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1947-08-22 第1回国会 衆議院 水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年八月二十二日(金曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 青木清左ヱ門君    理事 庄司 彦男君 理事 馬越  晃君    理事 西村 久之君 理事 加藤吉太夫君       加藤 靜雄君    鈴木 善幸君       鈴木 雄二君    藤原繁太郎君       松本 眞一君    宇都宮則綱君       菊池  豐君    川村善八郎君       坂本  實君    多賀 安郎君       内藤 友明君  出席政府委員         農林事務官   藤田  巖君  委員外出席者         議     員 坂東幸太郎君     ————————————— 八月二十一日  飯岡町に船溜工事施行請願寺島隆太郎君紹  介)(第二〇六號) の調査を本委員會に付託された。     ————————————— 本日の會議に付した事件  鴛泊村に漁港築設の請願坂東幸太郎紹介)  (第一六號)  稚内字拔海船入澗築設請願坂東幸太郎  君紹介)(第一八號)  奈良尾漁港修築に關する請願西村久之君外二  名紹介)(第九二號)  臼尻漁港修築に關する請願川村善八郎君紹  介)(第一〇八號)  漁港に關する小委員の選任     —————————————
  2. 青木清左ヱ門

    青木委員長 これより會議を開きます。  鴛泊村に漁港築設の請願坂東幸太郎紹介文書表第一六號、稚内字拔海船入澗築設請願坂東幸太郎紹介文書表第一八號、二件を一括して議題に供します。紹介者の御説明を願います。
  3. 坂東幸太郎

    坂東幸太郎君 本請願の要旨は、北海道利尻鴛泊村には船入澗があつて沖合漁業根據地として、また避難港として利用されているが、港内護岸の不完全と狹小のため、毎年數隻の難船を出し、せつかく漁獲物も、これを放棄している現状である。ついては速やかに鴛泊村に漁港の築設をお願いする請願でございます。  内容を一應簡單に申し上げますと、利尻鴛泊船入澗大正九年稚内築港補助的船入澗として築設せられ、その後數囘にわたり突堤の改修港内浚渫を實施せるのみにて今日に至つたのでありますが、その利用状況の大略を左に申し上げます。  一、利尻禮文兩島における小手繰蛸空釣、すけどうだら刺鋼、鱈及びすけどうだら延繩漁場より最短距離にありますので、これから沖合漁業根據地として、また避難港として盛んに利用されておらるること。  一、留萌港以北稚内港間の中心地であり、また自然の良港のため、唯一の避難港としての漁船竝びに一般運搬船利用されておりますこと。  一、北海道春しん漁獲高の四割を占むる利尻禮文兩島の中心地位を占めておりますので、四、五月の盛漁期には生にしんその他鮮魚運搬船の繋留一日平均百隻以上の盛況を呈しております。  一、利尻禮文兩島においては鴛泊港は最も近距離のため、利尻、禮文稚内三角航路優良寄港地でもあり、また定期船のぜひとも必要なる避難港であり、また小樽、利禮稚内定期船避難港でもありますこと。  前述の通り四期を通じ年を逐うて利用の度が多いのでありますが、現在の船入澗では港内護岸の不十分と狹隘のため左の樣な窮状を如實に呈しつつある現状であります。  一、港内狹隘と水深の關係上春しんわくを全部港外に繋留しなければならないので、しけのため毎年相當量放棄します。殊に本春のごときは、港外わく二十枚繋船中北東強風となり、一夜にして全部放棄しました。約四百萬圓損失。  二、昭和三年四月には二十トン級の鱈釣漁船一隻、昭和十四年十二月には二十トン級の手繰綱漁船一隻いずれも出漁北東強風しけとなり、港澗口附近に至り轉覆し、人命竝びに船體もろとも海底の藻屑となつ事實もあります。  右陳述以外に毎年度數次にわたり損失と惨状をきわめてまいりましたが、別紙圖面のように、新たに外港として鴛泊漁港を築設された曉においては、これらの窮状はまつたく防止され、外港には千トン以上の汽船も自由に繋留でき、わく船もことごとく外港内に繋留されるのみならず、稚内に次ぐ完全なる避難港として利用され、はたまた背面設備においても上水道の豐富と相まつて必然的に増設され、現在約三千萬圓に及ぶ生産をさらに増加し、民心の安定、利用價値をいよいよ高め得ることを確信して疑いを容れざるところであります。以上の理由をとくと御清鑑くださいまして、ぜひとも鴛泊漁港を築設實施せらるるようお願いするのがこの請願趣旨であります。何とぞ御採擇をお願い申し上げます。
  4. 青木清左ヱ門

