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1947-09-18 第1回国会 衆議院 本会議 第33号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十二年九月十八日(木曜日) 午後二時十三分
開議
—
——
——
——
——
——
——
議事日程
第三十二号
昭和
二十二年九月十八日(木曜日) 午後一時
開議
一
國務大臣
の
水害報告
に関する件 —
——
——
——
——
——
——
松岡駒吉
1
○
議長
(
松岡駒吉
君) これより
会議
を開きます。 諸君、過般の
台風
の來襲に伴う
豪雨
のために各
河川
が氾濫し、
関東
を
中心
に
未曾有
の惨禍をこうむり、各
地方民
が不測の損害を受けましたことは、まことに同情にこたえません。
堤防
の
決壊
、
田畑
、
家屋
の流出、死傷及び行方不明の者おびただしい数に上ると報ぜられております。これらの
被害者
に対しては、深くお見舞いを申し上げる次第であります。
——
——
◇—
——
——
一
國務大臣
の
水害報告
に関する件
松岡駒吉
2
○
議長
(
松岡駒吉
君) この際、今回の
水害
について
報告
のため
内務大臣
、
厚生大臣
及び
農林大臣
より発言を求められております。順次これを許します。
内務大臣木村
小
左衞門
君。 〔
國務大臣木村
小
左衞門
君
登壇
〕
木村小左衞門
3
○
國務大臣
(
木村
小
衞門
君)
関東東北水害
の
状況
につきまして、私の
所管
にかかりまするものを総合いたしまして、
概要
を御
報告
申し上げたいと思うのであります。 九月八日、
マーシヤル諸島附近
に発生いたしましたる
台風
は、漸次発達しつつ北上いたしまして、十五日の夕刻ごろでは
中心示度
九六〇ミリバールとなり、
東海地区
において本土に
上陸
の氣配を見せていたのでありまするが、その後進路を北東に轉じますると同時に、これが二分いたしまして、
房総半島南方洋上
を
三陸方面
に通過いたしましたために、
関東地方
一帶の風速はおおむね二十メートル内外に止まり、そのために風によるところの
被害
はきわめて軽微であ
つたの
であります。しかしながら、今回の
台風
は多量の降雨を伴
つて
まいりまして、
関東
、
東北
各縣にわたり、雨量は二百ミリないし六百ミリの多きに
上つたの
であります。六百ミリと申しますと、記録にいたしましては非常に稀有なることでありまして、このため各
河川
、特に
利根川
及びその
支流
は各所において氾濫し、
群馬
、
栃木
、
埼玉
を
中心
とする
地域
に甚大な
被害
を與えるに
至つたの
であります。 その
概要
を現在までに入手いたしましたる
報告
に基きまして総合しますると、次の
通り
であります。 第一は
埼玉縣
であります。
埼玉縣
におきましては、十四日來の
豪雨
で水量は
未曾有
の激増を來し、遂に十六日午前零時三十分ごろ、
利根川中流
の
栗橋上流地点
において
堤防
が約四百メートルに及ぶ
決壊
をいたしたのであります。水位約八メートル九九に達しておりましたところの
利根川
の
濁流
は、一時にこの
決壊箇所
より流入いたしまして、
栗橋
より
幸手
に至る一帶は、たちまちにして泥海と化し去
つたの
であります。一方、十五日午後十時過ぎの荒川の
上流熊谷附近
の
堤防決壊
による氾濫は、菖蒲、
久喜方面
に達しまして、この両者は
杉戸附近
で合流し、帶状と
なつ
て漸次南下いたしまして、現在同
縣東南隅
に達せんとしている
状況
であります。そのため、同縣下の約四十箇町村は泥水におおわれているのでありまして、このうち
栗橋
及び
幸手附近
の逃げ遅れましたる
住民
は、
附近
の高所または
堤防
上に孤立するに
至つたの
であります。以上の
状況下
に生じた
被害
の概数を申し上げますと、
死者
四十三名、
傷者
十六名、行方不明が三十四名、
家屋
の
倒壊
