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1947-10-24 第1回国会 衆議院 農林委員会 第40号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十二年十月二十四日(金曜日) 午前十一時三十四分
開議
出席委員
委員長
野溝
勝君
理事
叶 凸君
理事
鈴木 強平君
理事
寺島隆太郎
君
理事
岩本 信行君
理事
北 二郎君 大島 義晴君 佐竹 新市君 田中 健吉君
永井勝次郎
君
成瀬喜五郎
君 野上 健次君 平工 喜市君
細野三千雄
君 松澤 一君 水野
實郎
君
小野瀬忠兵衞
君 小林
運美
君
佐々木秀世
君
志賀健次郎
君 関根
久藏
君 寺本 齋君 八木
一郎
君
小川原政信
君 佐瀬 昌三君 重富 卓君 野原 正勝君 松野 頼三君 梁井 淳二君
的場金右衞門
君
出席政府委員
物價廳次長
大原總一郎
君
總理廳事務官
長谷川 清君
農林政務次官
井上 良次君
委員外
の
出席者
農林事務官
庄野
五
一郎
君
農林事務官
安藤
恭君
專門調査員
片山 徳次君
專門調査員
岩隈 博君 ――
―――――――――――
十月二十三日
農地開發營団
の解散に伴い
開發事業
を
都道
府縣
に移管の
陳情書
(第四二九號)
地方競馬法改正
に關する
陳情書
(第四三 〇號)
生活必需物資
につき
公團方式
不採用の
陳情書
(第四三二號)
食調糧整委員選擧資格
に關する
陳情書
(第四三五號)
海外引揚者歸農問題
に關する
陳情書
(第四三七號)
特殊滿
俺
劑製造助成
に關する
陳情書外
一件 (第 四三八號)
競馬法
の一部を改正する
陳情書
(第四四七 號)
森林治水竝びに災害防止林造成事業擴大化
に關 する
陳情書
(第四四八號)
農業協同組合法案
一部修正に關する
陳情書外四
十四件 (第四五五號)
農業生産
の
調整
及び
供出制度
に關する
陳情書
(第四六三號)
空俵叺還元要求
に關する
陳情書
(第四六五號)
農産物取引
における
中間利潤排除
に關する
陳情
書 (第四六六號)
農産物價格
に關する
陳情書
(第四六七號)
農業保險法改
正に關する
陳情書外
二十六件 (第四七〇號) を本
委員會
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
會議
に付した事件
米價問題
に關する件 ――
―――――――――――
野溝勝
1
○
野溝委員長
會議
を開きます。 付託された議案の審議に先だちまして、一應
政府
から
肥料
、
必需物資
の
事情
について
説明
をしたいという
申出
がありました。これを許すことにいたします。
安藤恭
2
○
安藤説明員
それでは命によりまして、
肥料
の明年の
配給豫定
について
簡單
に御
説明
申し上げます。 お
手もと
に差し上げてあります最近における
肥料配給状況
に關する
資料
を参照していただきたいと存じます。第一に
昭和
十二
年度
以降における
肥料
の
消費實績
と書いてある表がございますが、その一番下の段に
昭和
二十三年
窒素質肥料
の
配給豫定数量
を書いてあります。たとえば稻に對しましては五貫を
配給
いたす
豫定
でございます。ここに五貫の左に括弧して五貫五百匁と書いてございますが、これは本
年産
の
供出
にリンクいたしまして、
割當量
の一一%を超えた者に對し、一俵當り
ニ貫
を
配給
いたす
豫定
でございます。これに加えまして、全
國總平均
を書きましたものが五貫五百匁でございまするとにかく
窒素質肥料
につきましては、この表をごらんになるとおわかりかと存じますが、大體
終戰
以後最高の
割當量
を維持しております。 以上はなはだ
簡單
でございますが、
肥料
の
配給豫定数量
に關しましてご
説明
申し上げます。
庄野五一郎
3
○
庄野説明員
私
農林省
の
資材課長
でございますが、その他の
農業必需資材
の、
農機具
、それから
石油
、
作業衣
、
地下
たび、こういうものについて、お
手もと
にお配りいたしました表について御
説明
いたしたいと思います。初め
農機具
について
説明
いたします。
農機具
につきましては、第一表の一番表にありますが、これは
從來年度別
に
農機具
として
配給
されました。主要な
資材
であります
鐵鋼
について
配當實績
を示しておるのみでありますが、
農機具
は御存知のように非常に種類がたくさんありまして、
品種別
というわけにまいりませんので、大體主要な
資材
であります
鋼材
と
銑鐵
とそれから木材、コークス、こういつたようなもので大體のとりまとめをいたしております。それで、
農機具
の
統制
は
昭和
十五年から實施しておりますので、それまでのものは大
體年度別
には出ておりません。それで十五年からのものをここに書いておきました。それで、
昭和
十五年が
鋼材
で三萬一千五百トンばかり、
銑鐵
で一萬五百トン、こういうふうに
なつ
ております。大體戦争前までの
農機具
に消費いたしました
銑鐵
の量というものは、的確な
資料
はないのでありますが、
當時
の
生産状況
、それから
配給状況
などを調べてみますと、約六
萬トン程度
、それから
銑鐵
の方で三
萬トン
から四
萬トン
の間です。こういうので
年間銑鐵
と
鋼材
を合わせまして、
銑鐵
十
萬トン程度
を
新造
とそれから
修理用
、兩方にわけて消費してお
つたの
でありますが、
昭和
十五年からだんだんと減
つて
まいりまして、
昭和
十五年のころにはもう
物動
が始まりまして、
配給統制
になりました
数量
が三萬一千トン、そういうふうに
なつ
ております。それから少し飛びまして十七、十八、十九、こういうふうに戰争の遂行とともに年々
割當
が減
つて
おります。それで
終戰
になりました
昭和
十九年で一萬四千トン、これは非常に
終戰後軍需資材
というものの轉換がありまして、一萬四千トンという
割當
を受けたのでありますが、實際
工場
にはいりました
数字
は七千五百トン、こういう
数字
に
なつ
ております。それで二十年も
特殊物件
などの
配當
で一萬二千四百トンという
数字
でありますが、實際
工場
にはいりまして
農機具
に
なつ
たという
数字
は約九千トンであります。二十一
年度
はそういう
数字
を合わせまして一萬九千トン、二十二
年度
は非常に
終戰後
の
經濟混亂
が現われてまいりまして、
鐵鋼
の
生産量
が非常に少い。われわれといたしましては三
萬トン程度
のものを要求したのでありますが、
鐵鋼
の
生産状況
から
農機具
への
年間
の
配當量
というものが八千トンに限られまして、ただいまの第三、
四半期
までに實際に
割當
られた
数量
が三千九百トン、こういうことに
なつ
ております。それで
終戰後
は非常に
軍需資材
あるいは
特殊物件
、それから
工場
の
手持物件
というもので、二十年、二十一年というものは相
當程度政府
から
割當
てられました
資材
以上に
農機具
は
生産
されたのでありますが、二十二
年度
にはいりましてからは、
政府
からの
割當
が非常に少なくな
つたの
と、
工場
の
手持資材
、あるいは市場から入手できるような
資材
が非常に窮迫しまして、二十二
年度
から
來年
の初めにかけましては、非常に
農機具
の
生産配給
が落ちてくるものとわれわれは恐れておるような次第であります。ただいまでは大
體農機具生産資材
を
割當
てましてから
製品
化するまでには、三箇月ないし六箇月
程度
の時日を今までのところ要しております。二十一年に
割當
てられた
資材
が二十二年に
製品
として出荷されるというような
状況
でございます。大體過去における
農機具
に關する
鐵鋼
の
割當量
というものは以上の
通り
であります。 これから本
年度
において
農機具
がどれだけ
農林省
から
府縣
に對して
割當
てられておるかという
數字
が第二表に
なつ
ております。
府縣申請需要量
というものは、
農林省
で
府縣
から
機種別
に報告を
とつ
たものでありまして、大體
農家
に手持ちしておる
農具
の損耗による
更新量
と、
開拓
によ
つて
新しい
農家
ができたときに
配給
する新しいもの、あるいはこれから新しい
機種
で普及していかなければならぬもの、そういうものが
府縣
の
需要量
に
なつ
ております。これが私どもの方で策定しております
普及臺數
による
更新需要量
、そういうものに大體一致しております。それに對する本年一月から八月までの
生産實績
はこういうふうに
なつ
ております。次はBの欄に
なつ
ておりますが、これは
工場
の
生産實績
でありまして、そのうち
農林省
で、
中央
の
統制
によ
つて
配給
しているものがこの欄に書いてあります。
農器具
のただいままでの
統制
は、
中央
の
統制
と
地方
の
統制
と二本建に
なつ
ております。これは
農機具
は非常に
地方的色彩
が多いのでありまして、
