○
中山政府委員 電信、
電話の
現況につきまして一應御
説明いたしてみたいと思います。
まず現在の
電信電話が非常な
戰災を受けました結果、
サービスの低下を來しておりまして、
一般國民の方に多大の御迷惑をかけておりますことはまことに
申譯なく思
つておる次第であります。一應
現況を御
説明するにあたりまして、現在
遞信省といたしまして
戰災をこうむりました
電信電話の
事業について、どういうような
方針で
終戰後來ておるかということを申し上げたいと存じます。御
承知のように
終戰時におきます
電氣通信事業の
施設は非常な
荒廢を來しておりまして、先日
來總務局長から、
豫算その他の
關係につきまして御
説明がございましたような
状況でございます。後ほど個々の問題についても申し上げますので、總括的には省略いたします。これの
復舊にあたりまして、
遞信省といたしましては、まず
戰後の經濟の
復興及びその他
社會秩序の安定をはかります上に、
通信がその
基本となります
關係上、一
應五箇年計畫を立てまして、
豫算といたしましても約五十六億圓を計上いたしたのであります。しかしこの計畫は初
年度、
昭和二十一
年度におきまして十七億九千約十八億の
豫算を施行いたしましただけで、その後の
社會情勢の變化によりまして、これを遂行することが困難となりまして、三年計畫に變更いたしたのであります。ところがこの三年計畫にいたしましても、なおかつ
社會の變動により計畫
實施が伴わないおそれが生じてまいりましたので、さらにこれをまた五箇年計畫に變更するような
状況に立ち至
つたのであります。その五箇年計畫にいたしました理由といたしましては、まずいろいろな計畫の
基本となるケーブルの
生産が、
一般經濟界の
復興の遲れたのに伴いまして、非常な
遲延を來したことが一つの
原因であります。またその他の
補修運用の面におきましても
資材面から
相當の
制肘を受けましたのと、また三年計畫を實行するに伴いまして巨額の
公債發行を必要とするに至りましたが、これも
金融面において至難となりましたので、現在
電氣通信事業として
最低の
復興計畫の
内容であります。三箇年計畫を、五箇年に延長せざるを得なくな
つたのでありまして、現在といたしましては五箇年計畫に基きまして計畫を
實施いたしておる次第であります。また二十二
年度の計畫の概要につきましては、先日
總務局長から
一般的の
説明をお話いただきましたので、この
數字につきましては省略さしていただきます。ただその
方針といたしましては、特に
加入電話の
復舊に重點をおいております。その他計畫といたしまして重點をおいたのは、
戰災都市の
復興と同時に、
戰災を受けません
地方の農村、漁村の經濟力の
復活、また増進のために必要と認める
地域に
通信施設の増置を計畫いたしたのであります。それからまた現存の
通信力を極度に利用するために、破壤されました
通信機器、殊に
高等通信の方式の
復活に重點をおいて、これの
生産及び
施設の増強に力を置いたわけであります。その他進駐軍の
占領目的達成またはこれに順應する必要な
事業、專用の
通信施設も計畫に盛りこんだ次第であります。大體今申しましたような
方針に基いて二十二
年度計畫を實行したわけであります。
それからまず一番重點をおいております
戰災電話の
復舊計畫につきましては、終
戰後直ちに
戰災をこうむりました
電話の
實況調査をいたしました。それに基きまして大體昨年十二月に一應の調査を終了いたしました。その後におきましては
從來からの
復舊計畫を増強いたしまして、大
體復舊電話につきましては、二十二年、二十三年、二十四年の三箇年間におきまして全部
復舊を完了いたしたい
方針で進んでおります。また
一般加入者の利便その他
經濟活動の御便宜のために、
從來認めておられませんでしたところの
電話の所屬局の變更も認めるということにいたしました。
戰時中に
制限をいたしておりました
電話に關するいろいろな
制限も、一應解除して自由にいたした次第であります。それからその後いろいろの
資材その他の
關係から、新しく
電話を架設いたすものについても、また
電話を
復舊いたす
工事についても、非常に費用がかかる
關係上、新しく架設するのと
復舊する
電話の
工事等に
装置料という名目で一率に
料金を徴集するように改めました。
復舊關係の
工事については、一
應重點主義、また
工事の可能不可能な
