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加賀山政府委員 主管事項につきましてお答え申し上げます。
觀光事業といたしまして、今御指摘になりましたように、ホテルが實は一番大切なものなのでございますが、これは先日私
どもの長官が參りましたときに、ホテルの
状態と
將來の計畫につきまして、
概略をお耳にいれましたはずでございますが、實は
戰災によ
つて非常に大きな
部分のホテルがなくなりました。そこでその緊急性に鑑みまして、大體來年度以降三箇年の計畫で、重要な地點を定めましてホテルを
設備していく。こういうことで、現在經濟安定本部とも
連絡をしている次第でございます。また各重要な地點に
觀光事業會社が興りまして、この
觀光事業會社がその先達となりまして、まずホテルを
整備していく。これに對しまして、いわゆる資金の問題、あるいは資材の問題につきましては、その有能な
將來性あるものに對しては、できるだけ援助をしようという態度で臨んでいる次第でございます。いずれにしましても、こういう計畫は
政府みずからの計畫としていきますよりは、むしろ民間の企業として發展していくことを、われわれとしては望むのでございまして、有識のかたがこの問題に着眼されまして、着々とこの
整備ができていくことを、われわれとしては心から望んでおる次第でございます。
次に
外客誘致の将來計畫いかんというお尋ねでございましたが、實は
外客といたしましては、
昭和十年、十一年ごろが最高でございまして、當時四萬三千人ばかりの
外客がわが國へ參
つております。當時一億萬圓餘を使用いたしておりまして、
貿易收入に竝ぺて第四番目に位しておつたような次第でございまして、お説のように、一人當りといたしましても、二千數百
ドルを使つたというかつこうにな
つております。われわれといたしましては、實は今後の
觀光事業の重要性に鑑みますときは、もちろん四萬人そこそこでは足りない。かように考えております。スイスとか、あるいはフランスとか、ヨーロツパ諸國においても、年間百數十万人あるいは二百萬人を超すような
外客がはい
つております。そういうことを考えますときに、われわれとしては、どうしてもさしあた
つてここ數年後には、三、四十萬人の
外客を呼び入れたい。實はそういうように考えますと、やはり今の
交通事情なり、ホテルの事情から申せば、まことに空想にもなるようでありますが、實はわれわれとしては、どうしてもそこまで考えなければなるまい。それに對する計畫を、今から
交通機關なり、ホテルなり、その他の
觀光施設全般にわたりまして
整備をいたしていかなければ、間に合わないのではないかというふうに考えております。現在の國内事情から申し上げますと、まことにその點は時期尚早であ
つて、今の食えるか食えないかといつた國内の經濟、あるいは生活
状態から見て、あまりとつぴであるという説もあるのでありますが、私
どもとしては、決してそうは思わないのでございまして、今からその準備をしなければ間に合わない、しかも、これは早急に國策として行われるべき事柄であるというふうに考えておる次第でございます。
この
觀光事業に關連いたしまして、鐵道の經營の合理化を御指摘になりましたが、私
どもといたしましても、一方においてこういつた少し明るいと申しますか、これは必ずしも浮いた觀念ではないと思います。
觀光事業を考える傍ら、國内の鐵道の
整備に邁進しなければならない。殊に最近現われました財政上の缺陷などを考えまして、また
設備の荒廢を考えますときには、この鐵道の合理化こそは、すべて産業の再建もこれにかか
つている、いわんや
觀光事業のごときは、まつたくこれにかか
つているというふうに考えるのでございまして、その點からいたしましても、ごく最近に國會に對しましても、あからさまな國鐵の
現状を御報告申し上げて、忌憚のない御批判を受ける。同時にわれわれとしては、その
實情把握に伴いまして、その根本的對策を現在練りつつある次第でございます。その中のもつとも根本となりますものは、財政問題でございますが、財政については、第一には、積極的に國鐵の増收をはかる方法を考えなければなりません。これはどうしても現在の輸送力を増強して、旅客貨車を十分に運んでお役に立つことを考える。これが第一の經營の合理化であるとわれわれは考えておるのでありまして、それと伴いまして、消極面として極力経費の節減をはからなければならぬ。第一點、第二は物件費の問題であります。今囘の運賃値上げの結果として経費を考えますときに、實を申しますと、從來經營費の面において、人件費と物件費のは半々、五〇%ずつくらいであ