中央
だけで
統制
しておりましては、
農民
のいわゆる
土地柄
、あるいは
農民
の慣行に應じた
農機具
を
配給
できないというので、大體普遍的に
配給
できるものを
中央
で
統制
いたして、ローカル的な
農機具
は
地方
でつく
つて
、
府縣
の
統制
で
配給
するということに
なつ
ておりまして、
供給實績
は大體
中央
で
統制
したものであります。
生産
をされたものから
農林省
で
割當
てまして、
農村
に
配給
されたものがCのクラスに
なつ
ております。それでその
パーセンテージ
は
府縣
の
需要量
に對して
供給實績
は三六%、それから
配給實績
は二四%、こういうふうに
なつ
ております。これは
生産
から
配給
までにずれがあるということも御
承知
願いたいと思います。上にまるがついてあるのは、これは従來は六十
品目
ほど
統制
してお
つたの
でありますが、
重要機種
だけをこれから
統制
しようということになりまして、本年の四月から實施しておる
統制品目
でございまして、二十三
品目
ございます。これは十二月から實施いたします
クーポン制度
による
配給品
も、このまるをつけた二十三
品目
を切符で
配給
するということにいたしたいと思
つて
おります。それで大
體急い
でつくりましたので
數字
に間違いがありまして、二枚目の
人力脱穀機
の次に
動力脱穀機
と四番目に書いてございますが、その
數字
の覧の四番目、二五と一〇・一とあるのをお消し願いまして、それを合せてまん中に二〇と書いていただきます。それから一番しまいの
わら打機
の
數字
の覧で四九・七というのが三・七でございます。それから一つおいて上から四番目の覧の一五八というのが一一でございます。その次の
ぺー
じの二番目の
製縄器
の次のなわ仕上器というのがございます。この上から四番目の覧に八九というのを八を消していただいて九、それだけでございます。これは
年間
の
需用量
に對して一
——
八の
配給實績
、あるいは
生産實績
を
パーセンテージ
にと
つて
おりますが、
農器具
は大體春に主として使われるものと、秋から使われるもの、いわゆる稲で言いますと、
すき
とか、あるいは
耕耘機
、
除草器關係
は
春農具
にはいりますし、
脱穀機
とか、
もみすり機
、
かま
、
萬石
、唐箕、そういうものは
秋農具
ということに
なつ
ておりまして、大
體春秋ニ期
に重點をおいて
配給
いたしております。この一
——
八を大體倍にした
數字
が
年間
の
供給量
、すぐそういうわけにはまいらないのであります。
すきあたり
は大體これが秋にも
出荷數
がありますが、倍というわけにはまいらないのであります。 それから、第三表に
昭和
二十三
年度
の
年間農機具需要表
というものを掲げております。これは
農林省
の
事務當局
て作成いたしたもので、大
體二十
三
年度
の
營農
にどれだけ要るかということを算定いたした次第でありまして、その算定のいたし方は
更新需要量
と申しますのは、ただいま
農家
の
手持農機具
が大體普及しておりますが、それが大體どれだけあるか、これでただいまの
農家
の
營農
、
耕作
から農
作業
ができているといういわゆる
普及臺數
の毎年消耗いたしてゆきます
數字
が、
更新需要量
ということにいたしております。その
普及臺數
を、
農機具
のいわゆる損耗する
年數
、
すき
ならば八年、くわならば七年、大體その邊で
農機具
が損耗してだめになる。その
數字
で
普及臺數
を割つた
數字
、それを毎年更新していかなければ
手持農機具
は年々減
つて
いくという
數字
が、
更新需要量
に
なつ
ております。それが
すき
ならば二十九萬二千五百挺、くわは二百十一萬九千挺、こういうふうな
數字
に
なつ
ております。
新規需要量
は
開拓
によ
つて
新しい
農家
ができた結果、増地いたしました
營農
用あるいは
指導農場
、ただいま
農林省
で
技術指導
の
機關
として設置いたしております
指導農場
の
營農
に使う
農機具
、そういうことで、新しく、あるいは新しい
機種
を導入していきたいというので、そういうものの新しい導入計畫を立てる、その
數字
を
新規需要量
として策定いたしております。それからその
合計
が大
體すき
ならば三十萬四千挺というふうに
農機具別
につく
つて
おります。これに要します
資材
を、その次の表に
平均
一臺の
資材量
によ
つて
資材
計算いたした
數字
を上げてありまして、
石炭
ならば
年間
二千三百二十四トン、
鋼材
ならば三萬三千五百トン、
銑鐵ニ萬
五千トン、こういうものがいわゆる
新造
に位う
数量
であります。 それからその次の
補修用
と申しますのは
農家
にあります
農具
を
すき
ならば
すき先
を毎年取りかえる、あるいはくわならば
先かけ
をやる。
脱穀機
ならば齒車をかえる。
除草器
ならば爪をかえる。そういうふなう
修理用
に要るものを、大體
石炭
ならば二百七十六トン、
鋼材
ならば六千八百トン、
銑鐵
ならば四千五百トンというふうに策定した次第でありまして、その
合計
が大體
鋼材
四
萬トン
、
銑鐵
三
萬トン
、こういうふうな
數字
に
なつ
ております。これはわれわれが
事務當局
といたしまして、毎年ずつと續けて
耕作
をするには、これだけは
農村
に補給したいという
數字
でありまして、この
數字
で
安定本部
、
商工省
と折衝いたした次第でありますが、ただいまの
鐵鋼
の
生産事情
、あるいは
石炭生産事情
から、大
體半分程度
は確保しようということで話が進んでおります。
鋼材
ならば四
萬トン
要るんですが、これに對して最低ニ
萬トン程度
確保してゆこう、それでわれわれとしては、その
範圍
で最も重
點的
な
機種
について、たとえば
すき
とかくわとか、
かま
とか、あるいは
除草器
、
脱穀機
、そういうときに
米麥
に主眼をおいた
農機具
の
生産
をや
つて
、その他のものはなるべく抑えてや
つて
みようという考えで、今計畫を立てております。それで大
體ニ萬トン程度
のものほ最も重要な
農機具
の
生産
と、その
補修用
にまわして、
農家
の
手持農具
を補修してこれを活用するという方向に努力したいと思
つて
おります。
農機具
の御
説明
は大體それで終りたいと思います。 それからその次に
農機具用ゴム製品配給状況
という
い一覧表
をお
手もと
に配
つて
おりますが、
農機具用ゴム製品
と申しますと、一番重要なものは
脱穀
いたしました
もみ
を
玄米
にする場合に使う
製品
で、
ゴム
のロールを囘轉させてその中で
もみ
を落としてゆくと、それで
もみ
がすれて
玄米
になる。その
ゴム
ロールでありまして、これは
もみすり機
にくつついているもので、毎年消耗して必ず取かえなければならぬ
製品
でございます。六千
萬石
なら六百トンの
生ゴム
を毎年消耗しているわけです。從來、
昭和
十六年、十七年、十八年は四百トン
程度
で間に合
つて
おりましたが、それは
ゴム
の質がよか
つたの
と、それに
カーボンブラック
の非常に良質のものがありまして、
生ゴム
を
ゴムのり
にいたしますにこれを用いると、硬度が非常に高くなりますので、ただいまのものでは一キロで百石すれておりますが、その
當時
は一キロで百五十石すれたためであります。最近は
カーボンブラック
の質が非常に落ちたのと、
生ゴム
も
終戰後
は質の悪いものが
割當
てられていたのですが、最近はまた
ゴム
の質が上がりましたが、一時はそういうふうで品質が低下して、
もみ
をする量がおちたのでありまして、そういう
關係
で昨今は
生ゴム
を六百トン
程度
確保しなければならぬというわけでありますが、本
年度
は非常に
生ゴム
の
事情
が悪くて、ただいままでの
配給
が二百六十五トンに
なつ
ております。これは第三番目の表に書いてありますが、それで
不足
が三百三十五トンありますから、われわれは
安定本部
や
商工省
に
お願い
して、できるだけこれを確保しなければ
供出
に差支えるということで。
目下折衝
中でありますが、ただいまのところでは第二・
四半期
に
割當
てられたものを十一月中に全部
生ゴム
として
生産工場
に送り届ける。それから第三・
四半期
に百十トンの
割當
を受けておりますが、これをぜひ百五十トンにしてもら
つて
、十二月中に
生産工場
に送り届けてもろうという線で、ただいま交渉をしております。これが確保できないと
早期供出
に非常に
支障
があると考えるので、できるだけ
安定本部
に
お願い
をして、
所要量
の確保に努めております。 それから
噴霧機用
の
ゴムホース
と
農機具
を動かします
ゴムベルト
がございますが、非常に
生ゴム
の
事情
が悪いので、みな苦心しているわけで、
農家
もこの
ゴムベルトあたり
で非常に困
つて
、
作業
に
支障
があるのではないかと思
つて
おりますが、
生ゴム
が非常に
不足
しておりますので、
配給量
は減
つて
おります。それも