    青木委員長 當局の見解を聽くことは、他の請願と一括して一番後囘しにしていただいたらどうかと思います。——御異議なければさよういたします。     —————————————
  5. 青木清左ヱ門

    青木委員長 次に奈良尾漁港修築に關する請願西村久之君外二名紹介文書表第九二號を議題といたします。紹介者の御説明をお願いいたします。
  6. 西村久之

    西村(久)委員 ただいま上程になりました長崎縣奈良尾漁港に關しますところの案につきまして、紹介者といたしまして一應御説明を申し上げて、御贊成を願いたいと存ずるのでございます。  長崎縣が全國に冠たる水産縣であることは御承知通りであります。終戰後躍進振りは目覺ましいものがあるのでございます。しかして水産長崎縣生産物中その王座を占めまするものは、實にいわし漁業でありまして、いわし現今全國的に窮迫する食糧事情下において、國民榮養王座を占めておる實情であります。しかるにいわし漁業根據地を求めますれば、長崎縣奈良尾港を第一とするのであります。この天與根據地を有する全町民は、今日の國家非常時の際に遭遇いたしまして、今こそ大資源の豐庫である五島周邊の大漁場に全力を傾倒いたしまして、もつて再建日本の一助として傳來漁民魂を發揮するのときと自負いたしておるものでございます。これによりまして食料問題の解決に邁進する意氣はますます高まりつつあるのでございます。さらに奈良尾漁場根據地として特點を有しますことを上げてみますれば、五島周邊漁場への最短距離地位が位しておるということと、九州本土への最短距離に位いたしまして、鮮魚運搬上最も有利な地點にあることなどをあげ得られるのであります。奈良尾港におきますいわし網業は、發祥以來百年の沿革を有し、町民はこれとともに興亡幾變遷、その生活はもちろん、町内各般施設はあげていわし漁業に依存し來つておるのでございます。いわし網は本町における生命線であると申し上げても過言ではないと信ずるものでございます。しかるにいわし網根據地たる絶對的要件といたしまして、漁港設備萬全を期すべきは諭をまたないところであります。奈良尾港を海岸線の灣入に乏しいため天然良港たる資質を缺き、その上風浪はなはだしい箇所でありますので、往時よりこれが對策に最も腐心をいたし來つておるものであります。その間港灣設備不完全のため船舶損失はなはだ多く、現今漁業資材不足折柄、國家的にも大いなる損失と言わなければなりません。加うるに漁業増産支障を來しつつある點につきましては、まつたく由々しい問題と思うのでございます。要しますのに生産の面を重視いたし、それに必要なるところの設備資材を積極的に配備するために、ここに切實なる要望をお願いしなければならないのであります。  近世におきまする當港設備いわし關係を述べて見ますと、頭初は人力を用いたいわし網操業いたしたのでありますけれども時代變遷とともに、今日では機械力利用する操業の方法をとつてまいつております關係上、港の利用につきましても相當なる考慮を拂つて修築の急をなさなければならない次第と相なつてまいつているのでございます。現在の防波堤昭和四年、颱風の襲來を受けまして倒壞いたしたのでありますけれども災害復舊に著手いたしまして、縣費の補助を得て昭和五年に工事が落成し、その頃は未だいわし漁業發達も遲々として進まなかつたために、防波堤復舊も文字通り舊態に復するの範圍を出でないようなわけであつたのであります。しかるに昭和六、七年頃から、いわし網がさき申しました通りに、機構に一新紀元を畫する現在の片手まわしの出現を見るに至りまして、漁況は活發化するに至つたのであります。ここにおいて操業機械力を用うる結果、能率の増進はとみに現われてまいりました。漁況は活發化するにいたつたのであります。從いまして入漁船あるいは鮮魚運搬船の輻輳がはげしくなりまして、港内はますます狹隘を告げてこれら船舶を收容するのに、現在の状態では收容しきれない實情になつているのでございます。それで昭和七年時局匡救事業といたしまして、漁港設備事業縣及び農林省の指定するところとなつて、工費十二萬圓をもつて、縣營により昭和七、八年度繼續事業として工を起しまして、昭和年度に一應工事の竣成を見たのでありますけれども、その際におきましてなお大々的の計畫をもつて從來防波堤沖合に受波止と言いますか、新防波堤の計畫を立てておつたのであります。しかしながら事變に入りまするや、あらゆる惡條件に阻まれましてこの計畫の竣工を見るに至りませず、今日に及んでいるような實情でございます。かような實情で、戰爭中いわし漁業が一時停頓いたしまして、ほとんど徴用等關係から操業船が徴發されまして、漁業に從事する船は減つてまいつたのであります。その際におきましては、狹い港でありまして、まず苦が忍ばれてまいつたのでありますけれども終戰以來水産物食糧事情緩和のために重要性のあることを國民ひとしく認識するところとなり、一齊にいわし網漁業者が殖えてまいりました今日におきましては、これを收容するに現在の港では、不完全と申しますか、ほとんど不可能の状況下におかれておりますので、漁港修築の必要を訴えるように相なつたわけでございます。この漁港内容その他工事關係等につきましては、明細なる書類は本省の方に提出されているものと信ずるのでありますから、本委員會におきまして何とぞ右申しました事情、御賢察の上に、本件の御採擇あらんことをお願い申し上げると同時に、大衆食糧緩和に最も寄與貢獻大なるいわし漁獲増進を努めてゆくことに、御加勢願いたいと存ずるのでございます。簡單でございまするが紹介者として一應説明いたしておきます。     —————————————
  7. 青木清左ヱ門

