第三十二号   昭和二十二年九月十八日(木曜日)     午後一時開議  一 國務大臣水害報告に関する件     —————————————
  2. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) これより会議を開きます。  諸君、過般の台風の來襲に伴う豪雨のために各河川が氾濫し、関東中心未曾有の惨禍をこうむり、各地方民が不測の損害を受けましたことは、まことに同情にこたえません。堤防決壊田畑家屋の流出、死傷及び行方不明の者おびただしい数に上ると報ぜられております。これらの被害者に対しては、深くお見舞いを申し上げる次第であります。      ————◇—————  一 國務大臣水害報告に関する件
  3. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) この際、今回の水害について報告のため内務大臣厚生大臣及び農林大臣より発言を求められております。順次これを許します。内務大臣木村左衞門君。     〔國務大臣木村左衞門登壇
  4. 木村小左衞門

    國務大臣木村衞門君) 関東東北水害状況につきまして、私の所管にかかりまするものを総合いたしまして、概要を御報告申し上げたいと思うのであります。  九月八日、マーシヤル諸島附近に発生いたしましたる台風は、漸次発達しつつ北上いたしまして、十五日の夕刻ごろでは中心示度九六〇ミリバールとなり、東海地区において本土に上陸の氣配を見せていたのでありまするが、その後進路を北東に轉じますると同時に、これが二分いたしまして、房総半島南方洋上三陸方面に通過いたしましたために、関東地方一帶の風速はおおむね二十メートル内外に止まり、そのために風によるところの被害はきわめて軽微であつたのであります。しかしながら、今回の台風は多量の降雨を伴つてまいりまして、関東東北各縣にわたり、雨量は二百ミリないし六百ミリの多きに上つたのであります。六百ミリと申しますと、記録にいたしましては非常に稀有なることでありまして、このため各河川、特に利根川及びその支流は各所において氾濫し、群馬栃木埼玉中心とする地域に甚大な被害を與えるに至つたのであります。  その概要を現在までに入手いたしましたる報告に基きまして総合しますると、次の通りであります。  第一は埼玉縣であります。埼玉縣におきましては、十四日來の豪雨で水量は未曾有の激増を來し、遂に十六日午前零時三十分ごろ、利根川中流栗橋上流地点において堤防が約四百メートルに及ぶ決壊をいたしたのであります。水位約八メートル九九に達しておりましたところの利根川濁流は、一時にこの決壊箇所より流入いたしまして、栗橋より幸手に至る一帶は、たちまちにして泥海と化し去つたのであります。一方、十五日午後十時過ぎの荒川の上流熊谷附近堤防決壊による氾濫は、菖蒲、久喜方面に達しまして、この両者は杉戸附近で合流し、帶状となつて漸次南下いたしまして、現在同縣東南隅に達せんとしている状況であります。そのため、同縣下の約四十箇町村は泥水におおわれているのでありまして、このうち栗橋及び幸手附近の逃げ遅れましたる住民は、附近の高所または堤防上に孤立するに至つたのであります。以上の状況下に生じた被害の概数を申し上げますと、死者四十三名、傷者十六名、行方不明が三十四名、家屋倒壊及び流失が三百五十九戸、家屋浸水が六万六戸、田畑流失が五百八十五町歩田畑冠水が三万六千百六十九町歩道路決壊が多数—これは今まだ水の底につかつておりまして、はつきり数字はわかりません。橋梁流失が三百四十九、堤防決壊が四十八に及んでおるのでありますが、この数には被害の最も著しい栗橋幸手附近浸水地区のものを含んでおりません。これは水の下になつておりまして、まだ判明いたしません。これらが漸次わかるに及びましては、被害はさらに大きいものが予期せられることは覚悟いたさなければならぬと思うのであります。  次は栃木縣であります。栃木縣被害中心は、縣南下都賀郡の渡良瀬川及び巴波川(いずれも利根川支流)の合流する地域でありまして、同所附近の部屋村、生井村の両村は、堤防決壊とともに、たちまち九メートルの水底に沒しまして、約一万余の住民は身をもつて逃れ、附近堤防にえんえん三里の長きにわたつて難を避けているような状態であります。次いで、被害の著しい地域は足利及び宇都宮附近でありまして、これらの被害を総計いたしますれば、死者が百六十六名、傷者が五十七名、行方不明千四百九十八名、家屋倒壊及び流失千七百八十六戸、家屋浸水が四万二千二百九十戸、田畑流失三十五町歩田畑冠水一万一千二百八十八町歩道路決壊千六百十八、橋梁流失百四十、堤防決壊一であります。この数は、前同樣被害調査の進むにつれまして、さらに増加するものと思わなければなりません。  次は群馬縣であります。