併わせ
て
來年
の
早期供出
を確保するためには、できるだけ
配給
してもらうように
安定本部
に
お願い
しております。 それから
農業用石油
について御
説明
いたします。大
體農業用
といたしましては、
灌漑排水
の發動機、
自動耕耘機
、それから
脱穀調整
、製粉とかいうものに一部使いますが、大
體脱穀調整
と
灌漑用
と、
うんか駆除用
の
石油
、これが大
體農林用石油
の最も重要な
用途
でございます。第一表が
昭和
十四年以降の
石油
の
配給實績
でございますが、大
體農業用石油
は
燈油
と
輕油
が重
點的
に使われておりまして、重油は大きな
灌漑排水
の
デイーゼルあたり
を動かすのに一部使われる。輕
燈油
は
農林用石油
の最も重要なものでございまして、これが一四
年度
以降の
配給實績
はこう
なつ
ております。大體
昭和
十六年を一〇〇%とすると、
燈油
は十七年から半減しております。これに對して
輕油
は十七
年度
は約一〇六%で、六%殖えておりますが、戰争後非常に減
つて
おります。これが大體今までの
實績
で、これに對して二十一
年度
の
配給實績
は、その次の表に書いてあります。御
承知
のように
戰時中
は南方の
石油
がはいりまして、
大東亞戰
の半ばごろまでは相
當程度需要
を充足しておりましたが、戰局の逼迫とともに、國内産原油に依存することになり、非常に規制されております。最近
終戰後
はG・H・Qの厚意によりまして、
相当程度
の
石油
の輸入がありますので、ただいまのところでは非常に規制は受けておりますが、
電力
と
人力
と
石油
と總合配分いたしまして、
作業
に何とか
支障
ない
程度
に勤めております。二十一
年度
の
實績
と、それから二十二
年度
の十月までの
配給實績
は、ここにきちんと書いてございます。これは大
體毎月ごと
にG・H・Qに報告いたしますので、この
數字
は非常に正確にと
つて
おります。ただいまのところ今後の
配給
として最も重要な問題になりますのは、米の
脱穀
と
調整
の
石油
でございまして、本年の
脱穀調整用
の
石油
は、大體六千二百
萬石
の
生産豫定
でそれを
脱穀調整
するに
電動機
と
石油
と
人力
をいかに按配するかという
作業區分
をつくりまして、大
體二十
二
年産米
には輕
燈油
合わせて一萬三千キロ、これがG・H・Qから指令をいただきましたわくに
なつ
ております。そのうち本年は旱魃と水害が非常に突發的に起りまして
特配
のいわゆる
灌漑用
の油、あるいは
揚水用
の油を急に
災害地
に出さなければならぬ
關係
になりましたが、
特配
がどうしても出なくて、
脱穀調整用
から一千キロをそちらの方にか割きましたので、實際
脱穀調整用
にまわすのは一萬二千キロ、それから耘耕用といたしまして約七千キロ
配給
してありますので、その殘を
脱穀調整
にまわしていただきたいと懇請しております。それで大
體一千キロ程度
の
灌漑排水
に使いました分が埋まるのではないかと考えておりますが、これはまだはつきりとした許可はきておりません。ただいまのところでは、本年の
脱穀調整
の
作業
計畫としてわれわれがつく
つたの
では、
脱穀
の方では
石油
で大體九%、
電動機
で三七%、
人力
で五一%、それから
ガス發生装置
で三%、こういうふうな
作物區分
をいたしまして、一萬三千キロの
石油
の使用を
都道
府縣
に
割當
てました。しかし一萬三千キロの
石油
では非常に
不足
でありますので、
人力脱穀機
が相當
程度
ありますから、
人力
と
電動機
に
脱穀
のウエートをかけて、
石油
はなるべく
調整
の方にまわしたい、こういう計畫でございます。それから
もみすり
の方の
石油
により
作業區分
は大體三三%
ガス發生装置
が五%、
電動機
によるものが五八%、
人力
によるものが四%でありまして、やはり
石油
による
不足
を
電動機
で補
つて
いきたいと考えております。ただ、問題になりますのは、
電動機
は
農村
に普及いたしておりますものは、ただいまのところで二十二、三萬でございますが、それを活動するといたしましても、問題は
電力
でありまして、できるだけ年内に
脱穀調整
を終らないと、二月三月の非常な
渇水期
には
電力
で困難を來するのではないかと考えて、
農村
に對してはなるべく早く
電動機
で
作業
するように
指導
をいたしております。
電氣
の方はただいまのところでは、
順位
は甲のイに
なつ
ておりまして、これは期間と場所を
區切つて
、甲のイの最優先の
電力
を送ることに
なつ
ておりますが、御
承知
のように、
農村
にはい
つて
おります
配電線
は、いろいろなものがぶらさが
つて
おりまして、もとで切られるとなかなか
順位通り
の
電力
が送れないということになりますので、
農村
にもほかの
用途
に使わないで、
脱穀調整
として送られたものは、ぜひ
脱穀調整
だけに使用するように
お願い
をしておりますし、なるべく專用線が早くできればいいと思いますが、今の
資材状況
でできませんので、そういうような
農村
の自覺によ
つて電氣
をほか使用しないように
お願い
している次第であります。
來年
の大體の
石油
の
所要量
は本年と大體同じ
程度
に
お願い
したいと考えて、
安定本部
あるいはG・H・Qの方に
資料
を提出いたしております。 それから
農業用衣料品
及び
ゴム履物
の
配給實績
を御
説明
いたします。これは
戰時中
の初めの
配給實績
、十五年、十六年というものと、それから
終戰後
の二十年、二十一年、二十二年に出ましたものをつく
つて
おきました。
中間
のやつは
ちよ
つと省略いたしました。
地下
たびならば、十五年が千百五十
萬足
、二十一年は八十一萬五千足、それから
供出報奨用
に二百七十
萬足
という計算で、大體三百五十一萬五千足が二十一年に出ております。二十二年はただいまのところでは、
一般農業用
といたしまして二十三萬五千足、米、麥、馬鈴薯、そういうものにリンクいしましたものが三十一萬五千足、計五十五
萬足
配給
されております。それから
ゴム長靴
、
作業衣
は大
體作業衣
と紺織、紺織につきましては非常に數量が正確なものが
ちよ
つと見あたりませんでして、ただいまのところこの
程度
で、
作業衣
の方は大
體二十
一年が八十三萬一千五百着、それから紺織で三百六十三萬六千反というものが全部
供出用
として
配給
されております。本
年度
では六十五
萬着
、さつき申しました
地下
たびと同じような
リンク關係
で二十五
萬着
、計九十
萬着
、それから紺織は
一般農業用
といたしまして七萬九千反
配給
されております。
野溝勝
4
○
野溝委員長
ちよ
つと
資材課長
にお聞きしますが、
作業衣
は二十一
年度
は
一般農業用
というのは紺織と同様なかつたわけですね。
庄野五一郎
5
○
庄野説明員
そうです。全部
供出
にリンクいたしました。
一般農業用
は皆無でございまして、
一般農業用
を全部
供出
の方にまわして
供出
を督勵したという形に
なつ
ております。二十三
年度
の
需要量
をここに策定いたしました。これはただいまの
農業人口
が、最近の調べで
兼業者
と第
一種兼業
、こういうものを合わせますると、約一千六百四十二萬八千五百という
數字
になりまするが、それに對して
年間
三足
配給
するという
數字
で、
地下
たびならば四千三百四十四萬一千足という大きな
數字
に
なつ
ておりますが、
ゴム長靴
はこれは北海道あるいは東北の
濕田地帶
に
配給
するということで大體百九十四萬七千九百足、
作業衣
は大體男子の五〇%、それに對して、人員は次の表に書いておきましたが三百七十三
萬着
、紺織二千四百萬反、こちらの基準によ
つて
計算いたしますとこういう
程度
になりますが、ただいまのように
ゴム
あるいは
繊維製品
の原綿の
供給状況
でなかなか思う
通り
にはいかないと思いますので、少くとも
地下
たびならば
農業從業者
は一年に一足は配りたいと考えております。今こういう線でひ
とつ
安本なり
商工省
なりとよく折衝していきたいと考えております。 次に
農藥關係
で御
説明
いたします。大體今一番問題に
なつ
ておりますのは殺
蟲劑系統
の
砒素劑
、
デリス劑
、
除蟲菊劑あたり
が、非常に問題に
なつ
ておると思います。あとの
銅劑
、水銀劑、硫黄劑、これは
需要量
に對して相當
程度
のものが供給されておりますので、
砒素劑
が蔬菜、果樹、稻、甘藷というものに對して一番需要が多いのでございまして、それはただいまのところでは二十
年度
が約一七%でございますが、昨年は非常に増産いたされまして、需要に對して三八%、本
年度
の上期の九月までは、ただいまのところ一六%しか供給ができておりません。これは原料であります亞砒酸が非常に山元でうまく増産できていないので、亞砒酸の
不足
によ
つて
起きているのでございますが、ただいま九州の大分縣の尾平の鑛山に、全力を集中して亞砒酸の増産に努力しておりますので、今後増産できて大