及び
流失
が三百五十九戸、
家屋
の
浸水
が六万六戸、
田畑
の
流失
が五百八十五
町歩
、
田畑
の
冠水
が三万六千百六十九
町歩
、
道路
の
決壊
が多数—これは今まだ水の底につか
つて
おりまして、はつきり
数字
はわかりません。
橋梁
の
流失
が三百四十九、
堤防
の
決壊
が四十八に及んでおるのでありますが、この数には
被害
の最も著しい
栗橋
、
幸手附近
の
浸水地区
のものを含んでおりません。これは水の下に
なつ
ておりまして、まだ判明いたしません。これらが漸次わかるに及びましては、
被害
はさらに大きいものが予期せられることは覚悟いたさなければならぬと思うのであります。 次は
栃木縣
であります。
栃木縣
の
被害
の
中心
は、
縣南下都賀
郡の
渡良瀬川
及び
巴波川
(いずれも
利根川支流
)の合流する
地域
でありまして、
同所附近
の部屋村、生井村の両村は、
堤防
の
決壊
とともに、たちまち九メートルの水底に沒しまして、約一万余の
住民
は身をも
つて
逃れ、
附近
の
堤防
にえんえん三里の長きにわた
つて
難を避けているような
状態
であります。次いで、
被害
の著しい
地域
は足利及び
宇都宮附近
でありまして、これらの
被害
を総計いたしますれば、
死者
が百六十六名、
傷者
が五十七名、行方不明千四百九十八名、
家屋
の
倒壊
及び
流失
千七百八十六戸、
家屋
の
浸水
が四万二千二百九十戸、
田畑
の
流失
三十五
町歩
、
田畑
の
冠水
一万一千二百八十八
町歩
、
道路
の
決壊
千六百十八、
橋梁
の
流失
百四十、
堤防
の
決壊
一であります。この数は、前同
樣被害調査
の進むにつれまして、さらに増加するものと思わなければなりません。 次は
群馬縣
であります。
群馬縣
の
被害
は、主として
赤城山麓
より
西部
、
高崎
に通ずる線の東であります。殊に
渡良瀬川流域
の
被害
が大きい
模樣
でありますが、
縣下全般
にわたり
交通通信
が杜絶しておりますため、
被害
の詳細を知ることは、未だはなはだ遺憾ながら困難であります。
群馬縣当局
がこれを冒しまして、
水中
を
徒歩連絡
その他あらゆる
方法
で行いました
調査
の結果、ただいま判明いたしておりますものは、
死者
が二百九十四名、
傷者
が二百九十三名、行方不明が三百五十八名、
家屋
の
倒壊
及び
流失
が三千二十戸、
家屋
の
浸水
が七万二千九百四十八戸、
田畑
の
流失
、
冠水
が五万六千
町歩
、
道路
の
決壊
が百八十六、
橋梁
の
流失
が二百七、
堤防
の
決壊
が七十三箇所でありますが、
調査
の進むに從いまして、これまた
数字
もさらに増加するものと思われるのであります。 以上のほかに、
茨城縣
では、
死者
が四十名、
傷者
が十三名、行方不明十七名、
家屋
の
流失
及び
倒壊
二百六十三戸、
家屋
の
浸水
一万四千四百七十八戸、
田畑
の
冠水
が一万五千百七
町歩
、
道路
の
決壊
が百十七、
橋梁
の
流失
が百三十一、
堤防
の
決壊
が百十六箇所。また
宮城縣
では、
死者
が一名、行方不明が九名、
家屋
の
流失
が二十五戸、
家屋
の
浸水
が一万一千三百八十三戸、
田畑
の
流失
が五百八十
町歩
、
田畑
の
冠水
が三万二千四百五十七
町歩
、
道路
の
決壊
が八、
橋梁
の
流失
が七百八十六、
堤防
の
決壊
が百二十五。なおまた
岩手縣
では、
家屋
の
倒壊
及び
流失
が六戸、
家屋
の
浸水
が一千百六十八戸、田の
流失
が百三十九
町歩
でありますが、このほか
一ノ関方面
に
相当
の
被害
をこうむ
つて
いる
模樣
であります。
福島縣
では、
死者
が七名、
家屋
の
浸水
が三千二百一戸、
田畑
の
流失
が百二十六
町歩
、
田畑
の
冠水
が三千八百四十五
町歩
、
道路
の
決壊
二十六、
橋梁
の
流失
が三十二、
堤防
の
決壊
九十二の
被害
が発生しておりまして、その詳細は目下