群馬縣被害は、主として赤城山麓より西部高崎に通ずる線の東であります。殊に渡良瀬川流域被害が大きい模樣でありますが、縣下全般にわたり交通通信が杜絶しておりますため、被害の詳細を知ることは、未だはなはだ遺憾ながら困難であります。群馬縣当局がこれを冒しまして、水中徒歩連絡その他あらゆる方法で行いました調査の結果、ただいま判明いたしておりますものは、死者が二百九十四名、傷者が二百九十三名、行方不明が三百五十八名、家屋倒壊及び流失が三千二十戸、家屋浸水が七万二千九百四十八戸、田畑流失冠水が五万六千町歩道路決壊が百八十六、橋梁流失が二百七、堤防決壊が七十三箇所でありますが、調査の進むに從いまして、これまた数字もさらに増加するものと思われるのであります。  以上のほかに、茨城縣では、死者が四十名、傷者が十三名、行方不明十七名、家屋流失及び倒壊二百六十三戸、家屋浸水一万四千四百七十八戸、田畑冠水が一万五千百七町歩道路決壊が百十七、橋梁流失が百三十一、堤防決壊が百十六箇所。また宮城縣では、死者が一名、行方不明が九名、家屋流失が二十五戸、家屋浸水が一万一千三百八十三戸、田畑流失が五百八十町歩田畑冠水が三万二千四百五十七町歩道路決壊が八、橋梁流失が七百八十六、堤防決壊が百二十五。なおまた岩手縣では、家屋倒壊及び流失が六戸、家屋浸水が一千百六十八戸、田の流失が百三十九町歩でありますが、このほか一ノ関方面相当被害をこうむつている模樣であります。福島縣では、死者が七名、家屋浸水が三千二百一戸、田畑流失が百二十六町歩田畑冠水が三千八百四十五町歩道路決壊二十六、橋梁流失が三十二、堤防決壊九十二の被害が発生しておりまして、その詳細は目下調査中であります。  なお東京千葉神奈川山梨長野新潟靜岡、愛知、山形、北海道その他にも、かなりの被害がある模樣でありますが、その程度は、先に申し上げました六縣に比較いたしまして、やや軽微である模様であります。  次に、以上の被害に対処いたしまして各府縣のとりました警防救護等対策について、ごく簡單に申し上げます。今次水害によりまする被害をこうむりました各縣におきましては、それぞれ被害の甚大な地域対策本部を前進いたさせまして、縣廳幹部職員を出張せしめまするとともに、関係現地機関と緊密な連絡のもとに給食、避難、医療その他各種の救護措置に当つておるのであります。また台風に伴う豪雨襲來に備えまして、各縣ではいち早く警察官なり警防團員等を招集し、危險地域住民に警報または避難命令を発し、あるいは防水作業に当らしめる等万全の事前措置を講じておりましたために、堤防決壊により濁流にのまれた地域におきましても、被害相当に軽減することができた模樣であります。  なお未だに埼玉縣栗橋幸手方面におきましては、廣汎地域にわたりまして濁水におおわれておりますために、逃げ遅れました住民の一部は水中に孤立して救いを求めておる状態でありまして、埼玉縣当局におきましては、これが救出にあらゆる苦心を拂いつつあるのでありますが、二箇所の決壊部より流入する水勢に妨げられまして、救出作業はすこぶる困難をきわめておるようであります。しかし、さいわいに現地進駐軍の絶大なる好意によりまして、昨十七日より軍用舟艇数隻の出動による強力な援助を受けることができたのでありまして、救出作業に大いなる威力を加え得たのであります。  さらにまた岩手縣一ノ関におきましては、交通通信杜絶のため、罹災者救護及び連絡等がまつたく不可能に陷り、これが対策に困窮いたしておりましたが、現地軍当局においては、ただちに大型飛行機三機を出動せしめまして、落下傘による食糧投下連絡等に当つてもらいましたために、これらの措置によりまして示されました進駐軍当局好意は、まことに感謝にたえない次第であります。  また埼玉縣東部栗橋熊谷方面より南下しつつあります濁流は、最惡の場合には東京都の足立、葛飾、江戸川の各区にも及ぶおそれがありまして、警視廳におきましては、これに対し、すでに万全の対策を講じておるのであります。  なお中央においても、被害府縣救援につきましては、視察連絡員等各地に派遣し、被害の実相を把握することに努め、強力なる救援に全力をあげておる次第でありまして、決壊いたしました堤防その他公共土木施設復旧につきましても、極力迅速にこれを行う所存であります。また中央水害対策本部を、本日閣議において設けまして、関係各省相互に緊密な連絡をとり、万遺憾なきを期しておるような次第であります。以上、簡單でありますが、状況の御報告を申し上げました。  終りに臨みまして——この災害に関しまして、大阪市におきましては、いち早く本日私の手もとへ五十万円の義捐金の申出がありまして、喜んでこれをお受けいたしておきましたような次第であります。この段御報告申し上げます。(拍手
  5. 松岡駒吉