    青木委員長 次に臼尻漁港修築に關する請願川村善八郎紹介文書表第一〇八號、紹介議員の御説明を願います。
  8. 川村善八郎

    川村(善)委員 紹介議員といたしまして一應簡單に御説明申し上げておきたいと思うのであります。本港は北海道南部茅部臼尻村にありまして、内噴火灣、すなわち砂崎と惠山竝びに室蘭尻失、この四つの岬を結んだところの中間にあります太平洋岸に面したところにあるのであります。大正七年駒ケ岳爆發當時、同地方は非常に大きな災害を受けましたので、その災害復舊工事として、ささたるところの船入澗が築設されたのでありますけれども、その地方漁業に即せざる、すなわち形ばかりの船入澗でありまして、もちろん今日の漁業状態には副わないところのものであるのであります。當方面の主たる産物は、いわし、まぐろ、いか、さば、たら等でありまして沿岸漁族を主としたところの漁業を經營しておりまして、當時でありますならばその船入澗で滿足しておつたのでありますけれども、今や機械船も大きくなり、しかも大いに増産をはかりまして、食糧解決を助けなければならぬときに至りまして、本漁港に入るところの漁田開發を急速に必要とする場合、本漁港擴大強化をはかりましたならば、二、三漁田開發竝びに太平洋沖合に出ますところの沖合漁業發展の基地となることは明らかなのであります。從いまして現在の船入澗を擴大いたしまして、漁港修築をしていただきたいというのが本提案趣旨であります。  陸上の關係を申しますならば、まず本村に一番近い所は廉部村でありましてこれに通ずる立派な道路が約三里半ほどあるのであります。さらに函館に通ずる目下計畫中の赤川道路もありまして、この道路ができ上つた曉には、函館にはわずかに四里で結んでいるという非常に有利な點もあるのであります。また内地方面輸送に船をもつてするならば青森八戸は内噴火灣のすぐ眞向いになつておりまして、これらの輸送の便も非常にいいのであります。ひいては八戸もしくは青森から汽車をもつて東京都竝に各大都市への食糧輸送にも非常に便利な所でありますので、漁業方面からいたしましても、また六大都市に對するところの食糧問題からいたしましても、この漁港修築は最も有利だとかように考えましたので、私も紹介者の一人となりまして提案をしたような次第であります。何とぞ委員各位の御協力によりまして、ぜひこの實現いたしまするようにお願いいたしまして、紹介者説明といたします。
  9. 青木清左ヱ門