つたのでございますが、二十二年度の
豫算面においては、人件費は四〇%以下に落ちまして、物件費が六〇%以上を占めるという
状況を示したのでございます。これはその點から端的に御觀察願えると思うのでございますが、鐵道で大量に使用しておりますところの石炭、木材、鋼材その他の値上がりが非常に強く響いておることは御
承知願えると思うのでありますが、それにも拘らず、やはり人件費の面は何としても節減をして能率を上げていかなければならない。實は私、昨年は職員局長として、國鐵の職員の
關係を扱いましたので、その間の事情はよく
承知いたしておるつもりでございますが、その當時は非常に多いとという表現を私
どもはいたしました。確かに多すぎたのでございます。また現に多過ぎるということは言えるのでございますが、數字を拾
つてまいりますと、いわゆる基準的な定員に對して、あまりにも、それを多くしなければならぬ理由が多いのでございます。ここで詳しく申し上げることの時間のないのを非常に
殘念に存じますが、また
機會を見まして、これは個々にも、單獨にも申し上げてよいと存じますが、非常に人員を殖やさなければならぬ理由が多く出ておるということを申し上げたい。しかし、その多いままでわれわれは放
つておく氣持はないのでございまして、極力能率を上げる、そうしてその配置を適正にするということを根本として節減をはか
つていきたい、かように存じております。物件費中の最大を占めるものは石炭でありますが、本年度においても、安定本部から割り當てられた石炭が、七十七萬トンでございまして、
日本全體の産出のものの四分の一を占めておるわけでございます。これも非常に質が悪くな
つてまいりまして、たとえば、旅客列車においては七千カロリー以上の石炭を使
つておつたものが、現在は五千カロリーそこそこといつた石炭にな
つてまい
つております。その點において非常に大きな差が出てまい
つております。しかし、これはさらに粉炭處理をいたしますとか、あるいはたき方の研究を積みますとか、その他あらゆる方策をとりまして石炭の節減をはかりたい。これはひいてはその節減した石炭で輸送方が増強できるし、またこれが他の産業にまわるということになれば、國家的には大きなプラスになるのでございますので、國家的見地、國鐵の財政的見地兩方から、石炭の節減を今、
關係部門、技術研究所等を初めとして、大車輪で實はや
つておる次第であります、御了承を願いたいと存じます。
その他治安の問題、近代美術館の問題は
關係の方にお讓りいたしまして、治安維持の問題については、
内務省一般警察の分野でございますが、鐵道を舞臺として非常に犯罪も多いのでございまして、御
承知のように非常に物がなくなるまた鐵道のいろいろな建築物あるいは器材が壞されますので、これは自衛的見地から鐵道自體の手で、できるところまで防衛をしなければならない。かように考えましたので、實は追加
豫算にも鐵道公安局というものをつくり、善良な旅客の保護に任ずると同時に荷物事故等の防止、あるいは車輌が壞されるとか、あるいは
交通秩序を攪亂するという事件の防止に邁進いたしたい。かように考えておる次第であります。
この問題に關して、ちよつと申し上げたいことはそういう大ざつぱな問題はもちろんでございますが、實はこれは
國民教育の問題にな
つてくると存ずるのでありまして、單に取締りの問題だけではなく、たとえばイタリーなどでかつ払いあう、あるいは乞食が多いといつたようなことは、いずれも國内に
外客をよぶ場合には、非常な支障になると存ずるのでございまして。これは
國民教育全般の大きな問題になるのではないかというふうに、私
どもといたしましては考えるのでございます。また
外客を誘致いたします場合に、單に獨り相撲にな
つてはならないことは、申すまでもないのでございまして、あるいは室の中が暗過ぎる。あるいは早く電燈が消えて十時後になると何もすることができないということにな
つてはならないのでありまして、
外客と申しましても當分は主たるものはアメリカ合衆國だと存じますが、今後はあらゆる國の
方々に來ていただくかなければならぬ。そうして立て直つた國の中を見ていただくというからには、そういう人に合うような
施設を各所につくる。そうしてすべて氣持よく、そこで氣質も違
つておる
國民性に對してそれぞれ合うような接遇をするということが、一番大切な點ではないかというふうに考える次第であります。以上お答え申し上げます。