調査
中であります。 なお
東京
、
千葉
、
神奈川
、
山梨
、
長野
、
新潟
、
靜岡
、愛知、
山形
、北海道その他にも、かなりの
被害
がある
模樣
でありますが、その程度は、先に申し上げました六縣に比較いたしまして、やや軽微である模様であります。 次に、以上の
被害
に対処いたしまして各
府縣
のとりました
警防
・
救護等
の
対策
について、ごく
簡單
に申し上げます。今次
水害
によりまする
被害
をこうむりました各縣におきましては、それぞれ
被害
の甚大な
地域
に
対策本部
を前進いたさせまして、
縣廳幹部職員
を出張せしめまするとともに、
関係現地
諸
機関
と緊密な
連絡
のもとに給食、
避難
、医療その他各種の
救護措置
に当
つて
おるのであります。また
台風
に伴う
豪雨
の
襲來
に備えまして、各縣ではいち早く警察官なり
警防團員等
を招集し、
危險地域
の
住民
に警報または
避難命令
を発し、あるいは
防水作業
に当らしめる等万全の
事前措置
を講じておりましたために、
堤防
の
決壊
により
濁流
にのまれた
地域
におきましても、
被害
を
相当
に軽減することができた
模樣
であります。 なお未だに
埼玉縣栗橋
、
幸手方面
におきましては、
廣汎
な
地域
にわたりまして濁水におおわれておりますために、逃げ遅れました
住民
の一部は
水中
に孤立して救いを求めておる
状態
でありまして、
埼玉縣当局
におきましては、これが
救出
にあらゆる苦心を拂いつつあるのでありますが、二箇所の
決壊部
より流入する水勢に妨げられまして、
救出作業
はすこぶる困難をきわめておるようであります。しかし、さいわいに
現地進駐軍
の絶大なる
好意
によりまして、昨十七日より
軍用舟艇
数隻の
出動
による強力な
援助
を受けることができたのでありまして、
救出作業
に大いなる威力を加え得たのであります。 さらにまた
岩手縣
の
一ノ関
におきましては、
交通通信杜絶
のため、
罹災者
の
救護
及び
連絡等
がまつたく不可能に陷り、これが
対策
に困窮いたしておりましたが、
現地軍当局
においては、ただちに
大型飛行機
三機を
出動
せしめまして、落下傘による
食糧投下
の
連絡等
に当
つて
もらいましたために、これらの
措置
によりまして示されました
進駐軍当局
の
好意
は、まことに
感謝
にたえない次第であります。 また
埼玉縣東部
を
栗橋
、
熊谷方面
より南下しつつあります
濁流
は、最惡の場合には
東京
都の足立、葛飾、江戸川の各区にも及ぶおそれがありまして、
警視廳
におきましては、これに対し、すでに万全の
対策
を講じておるのであります。 なお
中央
においても、
被害
府縣
の
救援
につきましては、
視察連絡員等
を
各地
に派遣し、
被害
の実相を把握することに努め、強力なる
救援
に全力をあげておる次第でありまして、
決壊
いたしました
堤防
その他
公共土木施設
の
復旧
につきましても、極力迅速にこれを行う所存であります。また
中央
に
水害対策本部
を、本日閣議において設けまして、
関係各省相互
に緊密な
連絡
をとり、万遺憾なきを期しておるような次第であります。以上、
簡單
でありますが、
状況
の御
報告
を申し上げました。 終りに臨みまして
——
この
災害
に関しまして、大阪市におきましては、いち早く本日私の手もとへ五十万円の
義捐金
の申出がありまして、喜んでこれをお受けいたしておきましたような次第であります。この段御
報告
申し上げます。(
拍手
)
松岡駒吉
4
○
議長
(
松岡駒吉
君)
厚生大臣
一松定吉
君。 〔
國務大臣
一松定吉
君
登壇
〕
一松定吉
5
○
國務大臣
(
一松定吉
君) ただいま
内務大臣
より詳細な御
報告
がありましたので、
厚生大臣
といたしましては、これが
対策
に関しまするいろいろな手を打ちましたことを、皆様に御
報告
を申し上げたいのでございます。 まず
基本的措置
といたしまして、
