○原侑君 私は、日本自由党を代表いたしまして、本日上程になりました労働省
設置法案に対しましては、若干の
希望を申し述べるとともに、賛意を表したいと思うのであります。
本労働省の
設置に対しましては、二十一年五月吉田
内閣が成立いたしますと同時に、労働省
設置に対する研究に着手いたしましたが、当時勤労者階級にいたしましても、この労働省
設置問題に対し、いわゆる労働問題に対する脚光を浴びるごとき欲求をいたしたのであります。その後、御存知の通りに片山
内閣が成立いたしまして、この
法案の踏襲をいたしたと私は思うのであります。本労働省
設置に対するところの
希望は、御存知の通りに八十九議会において
社会党より提案せられました。しかも吉田
内閣と通しまして、本片山
内閣によ
つて具体化され、労働省が
設置に至るということに対しましては、原因結果の上から見まして、まことに因縁深きものがあると私は思うのであります。
しかしながら
諸君、この急速に
設置いたしますところの労働省に対しまして、
設立は先月一日にこれを閣議に提案せられたようであります。しかるに、一松厚相と米窪國務相との間におきまして——一松厚相は、
委員会におきまして信念の違いだと言
つているのでありますが、信念の違いか、あるいは政策の違いかわかりませんが、いずれにいたしましても、一松厚相と米窪國務相との間に
意見の相違を來しまして、六日に至
つて、片山、芦田両氏の裁断にこれを任せたのであります。しかるに、この裁断でも裁断できずいたしまして、結局たれが裁断いたしたかと言いますと、資本家代表六人と労働者代表六人が出まして、結局労働者災害補償保險法に対して、労働省にこれを主管せしめるものであるという所轄問題を決定いたしたのであります。
ここに
諸君、重大なるこの労働省
設置に対しまして、本
内閣が地方の資本化と労働者に聽かなければ、これが決定できなかつたという弱体を暴露いたしたものと私は考えるのであります。(
拍手)この点に対しましては、おそらく三党連立に対する内部的弱体が、皆さんの中にははつきり認識せられておると思うのであります。
諸君、この労働省
設置に対しましては、早急にこれをやるということに対しては、だれもがこれを欲求いたしてお
つたのである。しかも官房長官西尾氏は、まことに不手際で相済まぬということをはつきり紙上に述べております。まことに遺憾とせざるを得ないと思うのである。
第一に皆さんに申し上げたいのは、附帶
條件の第一でありまするが、この労働省
設置に対しまして、労働基準法における労働基準
監督署ができるのであります。これは御存知の通り三百三十六できるのでありますが、この地方分権をわれわれは支持いたす。地方における自治分権に対しましては、自由党の今日最も主張いたすところである。しかるに労働省における基準局は、
監督署が三百三十六箇所できまして、地方における勤労課その他との連繋がいかになるかということに対しまして、非常に私は憂えるものである。いわゆる中央機構が地方分権に対するところの両者の
関係、この
関係に対しまして、一元化いたすことはまことに好ましいことでありますが、地方分権におけるこの反撥を受けて、はたして円滿にこれが遂行できるものかどうかということに対しまして、私は憂えざるを得ないと思うのであります。この基準局たるや、眞に民生的に、その地方地方における民主的な人物を選びまして、地方分権に対しましても権威あるものをつくらなければ、私とうては地方分権における勤労課その他に対して、これに指導を與えることは望むことができないと思うのであります。この点につきまして、第一にこれを一元化いたし、円滿にこれを遂行いたそうという
條件を加えたのである。
第二には、御存知の通りに保護政策は多々あるのであります。しかしながら、生産能率面における局課というものが非常に少い。同時に教育は各
組合の自治に任してこれをやらしめると、こういうのであります。自治制を尊重いたしますことは、もちろん民主主義の上に対しまして、
社会党のイデオロギーとしての当然これはそうあるべきが至当であると思う。しかしながら
諸君、晝働いて夜勉強しなければならない労働者というものの教育を、いかにいたそうというのでありましようか。あるいは婦人の問題にいたしましても、婦人の啓蒙問題に対して、いかなる教育を施そうとするのでありますか。
今日労働省としての教育方針といたしましては、
一つのパンフレツトによ
つてこれを補い、あるいは講演会によ
つてこれを補おうというがごとく、まことに小なる教育方針を立てておるのである。私は、労働者のみならず、資本家も教育いたさなければならぬと思うのである。企業者も教育いたさなければならぬと思うのである。私は、今日の日本の労働教育、あるいは労働運動に対しましても、揺籃期であるような氣持をいたしておるのであります。この教育の問題これは、新日本建設のためにも、民主政治確立のためにも、最も、重大なことであろうと私は思うのであります。願わくは、いわゆる企業者や労働者や、すべての少年、婦人に対しての根本的教育方針を立てていただきたいということを