    青木委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止
  10. 青木清左ヱ門

    青木委員長 それでは始めます。まだ拔海船入澗築設請願について説明がないそうでありますから、坂東君。
  11. 坂東幸太郎

    坂東幸太郎君 北海道稚内大字拔海港は純漁村でありまして、その使命を果しつつありまするが、天然港形利用しつつあるためにその發展が遲遲として進みません。前面一帶は利禮兩島により一大水道を形成し、道内有數の諸魚族集中通過の海田を控えておりながら、春秋冬期の荒天に、幾多貴重の生命財産を喪失すること一再ではありません。ために機船發達進まず、今なお帆船を主に使用するゆえに、收獲は船數人數の割合にあげられず、現在戸數百八十戸、人口千百二十人、發動機漁船數隻川崎漁船四十餘隻にして春にしん漁を主とし水産年額總計二千萬圓内外でありまして、一朝船入澗の築設を見んか、春にしん現時の二倍の生産を、秋冬期のたこ、冬期のたら、かには五倍乃至十倍の生産を、また手繰網冬春鈞魚の勃興はもちろん、四季を通ずるその他の諸魚族漁業發達を促進し、その水産額は數倍に達するは漁業體驗者のひとしく稱するところであります。現時冬期間流氷に災いせられまして、出漁休止となる稚内港の漁船拔海港避難し、繰業と陸揚げをなし、また流氷時中、年により航行を遮斷せられる稚内利禮兩島定期航路も副港として利用し得べく、目下拔海港拔海驛間二キロ餘は輕便軌道著手準備中でありまして、陸運の便も連絡完備となり、一石二鳥の效果を生むものと確信せられます。北海道開發眞使命の一端を擔いもつて國家復興再建に貢獻し新日本建設に資するものが多大であるということができます。本請願昭和十八年第八十一囘帝國議會以來、引續き請願委員會に採擇せられており、當時道廳港灣課長平尾技師時代拔海港船入澗の實測をなし、設計立案せられたる由仄聞せられております。よつて早急拔海船入澗築設相なるよう、第三期拓殖計畫に計上方特段の御高配を煩したいという請願であります。何とぞ御審議の上、御採擇をお願いいたします。
  12. 青木清左ヱ門