水害対策本部
を
総理廳内
に設けまして、
西尾官房長官
がその
委員長
となり、
各省
の
関係官
を網羅いたしまして、これが
対策
に当ることにいたしたのでございます。この
委員会
は應急的の
委員会
でありまして、別に法律によ
つて
これを云々するということではないのでございます。
應急救助
の
対策委員会等
につきましては、
災害復旧等一般対策
に関して別に
委員会
を設置して、これが
取扱い
に從事することに決定いたしたのでございます。
水害救助
の
取扱方針
は、御
承知
のごとく
緊急措置
といたしまして、
目下國会
に提出中の
災害救助法案
と同樣の
取扱い
をいたしたいと考えまして、適当の
方法
によ
つて
これらの処置をとりたいと考えております。
罹災救助
に要しまする経費でございますが、糧食、
衣料
、
医藥
、
小屋掛等
に必要な費用については、
國庫補助
についても、
災害救助法案
の
補助率
と同樣の
取扱い
をいたしたいと考えておるのでございます。
應急救助
対策
について申し上げますが、
水害
府縣
の
知事
に対しまして、
應急対策
をそれぞれ
指示
いたしたのでございます。各
府縣知事
は、その
指示
に從いまして、積極的に
活動
を開始いたしておるという
情報
を得ております。
情報蒐集
及び
連絡
について申し上げますが、厚生省におきましては、ただちに晝間はもちろん夜間におきましても
所要
の人員を宿直せしめまして、内務省その他
関係各省
に対するところの
情報
の
蒐集
、
連絡
及びG・H・Qとも絶えず緊密なる
連絡
をとるべく
措置
いたしております。
調査班
の
編成
でございますが、
調査班
を
編成
いたしまして、十七日、
埼玉縣
には
物資課長
ほか
ニ名
を、
群馬
、
茨城
、
栃木
の三縣に対しましても、それぞれ二名ずつの
係官
を派遣いたしておきました。私も遅滯なく
現地
を
視察
する
予定
でございます。
救援物資調達
の
措置
について申し上げますが、
食糧
、
衣料
、
厨房用品
その他
救援物資
のうち、縣自体で
調達
の不可能なものにつきましては、
現地
の
調査
及び
知事
の要請によりまして、
交通運輸機関回復
次第
即時発送
のできるように、
商工省
、
農林省等
に対しまして、適当の
措置
をとられるように申し込みましたところ、両省とも急速にこれに應じまして、それぞれ
手配
をいたしておるのでございます。
現地軍政府
の要求によりまして、また、G・H・Qの
指示
もありましたので、十七日に、これから申し上げまするような
数量
の
衣料
・
石けん等
を
現地
にただちに発送いたしました。すなわち、
男子用ズボン
二千着、
男子用上着
一千着、
男子シヤツ
二千着、
女子被服
一万三千六百着、
兒童被服
二万七千着、
石けん
一万三千六百
箇——栃木縣以外
の
罹災縣
に対しましても、ただいま
各省
に
折衝
中であります。 なお、
埼玉縣
の
舟艇策
について御
報告
申し上げますが、昨夜私から
運輸大臣
に対しまして、
埼玉縣
に向けて
舟艇
の
輸送方
を依頼しましたところ、
運輸大臣
はただちにこれに應じまして、
所要
の
措置
を講じて、現にそれらの
活動
に從事せられておる樣子でございます。一方
神奈川縣
より、とりあえずモーター・ボート三隻を十七日午後六時過ぎに
埼玉縣
に
輸送
いたしました。なお引続き
現地
に
輸送
して
活動
中であるとの
内務大臣
よりの私に対する御
報告
を得て、私も非常に喜んでおる次第でございます。 なおG・H・Qに対しまして、
飛行機
による
食糧
その他
救援物資
の
投下
、
上陸用舟艇等
の
回送方
を懇請いたしましたところ、G・H・Qにおきましても、非常なる熱意をも
つて
これを快諾せられまして、でき得る限りの協力を惜しまないという、あり
がれき回答
を得ました。そうして、その
方面
におきましては、それぞれこれを実地に実施せられておるそうでございまして、まことに
