○平田(左)
政府委員 乾繭倉庫につきましては、きわめて公明正大にや
つておりますから、御心配のないようにお願いいたしたいと思います。處分の方針はどうかということでありまするが、戰前にありました乾繭倉庫は
政府が助成したものが大部分でございまして、零細なる養蠶農民の出資を基礎として組合が結成されたのでございます。それが戰争中日本蠶絲統制株式會社に一元的に買取られたのでありますので、これを復元いたします際には、統制會社の解散に際しましては、もとの所有者にという意味から、全國の養蠶農民の
諸君から、自分の
手もとに返してほしいという御要望が多々あつたのであります。また一面實際使う見地から申しますると、御
承知のごとく乾繭技術は製絲の品質の高低と密接な
關係がありまするので、製絲業者の方からも、これを自分の方に返してほしいという御要望がありまして、當分の間は昔のように乾繭取引が復元するとも
考えられませんけれ
ども、養蠶家を主體として製絲業者も参加いたしました團體に、もとの買上
價格の一定率の倍數をも
つて處分するという方針で、全國的に處分してまいつたのであります。これは結局は今後の五箇年計畫等による産繭の増加をも見込んで必要なものを、そうした方面に處分する。もし不必要と認められるものにつきましては、統制會社の清算上競争入札によ
つて自由に處分する。それによ
つて統制會社の清算のしりを片づけてまいるということで、存置する必要があるかないかという問題につきましては、
縣當局とも十分の協議を遂げて實施したような次第であります。そのうちただいま御
質問の、松澤さんの御郷里の山梨につきましては鹽山と石和とに
二つの乾繭倉庫がございまして、これが當時は養蠶農民の所有していた倉庫でなくして、いわゆる乾繭業者の所有しておつたものなのでございます。
從つて復元にあた
つては、前の所有
關係を尊重して、この
二つだけは別にして乾繭業者に所有せしめてほしいという
陳情が、しばらく前からあつたのであります。これに對しまして、われわれといたしましては、乾繭倉庫としては養蠶農民に至大な
關係があるものであるから、特定の個人に拂下げるということは方針として困るという堅持いたしまして、さように申しておつたのでありましたが、山梨縣の特殊の事情に鑑みまして、こうした業者を全然除外するということも、これは不穏當であるというので、組合を結成いたします際に、ある程度の出資を認めまして、圓滿に解決をしたらどうかというような勧告をいたしたことがございました。ところでそうした方針をいたしまして、その後どう
なつたかと申しますと、山梨縣でいろいろ協議の結果、組合の創立にあたりまして、養蠶家の大部分も、
二つの乾繭倉庫、すなわち鹽山と石和との倉庫につきましては、前の所有者を尊重して、それを分離して渡すことも差支えないというような總會の決議ができた趣きであります。それは書面に書かれまして、とに
かく養蠶農民としてこういう總會に同意したのだから、これは特別にしてほしいというような
陳情があつたのでありますが、これは當初の方針と違うからということで、一應退けたのであります。その後各方面がみな一致して異存がないということの聲が傳えられましたので、全部異存がないというのに、局長一人が頑張
つているということもいかがと思いましたので、全部異存のないこことならば、これはやむを得ないじやないかという答えをしたことはあるのであります。そのお答えをいたしましたあとで、山梨内部の事情を申しますと、まさかそういうことはできないだろうと思
つて、同意したのであ
つて、そんなことにな
つてはたいへんだというようなことで、實は總會の
意思表示が必ずしも養蠶農民の眞意を代表したものではなかつたということがはつきりいたしまして、その後養蠶の代表者の方々が、十數名二度ばかりわれわれの所に参られまして、やはりこれは養蠶農民全體に渡してほしいという御趣旨の
陳情がありました。われわれとしては、養蠶農民が同意されたこととしてそうした
處置を進めたのでありまして、形式的の同意はあつた形にな
つているけれ
ども、旬日ならずしてそういう反對
陳情があつたということは、これははたして農民の眞意を反映せしめた決議なりや杏やということが疑われるわでありますから、この點はひとつ縣内のことであるから、よく話合
つてほしいということで、處分を一時留保いたしまして、縣内の意向の行末を見守
つておつたのであります。その間電話を頂載したような次第でありますが、そうして縣でいろいろ話し合つた結果、これはやはり養蠶農民の手に戻すのが適當である。
關係業者の方もそれに同意したというようなことから、圓滿にもとに戻すということに衆議が一決した趣きの申出でがありましたので、現在におきましては、これらの乾繭倉庫も一括いたしまして、養蠶家が主體とな
つております團體に帰属しておるようなことでありますから、御心配のないようにひとつお願いいたします。