    青木委員長 農林當局の御説明を御願います。
  13. 藤田巖

    藤田政府委員 この機會漁港修築事業從來からの經過、將來に對して私どもの考えておりますことを申し上げまして御参考にいたしたいと考えております。從來漁港修築事業というのは、國庫から大體補助いたしましてこれを實施しておるのであります。漁港修築事業大正年度から、船だまり設備事業大正十四年度から、補助事業として開始して現在まで續けてまいつておるのであります。その間國の豫算として計上いたしましたものを御参考までに申し上げますと、漁港については災害關係豫算を含めまして大正年度から昭和二十一年度まで全部含めて考えますと、漁港は四千三百五萬一千四百七十五圓、船だまり大正十四年度から昭和二十一年度まで含めて計上いたしますと、六千六百十萬九千八百五十一圓、合計いたしまして昭和二十一年度までに一億九百十六萬一千三百二十六圓、この金が漁港關係として出ております。昭和二十二年度には、災害關係を含めまして、漁港では三千萬圓、船だまりでは四千萬圓合計七千百萬圓ほどになつております。すべてのものを通算いたしますと、漁港關係で七千四百三十萬圓、船だまりで、一億六百萬圓合計約一億八千萬圓であります。現在までに補助いたしてまいりましたのが、補助指令件數では昭和二十一年度までの漁港關係が二百三十三、補助實口數が百三十九、船溜の方では、補助指令件數が千四百二十二となつております。もちろんそれらの數字の中には北海道關係のものは含んでおりません。北海道從來拓殖事業として別に内務省で計上されていた關係上農林省ではやつておりませんが、本年度から農林省において北海道も合せて行うことになりました。こういう状況でありまして、漁港船溜に對する補助は、金額において非常に少くなつております。從來たくさんの漁港に對する陳情請願がございますが、わずかばかりの金を各府縣にばらまいて、それによつて一時的な、彌縫的な工事を進めていくという、状態になつておるのであります。私どもといたしましては、生産の基礎である漁港、船だまりにつきましては、もつと積極的に大きな計畫を立てまして、それによつてもつと大きな豫算を要求して、水産業發展に即應した施設を行つてまいらなくてはならぬということを痛感いたしておる次第でございます。  御參考までに昭和二十二年度公共事業費事業別の内譯で、水産がどの程度出ておるかと申しますと、災害を全部含めまして水産關係公共事業費は九千二百萬圓であります。それを他の部門のものと比べますと、たとえば運輸省港灣關係におきましては三億四千九百萬圓農林省農業開拓關係におきましては四十億圓であります。河川改修につきましては十二億圓であります。道路については五億六千五百萬圓というように、ほかの公共事業費に比べますと、非常に水産が少いということを痛感いたしておる次第でございます。將來の問題としては、私どもといたしましては、大體水産復興の五箇年計畫というようなものを立て、それに對應しての漁港船まりの五箇年計畫を立ててまいりたい。そうして水産業根據地として必要である漁港、船だまり復舊改良竝びに新設といものに邁進をしていきたいと考えておるのでります。御承知のように漁港、船だまりには、戰災をこうむりましたり、または戰爭中放任をされておりましたために著しく能力が減退をしておるものもございます。これらを復舊いたさせなければならぬ。なお船がだんだん大型になつてまいるので、將來の問題としては、各種の沿岸漁業の急速な振興というものが期待されなければならぬのであります。さらに日本は他にもはや領土をもつことができない現状でありますので、どうしても遠くへ出漁をいたしますためには、母船式漁業開拓ということが考えられなければならない。それからまた終戰後前進及び避難のための根據地が相當なくなつております。こういうものを復舊しなければならぬ。いろいろ考え合わせまして、われわれとしてはできるだけ漁港網を普及いたしまして、漁場との距離近接化をはかつていく、また漁船資材を適正かつ能率的に利用して、漁船の遭難を防止し、出漁囘數を増加し、作業時間の延長をはかり、陸揚げ處理の改善によつて水産物食糧化の實を増していくというふうな計畫を立ててまいりたいと思つておるのであります。     〔速記中止〕  なおこの計畫については一方また資材方面とのにらみ合せもしなければならぬと思います。セメントその他の割當等についても非常に窮屈になつておりますので、私どもとしては、われわれの計畫しておることがはたして實現できるかどうか、財政資材その他の關係から相當困難な點があろうかと存じております。少くともわれわれとしてはこういう計畫をもつて方面にも折衝して、できるだけ必要な漁港、船だまり豫算については、われわれとしてはこれを確保して、急速に漁港船まりの改良、浚渫を進めてまいりたいと考えております。
  14. 川村善八郎

    川村(善)委員 ただいま藤田水産局長の御説明によりまして大體御計畫の腹案だけは了承することができたのであります。もちろん財政資材等がこの計畫の實現に對しては相當な役割をもつだけに、われわれは關心をもたなければならぬのでありまして、國状がかようなことになつておる場合、相當困難性があると思うのであります。しかし一方飜つて設備機械關係であります。私は北海道におりまして聞くとろによりますと、資材あるいは資金等こがありましても、設備機械等が充實していないので、場合によつて豫算資材をいただいても、それを使いはたすことができないようなこともあると聞いております。少しこまかい例を申しますと、港内の岩とか暗礁等を除去するにも、岩の掘鑿に對しては、まず港口を封鎖して水をかいて掘鑿をしておつた。しかしそれでは時間がかかるので、機械で水面上から掘鑿ができれば、簡單にもできるし、經費もかからないということを聞いておりますが、その機械がないために、遺憾ながら豫算はあつて掘鑿ができないので、港を狹くして使つておるというようなことを聞いておりますが、機械その他の設備について豫算をもらえた場合には、支障がなくその仕事を果すことができるかどうか、その點をお伺いしたいのであります。
  15. 藤田巖