  6. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) ただいま内務大臣より詳細な御報告がありましたので、厚生大臣といたしましては、これが対策に関しまするいろいろな手を打ちましたことを、皆様に御報告を申し上げたいのでございます。  まず基本的措置といたしまして、水害対策本部総理廳内に設けまして、西尾官房長官がその委員長となり、各省関係官を網羅いたしまして、これが対策に当ることにいたしたのでございます。この委員会は應急的の委員会でありまして、別に法律によつてこれを云々するということではないのでございます。應急救助対策委員会等につきましては、災害復旧等一般対策に関して別に委員会を設置して、これが取扱いに從事することに決定いたしたのでございます。水害救助取扱方針は、御承知のごとく緊急措置といたしまして、目下國会に提出中の災害救助法案と同樣の取扱いをいたしたいと考えまして、適当の方法によつてこれらの処置をとりたいと考えております。罹災救助に要しまする経費でございますが、糧食、衣料医藥小屋掛等に必要な費用については、國庫補助についても、災害救助法案補助率と同樣の取扱いをいたしたいと考えておるのでございます。  應急救助対策について申し上げますが、水害府縣知事に対しまして、應急対策をそれぞれ指示いたしたのでございます。各府縣知事は、その指示に從いまして、積極的に活動を開始いたしておるという情報を得ております。  情報蒐集及び連絡について申し上げますが、厚生省におきましては、ただちに晝間はもちろん夜間におきましても所要の人員を宿直せしめまして、内務省その他関係各省に対するところの情報蒐集連絡及びG・H・Qとも絶えず緊密なる連絡をとるべく措置いたしております。  調査班編成でございますが、調査班編成いたしまして、十七日、埼玉縣には物資課長ほかニ名を、群馬茨城栃木の三縣に対しましても、それぞれ二名ずつの係官を派遣いたしておきました。私も遅滯なく現地視察する予定でございます。  救援物資調達措置について申し上げますが、食糧衣料厨房用品その他救援物資のうち、縣自体で調達の不可能なものにつきましては、現地調査及び知事の要請によりまして、交通運輸機関回復次第即時発送のできるように、商工省農林省等に対しまして、適当の措置をとられるように申し込みましたところ、両省とも急速にこれに應じまして、それぞれ手配をいたしておるのでございます。現地軍政府の要求によりまして、また、G・H・Qの指示もありましたので、十七日に、これから申し上げまするような数量衣料石けん等現地にただちに発送いたしました。すなわち、男子用ズボン二千着、男子用上着一千着、男子シヤツ二千着、女子被服一万三千六百着、兒童被服二万七千着、石けん一万三千六百箇——栃木縣以外罹災縣に対しましても、ただいま各省折衝中であります。  なお、埼玉縣舟艇策について御報告申し上げますが、昨夜私から運輸大臣に対しまして、埼玉縣に向けて舟艇輸送方を依頼しましたところ、運輸大臣はただちにこれに應じまして、所要措置を講じて、現にそれらの活動に從事せられておる樣子でございます。一方神奈川縣より、とりあえずモーター・ボート三隻を十七日午後六時過ぎに埼玉縣輸送いたしました。なお引続き現地輸送して活動中であるとの内務大臣よりの私に対する御報告を得て、私も非常に喜んでおる次第でございます。  なおG・H・Qに対しまして、飛行機による食糧その他救援物資投下上陸用舟艇等回送方を懇請いたしましたところ、G・H・Qにおきましても、非常なる熱意をもつてこれを快諾せられまして、でき得る限りの協力を惜しまないという、ありがれき回答を得ました。そうして、その方面におきましては、それぞれこれを実地に実施せられておるそうでございまして、まことに感謝感激にたえません。  ララ物資放出に関しまして申し上げますが、ララ物資は、委員会の議決によらなければ物資放出ができないことになつておりますので、明十九日委員会を開催いたしまして、最大可能のララ物資、すなわち食糧品並びに衣料等現地に送付すべく手續中でございます。  防疫対策について申し上げます。浸水家屋消毒のために、クレゾール石けん液十五トンを発送いたいました。井戸消毒さらし粉一箇所二百グラム、総量四十トンを発送いたしました。消化器傳染病——パラチフスチフス対策のため、すでにワクチンを配給済みでございます。未だ注射を受けていない者に対する注射の材料をすでに配付済みでございます。ズルフアチアゾール錠百万錠——一人四十錠、二万五千人分を現地送付手続き中でございます。  應急医療対策について申し上げます。救護班編成派遣をやつております。関東地区國立病院が十三箇所、療養所が十箇所ございまして、合計二十三箇所を総動員して、一班に医者二名、看護婦一名、事務員一名、必要なる資材及び自動車を準備随時出動態勢を整えて、その一部はすでに出動いたしております。