體二十
一
年度
程度
の三八%ないし四〇%
程度
のものは供給できると考えております。
來年
もその
程度
はぜひ確保したい、こう考えております。それから除蟲菊劑は、主食との
關係
で非常に作付面積が減りまして、収量が落ちておりまして、二十一年は貫目で四十萬貫、本年は三十萬貫に減
つて
おりますが、大體その主要部分、八〇%
程度
は農藥用の方にまわしております。
來年
ももつと作付面積を殖やして農藥用として確保したい、こう考えております。これは作付面積を殖やしていかなければどうにもならぬ、大體つくられたものはほとんど全部農藥用に
なつ
ております。それから銅藥、水銀劑、硫黄劑は、ただいまのところでは需要に對しまして供給が不十分でありますが、大體間に合
つて
おるという
程度
で、ただいまこれは
統制
をはずしております。今のところで
デリス劑
、除蟲菊劑、亞砒劑、こういうものを
統制
しております。
デリス劑
は蟲を殺すものでありますが、デリス根というものが全部南方の熱帶植物の
關係
上、
終戰後
全部輸入が杜絶しておりますが、ただいま二百五十トンの
年間
需要量
をG・H・Qに
お願い
して、大體許可されて、近く輸入の運びになると考えております。農藥の方は割方
農機具
に比べまして供給がうまくいくと考えております。以上であります。
野溝勝
6
○
野溝委員長
時間の
關係
上
安定本部
から見えておりますので、この際質疑の通告がありましたから、それを先に許すことにいたしまして、次に今の
説明
の質疑にはいりたいと思います。一應物價廰に對する質疑を許します。八木委員。
八木一郎
7
○八木委員
簡單
にお尋ねいたします。本日お配りいただきました「バリティ計算ニ採リタル
品目
ノ基準年次及ビ現行價格一覧表、」この表についてお伺いいたします。
農民
に納得させるためにいろいろ勉強した結果、どうしても納得できない點をまず伺います。この表の中で建値があるものは御賣になり、あるものは小賣にいたしております。これはどうしてこういうことに
なつ
たかということを、まずお伺いいたします。
大原總一郎
8
○大原
政府
委員 原則として小売をとりますのはパリテイ計算の當然のことなのでありますが、基準年次の單價につきまして小賣の單價を捕捉するのに非常に困難なもの、それに對する適當な
資料
のないものは同じ標準で比較しなければなりませんので、やむを得ず御賣の價格あるいは
生産
者の價格ほとらざるを得なか
つたの
であります。
資料
さえ得られますならば、今後はぜひとも小賣價格のみによ
つて
つくりたいと思
つて
おります。
八木一郎
9
○八木委員 この出す米は倉庫渡しとしてある以上、基礎に盛りこまれた買うものも、御賣で運賃も手數料もはい
つて
いないというのでは、學問的な
説明
をすればわかるようなものでありますが、百姓としては。私どもとしては納得しかねるので、これはどうしても
資料
がなかつたからこれによつたんだというならば、その間を助成費でみてやるとか善處しなくては納得できませんが、どういう御所見をも
つて
おられるか見解を伺います。
大原總一郎
10
○大原
政府
委員 バリテイ計算は大體基準年次と今
年度
との倍率を見ることを目的とした計算方法でありますので、小賣同士の倍率と御賣同士の倍率との間にさした開きはないと想定いたしまして、ここに掲げたわけでありますので、あるいは小賣を
とつ
たよりも不利に
なつ
ておる場合もあるかと思いますし、有利に
なつ
ておる場合もあるかと思いますが、大體比率による基礎でありますので、不正確であるというそしりはやむを得ずここに出てくるわけでありますが、御賣を
とつ
たからとい
つて
不利益に
なつ
たという御批判は、必ずしも當らないのではないかと思います。
八木一郎
11
○八木委員 この出すものだけは倉庫渡し、もらうものは卸だと、今のように
説明
をすればわかりそうな話でありますが、非常に明確であります。これはいくら議論してみてもどうもわかりにくい點でありますから、こういうところへは助成の措置が別途にあるのですから、當然考慮すべきである、こういうふうに考えますから、これはぜひそういう處置を要求いたしたいと思いますが、關連して、豫算は昨日の新聞ではまだ閣議できま
つて
いないということですが、さようの新聞には決定したと出ております。そのいきさつをこれに關連いたしまして伺いたい。
長谷川清
12
○長谷川
政府
委員 豫算の方はきのう大藏當局から御
説明
申し上げましたように、今大藏省と
農林省
との間で、事務的な折衝研究をや
つて
おるようであります。まだ最終的にはきま
つて
いないように
承知
しております。 それからなおさつきの御質問の御賣價格と小賣價格との點でありますが、これはわれわれといたしましてはできるだけ小賣價格で比率をとりたい、こういうふうに努めてたのであります。しかし實際問題といたしまして、基準年次の小賣價格は各
地方
で非常にまちまちでありまして、これが正確なる全國の代表的な小賣價格であるということをつかむ
資料
がどうしても發見されなかつた、そういうものにつきましては、やむを得ず御賣價格でその比較を檢討したということでありまして、
資料
がありますればむろん小賣價格をとることがいいと思うのでありますが、これはずいぶん探しましたけれども、小賣價格に適當のものがないということで御賣價格でと
つたの
でありまして、御了承願いたいと思います。
八木一郎
13
○八木委員 問題はこの基礎に使つた品種竝びに
品目
がこの價格で手にはいる。そうして再
生産
に必要な數量がはいるかというところさえわかれば、納得できるわけでありますが、數量もはいらない、價格もこれでははいらない、しかもその基礎
資料
がなかつたからこういうことに
なつ
ておる、こういう長い
説明
をしなければならないというところに、事務としてはそれでもつともでありましようが、どうしても無理がかか
つて
くると思いますから、これは豫算がまだきま
つて
いないならば、こういう長い
説明
をしてかからなければならぬような點は、なんとか豫算の方の助成處置において取り計ら
つて
もらいたい。それから新聞にあることはうそであるということですが、
米價問題
をめぐりまして、新聞に出ておることはうそだということをかなり聞くわけであります。きのうも聞くわけですが、その都度
政府
はなぜ取り消さないのか。新聞はこういう問題については愼重に扱
つて
、もし間違
つて
おるならば速やかに取り消してやるべきを取り消していないのはなぜか。これを伺いたいと思います。
大原總一郎
14
○大原
政府
委員 まず最初の卸價格の問題でありますが、これはぜひ納得していただくために、もう一度重ねてバリテイ計算の性質を御了承願いたいと思うのであります。バリテイ計算は、基準
年度
の米價に對して、どのくらいほかのものが値上りしておるかということを見るのが本音でありまして、その比較をするのに、
農家
に渡る小賣價格の比率をも
つて
見るのが最も妥當であることは申すまでもないのでありますけれども、それに順ずるものとしては御賣同志の比率を見るというわけでありますから、その比率だけを見る點につきましては御賣でも必ずしも
農家
に不利益になるにきま
つて
はおらないのであります。御賣價格がここに採用されたからとい
つて
、それだけで
農民
に不利な價格がきま
つて
おると断定はできないと思うのであります。その點につきましてバリテイ計算と原價計算との間の違いが、一般にまだ十分御理解いただけていないように思うのであります。たとえばマル公
配給
を、七十一
品目
に限
つて
ぜひ
配給
しなければならぬという議論が、新聞でもそう書かれておりますし、到るところでそういうことを伺うのでありますが、物價廰といたしましては、そういうマル公
配給
に抑えなければならないのがこの七十一に限るということを言われるのが、すでに原價計算主義と混同しておられるから、そういうことになるのではないかと思うのであります。私ども物價廰から申しますれば、七十一
品目
はおろか、すべての
品目
にわた
つて
マル公
配給
をなされるのが當然であります。七十一
品目
というのは、その倍率の比率を表わすために代表
品目
として、バリテイ計算の比率をはじくための代表
品目
として、ここに計算上あげた
品目
が七十一あるということでありまして、七十一
品目
のみのマル公の適用
配給
を云々せられることが非常に多いのでありますが、これは原價計算をこれによ
つて
したという意味ではありませんから、その點につきましてもバリテイ計算と原價計算主義との比率につきまして御了承を
お願い
申し上げたいと思うのであります。新聞發表がたびたび違うという點につきましてはどうもはなはだ遺憾でありまして、できるだけそういうことのないように今後注意を拂います。また必要であれば取消すことに、私どもいたしましてできるだけの努力をいたしたいと存じます。
成瀬喜五郎
15
○成瀬委員 關連質問でありますが、大體御賣と
生産
者と、これを調べてみますると、十二
品目
ありまして、七分の一強にあた
