○林(百)
委員 三木遞信大臣の今の答辯に對して、次の質問をしたいと思います。これが正當な爭議でない、無秩序なストライキであつたという理由は、一體中央本部の指令がなくして動いたという
意味なのか、あるいは各組合の指令は受けているのであるが、中央本部の命令がなかつたというのか。それから自然發生的に
中央郵便局あるいは
日本橋郵便局のその
單一組合の指令をも受けておらないという
意味なのか。その指令が中央本部あるいはそれぞれの
單一組合から出ておらない、だから不當だというのか。あるいは
中央郵便局あるいは
日本橋單一組合の指令はあるけれども、中央本部の指令がないから不當であるのかという點が
一つ。それから
官公廳の勞働者が自分の要求を提起するために爭議權は當然ある。
官公廳の
從業員が非常に重要な責務についているというのは、これは皆認めることだ。ですから爭議をすれば、社會的に大きな影響があるということは、これまた當然だと思う。もし全
官公廳の勞働者がストライキをやれば、社會的に大きな影響があるから、ストライキをやることはいつも不法だということになれば、全
官公廳勞働者は全然ストライキができないということになる。もしストライキをさせないほど重要な責任を全
官公廳がとつているということになるならば、ストライキをする必要のないほど
生活の保障を十分にしてやる、責任が重いから
生活の保障を十分してやる。それなら話がわかる。ところがその
生活の保障は、官公吏で特に
遞信從業員ほど
生活が薄遇で、貧困に瀕しておるものはありません。昨日あたり
郵便局に行つても、すでに加配米の五十圓、六十圓の金すら拂うことができない。そして皆今年の暮をどうして越すかということに頭を惱ましている。こんなに
生活がほとんど困窮し盡して、安心して職場に働くことのできないような
生活状態に殘しておきながら、爭議をやれば、大きな社會的影響を及ぼすから、官公勞働者の爭議はいつでも不當だということは一方的だと思う。そういう
意味で、
遞信大臣が今度の
集團缺勤に對して、これを悪質な爭議だと認定した理由は、中央本部からの指令がなかつたからというのか、あるいは
單一組合の指令がなかつたという理由か。この問題と、それからもう
一つは、勞働爭議が悪質であるかどうかということは、勞働爭
關係調整法の四十條を見ましても、
中央勞働委員會の
裁定をまつて初めて認定し、もし
中央勞働委員會がこの爭議は不當であるということになれば、正當な爭議としての保護を受けないということは、勞働
關係調整法の四十條にある。爭議というのはお互いに相手方に對して不利不便を與えるのが爭議である。ですから
官側が勞働組合によつて非常な迷惑をこうむつたから、この爭議は悪質だということになれば、爭議ということはできないことになります。お互に相手方に非常な打撃を與えるように秘術を盡して爭うのが爭議である、悪質であるとか、あるいは爭議權を逸脱しているかどうかということは、一方のけんか相手が認定することではなく、やはりこれは
中央勞働委員會をまつて初めてそういう認定ができると思う。しかるに今度の爭議に對しては、
官側が一方的に、自分が不便で困るからこれは悪質だ、社會に迷惑を及ぼしておるからこれは悪質だといつて、たとえば給料の支拂いを停止するとか、官吏服務紀律を適用するとか、あるいはあらゆる法律的な爭議權の保護を與えないということは一方的だと思うが、この點についてのお考えをお
聽きしたいと思います。