医師会に対しましても、至急救護策をとるように指示いたしました。日本赤十字社においては、本社において救護班編成するとともに、東京神奈川千葉附縣支部救護班編成を指令いたしました。  衛生資材——前に申し上げましたほかに、衛生資材は、以下申し述べる通り用意いたしております。クレゾール石けん液十五トン、二十万戸を目標として百万人分、さらし粉四十トン、D・D・T八百トン、脱脂綿百グラム包三千箇、五十グラム包一万箇、ほうたい、ガーゼその他必要に應じまして出せるように、今手配をいたしております。  G・H・Qとの連絡について御報告を申し上げます。G・H・Qとは絶えず緊密なる連絡をとり、G・H・Qにおきましても、非常な関心を拂つておるのでありまして、でき得る限りの援助をするという快諾を得ましたことは、先に申し上げた通りでございます。なおG・H・Qの公衆衛生福祉部におきまして、各縣に一斑ずつ三班を編成いたしまして、埼玉群馬茨城栃木の各縣へ、メージャー・レオルダン、ミスター・ネフ、ミスター・マーカソン、その他社会局庶務課齋藤通譯などが同行いたしまして、すでに現地視察に向われております。  日本赤十字社同胞援護会等民間團体活動について御報告いたします。政府活動に対應いたしまして、日本赤十字社同胞援護会等の私設團体は、政府に協力いたしまして、本部及び各地方の支部は積極的に活動を開始いたしております。なお必要なる措置は、ただいまこれを考究いたしまして、その成案を得次第続々実行に移すことにいたしております。この段御報告を申し上げます。(拍手
  7. 松岡駒吉

  8. 平野力三

    國務大臣平野力三君) 今回の関東水害に関しまして、もつぱら食糧関係及び耕地関係に関しまして、農林省所管の問題について御報告をいたしたいと思います。  御承知通り輸入食糧加工製粉工場が主として関東地区に多いのでありまして、これが被害に関しましては、京浜地方食糧問題にきわめて重大なる関係がありますので、早速各地係官を派遣いたしまして今日まで集めました情報について申し上げます。  まず交通機関について申し上げます。昨日の情報によりますると、高崎線は大体今明日中に開通見込みであります。從つて高崎線開通いたしますならば、信越線も大体開通予定であります。常磐線は十六日から試運轉をいたしておるようでありますが、現在のところ、大体において水戸まで開通見込みがついております。東北本線栗橋及び久喜の間に非常なる災害がありまして、現在この見込みは完全なる情報を得ておりません。上越線は岩本及び敷島間の鉄橋流失いたしまして、復旧までには三週間を要すると報告されております。中央線は大月、初狩間の鉄橋流失いたしまして、復旧には約二十日間を要するといわれております。  かようなる交通状況下にありまして、しからば現在京浜地方におきます食糧問題にはいかなる影響があるかと申しますと、まず第一に、製粉加工工場として千葉縣における最も重要工場である船橋の工場は、これは安全であります。支障がありません。埼玉縣におきます川越の工場は、これまた健在であります。次に茨城縣におきます赤塚の工場も、大体において水戸までの間の交通が完備いたしますならば、まず支障なき見込みであります。群馬縣高崎中心といたします工場については、高崎線開通をいたしますので、これまた大体において安全であります。問題と相なりまするのは、東北本線及び両毛線の沿線にありまする小山、太田、館林、佐野、この近辺にあります製粉工場については、まだ連絡が十分でありませんので、非常に心配をいたしておる状況であります。  次に、今回の交通問題から及ぼしまする早場米の点について一言申し上げます。富山、石川及び新潟西部におきまする早場米輸送は、信越線回復によりまして支障なき見込みであります。次に、上越線不通でありますので、新潟縣及び山形縣早場米の供出に関しましては、相当困難なる見込みがありますので、この点については、運輸省に目下大いに交渉をいたしておるのであります。東北本線開通が遅れることになりますと、これまた青森、岩手宮城方面早場米には影響がありますので、この点、また復旧に対して運輸省十分折衝中であります。  以上が、大体の交通から見た概況でありまするが、ここに一言申し上げたいと思いますることは、現在京浜地方におきまする食糧状況といたしましては、食糧営團がもつておりまする手持の食糧は大体八日分あります。政府がもつております食糧は三万石、約三日分あります。次に横浜に入港いたしておりまする小麦粉・豆類等が大体十万石、約九日分ありまして、合計二十日分の食糧だけは大体現在あるのでありますが、この食糧をもつておりまする間に交通機関が順次復旧いたしまして、大体において京浜地方における食糧問題については、この水害によつて大なる支障はないようにいたしたいと思つております。