つて
おりまするが、今のお話になりましたところで、同じ卸賣のその基準
年度
において、あるいはまた現行價格において、比率をとるのだから、別にそれに不都合はないというような話でありますけれども、しかしながらこの基準
年度
におけるところのその商業社會的状態を考をてみますると、その時分におけるところの商業道徳というものは、きわめて自己の商業を發展せんがために商業サーヴイスをや
つて
いるということであるのでありますが、しかし現行におけるところの
配給
される手數料、コミツションというものは相當量にかさんでいるのでありまして、かような點、硫安、その他重要なものが、七分の一強卸賣によ
つて
、扱われているということは、何としても私は納得いきかねるという點がそこに見出されているのであります。これをもやはり同じ商業利潤によ
つて
や
つて
いるというような御見解で、これをや
つて
おられるか、以上を聽きます。
大原總一郎
16
○大原
政府
委員 その點につきましては、いろいろ常時の
事情
と今日の
事情
と異
なつ
ているところがあると存じますが、もちろん卸賣でやるということが絶對によいと申しておるのではなくて、小賣でやるべきものを、
資料
が完全に整わないので、やむを得ず次善策をやつたという意味であるのでありますから、その點につきましては、たとえば木林のごとき、マル公をきめておりましても、現にマル公より下まわる品物につきましても、マル公を採用しているような状態もあるのでありますから、ひ
とつ
御了承を
お願い
いたしたいのであります。
的場金右衞門
17
○的場委員 卸賣廰の方にお尋ねいたしますが、
生産
者の米價は決定をいたしましたが、消費者の價格はいくらにきめられるのか、まだきま
つて
いないならばいつきめるのか、そうしてまたその見透しは大體どのくらいのところを抑えられるつもりなのか、それをひ
とつ
お伺いします。 それからもう一つは、物價廰の第二部長さんですか、長谷川さんとかいう方は、きのう米價はたいへん高過ぎるということを非常に強調されたようであります。高過ぎるのならば、あたりまえに物價廰としてやればよか
つたの
に、今日米價が決定してから高過ぎるというのは、どんな意味でそんなことを言われるのか、その理由を聽きますと、勞賃は三十倍に
なつ
た。米價は六十二倍。あまりに高過ぎるじやないかという。物價廰の部長は、そんなことを言
つて
いいのであるかと私は考えるのであります。勞賃は三十倍になれば三十倍の収入が増加いたします。米價は六十倍に
なつ
ても購入する
生産
資材
その他が百倍に
なつ
ておつたら、収入は三十倍どころか、缺損になり、赤字になり、負債になる。ここに
農民
の苦しみがあるのであ
つて
、私どもが高米價を主張するのは、何も百姓を金持にしようとい
つて
、千七百圓米價に不服を言うのではない。今日の
農民
が生活をするとこができない。次の
生産
ができかねる。だから再
生産
のできる價格に、
農民
たちも食
つて
いける價格にしてくれというのが、われわれの願いであるのであ
つて
、決してわれわれが主張する米價にしても、三十倍も四十倍も剰餘所得があるはずのものではないのであります。そのくらいなことさへもわからない方々がこの米價を決定されるから、今のように毎年
農民
をいぢめなければならないのであります。私たちは決してそういうことを言われたことをとがめるのではないが、そういう思想をもち、そういう幼稚な考えをも
つて
いる連中が物價廰の部長をするということが、日本の安本が、あるいは物價廰が、國民をいじめる結果になるのであります。まことに言語道断と言わなければならぬ。この點については、はつきりと物價廰の考え方を御
説明
願いたいのであります。 以上二點を御質問いたします。
大原總一郎
18
○大原
政府
委員 消費者價格につきましては目下檢討中でありまして、來月度からの消費者に適用をいたしますので、來月一日に發表いたすように今いろいろこれにかかるものを研究しておりますが、大體今よりも五割高見當になるのではないかと豫想をいたしております。 次に高過ぎるという御非難に對しまして、
農村
に對して、あるいはお怒りる受けたかもわかりませんが、實は物價廰の立場全體から申しまして、物價廰は
生産
者の立場、また消費者の立場、双方を考えなければならない立場におりますし、また工業
製品
、農業
製品
、また鑛山の
製品
、すべての重要物資についてバランスのとれた公平な價格をつけることを第一のモットーにしておるわけであります。従いまして各方面から物價廰に向
つて
いろいろな批判があるわけでございます。
農村
からももちろんいろいろのお話は承りますが、勞働者側、一般消費者側からは、米價の六十倍決定というのは、工業方面からは、操業度が鑛工業は現在三〇%くらいしか操業しておりませんので、非常に不利な状態にある。
農村
は戰前に對する七割、八割の
生産
をあげておるのに對して、同じ六十倍は不都合ではないのかという非難をよく受けるのであります。また米價の中には
工場
の勞働者の賃金に當るものが、このバリテイ計算の中では生活費を構成する部門として盛り込まれておりますので、このバリテイ計算の中にあるものは
生産
用の
資材
であり、あるものは生活用の
資材
であると考えるわけであります。ところで
生産
用の
資材
も六十倍、生活用の
資材
も六十倍とかりに考えますれば、工業
生産
者から、操業度が高いのに同じ比率では
農村
の方に有利ではないかという意見を申述べられ、また工業勞働者の側からは、自分たちは三十倍しか上
つて
いないのに、生活費部門は六十倍も上
つて
おる。それは特に主食その他のやみ買いをしけなればならない
工場
勞働者に比べて、
農村
の勞賃に對應する分に對しては六十倍という優遇がしてあるのは、非常に不公平ではないかというふうな非難を物價廰はその方面から強く受けるのであります。そういうことにつきまして、二部長としてもいろいろ
説明
に窮しておるのでありますが、とにかく
農村
の生活は戰前は總體的に非常に低かつたから、これだけ上
つて
も他のバランスは狂わないのであるとか、いろいろ
説明
をいたしまして、この新米價が決して單に
農村
ばかりの立場を考えたものではないけれども、それかと言
つて
他の工業
製品
あるいは勞働者の生活に對して過度によいものをつくつたものではないということは、その方に向
つて
はできるだけ陳辯につとめておるような、苦しい立場に物價廰はおるわけであります。あくまでこの計算は正確はバリテイ計算により、できるだけ正確な
數字
——
ただいま御指摘の御賣等の點につきまして、必ずしも完璧を期し得られない實情ではございますが、できる限り正確な科學的な方決を
とつ
た米價であるという點につきましては、物價廰は一貫してそう考えておるのであります。ただバリテイ計算を採用する方式の中で、たとえば小作料のごときものをのけておりますから、もし全項目をこれに拾い上げてバリテイ計算をいたしますれば、今よりも二、三百圓も下る結果が出てくるのであります。たとえば小作料を入れるだけでも千五百圓を割るような結果が出るのでありますが、そういう正確な物價騰貴を反映しないようなものは除外しておりますから、その點では比較的有利な結果に
なつ
ておるということも言い得るのでありますが、現に原價計算をマル公のみで原價計算をいたしますれば、この結果よりもむしろ安い結果になると思います。
長谷川清
19
○長谷川
政府
委員 私個人の名前をおあげになりましてのお話でありますので、私からも一言お返事を申し上げておきたいと思いますが、昨日八木、あるいは村尾兩議員がおいでになりまして、いろいろバリテイ計算の具體的のやり方、考え方などについてお話を申し上げたのであります。しかしその際私決して高過ぎるということを申し上げたことは斷然ありませんから、その點ははつきりしておいていただきたいと考えます。あるいはそういう言葉がもしあつたといたしますれば、高過ぎるということを言う人があるというようなことが、あるいは會話の中に出た點があ
つて
かとも思うのでありますけれども、私個人といたしまして、決して高過ぎるということを申し上げたことはありませんから、その點は御了承を願いたいと思います。
野溝勝
20
○
野溝委員長
的場委員、なるべく
簡單
にしてください。
的場金右衞門
21
○的場委員 大事なことでありますから、さらにお伺いしておきますが、今のお話で、高過ぎるとおつしやらなかつのであれば、それで私はよいのでありますが、今あなた方がお考ゆに
なつ
ておる、勞賃は三十倍であり、今度のバリテイの結果が米價が六十倍に
なつ
たということによ
つて
、あなた方御自身が米價は優遇してあるという考え方にあるのではないか。私どもは
農民
たちのふところにはいる純所得というものが何倍に
なつ
たかということを考えるならば、決して三十倍に
なつ
ていない。勞賃とか、あるいはいろいろ親切な
説明
がありましたけれども、そういう
説明
でも、
生産
費を差引いて
農民
の手に殘る純所得というものは、決して戰前の三十倍にも二十倍にも
なつ