    藤田政府委員 ただいまのお話はまことにごもつとものことであると考えます。私どもとしても、現在機械も非常に少く、そのためにせつかく掘鑿ができないということを痛感いたしております。これはまたわれわれとしても、できるだけそういうふうな機械を入手するという問題について努力してゆきたい。なおございますところの機械漁港、船だまり浚渫方面にもできるだけ利用するというふうにしたいと考えます。
  16. 菊池豐

    菊池(豐)委員 運輸省方面で三十一億とか内務省開拓方面で四十億とかいう非常に厖大な豫算をとられておるのに、水産局の方でさつぱりとつてもらえないということは寒心にたえないと思います。殊に御説明のうちにもありましたが、セメント割當についてどの程度の見透しをおもちになつておるかということと、金融制度についての何か特別の確たる御信念が當局においておありになるか、この二つの問題が、かりに豫算とつたとしても漁港修築の進捗を阻む隘路になつておる重大な點だと思います、この點について御説明をお願いします。
  17. 藤田巖

    藤田政府委員 資材關係で一番窮屈なものは、お話のございましたセメントでございます。これにはなかなかわれわれといたしましても苦勞いたしておるのであります。大體セメント需要量の四分の一程度しか手に入つておりません、そうして今後の増加については、あまり多くを急速に期待することはできないというふうに考えておるのであります。なお今後セメントの問題についても私どもとしては非常に窮屈な事情にあるのでございますけれども、これは漁港修築計畫ともにらみ合せまして、必要な所要量をできるだけ確保するように努めてまいりたい。そういうふうに思つておる次第であります。  それから金融の話が出たのでございますが、大體漁港修築はわれわれの方では都府縣事業として行われるもの、それと市町村または漁業會事業として行うもの、こういうふうに二色あるのであります。大體四割程度國補助をいたしまして、その殘りを縣が一割、地元が五割、もちろんこの率はまたそれぞれの場合によつて違うだろうと思います。そういうふうなことでやつておるのであります。今の國庫補助については、指令がありましたものについては金が出るのでありますが、現實問題としては、いろいろ地元において大きな負擔があるわけであります。この方面の金の工面ということもしなければならぬと思います。私どもとしてもできるだけのごめんどうは見たいとは思つておりますが、現在の金融事情から、現實問題としてはここまで手が伸びておりません。結局地元において確實にその計畫の立つもの、實行の可能なものを選んで、それをさきに進めていく。できるだけ金がなんとかできていくようなところから進めるという程度でやつておるわけであります。今の金融の問題については將來の問題として、從來むしろ地元の力のあるところだけしかやれないで、現實に國として必要なところで、地元において力のないものはいつまで經つても行えないという現情にあるのでありまして、その點は再檢討を加えなければならないと私は思つております。從つてこれはまた私個人の思いつきでありますが、どうしても國としてやらなければならぬもについては補助率をうんと上げる。それ以外のものについては補助率をいろいろ變へていくことによつて、國としての漁港計畫をできるだけ完成していくというふうに進めてまいらなければならぬのじやないかと考えておる次第であります。
  18. 西村久之