感謝感激
にたえません。
ララ物資
の
放出
に関しまして申し上げますが、
ララ物資
は、
委員会
の議決によらなければ
物資
の
放出
ができないことに
なつ
ておりますので、明十九日
委員会
を開催いたしまして、最大可能の
ララ物資
、すなわち
食糧品
並びに
衣料等
を
現地
に送付すべく
手續中
でございます。
防疫対策
について申し上げます。
浸水家屋消毒
のために、
クレゾール石けん液
十五トンを発送いたいました。
井戸消毒さらし粉
一箇所二百グラム、総量四十トンを発送いたしました。
消化器傳染病——パラチフス
、
チフス対策
のため、すでにワクチンを
配給済み
でございます。未だ
注射
を受けていない者に対する
注射
の材料をすでに
配付済み
でございます。
ズルフアチアゾール錠
百万錠
——
一人四十錠、二万五千人分を
現地
に
送付手続き
中でございます。
應急医療対策
について申し上げます。
救護班
の
編成派遣
をや
つて
おります。
関東地区
に
國立病院
が十三箇所、
療養所
が十箇所ございまして、
合計
二十三箇所を総動員して、一班に医者二名、
看護婦
一名、
事務員
一名、必要なる
資材
及び自動車を
準備
、
随時出動態勢
を整えて、その一部はすでに
出動
いたしております。
医師会
に対しましても、至急
救護策
をとるように
指示
いたしました。
日本赤十字社
においては、本社において
救護班
を
編成
するとともに、
東京
、
神奈川
、
千葉
各
附縣支部
に
救護班
の
編成
を指令いたしました。
衛生資材——
前に申し上げましたほかに、
衛生資材
は、以下申し述べる
通り
用意いたしております。
クレゾール石けん液
十五トン、二十万戸を目標として百万人分、
さらし粉
四十トン、D・D・T八百トン、脱脂綿百グラム包三千箇、五十グラム包一万箇、ほうたい、ガーゼその他必要に應じまして出せるように、今
手配
をいたしております。 G・H・Qとの
連絡
について御
報告
を申し上げます。G・H・Qとは絶えず緊密なる
連絡
をとり、G・H・Qにおきましても、非常な関心を拂
つて
おるのでありまして、でき得る限りの
援助
をするという快諾を得ましたことは、先に申し上げた
通り
でございます。なおG・H・Qの
公衆衛生福祉部
におきまして、各縣に一斑ずつ三班を
編成
いたしまして、
埼玉
、
群馬
、
茨城
、
栃木
の各縣へ、メージャー・レオルダン、ミスター・ネフ、ミスター・マーカソン、その他
社会局庶務課齋藤通譯
などが同行いたしまして、すでに
現地
の
視察
に向われております。
日本赤十字社
、
同胞援護会等民間團体
の
活動
について御
報告
いたします。
政府
の
活動
に対應いたしまして、
日本赤十字社
、
同胞援護会等
の私設團体は、
政府
に協力いたしまして、
本部
及び各
地方
の支部は積極的に
活動
を開始いたしております。なお必要なる
措置
は、ただいまこれを考究いたしまして、その成案を得次第続々実行に移すことにいたしております。この段御
報告
を申し上げます。(
拍手
)
松岡駒吉
6
○
議長
(
松岡駒吉
君)
農林大臣平野力三
君。 〔
國務大臣平野力三
君
登壇
〕
平野力三
7
○
國務大臣
(
平野力三
君) 今回の
関東
大
水害
に関しまして、もつ
ぱら食糧関係
及び
耕地関係
に関しまして、
農林省所管
の問題について御
報告
をいたしたいと思います。 御
承知
の
通り
、
輸入食糧
の
加工製粉工場
が主として
関東
の
地区
に多いのでありまして、これが
被害
に関しましては、
京浜地方
の
食糧
問題にきわめて重大なる
関係
がありますので、早速
各地
に
係官
を派遣いたしまして今日まで集めました
情報
について申し上げます。 まず
交通機関
について申し上げます。昨日の
情報
によりますると、
高崎線
は大体今明日中に
開通
の
見込み
であります。
從つて
、
高崎線
が
開通
いたしますならば、
信越線
