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大島(義)
委員 そう簡單にいかないかもしれない。私はこういうふうなことがあろうとかねて
考えておりましたので、農業生産調整法の案の中にも、これに重大な
關係をもつ
一つの案でありますので、今これを朗讀いたしますが、農業生産調整法の第九條に「地域、期間
竝びに農産物の種類及び品種を指定したときは、當該地域において當該期間内に當該農産物の作付をしようとする者は」云々。とあるのであります。これは一體どこからこういうことが出てきたかということを、私はひそかに
考えてみたのでありますが、少くとも現在の
蠶絲が十四中のA格物はアメリカでポンド十三ドル五十セントに賣れる。廿一中の絲になるとポンド五ドルにしかならぬという、同じ生絲でありながら、非常な値段の開きのあるということは、今さら申し上げるまでもないのであります。そこでこういうようなことがある以上は、
養蠶農家から二千六百掛という掛目で取上げておいて、必ず蠶種をいいものを將勵されるに違いない。もちろん國家經濟の上から見ますれば、上等の品種を飼育して優良な生絲を得るということは、國家のためにはなはだ結構なことでありますが、その反面に、掛目で制限された
養蠶農家には、収繭量の少い、飼育の困難なこの種を必ず強要されるに違いないということをひそかに
考えてお
つたのでありますが、この
農業協同組合の成立當時にも山梨縣の一部において製絲資本家が多額な運動費を出して、
養蠶協同組合というものを
農業協同組合から分離しようという運動を起しておるということは、同僚の松澤一君が指摘した
通りであります。これらを思い合わせて
考えまするときに、少くともこういうふうな關連事項が
一つの計畫的になされておるということを、われわれは判斷せざるを得なくなるのであります。たいへんこれは失禮な申分でありますけれ
ども、もしわれわれのこの推測が當
つておるといたしまするならば、
農民の搾取されるその被害というものは莫大なものに達するのでありまして、せつかくできまする民主的な
農業協同組合も、
政府の役人が出張し、縣がこれに雷同し、そうしてこれを指導するということであるならば、當然そういうように分離さるべき
危險が非常に多いのでありますから、
蠶絲局長は特にこの際言動を愼まれて、そういうようにわれわれから見ることははなはだお氣の毒でありますけれ
ども、そういう
考えをわれわれに起させぬように御
努力を願いたいと思うのでありますし、さらに
農政局長としては、特殊地域と申しまするのは、われわれが
協同組合の際に申しておりました
通り、北海道における
畜産であるとか、あるいは東北
地方における
畜産とか林産とかいうことが、特殊な地域になるのでありまして、私の方の
群馬縣にまいりましても、
養蠶事業でや
つておる
農家は
一つもない。食糧と
養蠶の耕作の率は相半ばしておる
状態でありまして、決して
養蠶のみを専業しておるものはないのでありますから、かような間違いの起らぬように、
農業協同組合成立の前においてかようの誤解を受けるということは、
農業協同組合にとりまして不幸この上もないことと
考えますので、十分の御注意あ
つて、これらに對する誤解のないような指導をお願いしたいと思うのであります。