ていないのであります。そこの計算をしないで、單に六十倍に
なつ
たからたいへん
農民
はよいのである。戰前の八割の
生産
をや
つて
おるのであるから、五〇%しかできない工鑛業の
生産
に比べ優遇されているというお氣持が農業の實態を把握しておられない方々のそろばんであるということを私は考えるのでありますから、その點をお伺いしておる。その點ひ
とつ
御
説明
願います。
大原總一郎
22
○大原
政府
委員 決してこのもので
農村
に特に有利だとは物價廰は考えております。(「今言うたじやないか」と呼ぶ者あり)どの點でございますか。
野溝勝
23
○
野溝委員長
私語を禁じます。
大原總一郎
24
○大原
政府
委員 原價計算主義で米價を算定いたしますと、これよりも少し低く出る計算が物價廰では出たのであります。むろんマル公のみを使用したときの原價計算であります。 〔「そんな計算はそつちで勝手にしたんじやないか」と呼びその他發言する者あり〕
野溝勝
25
○
野溝委員長
まだ繼續質問を許していますから……。
大原總一郎
26
○大原
政府
委員 物價廰で立てております計算の方式は、現在のところ各物價の均衡を保つという計算で物價廰の原案はできているのであります。それに對しまして閣議が米價について最終決定をすることになりまして、總理の裁定に
なつ
たわけでありますので、物價廰といたしましては、既定の方針によりまして、できるだけ正確を期して計算をいたして千七百圓に算定いたしたわけであります。
的場金右衞門
27
○的場委員
政府
は現在の基本米價は
生産
者價格と消費者價格とを同一になさるつもりでありますか。價格差補給金による二重價格制をとるつもりでありますか。それについて一つ。それから現在の消費者價格は一體一石いくらに
なつ
ているのでありますか。
長谷川清
28
○長谷川
政府
委員
生産
者價格と消費者價格の間に國家が負擔いたしまして、いわゆる二重價格制をとるかどうかという點でありますが、昨年は百圓の二重價格、百圓の國庫負擔を石當りや
つて
消費者價格をきめたのでありますが、本年は國家の財政の
状況
から見ましてそれが非常に困難なようでありますので、本年は二重價格制はとられないであろうというふうに考えております。現在の消費者價格は十キロ當り九十九圓であります。
野溝勝
29
○
野溝委員長
關連質問を松澤委員に許します。
松澤一
30
○松澤(一)委員 今日の
委員會
は、米價がもう取りきめられて、その取りきめられた内容を私たちは檢討している。決して米價が高い安いを言
つて
いるのでありません。内容が納得をいくように疑義を質しているのであります。それを今物價次長に言わせると、もつと正確な計算をすると米價は安くなる。私は昨日でしたか、一昨日でしたか安本長官に米價をきめる思想を聽きたいということを質問していたのであります。物價次長あたりは、若輩のくせに自分たちの考えが天下一品なりという考え方でこれを押しつける計算をするというところに疑義が出ているのであります。こういう思想を昨日も聽いている。はたせるかな今日はその答辯のうちにとうとう馬脚を現わしまして、そうして委員が納得のいく質問をしているにかかわらず、もう少し正確にすると、あるいは小作料その他を見ると米價は千五百圓になると
數字
まで上げて言
つて
いる。そういう不穏當の言葉を聽くわれわれの
委員會
でありません。その點に對して考えてる思想を、私は
數字
や米價の問題を聽くのではない、そういう考え方を私は聽いておきたいと思います。
大原總一郎
31
○大原
政府
委員 ただいま私の發言に對して御批判をうけましてはなはだ恐縮に存じます。物價廰のやりました原價計算によればバリテイ計算よりは低くなるということを申しましたのであります。あくまでこのバリテイ計算でこの結果が出るということを物價廰はあくまで正しい。あくまでこれが正當なバリテイ計算による物價廰の最終決定と考えていることには、少しも間違いはないのでありまして、これが高過ぎるということをもし私が申しましたといたしますれば、それは誤りであります。これはあくまでも正當なせ威嚇なものであるということだけを申し上げたいと存じます。
野溝勝
32
○
野溝委員長
關連質問として成瀬委員。
成瀬喜五郎
33
○成瀬委員 さいぜんのお話の中におきましては工業資本家の立場を擁護いたしまして、工業品が三割しかできておらない、農産物の方は七、八割に及んでおる。そういつた場合に、同じ比率をもつ六十五倍というははなはだその答辯に窮しておるというようなことでありまして、そういつた考え方自體がいわゆる工業資本家の立場を非常に擁護しておる。かように私ども考える。私どもあなたにお伺いしたいのは、工業資本家がはたして百の
生産
品を百だけ
供出
しておるかどうか、私どもは現在物品によりまして賃金に對する穴埋をいたしておるところの事實をよく
承知
しております。
政府
が原料を交付して、工業資本家が勞働者の賃金として一部を穴埋する。また事故の利潤を追求するために莫大な利潤を
戰時中
から戰後におきましてもせしめておる事實は、何人も見逃がすことのできない事實であります。しかるに一方農業においては、
肥料
その他の悪條件を克服して
生産
されたものをほとんど
供出
せしめられておる。さような點において、また
農民
が純眞なるがゆえに、日本經濟の再建のためには食糧の確保が前提條件である。今日におきましても
農民
は朝の三時頃から肥車をひいてや
つて
おる。このくらい一生懸命や
つて
おる
農民
の努力を考えてみると、今日八時間勞働が實施されておるような點と、さらに勞働者が雇傭率におきまして、一四%を占めておりましても、その一〇四%なるものがはたして完全なる機能を發揮しておるかどうか、
工場
におきましては百なら百の人を雇つたとしても、自己の生活物資を獲得するために百に對し五十か七十かの出勤率しかないというような事實と考えて、
農村
におきましては一日十數時間も今日なお依然として働き續けておるという點に對して御認識がない。また私どもはこのパリテイ計算の基準
年度
があたかも
生産
物の安い九、十、十一にとられるということははなはだしく不合理でありまして、なぜその以前にさかのぼりましてそこに公平な率をも
つて
こられなかつたか。私どもはこの場合に、
農民
があまりにも政治力がないために、同じ
農民
でありましても繭絲業界における方面では二千六百掛を獲得しておる。この米價に關する限りにおきましては、きわめて不合理な率に今日決定されておるということは見逃せない事實でありまして、しかるにさいぜんのようなかえ
つて
農民
に對する反對の意見を吐くということは、近頃不謹慎なる御意見であると思います。以上の觀點から御答辯を求めます。
大原總一郎
34
○大原
政府
委員 工業方面を擁護するという意味は私どもはも
つて
おりませんので、御了解を
お願い
したいと思いますが、先ほど申しましたように、工業の方面からそういう意見が出てくるということについての物價廰の立場を申し上げた次第であります。それと基準年次を
昭和
九年から十一年までにとりましたのは、倍率の點から言えば、その
當時
の米價はほかの物價に比べて少し有利なことに
なつ
ておることが
農林省
の統計に見られます。從
つて
このときの米價が絶對的に價格いかんによらず、他との均衡から考えれば、比較的米價に有利な年であつたと考えております。從
つて
その基準年次をとることが、米價の計算の最終價格について決して特に不利益に
なつ
ておることは、事實ないものと存じます。
野溝勝
35
○
野溝委員長
ちよ
つとおはかりします。物價廰の方は午後から消費者價格の問題で、
關係
官廰と打ち合わせなければならぬということですから、質問のある方は
簡單
にひ
とつ
お願い
したいと思います。
寺本齋
36
○寺本委員 關連しまして
簡單
にやります。このバリテイ計算というものは、私たちはいろいろと
説明
を聽きましたが、なかなか納得しかねるのであります。しかしこれを百歩譲
つて
政府
當局の御
説明
の
通り
としても、これに現われてくる、いわゆる基礎に
なつ
ておるものは、先ほどからお話もあるように、數量から言
つて
、たとえば
地下
たびのごときは四年に一足ということがほとんど價格の基礎になるだろうが、實際に
農家
に渡らない。ただ價格を釣上げても現物は
配給
にならない。米というものは
生産
しなければならない。そして
割當
られたらこれを
供出
しなければならない。
供出
しなければ強權發動をする。こういう大事なものであります。私たちここに議論するのは、ただ價格をきめてみんなの
平均
をとればいいというのではない。
農家
の
生産
意欲を増して、
來年
の食糧
事情
を緩和しなければならない。皆さんのようなお考えならば、何年經
つて
も食糧
不足
の状態を現わしていかなければならぬ。あなた方の考え方での
數字
の基礎はつじつまが合うかもしれないが、そういう考えが
——
話は古いのですが、
戰時中
の軍需
生産
にはそれに似たようなことが、いわゆる官僚によ
つて
やられ、
生産
がかえ
つて
減退して、これが敗戰の一つの原因をなしておる。
