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八百板委員 電力危機突破に關する
決議案について、
日本社會黨を代表いたしまして
贊成の
意見を述べるものであります。
本案に關する
質疑を通じまして、今日
電力危機突破のためにどのようなことが必要であるかということは、十分に了承されたことと思うのであります。私は去る九月の十五日、
福島縣の
猪苗代の第一
發電所を見てまいつたのでありまするが、ここは
さきにも話がありましたように、
落雷によ
つて發電所に
被害を起したという箇所であります。この
被害の状況をこの
機會に
簡單に申上げたいと思うのであります。
私は
最初落雷による
被害ということを聽きましたので、直接
發電所に對する
落雷が
發電所の
被害と
なつたのであるというふうに考えてまいつたのでありますが、現場に
行つてつぶさに
事情を伺いますと、私の考えたことはまるで違
つておりまして、直接の
落雷による
被害ではないということがわかつたのであります。すなわち
猪苗代の
發電所から
電氣が
東京方面に送られているということは
事實でありますが、この
東京方面に送電している途中、約十
萬キロのうち一
萬キロほどのものを
茨城方面に送
つているそうでありまして、その
茨城に送る途中の
送電線に
落雷して、その結果約百キロ隔
つている
發電所に
故障を起したという
事件であります。これは
落雷の結果、
送電線の途中に装備してある
開閉装置が働いたために電流が
止つて、その結果
發電所に影響いたしまして、
發電所の急激なる
負荷減が原因とな
つて、
水車に
故障を起したという
事故であります。このことを考えてみまするに、このような衝撃というものは、專門家の
言葉を借りて申し上げまするならば、相當の
電氣の需用のあるところの
一流工場のスイツチを切つたというような、單なるその
程度の
事故でさえも、直接
發電所に影響して、その結果は、今囘の
被害と同様な
被害が起るというようなことも豫想せられるのでありまして、今日
猪苗代の
發電所の
水車、
發電機、これらの
老朽状態というものは、きわめて危險なる
状態にあるということを承
つてまいつたのであります。ただいま
猪苗代地區において殘されておりまする
電力は、四十三
萬キロと言われておりまするが、今日實にこの四十三
萬キロの
電力のうち、十
萬キロが出ないで休んでいるという
状態であります。これらのことを考えてみまするときに、われわれは新たに
發電所をつく
つて、たとえば一キロについて一萬五千圓の
建設費を要するものといたしまするならば、五
萬キロの
發電所をつくりまするためには、七億五千
萬圓の費用を要するということになるでありましようが、かようにして新たに
發電所をつくるということよりも、現に備わ
つておりまするところの
——しかしながら
資材の
不足その他の
事情によ
つて、十分にその能力を出すことのできない
状態にありまするところの
發電所を、百パーセントに活かすということがいかに重要であるかということを如實に見せつけられてまいつたのであります。かような
状態から考えまして、
猪苗代の
發電について考えてみまするに、通常、
發電の
設備というものは二十年
程度をも
つて壽命とするというふうに言われておるそうでありますが、すでにして
猪苗代の
發電所は
創設以來三十年を經過しているという
實情であります。さらに全國の
發電所についてこれを考えてみましても、ほとんど
發電施設の六割以上は二十年を經過しておるというようなことが言われておるのでありまするが、かようなる
状態のもとに
日本の
發電設備が置かれておるということを考えまするならば、われわれは一方においてこの
發電施設の補強のために十分の注意を拂わなければならないということが考えられるのであります。新たにつくるためには莫大ななる
資材と
資金が必要であるということを考えまするときに、どうしても今日の
危機を突破しまするためには、かような
補修に重點をおかなければならないということが考えられるのでありまするが、現實に
猪苗代の
故障の
囘復のためにも問題にな
つておりまするように、
資金、
資材等の面につきましてなかなか思うように
囘復ができず、この
程度の
被害の
囘復にも、おそらく來年の一月末日までかかるというふうに言われておるのであります。これらの點を考えてみまするならば、この
電力關係に對して、ほかの
産業に優先して
資材、
資金が融通せられておらないということが致命的な缺陷とな
つてまいるのでありまして、われわれはかようなる點から考えてまいりまするときに、今日
日本の
電力確保のために
電氣産業の順位を引上げて、これに對して
資金、
資材を優先的に注ぎこみ、
電氣産業の
重要性というものを高めていかなければならないと思うのであります。今日、世は
石炭の
増産に對して非常なる關心が高ま
つておるのでありまするが、
日本の將來というものを考えますときに、
動力源としての
電氣の
重要性というものは決して
石炭に劣るものではないと思うのであります。われわれはここに
石炭の
重要性にも増して、
電力問題の
重要性があるということを強調して、これを今日問題の前面に押し上げていかなければならないと考えるのであります。さらにわれわれは
本案の
具體的なる要綱を實踐いたしまするために、單なる一部直接の
電力關係者の
運動としてでなく、これを
日本國民運動に展開して、
電力危機突破の
具體策を樹立實行するということが必要であろうと思うのであります。以上
簡單に申し述べまして本
決議案に對する
贊成とする次第であります。