希望いたすのであります。同時に、文部省におけるいわゆる少年教育、社会教育、青年教育に相対しまして、労働者青年教育に対するところの根本的方針を確立いたしてほしいと思うのである。
第三は、中央労働
委員会の構成及び地方におけるところの労働
委員会に対しまして、
希望を申し述べてみたいと思うのである。それは大体中央労働
委員会にいたしましても、地方労働
委員会にいたしましても、その
職務の状態、その制度、こういうものに対しまして、まだ認識がはつきりいたしていないということである。第二は、いわゆる地方
委員会におきましては、官僚がいたしてお
つて、縣廳の一部分、勤労課のすみにわずかの机を置いて地方労働
委員会を進めておるというような、労働
委員会に対する確たる権限がはつきりわか
つていない点があると思うのである。これがために、御存じの通り爭議がたくさん起るけれども、結局労働
委員会で扱うところの爭議件数というものは、二%か三%に過ぎぬというような状態である。各縣におきましても、あるいは労働会館を建てて、そうして地方労働
委員会の眞実な働きをなしておるところの縣があり、縣廳の片すみにお
つて、そうしてその所さえないような実情にあるところの地方
委員会があるのである。こういうものに対しましては、やはり地方分権制度における地方廳というものも、十分これを活用すると同時に、地方における有力者もこれに入れまして、そうして眞実な地方
委員会というものを確立いたさなければならぬと思うのである。
中央労働
委員会におきましては、御存じの通りの機構でありまするが、この機構に対しましても、國会の意思を尊重してもらわなければならぬと思うのである。われわれ國会におきまして労働
委員会が
設立された以上は、中央労働
委員会における人選に対しましては、あらかじめ國会の意思を尊重いたしまして、われわれの労働
委員会にこれを付議していただきたいということを
希望いたすのである。これであ
つてこそ、初めて民主議会が構成せられ、民主政治が構成せられるものであると私は思うのである。
第四におきましては、御存じのように現在労働攻勢がとられております。いわゆる資本攻勢ではない、すでに労働攻勢がとられておるのでありまするが、この労働攻勢に対しまして、はたして
政府はしつかりいたした対策が立
つておるかどうか。失業保險制度に対しましても、その統計さえまだはつきりいたしておらない。まだまだその成案ができていないというがごときは、まことに片山
内閣といたしまして、その性格の上から残念に思わざるを得ないのである。
諸君、この一大経済危機に際しまして、失業者の救済なんかできていない。突然起りました飲食店及び料理屋
組合におけるところの失業問題に対しましても、ただ紹介所を通して何とかいたそうというだけであ
つて、何らの具体案がなく、國会にも付議いたさずして、ただ法によ
つて、
内閣によ
つてこれを施したというがごときは、まことに計画なく暴挙をあえてしたと言わざるを得ないのであります。
諸君御承知の通りに、労働基準法ができますれば、結局八時間制度を彼らは要求いたすでありましよう。今日東宝がこれを要求いたして、ストをや
つております。食糧問題、生活問題に対しましては、もちろんこれはストの原因であろう。食糧問題を基礎にいたしまして、五つの印刷会社が御存じの通りにストをや
つておるのである。最近はようやく三木逓相が解決したようでありますが、半ドンである。(笑声)かくのごときは、まことに子供くさくて、議場においても話にもならぬようなことをや
つておるのである。(笑声)いわゆる十一年の閣令なるものをも
つてこれに対抗して、閣議でこれを決定した。古くさいやつで——そうして逓信省その他において、勝手に指令を出してストを決行いたしたのであります。半ドンを決行いたしておるのであります。これは半ストかもわからぬと思います。(笑声)
かくのごとき欠陷は、
諸君どこにあるかということである。私は
政府の労働攻勢に対する
一つの油断であるということを断定せざるを得ないのである。今回は、御存じの通りに劃期的なるところの重大なる労働省が確立せられまするからして、第
一條に明記せられた通りに、労働者の福祉、職業の斡旋——確実に職業を與え、経済の興隆に寄與し、
國民の生活を安定すると書いてあるのでありまするが、はたしてこの第
一條が米窪大臣によ
つて完成せられるかどうか。米窪國務相は、やがては労働大臣になるでありましよう。はたして完全に労働省の大臣として
國民の生活を安定せられ、國家経済の興隆に寄與せられることができるかどうか。まことに私は疑問とせざるを得ないのであります。(笑声)まことに簡單でありましたが、
希望を述べまして、本労働省
設置法案に対しまして賛意を表する次第であります。(
拍手)