終戰後
の今日、この日本再建、産業再建をしなければならぬときに、あなたたちのや
つて
おられる
數字
というものがあなたたちの
數字
は正確なものかもしれませんが、しかしこれが現實にはいたずらに、
數字
の遊戯にすぎないとしか受けとれない。物資の現在の
状況
からみてみると、もう少しあなたたちの考えを進めて、どうすれば食糧の再
生産
ができるかということから考えていかなければならぬと思います。そういう観點からのあなた方のお考えを伺いたいと思います。
大原總一郎
37
○大原
政府
委員 物價廰の價格査定基準は、閣議決定に基きました方式を基礎とし、他との均衡を保つような計算をしたのでありますが、なお諸般の
資材
の
配給
、その他の問題について總合的に決定しなければならないという見地のもとに、閣議において決定することになりました。そして總理からこの價格の決定とともに、
資材
のマル公
配給
の強化、その他につき廣範な御判斷のもとに最後の結論がきまつたものと存じます。物價廰といたしましては、他の物價との均衡を保つ限りの、という以上の計算はいたしかねたのであります。
寺本齋
38
○寺本委員 物價廰の自分の立場だけを守るという御答辯であるが、他の物資と均衡を保たなければ、勞働者の生活その他にも
關係
があるというお考えのようでございますが、あまり現状に即しない低い米價に決定されますと、實際現在行われておる
配給
というものは必要量を滿たさない。そういう場合には、勤勞者といえども
配給量
で滿足できなければ、たとえば一升二十圓出さなければ實際補いがつかないというやみ生活をしておる現状でございます。それでただ今米の價格を上げたら勤勞者が困る、消費者が困るということでなく、私どもの考えでは、必要量の
配給
が完全にいくようにいかなければならぬと思うのです。そういう考え方から、私は消費者はただ目先きの考えで、米價が上るから困るという考えでなく、現状に即した價格にきめて、
配給量
は確實に手に入るようにしなければならぬと思うのでございます。これがもし
供出
にも
關係
して、遅配缺配を續けて、一升二百圓の米を食わなければならぬ現状であつたとすれば、せつかく皆さんが勤勞者の立場と
生産
者の立場とおつしやいましたけれども、その考えであれば一切その考えが實際に現われないようなると思います。この點は
政府
當局においてもお考えおきを願いたいと思うのです。
岩本信行
39
○岩本委員 物價廰が午後缺席のように聽きますので、この際特にお尋ねほ仰せられる
通り
、
生産
者の
農民
が納得するいき方で決定されておらぬという
農民
の不滿に對しましては、私どもも同感であります。ただこの際聽いておきたいことは、
農民
の立場はその
通り
でございますが、しかし祖國再建のために、その他重要産業というものが數多くある場合におきまして、消費者の價格が未だに決定しておらなければ、なおこの場合においてはさいわいでありますから申し上げますが、少くとも俵の代金、これは米代ではありません。また
供出
の奬勵金、これも米價ではないはずであります 。この俵の代五千圓、奬勵金五十圓、これは米價ではないのでありますから、この分を消費者價格算定の中へ入れるということは、消費者の堪えられないことであろうと私は考えます。從前二重價格制を取りまして、莫大の金額を國庫が負擔したということも、これは一面
生産
者の價格を保持したい點と、別にまた他の産業を振興させたいという意味が重
つて
おつたことであります。從いましてこの場合、冒頭に申し上げましたように、米の價格が
農民
の納得のいかないものであるということは、完全に他のお方の御意見と同感でありますけれども、消費者の價格を決定する上において、先ほど申しましたような、米の價格でない費用を消費者の價格の中へ算定するということは不合理であります。この點につきまして物價廰及び
農林省
としてはどうお考えに
なつ
ておるかを御
説明
を承りたいと存じます。
長谷川清
40
○長谷川
政府
委員 消費者價格の決定にあたりまして、早場米の
供出
奬勵金でありますとか、あるいは今囘決定を見ました五十圓の奬勵金のごとき、あるいは俵代のごとき、これを消費者に轉嫁することなく、その金額を國庫で負擔してもらうということは、われわれといたしましても、できればそういうふうにいたしたいというふうに考えてお
つたの
でありますけれども、何分にも現在の國家財政が非常に窮屈に
なつ
ておるようでありまして、現在のところ、この兩者は大體において消費者の價格の中に織こむべきであるということになろうかと考えております。
井上良次
41
○井上
政府
委員
農林省
といたしましては、一方
生産
者の
生産
價格をできるだけ
生産
費の償う立場において米價を決定する。一方また
農林省
は、消費者の生活保障の立場において主食の
配給
をいたしておりまする
關係
上、できるだけ消費者の生活が安定するということが必要でありまして、この面で、消費者が非常に負擔が重く
なつ
て生活が困難になるというような點も、やはりわれわれとしては一應重大な問題でございますから、できるだけ、今御質問にありましたような米價でない負擔につきましては、國庫負擔をやはりわれわれは要求していかなければならぬと考えております。ただ國家財政全體の
關係
から考えまして、はたしてそれが消費者に負擔をさせて、消費者の生活を壓迫するかしないかというような問題が、消費者價格を決定する上において考慮さるべき問題でありまして、現に新小賣價格がこの夏改訂になりまして以來、消費者の負擔というものは非常に多く
なつ
ておりまして、すでに消費者の中には、五日なり十日なりの、持込み
配給
の米代さえ拂えないという人が相當たくさん出ておるのであります。この行き詰まれる實際の生活不安をどう打開するかという問題も、併せて内閣として考えてもらわなければなりませんから、これらの點は、小賣價格決定の上において十分考慮をして、おきめを願いたいと思
つて
おるのであります。
岩本信行
42
○岩本委員 御
説明
がありましたが、物價廰のお考えは、私どもの考えておるところと全然考え方を異にするのであります。
農民
は今の決定において不滿足であるのに、消費者側から
農民
が恨まれるということをよく聞くのであります。そういう場合におきましては、國の政治としてこれは解決しなければならぬ事件であります。食糧問題が一切の再建のかぎであるというときにおきましては、すべての費用を節減いたしましても、まず最重點にこの問題を解決すべきでありまして、
農民
も喜ばれつつ
生産
をするという建前でもあるわけでありますが、その場合において、價格が不滿であり、同時にその不滿であるにかかわらず、一方食うものからは恨まれる。こういう行き方は耐えられないところであります。 從いまして今農林當局からお話のありましたような趣旨に基づいて、その線に向
つて
消費者價格を決定するまでに至らない考えであるならば、この時間以後において、さように考え方を修正せられんことを要求いたします。
永井勝次郎
43
○永井委員 次長の言われておるバリテイ計算の正確性というものは、それは計算の正確であ
つて
、經濟政策としてそれが正確であるかどうかという根本の問題については、相當に議論があると思うのでありますが、本日は時間がありませんから、これは省略いたします。かりにこれを認めて、この價格でいくといたしまして、この均衡が少くも米價に關しては一箇
年間
固定されなければ意味がないと思うのであります。これらのあげられた諸
品目
、その他米價を基準にきめられておるところの物價を基準にきめられておるところの物價というものが、一年一囘の販賣である米價に對して、向後一箇
年間
諸物價の價格というものを固定して、現状のままで維持できるかどうか。もしいろいろ賃金の値上を行い、あるいは物價を動かすような場合があつたときには、米價に對してどういう修正を行うお考えであるか、その點を明確にしていただきたいと思います。
大原總一郎
44
○大原
政府
委員 ただいまの問題につきましては、昨日も御質問がありまして、和田國務大臣からお答えがありましたので、私からあらためて申し上げるまでもないかと思います。
平工喜市
45
○平工委員 私もきわめて
簡單
に申し上げます。
昭和
十一年には、成瀬委員から申されたように、すべての農産物が安かつた。その實例を一つ申し上げてみますが、私はあのとき、
昭和
十一年の秋三箇月埼玉懸入間郡に滞在しましたが、高萩村駒寺野新田、今飛行場に
なつ
ております開懇地では、神田市場に出したら、輸送費は全部百姓持ちで、消費者の方はもたなかつた。神田市場で入札した金は輸送費の半分にもならないで、野菜を全部積み込んでしま
つたの
であります。そういうふうま時代のことを基礎價格として算定されたことに對して……。甘藷の問題については、井野農林大臣時代に酒井氏が會長で、私どもは中部
地方
の代表者を率いて折衝して、大げんかをやつたことがある。この問題について政治的解決というならば、不平のないように
説明
するのがいい。きのうあたりの安本長官の態度は、實に毒々しいような、にくにくしい態度で答辯しておる。この問題についての答辯を全部