程度に基きまして
工事を進めている
現状でございます。
その結果、それでは現在までにどの
程度に
加入電話の
復舊ができたか一應御
説明申し上げますと、大體終戰直後における
電話の被害というか、
休止状況は、
戰災による燒失と、また
戰時中における
電話の動員によりまして、約五十八萬の
電話が
休止状態に
なつたわけであります。それを大
體二十年度においては十二萬を開通いたしました。二十一
年度におきましては約九萬を開通いたしました。今年の三月末までに大
體二十一萬から二十二萬開通いたしております。この三月末現在における
總加入者は百七萬でありまして、そのうち現に開通いたしておりますものは約七十一萬であります。その
開通率は約六六%に
なつております。これの全國的の
數字、また六大都市の
數字はお
手もとに差上げてあります
資料によ
つてごらんいただきたいと存じます。
次の現在
電信、
電話の
利用状況はどういう
状況にあるかということにつきまし御
説明申し上げますと、まず
電信でございますが、昨
年度、二十一
年度の
電報の
利用状況は、
有料電報の
發信總數が約六千四百
萬通でございまして、これは戰爭前の
昭和十一
年度の
數字に比較いたしまして、約一割六分の増に
なつております。
電信につきましては
電話と違い、
利用總數において
戰前より
通數が増しておるような
現況でございます。これはお
手もとに差上げてあります
資料によりましても、戰爭中の繁忙な
年度からは減
つておりますが、今申しましたように
戰前より殖えておる
状況でございます。それから
電話の方の
利用状況につきましては、まず
市内通話につきましては、昨
年度一
加入者の一日の
通話數は
平均十度
程度でございます。これは
昭和十二
年度の當時の
利用數から比べますと、約三割内外の
減少に
なつております。これはおそらく
電話をかける先の
加入者の數の非常な
減少も
原因しておると思います。それから
市外通話の
状況は、
昭和十二
年度ごろに比べまして、非常な
減少でありまして、五割減であります。これは先日も御報告いたしましたように、
市外囘線が非常に
戰災をこうむりまして、
利用率が悪いのと、それから今申しました
市内電話加入者の數が非常な
減少を來したために、
利用數も減りましたし、またこちらの
サービスといたしましての
市外線の
利用状況が悪いために、需要に應じ切れないという二つの
原因から、五割
程度に落ちている
實情でございます。それからついでに申し上げますと、本年四月に
料金の値上げをやりましたその影響でありますが、
電報につきましては約一割ほど減
つております。それから
市外通話につきましては、一割八分
程度減つております。これは四月の
状況でございまして、五月、六月の
状況は、
電報につきましては遺憾ながらまだ囘復の
状況を示しておりません。大體四月、五月と少し下
つております。しかしその下
つておる率も、今のところはある
程度停頓の
状況を示しておりまして、まだ
向上線を描いておりません。それから
市内通話の方は、これは五月、六月と同分囘復してまい
つております。これは大體
電報は
通數、それから
市外通話は
通話時數を申し上げたのでありますが、
料金の額から申しますと、
電報の方は
サービスの悪い結果、特殊な至急な
電報を御利用いただいておる結果でございましようが、
料金の収入は
あまり率が下
つておりません。
市外通話の方はもちろん
料金値上率と同じ
程度増收に
なつております。ただいままでにその
利用状況を申し上げましたが、次にそれでは今はどんな
程度の
サービス状況に
なつておるかという
現況を御
説明申し上げたいと思います。これは冒頭におわび申し上げましたように、非常に終
戰後悪い
状況でございまして、これは
終戰前からの引續いての
サービスの
現況でありますが、その後やはり
從事員の心構え、また
施設の
囘復状況の
遲延、
資材、
豫算その他に
制肘されておりまして、できるだけの
努力はいたしておりますものの、まだはかばかしい
改善が行われていないのであります。まことに
申譯なく思
つておりますが、しかし終戰當時なり、昨年と現在と比較いたしますと、ある
程度の囘復の
状況は、
數字によ
つてうかがわれるのでありまして、今後もこの
數字の
改善に
努力いたしたいと思
つております。その
數字につきましても、お