も大体
開通
の
予定
であります。常磐線は十六日から試運轉をいたしておるようでありますが、現在のところ、大体において
水戸
まで
開通
の
見込み
がついております。
東北本線
は
栗橋
及び
久喜
の間に非常なる
災害
がありまして、現在この
見込み
は完全なる
情報
を得ておりません。
上越線
は岩本及び敷島間の
鉄橋
が
流失
いたしまして、
復旧
までには三週間を要すると
報告
されております。
中央線
は大月、初狩間の
鉄橋
が
流失
いたしまして、
復旧
には約二十日間を要するといわれております。 かようなる
交通
の
状況下
にありまして、しからば現在
京浜地方
におきます
食糧
問題にはいかなる
影響
があるかと申しますと、まず第一に、
製粉加工工場
として
千葉縣
における最も
重要工場
である船橋の
工場
は、これは安全であります。
支障
がありません。
埼玉縣
におきます川越の
工場
は、これまた健在であります。次に
茨城縣
におきます赤塚の
工場
も、大体において
水戸
までの間の
交通
が完備いたしますならば、まず
支障
なき
見込み
であります。
群馬縣
の
高崎
を
中心
といたします
工場
については、
高崎線
が
開通
をいたしますので、これまた大体において安全であります。問題と相なりまするのは、
東北本線
及び両毛線の沿線にありまする小山、太田、館林、佐野、この近辺にあります
製粉工場
については、まだ
連絡
が十分でありませんので、非常に
心配
をいたしておる
状況
であります。 次に、今回の
交通
問題から及ぼしまする
早場米
の点について一言申し上げます。富山、石川及び
新潟
の
西部
におきまする
早場米
の
輸送
は、
信越線
の
回復
によりまして
支障
なき
見込み
であります。次に、
上越線
が
不通
でありますので、
新潟縣及び山形縣
の
早場米
の供出に関しましては、
相当
困難なる
見込み
がありますので、この点については、
運輸省
に目下大いに
交渉
をいたしておるのであります。
東北本線
の
開通
が遅れることになりますと、これまた青森、
岩手
、
宮城方面
の
早場米
には
影響
がありますので、この点、また
復旧
に対して
運輸省
に
十分折衝
中であります。 以上が、大体の
交通
から見た概況でありまするが、ここに一言申し上げたいと思いますることは、現在
京浜地方
におきまする
食糧状況
といたしましては、
食糧営團
がも
つて
おりまする手持の
食糧
は大体八日分あります。
政府
がも
つて
おります
食糧
は三万石、約三日分あります。次に横浜に入港いたしておりまする小麦粉・
豆類等
が大体十万石、約九日分ありまして、
合計
二十日分の
食糧
だけは大体現在あるのでありますが、この
食糧
をも
つて
おりまする間に
交通機関
が順次
復旧
いたしまして、大体において
京浜地方
における
食糧
問題については、この
水害
によ
つて大
なる
支障
はないようにいたしたいと思
つて
おります。なお
長野
、
山梨縣
の
中央線
の
不通
については、名古屋の
方面
より
食糧
を
輸送
することといたしまして、この両縣については大体において完全であります。 次に一言申し上げたいと思いますることは、かような
水害
によ
つて
ぬれております小麦その他につきましての
対策
は、
目下地方
の
食糧事務所
を通じまして大いに
交渉
中であります。特に
甘藷
の
冠水
いたしましたるものは、すぐ腐りやすいのでありますから、これは
現地
の
食糧事務所
に早速命令いたしまして、これが
処分方法
については、最も現実に即したるところの
方法
を考えている次第でございます。 次に、
農林省
から
現地
に出張した
係官
が今朝帰
つて
も
つて
まいりました
報告
によ
つて
、
耕地
及び作物の大体の
被害
について申し上げたいと思います。但しこの
数字
は、現在到達いたしました
数字
をそのまま集計いたしたものでありまして、もとより正確を期することはできないのでありますが、この際