    西村(久)委員 漁港の過去における修築状況なり、今後における政府當局の御試案は、ただいま水産局長からお話しを伺つたのでありますが、そもそも今日まで水産方面にあらゆる關心が鈍かつたために、過去における漁港修築等が遲々として進まず、豫算をよけいにもらうことかできなかつたというような結果に相なつておることを私は痛感いたすのであります。今囘私ども水産國民として、水産をもつて國家を立てていかなければならぬという念頭のもとに、農林省の一部にある水産局を昇格して一擧に水産省として力ある大臣をおいて、水産の助成に當らんとする意圖も、今水産局長からお述べになりましたような關係の、過去におけるあらゆる部面を是正するために起ち上つておるようなわけでございます。それを水産省を設置する前提として、水産廳をつくらんとするその矢先きすらも、いろいろ黒影暗礁があることは、この委員會においても御承知通りであります。私どもは今まで議會において水産という問題がほとんど論議されておらなかつた。從つて存在を認められておらなかつた。その結果が漁船なり、あるいは漁船の建造なり、あるいは漁港施設なりの費用等がもらえなかつた一大原因である。かように私は實は痛感いたすのであります。今局長のお話のごとく、今日四十萬圓程度のものが、二十三年度以降の五箇年計畫に基く費用は、一年に十二、三億を要する計畫の案で進みつつある。こういうことにびつくりする必要はないのではないかと思つておるのであります。十三億が十五億いりましても、今日食糧問題の解決に最も重大なる役割を果し、なおかつ日本水産將來の洋々たる眞價を考える際に、びくつく必要はないと考えておるのであります。過去における大藏當局の頭も、多少は水産を認識されておるのではなかろうかと考えております。のみならず金融方面の議論が出ますると、新圓は漁村方面に退藏されておる。あるいは新圓の多くは漁村方面にあるのであるというような聲すらある今日であります。今日の漁業關係、漁民諸君の負擔するところの税額たるや、莫大な額に達しておるのではないかと私は思つておるのであります。漁民に相當なるところの犠牲を拂わせ、しこうして今後漁民が水産増産のために一はだ脱いで起上ろうとする際に、漁民の宿所とも申すべき漁港、船だまり船入澗修築に十億や二十億を消費することは當然過ぎるほど當然なような感じが私はいたします。從いまして、二十三年度以降の漁港船入澗あるいは船だまり修築工事費につきましては、水産當局におかれても萬全を期して、大藏當局の納得のいくように御加勢を願いまするとともに、私ども水産の常任委員といたしましても、わからなければ大藏關係の常任委員會等とも合議いたしまして、そうしてこの水産の助成に努力をしなければならないかと實は考えておるわけであります。はなはだつまらない話でございまするけれども、今後水産當局の猛省をうながしまして、水産の振興に寄與いたしたいと考えまするために、一言申し上げた次第であります。
  19. 藤田巖

    藤田政府委員 お話はほんとうにごもつともでございまして、私どもといたしましても、今後一層この問題について力を注ぎたいと考えておりますので、何分の御援助をお願いいたしたいと思います。     —————————————
  20. 青木清左ヱ門

    青木委員長 八月二日議長より承認されました漁港の再開状況及び復興状況調査に關する事項竝びにただいま上程されております漁港に關する請願、その他今後提出されるであろう漁港の築設竝びに修築請願竝びに陳情等を審議するための漁港對策小委員會を本委員會に設けたいと存じますが、御異議がございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 青木清左ヱ門

    青木委員長 御異議がなければ漁港對策小委員會を本委員會に設けることとし、委員の數は十名、委員の氏名は委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 青木清左ヱ門

    青木委員長 御異議がなければ委員長より小委員の指名をいたします。    庄司 彦男君  加藤 靜雄君    鈴木 雄二君  三好 竹勇君    菊池  豐君  小松 勇次君    西村 久之君  川村善八郎君    森 幸太郎君  多賀 安郎君 以上十名を指名いたします。     —————————————
  23. 青木清左ヱ門

    青木委員長 次に水産金融委員長より中間報告を求めます。宇都宮君。
  24. 宇都宮則綱

    ○宇都宮委員 御報告を申し上げます。  先般本月の二十日に水産金融委員會を開きまして、水産當局からただいま各委員に御配付をいたしました製氷冷凍工場建設資金竝びに水産關係事業資金計畫、漁船建造資金というような、お手もとに差上げてあるような參考書類をちようだいいたしまして、小委員におきましてこれを愼重に審議いたしました結果、無修正のままこれを全委員にお諮りいたしまして決定をいたしたいと思うのであります。そこでこの案そのものをそのまま小委員會では認めまして、本日これを水産委員會に御報告を申し上げます。これを水産委員會によつて御決定を願いたいと思うものでありまする。以上が小委員長の中間報告であります。
  25. 青木清左ヱ門