なお長野山梨縣中央線不通については、名古屋の方面より食糧輸送することといたしまして、この両縣については大体において完全であります。  次に一言申し上げたいと思いますることは、かような水害によつてぬれております小麦その他につきましての対策は、目下地方食糧事務所を通じまして大いに交渉中であります。特に甘藷冠水いたしましたるものは、すぐ腐りやすいのでありますから、これは現地食糧事務所に早速命令いたしまして、これが処分方法については、最も現実に即したるところの方法を考えている次第でございます。  次に、農林省から現地に出張した係官が今朝帰つてつてまいりました報告によつて耕地及び作物の大体の被害について申し上げたいと思います。但しこの数字は、現在到達いたしました数字をそのまま集計いたしたものでありまして、もとより正確を期することはできないのでありますが、この際水害の大きさの全貌を御認識願う意味において、この数字を発表いたしまして、御参考に願いたいと思います。  まず埼玉縣において、浸水いたしました田畑面積は四万七千二百町歩栃木縣におきましては四万一千三百町歩千葉縣におきましては二千町歩群馬縣におきましては三万二千町歩神奈川縣において四千七百五十町歩茨城縣出張員がまだ帰りませんので、恐縮でありますが報告できません。次に、流失及び埋沒によつて役に立たなくなりました耕地面積は、埼玉縣において一万八百町歩栃木縣において三百六十町歩千葉縣において五十町歩群馬縣において二千町歩神奈川縣において九十六町歩であります。  次に、農作物の中において米の被害は、大体今日までに到達いたしております集計によりますると、埼玉縣においては、五十四万六千石、栃木縣においては四十万石、千葉縣においては一万五千石、群馬縣においては三万六千三百石、神奈川縣において千百二十石であります。甘藷に関しましては、埼玉縣におきまして千三百万貫、栃木縣において六百万貫、千葉縣において三十万貫、その他は現在不明であります。  かような大体の数字を得ておるのでありまするが、明日政府において知事会議を開催いたしまして、食糧問題に関する割当会議をいたすときにあたりまして、かような水害を見ましたことは、まことにわれわれといたしまして心配にたえないのであります。しかしながら、今日政府が全國の数量といたしておりますところの六千百十六万石の生産高、及び割り当てんといたしますところの三千百十六万石のこの基本的数字については、今回の水害によりましてある程度の影響のあることはもとよりでありますが、この際の食糧問題といたしまして、明日の知事会議に関しましては、規定の方針通り会議を続行する、かようなことに決定いたした次第であります。  今日水害各地に起つて食糧所管省といたしましては、まことに重大にして困難なる情勢に遭遇いたしておりまするが、われわれは、この困難なる情勢をよく乗り切りまして、食糧問題に関する万遺憾なき対策を立てんとして、現在十分盡力をいたしておる次第であります。以上、簡單でありまするが、農林省に関する所管の一端を御報告申し上げた次第であります。(拍手
  9. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 運輸大臣より鉄道関係につき説明を聽取いたしたいと思いまして交渉いたしましたが、早急のことで報告準備ができません。最近の機会に御報告申し上げる予定であります。      ————◇—————
  10. 叶凸

    ○叶凸君 関東地方中心とする水害について、現地視察のため、特に院議をもつて議員二十四名を派遣することとし、ただちに議長において指名せられんことを望みます。
  11. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 叶君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 松岡駒吉

    議長松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  つきましては、派遣議員を指名いたします。   石野 久男君 大島 義睛君   金子益太郎君 川島 金次君   島上善五郎君 高瀬  傳君   吉川 兼光君 水野 實郎君   青柳 高一君 天野  久君   大澤嘉平治君 松井 豊吉君   鈴木 明良君 小林 運美君   小峯 柳多君 島村 一郎君   田口助太郎君 山口 好一君   山村新治郎君 野本 品吉君   谷口 武雄君 山口 武秀君   河口 陽一君 林  百郎君  次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十一分散会