○加賀山
政府委員 ただいま
委員長から
お尋ねのございました點につきまして、運輸省としての立場をお答え申し上げたいと思います。運輸省といたしましては、
薪炭の重要性につきましては十分に知悉いたしているのでありますが、この十月を例にと
つてみますと、約一千萬トン近い貨物の
輸送をやるという計畫を立てまして、現在の貨車を總動員いたしまして、有效な貨車を使
つてこれだけの
輸送がようやくできる、こういう數字が一千萬トンでございます。これは概數で申し上げます。そのうち、米その他の主食
關係、あるいは副
食糧、その他石炭以下の重要な
燃料、それから鉱礦石、あるいは鐵といつたようなもの、いろいろに振りわけまして、これにどれだけの
輸送力を配當すべきかということを檢討するわけであります。まず前に年度におきまして次の年の年間計畫を立てるわけでありますが、それをさらに
四半期にわけ、その
四半期をさらに一箇月に區分いたしまして、毎月その月にはいります前に、その次の月の計畫を立てることにな
つております。この計畫を立てます場合に、この計畫物資として選定されておりますものは、現在三十七品目ございますが、この三十七品目についての割當をきめる。これについては、特に重要な物資については
關係省、あるいは
關係の配給機關、その他
生産機關、すべて
關係者にお集りを願いまして、その間でどういうふうにやるかということを御相談するわけであります。さようにいたしまして、その
會議におきましては、これが元となるものはいわゆる要請量でございます。これだけのものは在貨がある。この要請量が元になるわけでありますが、この要請につきましても、單に在貨でありませんで、中央においてもこれくらいのものはどうしても運ぶことを必要とする。あるいは地方的に見てこれだけの在貨があるといつたことを檢討いたしまして、その間で最も妥當と思われる數字を、全部が集まつたところで御相談の上きめるわけであります。
薪炭もこの例に漏れず、その中で
薪炭をいくらにすべきかということをきめるわけでありますが、何を申しましても全體の
輸送要請量は月間千五百萬トン近くございます。それに對して約一千萬トン程度の
輸送量しかありませんので、平均いたしますれば三分の二より送れないというかつこうになります。その中に特に
食糧、石炭等においては、すべてこれは百パーセント、要請のあつただけ全部送るという建前になる
關係上、その他の品に目つきましては少しづつの査定をさせるを得ないというのが
現状であります。そうしたときに、これは單に
農林關係の物資のみならず、商工
關係の物資においても、たとえば亞炭のようなものがはい
つてくるわけでありますが、やはり二五%、三十%というパーセントの査定をしなければならぬのであります。
薪炭については、十月を例にと
つて申し上げますと、そういう査定をいたしました數量が、
木炭につきましては要請量に對して八〇%の
輸送をする。數字的に申しますと、
木炭につきましては十三萬四千三百トンというのが要請量でございます。これに對して九萬九千トン。實は
水害前はもう少し多量に計畫しておつたのでありますが、遺憾ながら
水害のために改訂をせざるを得ないために、一割近く縮減をした改訂額が九萬九千トン、これは月間であります。薪の要請量は三十二萬四千六百トンそれに對して二十一萬六千三百トンが、十月に鐵道として責任をも
つてお引受しようとしておる數字でございます。これはすべての物資について、もう少し運べないかというお聲があるし、われわれとしても、一トンでも主要物資を送りたいという氣持は十二分にも
つておるのでありますが、何分にも
輸送力の總額を殖やして、つまり貨車を殖やして、あるいは貨車のまわりを早くして
輸送力の總額をあげないことには、現在としては遺憾ながらこの程度の力よりも
つていないという
状態でありますので、いたし方はないとい
つて、われわれはもちろん手をこまねいておるわけではありませんが、現在はかくのごときものであるということを率直に申し上げたわけであります。なお薪の査定率は七〇%にな
つております。そうしますとやはりそこに二〇%なり三〇%は
滯貨にな
つて残るというわけであ
つて、遺憾この上もない。ただ
薪炭について申し上げますと、これは前月あるいは前年の實績に對しては、よほど率をよくしております。前月に比較いたしましても、需要季節にはいります
關係を考慮いたしまして、率を上げておりますし、前年の同期に比べましては非常にたくさん送
つておる
状態であります。平均いたした査定率が十月といたしては六九%な
つておりますので、これは改訂後は六六%にな
つておるはずでありますが、その中で薪は七%
木炭は八〇%ということにな
つておりますので、この點御了解願いたいと
考えるわけであります。これはわれわれの事務的の立場から申した次第でありますが、しかし
燃料對策の重要性から見まして、この
輸送計畫を改訂して、他のものを切
つてもこの
薪炭に
輸送力をまわすべしという見解が成立ち、これを
實施すべしということに相なりますれば、私どもの方といたしまして、これを改訂して
薪炭に多量の
輸送力を割くことは、當然なすべき事柄であるというふうに
考えております。
薪炭につきましては特にこの機會に一、二附加えて
委員長にお答え申し上げておきたいと思うのでありますが、
薪炭について最も今困
つておりますのは、やはり六大
都市の中でも
東京が一番最大のものである。そういう見地から、
水害の時期に、計畫量とは無
關係と申してもいいくらいでございますが、とにかく計畫量はとうてい達成し得ないという見當がつきまして、この九月の
水害、十月にわたりまして緊急の
對策を數次にわた
つて講じております。それから
東京の特に
薪炭について非常に苦しいということは、主たる産地が東北に依存しております
關係上、
水害の
影響を多分に受けたということが
一つ。もう
一つは、これは平常でもそうなんでございますが、硫化鐵鉱とか亞炭とか木材とか、非常に同じ無蓋車をも
つて輸送する貨物が競合いたしておりまして、東北
關係の
薪炭輸送には、われわれは最も頭を惱ましでおります。
從つてそこを主たる給源地とする
東京方面が、特にこの
薪炭については困る
可能性が非常に強いということを
考えますので、この點につきましては、われわれといたしましては、
東北地方の
薪炭をもう少し船をも
つて海岸地から
輸送するというようなことも
考え、また協議をいたしておりますが、この
薪炭の東北本線あるいは常磐線による直送というふうなことは、そういう非常な隘路にあるということを、この際附加えて御承知おきをお願い申し上げたい。かように存ずる次第であります。