○森(三)
委員 政黨法につきましては、とにかくそれをつくることには大體贊成するのでありますが、われわれといたしましては、できるだけ
日本に民主的な
政治が確立するような方向に向
つて、この
政黨法がつくられなければならぬと思います。何かの目じるしがなければならぬというので、
法案の
案文をお示しくださつたのでありますが、これもわれわれの目標としては、こうしたことがあるのも
一つの研究の材料としては非常によろしいと思うのであります。つきましては今後いよいよ
政黨法をつくる段階にはいりますと、各黨それぞれの御
意見も出ることでありまして、相
當活溌な
議論も出るであろうと思いますが、われわれは
大政黨が自己に都合のよいような
政黨法をつくろうとか、現在
議員にな
つて出ている者が有利にな
つて、新しく立候補しようとする者を
制限しようというような
規定は、
絶對に排撃したいと思います。われわれがか
つて議員でなかつた時代に、
衆議院議員の
選擧法の
改正等にあたりまして、新人の進出を阻むような法律がつくられんとしている際、實に非立憲、非民主的であると考えておつたのでありますが、こういうわれわれの受けた經驗から申しましても、後進の者が新しい
日本の民主的な
政治に參畫しようとする希望を破碎するような
法案は、
絶對つく
つてはいけないと考えるのであります。この
政黨法の意義とか
範圍に關しまして、この
案文によりますと、「
衆議院議員候補者を推薦し又は支持する
團體」とあります。すなわち
衆議院は
國民のもつとも直接の選擧された
議員をも
つて構成するから、眞の
國民代表は
衆議院であるという考え方から、こうした
案文ができたのだろうと思います。この
案文をつくつたときには、まだ
參議院はできてなかつたかと思いますが、その後
參議院ができまして、これは全國的であろうと
府縣別であらうと、
國民に直接の
投票によ
つて國民を代表しているのでありますから、從來の
貴族院の性格とはまつたく違
つているのであります。
從つてわれわれは
衆議院だけでなく、
參議院の含めた
政黨法でなければならぬと考えております。そこで、以上のような
意味から、
國會議員を推薦しまたは支持する
團體というような
意味にならなければならぬと思います。もつとも現在においてもそれは
衆議院議員でありまた
參議院議員であ
つて、双方の
議員が
一つの
政黨を支持しておるのが普通の形でありますが、ある場合には
衆議院だけに議席を有しておる者が
政黨をつくる場合もありましようし、または
參議院議員に
所屬する者だけが
一つの
政黨をつくるというような、そうした
變態なものが起きないとは言えないのでありますが、われわれはそうした
變態なものが起きることのないように、總合的に
衆議院も
參議院もともに含めたところの
國民代表であるという、その
國會議員の構成によ
つて政黨法というものを制定しなければならぬと思うのであります。もちろんこの
政黨法の
法案が、
衆議院を通過いたしました場合に、必ずやそれは
參議院の方に囘付されまして、
參議院においても愼重審議するでありましようから、われわれは今からこの
參議院の參加したところの
政黨法をつくるという形において考慮をめぐらさなければならぬと考えております。
次にわれわれは現
在社會黨に
所屬をしておりまして、百四十數名の第一黨を占めておるのでありますが、しかしながら小
政黨の
諸君から、あるいはまた無
所屬の
諸君からは、この
政黨法に關しては相當大きな關心をも
つておると存じますが、これはもちろんわれわれとしましては同感でありまして、かりに
自分たちが無
所屬におつたというような場合、この
政黨法ができたために今後立候補できない、あるいはまた將來におきましても同志を糾合しようとしても、この
政黨法のために非常に阻まれてくる、こういうような結果が起きますならば、これは十二分に考慮しなければならぬ問題であると思います。もちろん千數百にわたるところの多數の
政黨が現在
日本にあるから、これを整理することはすなわち
一つの
制限でありますが、その整理し
制限することによ
つて、新しい
りつぱな政黨がつくられることを助長するのだ、この
政黨法は
制限するのではなくて助長するのだという説明は十分つきますが、しかしながらそれが眞に助長になればいいのでありますが、往々にして
制限するような結果が起きたならば、これはまた
一大憲法違反の
法案とな
つて、後世の批判を受けることは明らかであります。
從つてこの内容にもありますが、前囘の
總選擧の場合に、全
議員候補者の得票の
總數の百分の二を超えるものというような
規定もあります。これは
一つの目安として何らかの限界はつくらなければならぬと思うのでありますが、しかしながらそれが百分の二がいいものか、千分の二がいいものか、これは先般配付されたところの
總投票の數等によ
つて勘案しなければならぬことではありますが、これにつきましては本
委員會の皆さんから、相
當活溌な
議論が展開されることと思うのであります。これにつきましてもわれわれは、こうした
制限をあまりにも嚴重にするようなことは避けなければならぬ、かようにも考えておるのであります。また第一條の第二項によりますと、「前囘の
衆議院議員の
總選擧の
當日選擧權を有していた者の
總數の百分の一以上の
選擧人の連署を得たもの」というような
規定がありますが、これなどはまつたく
一つの形式的な
規定でありまして、これをつくるためには、ある場合には
金錢をも
つて買收するというようなことも考えられるのであ
つて、まことに形式的な
規定であるように考える。こういう形式的な
規定をおくかどうかということも、われわれといたしましては十分考慮しなければならぬ。私一個人の考えとしては、こうした形式的な
規定は削除しなければならぬのではないか、かように考えております。また
政黨である以上は、一定の
所屬議員の數というものが必然的に必要にな
つてくるのでありますが、この
法案では二十五人以上とな
つております。しかし二十五人と言いますと、現在の
政黨では四つ以上にな
つてしまう、
國民協同黨以上のものでしかなくな
つてしまうのでありまして、そのほかの黨は解消しなければならぬというようなことになりますが、二十五人を得るということはこれは容易なことではありません。新しく黨をつくるというような場合には、せいぜい五人あるいは十人くらいの當選者を出すくらいでありまして、もちろんこの二十五人ということについては、多數の
諸君が反對なさるに相違ないと思
つておりますが、われわれから言いましても、これは相當
制限しなければならぬ。しからば一人でもいいのか二人でもいいのかという極端な
議論にな
つてくるのでありますが、その點につきましては、われわれは相當事情を勘案いたしまして、その
人數ももつともつと少數のものでもいいというような方式に出なければならぬと考えるのであります。なお私がこうして發言しておりましても、
内務省の方がおいでになれば私の發言は中止いたします。