手もとに差上げてあります
資料によ
つてごらんいただきたいと存じます。私
どもといたしましては、この
數字はもちろん
戰前の
サービスに比べまして雲泥の相違がございますので、少くとも
戰前の
程度には一日も早く囘復いたしたいと
努力いたしておる次第であります。これが對策といたしましては、
從事員の養成、それから能率の向上のためにいろいろな訓育をやらなければならぬと思
つております、また設備の
復舊と同時に、現在あります設備も、技術上非常に能率が落ちておりますので、この保守につきましても全力をあげております。現在ある
施設を十分高能率でも
つて利用するようにも
努力いたしております。またいろいろな取扱い方法なりその他につきましても、簡單にまた能率的に
改善すべく
努力いたしておる次第であります。まず
電話の
通話疏通
状況でありますが、
市内通話につきましては、現在
加入者の方が
電話をおかけに
なつて完全に話を完了していただく率が、御利用いただいた囘數の約三一%から三五%
程度であります。つまり十囘おかけいただいて、三囘ないし四囘しか完全に
通話できない、その他は話中だとか、雜音がはい
つて十分に聞えぬとか、なかなか出てこないとかいうような理由で、三一%から三五%
程度しか御便利をいただいてないのでありますが、これは
昭和十一年ごろの成績によりますと、約七五%
程度であります。私
どもといたしましては、この
程度にまで一日も早く囘復いたしたいと心がけております。それからまた
加入者の方が受話器をはずして
電話局をお呼びいただくのに、
戰前は約三秒
程度でありました。また私
ども電話局といたしましても、三秒
程度を標準に能率なりその他
電話の
サービスの保守をや
つてお
つたのでありましたが、現在は遺憾ながら十二秒から十三秒
程度もかか
つておりまして、標準の約四倍以上も時間がロスされているので、まことに
申譯ないと思
つております。それから
市外通話の疏通
状況でございますが、これも先ほど申し上げましたように、向うの
加入者の
電話機の
状況が不良なもの、また
市外囘線の數が少く、またその
施設が
荒廢しておるために能率が悪い。またその交換手の取扱い方法が未熟練であるというような
原因で非常に利用能率が下り、また
一般利用者の方には多大の待合い時分をかけて御迷惑をかけておる次第であります。その實況につきましてはこれもお
手もとに差上げてあります表によりましてごらんいただけると思うのでありますが、これも終
戰後、昨年に比べましてはある
程度の向上は示しておるわけでありますけれ
ども、まだまだ私
どもといたしまして戰爭前の
状況には遠いので、この點も一日も早く囘復いたしたいと思
つております。
それから次に對外
通信のことをちよつと附け加えさせていただきたいと思います。戰爭前には對外
通信網といたしまして、無線
電信その他海底線を通じまして約四十九囘線ありました。それが戰爭
状況にはいりまた終
戰後におきましてはほとんどストツプいたしまして、現在では對米
通信に東京・サンフランシスコ間に
電信囘線が三囘線ありますのと、對英國
關係でコロンボとの間に一囘線その他戰爭中から續いておりますジュネーブ、ストツクホルム、モスクワというようなものも加え、また大阪・パリー間を加えまして大體十囘線に滿たない
現状であります。これはおそらく今度貿易が再開されます結果は、占領軍の指示なりその他援助によりまして、できるだけ早くこの囘線を増加いたしまして日本の對外貿易、また國内の經濟
復興のために支障のないように手配いたしたいと考えておる次第であります。對外無線
電話につきましては現在
一般の
方々には利用されていないと申し上げてよろしいかと思います。それから
電報につきましても今日本人から直接
電報が打てません。これは貨幣の
關係であります。向うの返信料によ
つてわずかに
電報が打てる
現況でありますが、これも貿易再開後には解除されまして、また自由に
電報を打
つていただける時期も近いのではないかと考えておる次第であります。
大體
電氣通信につきまして
一般の概要を御
説明申し上げたのでありますが、まだ技術的その他の
方面につきましては工務側からも御
説明いたさせていただきたいと思いますけれ
ども、工務
局長はちよつと差支えがありましてここに出られませんので、鈴木市内課長が參
つております。御
要求によりまして御
説明を附加さしていただきたいと思います。