○森戸國務大臣 御質問の第一の點は千六百圓から八百圓の差の二百圓、三箇月分六百圓のわけ方についての御質問であります。大藏省案のわけ方が
地方差をつけ過ぎておる。殊に
學校教職員は
地方に大變多いので、こういうわけ方はたいへん不當ではないかということであります。まことにごもつともでありまして——もつとも全體の給與の一と六ということでわけられたのではなくして、二百圓の三箇月分六百圓がわけられたのでありますから、全體がそういう率に
なつたというわけではないのであります。これは御承知願いたいと思います。しかし、それにしてもあの差はあまり多いとも私
どもこれは生計費
調査を經ずともわかるのでありますが、このわけ方については、むしろ
政府としては組合の方、特に官待の方の
考えに
從つてわけることがよいだろうというふうに
考えて實はそれの
意見を聽いたのでありますが、結局いろいろな事情から、自分の方では特別な
意見は述べぬ。
政府で
一つや
つてくれ、それについては異議は述べぬというような話合いがあつたようであります。それで大藏當局から聽きますと、
政府は一定の案をつく
つて、このつく
つたのは、おそらく特殊地域の人々の生活状態が、物價騰貴等で非常に最近苦しくな
つておる。それについての特別の考慮をしてほしいということであつたが、それは實際上できなかつたからこの六百圓をわけるときにそのことを加味して、少し強目にわけるという立場でわけたものと想像されるのであります。それをまた一應官廳の方々に示して、これでどうかということであつたけれ
ども、結局それに對して異議はない、それを承認されたものと思
つてこういうふうにきめたという話でありました。私といたしましては、一體教職員組合も官待の中にはい
つているのですかと言つたら、
もちろんはい
つておるということでありましたから、組合が示されたものに異議がないというものを、たとえば各大臣等がそれに異議をさしはさむこと等はかえ
つてよくない、
もちろんそれは組合が言われる通りにすることが一番よいのだと思
つて、だれもそれに對して異議がなか
つたのであります。ただ、
地方については、ずいぶん困
つておるので、これは少々不公平があるのじやないかというようなことは、みな心配して質問もあ
つたのであります。その後發表になりましてから、
教員組合の方方が見えて、どうもあれははなはだ
地方に對して不公平である、特に教職員組合のごとく
地方に職をも
つておる者については、最もその不公平を痛切に感ずるのであるから、これは何とかしてくれということでありました。しかし大體官待が、これをはつきり承認という形ではないが、しかしそれでよいということにな
つておるのではないですか、
教員組合の方々も大體その中にはい
つておるというふうに聞いておりましたが、という話をしたら、いや、どうもそういうことはないはずだ、初めからわれわれはこれに反對なのだという話でありました。それから今度は勞働閣僚懇談會におきまして、大藏當局の方では、官待が、それを積極的ではないが、消極的に承認されたということであるが、職員組合の方では、そういうことは了承したことはないという話だがどうかというふうに私は質問して、殊に教職員組合は、
地方におられる人が多いのであ
つて、これについて非常に不滿であるということを申して、何とか別途の
考え方はないものであろうかということも申したのであります。そこで別途の
考え方が立ち得るかどうかという點と、大藏當局については、もう一度官待の人と會
つて事情を確かめてもらいたい、兩
方面の話が私のところに違つたことが傳えられておるがと、こういうようなことを申しまして、これは了承せられました。しかし給與を全體から離して、教職員だけ別途に計算するということは、實際文部省が金をつかんでわけるのじやなくて、殊に内務省を通して
府縣にわけるので、なかなか別途の計算が實は困難であ
つて、大體共通の基準によるということにならざるを得ないような次第でありまして、實は教職員だけを別に
考える途はないかということを申したのでありますが、それは實際の扱いがむずかしいからということで、それでは
議會にいずれ囘付されるからそこで
一つ十分取上げて、その點不合理と思われるならば
審議をしていただくことが妥當であろうと私は
考えたのであります。それから大藏省の給與局の方には、その話をいたしました後に會われたと思うのでありますが、會われた結論は、やはり大體前の通りで間違いがなかつたというような話を聞いております。それから衆議院の各
委員會におけるいろいろな状況は、私よりも皆さんの方がよく御存じであろうと思います。なおそれらの御
審議の結果、給與局はさらに官待の方々にもう一度集ま
つてもら
つて、この點を十分御相談することにな
つておると私は承知しております。これが大體の經過であります。
それでこの六と一という大きな差額は、
地方殊に阪神地區等におられる人々の特別の生活の困難な事情に對する顧慮が今までとられなか
つたのを、ここでやや累積的にとられたということが、こういう六と一という大きな差をと
つたのでありまして、六と一という差が、將來給與に
もちこまれるというようなことでは決してないことは明らかであります。この
地方差については、いろいろ寒冷地帶の問題もありましようし、そういうことを全體適に考慮して合理的な解決がつけられると私は信じております。
それから第二の公務員法の問題であります。公務員法はただいま
審議中でありますが、
教員は
もちろん公務員としてその中に含まれておりますけれ
ども、特殊の事情から全部これと他の公務員として同一に取扱われるということについては、いろいろな點で不
適當であるということを、私
ども公務員法制定の時から申しておりまして、そのことは取上げられまして、
從つて、公務員法ができました上では、
教員については特殊の身分に關する法律をつく
つていきたい、こういうような
考えをも
つております。その名前が
教員身分法となりますかどうかは別といたしまして、
教員は、公務員としての特殊の地位が規程せられる法律を、公務員法ができた後に、ただちにつくられなければならぬと存じておるのであります。公務員の政治的活動についてのただいまの御質問は、もつともの點もありますし、同時に公務員の立
つておりまする特殊の立場から、特殊の政治的な活動が公務員の團體の運動として現われることについては、いろいろ顧慮すべき點もありますので、そういう
見地からこの規定ができておるのであります。
教員につきましても、この問題はやはり問題となるのでありますが、
お話の點についても、十分考慮すべきものでありますので、その點も考慮しながら、
教員身分法といいますか、そういう法律の起草を進めていくはずにな
つておりまするし、そういうふうな特殊の段階については皆さんの御
意見を承る機會もあろうと存じております。