    青木委員長 ただいま水産金融委員長より農林當局から提出されました漁船製氷その他に關する資金計畫について、本委員會にこれを移牒し、十分審議を盡されんことを御要求に相なりました。この問題に關し各位の御討議竝びに御質疑をお願いいたします。
  26. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいま小委員長より御報告のありました通り水産金融計畫につきましては、當局提示の案を採擇いたしまして、今後これが改善に全力を盡して當たる必要があると思うのでありますが、できるだけ早い機會に大藏、安本の關係當局の出席を求めまして、水産金融につきまして、本委員會の檢討いたしました結果を十分趣旨の徹底をはかり、これが實現をはかりたいと存ずる次第でありますので、委員長においてできるだけ早い機會水産金融に關する問題を討議いたします委員會をお開き願いたいと存ずる次第であります。なお附け加えたいことは、すでに産業資金計畫につきましては閣議において一應の決定を見たということを仄聞いたしておるのでありますが、その決定の内容を、新聞紙上に發表されましたものを基礎として檢討いたしまするに、小委員會が檢討いたしました結論とは大きな隔りをもつておるわけであります。これにつきまして、閣議にはおそらく農林當局からも御出席の上で、いろいろ農林省としての御要求をなさつたと思うのでありますが、その經過竝びに結果を井上次官もお見えになつておりますから御報告いただきたいと思うのであります。
  27. 青木清左ヱ門

    青木委員長 ただいま鈴木君からお申出のありました安本長官竝びにこれに加えて大藏當局に對して、水産金融問題に對する質疑を、適當な機會に行いまするよう委員長において取計らうことを了承いたしました。
  28. 藤田巖

    藤田政府委員 これはこの前の小委員會のときにもお話いたしたのでございますが、われわれといたしましては、當初は非常に厖大な數字でございましたが、少くともぎりぎり一ぱいの漁船建造につきましては、その一億五千萬圓と、それから前期からのずれ、これは二億五千萬圓——これはわく外でもいいから、わく外として認める、合計いたしまして四億認めていただきたい、ほかに製氷、冷凍關係で五千萬圓認めていただきたい。こういうふうな要求を最少限度の要求としていたしておつたのでありますけれども、これがどうしてもだめだということになりまして、結局一般の船舶、それから製氷關係を含めまして一億五千萬圓、こういうふうになつてきたのであります。最後まで私どもが考えておりましたのは、これではとうてい賄えないから、二億五千萬圓の前期からのずれは、どうしてもわく外から認めるということをはつきり書いてもらいたい、そういうことを要求をいたしたのであります。これはずつと要求を續けておつたのでありますけれども、大體その趣旨は安定本部においては了承されており、また大藏省においても一部の人はそれを認められておるのでありますけれども、どうしても資金計畫としては、それ以外にありようはずがない。このほかにわく外というようなものがありようはずがない、それを特にわく外からいくら出すということを明示することはできない。こういうふうな事柄から、閣議で決定いたしましたものには、本計畫は一應大體の基準を示すものである。それからなおどうしても必要なものについては、これを科目間の流用によつて適當に處置する、こういうふうな備考がついて閣議を通つたわけであります。私どもといたしましては、今なおその點ははつきりいたしませんことについて遺憾を感じております。實際問題としては非常に遺憾に感じておりますが、この問題については、なおわれわれといたしましては、一億五千萬圓というわくを、きわめてそう切り詰めたものと考えずに、必要なるものはこれを要求をしていく。そうして一億五千萬圓を超える場合でも、どうしても必要なものは具體的な案件として要求していくということによつて、今後資金調整の會議、復金の懇談會の方には、極力折衝していきたいと思つておるわけであります。これが第一四半期がやはりそういうふうな状況になりまして、われわれとしては、どうしても足らないというのを、一應三億ということでわくは切られたのでございますが、現實問題としては、それではとても足らないということで要求いたしました結果、わくは三億でも現實は四億七千萬圓ぐらい出してもらつておるような状態であります。今後はどうしても必要なものはわくにかかわらず要求していくということで、實質上支障のないようにしてまいりたいと考えておる次第であります。
  29. 青木清左ヱ門

    青木委員長 本日はこれにて散會いたします。次會は會報をもつて御通知いたします。     午前十一時五十九分散會