農林省
だけで引受けてしまうような結果に
なつ
たら大騒動だと思う。まだ甘藷の直接栽培者の聲を集めてありませんけれども、やがては大騒動になると思います。でありますから、各大臣とも
昭和
十一年ごろの
農民
がいかにみじめであつたかということをもう一遍思い出していただいて、今日政治的解決をあらためてお考を願いたいと思います。私ども、甘藷
生産
者の代表を引連れて御相談に上りますから、よろしく。
大島義晴
46
○大島(義)委員
ちよ
つとお尋ねしたいことがあります。石千七百圓に決定された今日、米價の決定に對して、私どもはとかく議論をするよりも、むしろ
供出
を前にして、
農民
にこの値段をどうして納得させるかということが重大であると思うがゆえに、これをわれわれの同僚各議員が聽いておるのであります。われわれも納得し得ないような状態で
供出
をさせていくならば、
供出
は不可能である。こう考えておりますがゆえお尋ねするのでありますが、先ほど來のたびたびの同僚議員諸君の質問にお答えに
なつ
ておるところを見ますと、どうも私には納得ができない。というのは、バリテイ計算のあの
品目
の中に、小賣價格、御賣價格、あるいは
生産
者價格というもので計算しておるのでありまして、こういう計算でいくことを
農民
に話したのではとうていわからない。あなた方が單にそろばんの上、鉛筆の先で物をまとめるのと違いまして、額に汗した
農民
は、ほんとうにみずから納得することなくしては、こういうことは了解できないのであ
つて
、ああいう點はもう少し親切に、具體的に教えていただきたいと思います。一體本年の米價の問題にいたしましても、私は
農民
は千七百圓の問題よりは、官民心よりの
農民
に對する親切がもう少し欲しいのであります。もう少し納得のいくような簡明な御
説明
が欲しいのであります。しかも最近の物價の傾向からいいますと、ライオン齒磨が一ぺんに四圓なんぼになる、千二百圓であつたラジオが二千五百圓出さなければ買えなく
なつ
たということで、物價廰のきめた公定價格よりも、かえ
つて
實際取引の方が下値をまわ
つて
おるという事實をやはり
農民
は知
つて
おる。従
つて
あなた方がこの米價を決定されるにあた
つて
も、これは基礎的にいくらにしなければならぬという
數字
から、無理にこれをつけてきたという感が、今囘の
委員會
を通じての質問應答の中で、はつきりと考えられるのであります。このわれわれの考え方を根本から直し得るように、もう少し親切にお答えを願いたいと思うのであります。もちろん今日私は即時答辯を要求するものではありません。明日も
委員會
が開かれるそうでありますから、明日でも結構でありますから、
農民
の納得し得るような親切な御答辯を要求してやまないのであります。どうぞこの點を
委員長
からもひ
とつ
御配慮願いたいと思います。
野上健次
47
○野上委員 私は米價の決定に至るまでの物價廰の態度については、各委員と考えを一にするものでありますが、先ほど消費者價格について物價廰の答辯を承
つて
おりますると、お二人の間に食い違いがあるように思うのであります。それは次長は、消費者價格については大體においてきま
つて
いないのだけれども五割くらい高くなる。現在の消費者價格の五割高だと思うのですが、そういうことになると二千二百二十七圓五十錢になります。ところが第二部長の方では、消費者價格と
生産
者價格との間には、大體差をつけないような方針でいくというようなぐあいに承
つて
おります。この點において食い違いがあるようでありますが、どちらが正しいかははつきり承
つて
おきたい。 それから、こうした米價の決定について、農林當局としてはもとより最大の努力をされたと思うのですが、こうした問題に關して、たとえば先ほど永井委員からも御質問され、昨日私も和田安本長官に對して質問しましたように、裏づけ物資が公定價でも
つて
、その
生産
年度
においてぜひとも
配給
できるかどうかということについて、十分にだめを押されたかどうか、こうした點について農林當局の努力があつたとは思うのですが、なお物價廰の
説明
を聽くに及んで、非常にその努力についても遺憾な點がありはしなかつたか、こういうふうに思う次第であります。これは先般農林大臣からも、一應その經過について
説明
を聽いたのでありまするが、農林當局としての責任、そうした努力についても少し遺憾なものがあつたと存ずる次第であります。これらについてなお時間から、當局のお考えに
なつ
ておることを率直に伺えれば、たいへん結構だと思います。以上のニ點についてお伺いいたします。
長谷川清
48
○長谷川
政府
委員 消費者價格の大體の見通しでありますが、現在百キロが九十九圓でありまして、新しい價格は大體百五十圓前後ではないかと考えるのでありまして、従
つて
九十九圓に對して五割増し
程度
になり、これを石に計算しますと二千二百五十圓というようなことに大體なろうかと、こういうふうに思うのであります。
井上良次
49
○井上
政府
委員 米價の決定に伴いまして、
農林省
は努力が足りなか
つたの
ではないかという御質問でありますが、米價の決定に對しましては、
農林省
は現業廰でありますから、この米價がいくらにきまるかということによ
つて
、
年間
の主要食糧の確保をはからなければならない責任をも
つて
おりますので、
農民
が納得し得る米價を
農林省
といたしましては閣議において、あるいはまた物價廰に對して、あらゆる角度から要求してまい
つて
きておるのであります。この努力の結果、また
關係
當局のいろいろの了解の結果、やつとこの線に落ついたということでありまして、またこれにおいては、とうてい全國の農業會なり、
農民
組合なり、各農業團體の意見を伺いましても、非常に開きがありますので、ただこの開きを名目米價というか、これだけによ
つて
われわれは納得なるものではない。問題は實質的な米價をわれわれはきめてもらいたい。その實質的米價というのは
農家
の再
生産
資材
なり、
農家
生活の必需品を確保するということに閣議において眞劍に安本長官なり、あるいはまた商工大臣、大藏大臣等に交渉いたしました結果、大臣からも報告がありました
通り
、あるいはまた
肥料
に對する増配の問題、
農機具
に對する鐵
資材
の確保の問題、
繊維製品
の確保の問題、
ゴム
製品
の増量の問題、これらの問題については、それぞれ當初の
状況
とは非常に變
つて
きておるのであります。たとえて申しますと、
農家
裁定必要の
農機具
をつくる場合に、
年間
大體三
萬トン
の鐵を要求しておるのに對して、二千トンしか渡らなかつたを、最近の交渉の結果、これが約一萬八千トンぐらい確保できる上昇線にたどりついたのであるし、さらにまた
繊維製品
にいたしましても、最初は三百八十萬反ほどのものが、紺織物その他において七百八十萬反という
數字
にこれがのぼり、
地下
たび、てぶくろ等においても、相當數量を確保いたしておる次第であります。單にこんな
數字
だけで喜ぶことではなしに、将来ほんとうに現物化して、速やかにこれを
農村
に送るということに、われわれの今後の責任がかか
つて
おりますから、この
數字
をわれわれは正直に受取
つて
、これをいかにわれわれの責任において現物化するか、そうして
農村
に早く
配給
するかということに全努力を重ねて、
農家
の再
生産
に生活確保に努力したいという氣持であります。
野溝勝
50
○
野溝委員長
この際
委員長
から
政府
に警告しておきたいと思います。本日の
委員會
を見ても、
政府
當局はよく了承されたと思うのでありますが、この米價決定の問題につきましては、
委員會
全會が不滿でございます。しかし今日に至るまで、
政府
當局はそれぞれの角度において
農民
の再
生産
の意欲を高進するために努力はされたとは思いますが、特にこの米價の問題が
供出
と關連のあるという點においては、三千五十五
萬石
を決定するときに、
農林省
當局はすでにこのときにおいて、
農民
の
生産
意欲の必要の條件として、米價の問題あるいは必需物價の問題等に對して、そのときにおいて、それらの問題について下駄を預けておかなければなかつたと私は思うのであります。そのときに内閣總理大臣なり、あるいは
安定本部
長官なり、その他
關係
閣僚に向
つて
、一應は下駄を預けておいてもらいたか
つたの
でございます。 次に
安定本部
の意見としてバリテイ計算を建前としておりますが、これに對してはもろん
關係
方面の意見もありましようけれども、しかしアメリカ側における經濟力の安定せるバリテイ計算と、日本のような經濟力の弱まつた不安定の事態におけるバリテイ計算の立て方とは、日本民族である以上はこれは十分と考えなければならぬ。かような點において
安定本部
のその筋に對する折衝が、非常に微力であつたと私は思います。かような點においてまことに遺憾であつたという點を
政府
當局は十分反省をしてもらいたいと思います。 〔「その
通り
」と呼ぶ者あり〕 では本日はこれで散會します。 午後一時三十二分散會