水害
の大きさの全貌を御認識願う意味において、この
数字
を発表いたしまして、御参考に願いたいと思います。 まず
埼玉縣
において、
浸水
いたしました
田畑
の
面積
は四万七千二百
町歩
、
栃木縣
におきましては四万一千三百
町歩
、
千葉縣
におきましては二千
町歩
、
群馬縣
におきましては三万二千
町歩
、
神奈川縣
において四千七百五十
町歩
、
茨城縣
は
出張員
がまだ帰りませんので、恐縮でありますが
報告
できません。次に、
流失
及び埋沒によ
つて
役に立たなくなりました
耕地
の
面積
は、
埼玉縣
において一万八百
町歩
、
栃木縣
において三百六十
町歩
、
千葉縣
において五十
町歩
、
群馬縣
において二千
町歩
、
神奈川縣
において九十六
町歩
であります。 次に、農作物の中において米の
被害
は、大体今日までに到達いたしております集計によりますると、
埼玉縣
においては、五十四万六千石、
栃木縣
においては四十万石、
千葉縣
においては一万五千石、
群馬縣
においては三万六千三百石、
神奈川縣
において千百二十石であります。
甘藷
に関しましては、
埼玉縣
におきまして千三百万貫、
栃木縣
において六百万貫、
千葉縣
において三十万貫、その他は現在不明であります。 かような大体の
数字
を得ておるのでありまするが、明日
政府
において
知事会議
を開催いたしまして、
食糧
問題に関する
割当会議
をいたすときにあたりまして、かような
水害
を見ましたことは、まことにわれわれといたしまして
心配
にたえないのであります。しかしながら、今日
政府
が全國の
数量
といたしておりますところの六千百十六万石の
生産高
、及び割り当てんといたしますところの三千百十六万石のこの
基本的数字
については、今回の
水害
によりましてある程度の
影響
のあることはもとよりでありますが、この際の
食糧
問題といたしまして、明日の
知事会議
に関しましては、規定の
方針通り会議
を続行する、かようなことに決定いたした次第であります。 今日
水害
が
各地
に起
つて
、
食糧所管省
といたしましては、まことに重大にして困難なる
情勢
に遭遇いたしておりまするが、われわれは、この困難なる
情勢
をよく乗り切りまして、
食糧
問題に関する万遺憾なき
対策
を立てんとして、現在十分盡力をいたしておる次第であります。以上、
簡單
でありまするが、
農林省
に関する
所管
の一端を御
報告
申し上げた次第であります。(
拍手
)
松岡駒吉
8
○
議長
(
松岡駒吉
君)
運輸大臣
より
鉄道関係
につき説明を聽取いたしたいと思いまして
交渉
いたしましたが、早急のことで
報告準備
ができません。最近の機会に御
報告
申し上げる
予定
であります。
——
——
◇—
——
——
叶凸
9
○叶凸君
関東地方
を
中心
とする
水害
について、
現地視察
のため、特に院議をも
つて
議員
二十四名を派遣することとし、ただちに
議長
において指名せられんことを望みます。
松岡駒吉
10
○
議長
(
松岡駒吉
君) 叶君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松岡駒吉
11
○
議長
(
松岡駒吉
君) 御
異議
なしと認めます。よ
つて動議
のごとく決しました。 つきましては、
派遣議員
を指名いたします。 石野 久男君 大島
義睛君
金子益太郎君 川島 金次君 島上善五郎君 高瀬 傳君 吉川 兼光君 水野 實郎君 青柳 高一君 天野 久君 大澤嘉平治君 松井 豊吉君 鈴木 明良君 小林 運美君 小峯 柳多君 島村 一郎君 田口助太郎君 山口 好一君 山村新治郎君 野本 品吉君 谷口 武雄君 山口 武秀君 河口 陽一君 林 百郎君 次会の
議事日程
は公報をも
つて
通知いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十一分散会