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根本委員 先般の
委員會において商工大臣竝びに商工省の
電力局長に配電の
合理化について
質問いたしたところ、
根本問題については安定本部がこれを握
つておるということでありました。そのときには安定本部の方がいませんでしたので、今まず第一の觀點から伺います。御
承知のように現在
電力が
産業復興のために非常に要望せられておるにかかわらず、
電力が非常に少いがために、その合理的な配分ということが、わが國再建の上に最も重要な問題の一つにな
つておると
考えておるのであります。しかるに從來までの配電の
状況を見ますれば、いわゆる戰時經濟のあり方にまだ非常に多く
影響されて、敗戰後の日本の國土の總合的開發の
見地に立
つての配分計畫は、未だ十分立ていないと私は見るのであります。
具體的に見るならば、たとえば
東京あるいは神奈川、名古屋地方というような所に依然として
電力が多く參
つておるのであります。これは從來の施設その他のことも云々されるでありましようが、戰災の結果、大部分の工場は破壞され、また賠償の對象とな
つておるのであります。しかるに北陸、東北
方面においては十分に
發電の能力もあり、現在なお
保有しつつあり、また今後日本の開發に必要な資源も十分あるのであります。なおまた住宅も、あるいは食糧の部面においても、十分にまだこれらの戰災
地區に比べると好條件下にあるのであります。しかるにかかわらず、從來の配電計畫によりますと、東北からわざわざ關東配電にも
つてくる。それために木材があるにかかわらず運べない。わずかに十キロ、三十キロの工場の
電力の一點によ
つてこれが
復興することができない。あるいは
事業を開始することができないという現状であります。しかもまた關東地方においては
電力があるからというので、わざわざ原木を運び、その他の
資材を運ぶために、鐵道が非常にデスターブし、そのために食糧を運ばなければならぬといふ矛盾をや
つておるのであります。あるいは住宅問題でもしかりであります。こういう
見地に立
つて、安定本部は總合的な國力をも
つて復興をはかるために、
電力の合理的な配分についていかなる構想をも
つて臨んでおるか、ということの大綱についてでよろしゆうございますから、そうしてまたいつかそれの計畫の變更をやるかということについての御
答辯をまずお願いいたします。
次に安定本部に申し上げるのは、これは商工省とも連繋する問題でありますが、
電力管理法によ
つてこの規則の中の一部に、たしかに
電力配給調整
委員會というようなものだ
つたと思いますが、規定されておるはずであります。これは
電力の合理的な配給ということが非常に重大であるがゆえに、特に規定したものだと思います。しかるに現在までこれが
實際の運用を見ていないと私
承知しております。現在たとえば
電力を制限する場合において、商工省においては一應の基準を設けて、段階を設けて、一方的にや
つてあるように私には見えるのであります。ところが
事業によ
つて時間制限をされると全然なり立たないところのものがたくさんあるのであります。たとえば鹽のごときであります。
電氣製鹽のごときは二十四時分ぶつ通しに使われないと鹽にならない。しかるに五時間、三時間となりますと、結局ほとんど機能を停止する。こういう場合において、制限は必要であるが、その
事業の實態に應じたところのやり方をしなければならぬと思います。また地方においてもどの點をやるかということは、これは非常にこまかいことであるけれ
ども、大事なことであります。しかるにこれに對して、ただ單に地方商工局あたりが机上プランでや
つておるために、非常な齟齬を來しておる。しかもこれに對して今日は民間側からの調整の方法も何もないということは、非常に遺憾にたえないと思います。なおまた、ごく少さな問題でありますが、こういうような、いわば完全なる
官廳統制であるために、
政府の中央部の人々が想像し得ないような、まことに不思議な現象が起きております。たとえば私は秋田でありますが、地方の配電所の出張所あたりにおいて、農村の水揚げだとか、あるいはまた精米のために、ごくわずかの
電力を欲しい、あるいは電燈を欲しいということで行
つても、なかなかいかない。それで結局やむを得ないから酒をも
つていき、米をも
つていくというようにして、しかもそれが幹部でなくて、職員組合の一擔當の者にそれをやらないと、これが動かない。こういう現状です。これは
民主化の逆行です。
配電會社が配電を私するものである。
官廳においてもできないことが、こういうふうなことが行われておる。これはまことに大事な
電力を私するものと言わざるを得ないのであります。これは一町村に限りません。ほとんど普遍的な現象に見えるのであります。安定本部及び商工省はこれに對していかなる處置をも
つてこれが是正をはかるかということについての所見をお伺いしたい。これが第二であります。
第三は、また再び安定本部に歸りますが、なおまたこれは商工省にも
關係します。先般の東北の水害によ
つて重要河川というものはほとんど非常な損害を受けております。先ほどの宮崎縣の問題もありますが、このために
政府は特別に水害
對策委員會を設けて、相當厖大な豫算をも
つて復舊對策と恆久
對策を講ずることにな
つたのであります。しからばこの際に、治水のために相當の金を使うとするならば、十分な
發電能力をも
つておるところの東北の
發電を、この治水、治山のために要するところの經費と
資材を合理的に活用し、かつまた東北の地方開發のために、造田あるいは農地の確保という點から見て、安定本部竝びに商工省において、この
電力の開發と連關して、せつかくの
機會であるから、これを總合的に開發するところの準備をしてほしいと思いますが、それに對する所見であります。この三點について明確なる御
答辯をお願いいたします。