○川村
委員 私は
質問のしんがりだと思いますので、今日まで二日間にわたるところの各
委員の質疑に對しましては、
政府當局からの御説明がまことに懇切丁寧でよくわかりましたことは、御禮申し上げる次第でありますが、ただ私の言わんとすることは、たいがいのことは各
委員によ
つて述べられておりますし、
夏堀委員によ
つて殊に私の聽かんとするところは盡されておりますが、一、二腑に落ちないところがありますので、あとで附け加えてお伺いしますが、まず私は今日まで自分が郷土におりまして、定置
漁業を初め、各種の
漁業をや
つておりますのと、
水産物の製造加工も直營しております。かつ
漁業會その他
漁業團體の數種の
團體に
關係しておりますので、その體驗を二、三實例を申し上げ、かつ
私見を申し上げながら
質問をしてみたいと
考えるのであります。
今日
漁民は口を開けば
魚價が安いと言
つております。なぜ
魚價が安いと叫ぶかといいますと、今日の
漁業經濟と
魚價はつり合わないのが當然でありますが。その
魚價の
政府發表が時期を失
つておるという
事實も、否まれない
事實として現れておるのあります。殊に終戰後今年の三月頃までにはそうした
ような實例がたくさんあ
つたのでありまして、これによ
つて漁民は非常な損害もしており、かつ迷惑もしており、また
漁民が價格が引合わないために
生産意欲を失墜して増産が阻まれ、なお増産したものが價格が引合わないために
出荷もにぶるという
ようなことから、消費者大衆に非常な迷惑をかけている
ような實例もたくさんあるのであります。それを何とか解消いたしまして、ここに
生産と消費を一日も早く結びつけていこう。そういう
ような
方法をとらなければ、違反だと言
つて犯罪にな
つて漁民が損害を蒙
つたほかに、さらに非常な迷惑をしているという
ようなこともその例が少くないのであります。
從つて適正な價格を見出したならば、時期を失しない
ように、いわゆる漁期の前にこれを速やかに
發表していただくということが、最も適當な
方法ではないか、もしその時期を失するならば、適正な價格であ
つても
漁民の手を離れ、また
生産者の手を離れてしま
つてからの
發表であるから、
生産者の利益がない。すなわち今日の
經濟の苦しみを脱却することができない。か
ように
考えるのであります。その最も近い例を申し上げますならば、三月以来數囘にわた
つて新聞紙上に、載
つておるところの森
漁業會の
やみの問題であります。これらも實相を
お話すればよくわかるだろうと思います。實は私はその
責任者として資料を今集めつつあります。私の留守中にできたことであります。私は昨年以來北海道
水産業會に常務
理事として常勤をしておりますので、その留守中に常務
理事の方が、役員會を開いてその
行為をしたのでありまして、その
行為は決してよいとは言いません。だがやむを得ざる事情において
生産と消費と、それからその中間に立
つて行為ををやれたのであ
つて、
實情を御調査願われれば、決して惡意でなか
つたということが明らかとなるのであります。その
數字をあげますならば、まず煮いかの問題であります。これらは現在も價格がありません。そして過去の舊法におきましては、その他の製品という項目がありまして、これは
鮮魚の價格として取扱う。か
ようにな
つております。御承知の方もありまし
ようが、森を通ればあそこにいか飯と言
つて非常に社會から賞讚されおります。あのいか飯というものは、煮たいかにご飯を詰みて味をつけて食用として、二匹くらい食べると結構腹を滿たすことができるという
ような獻立にな
つております。非常な
食糧の不足な時期に貢獻をしておるものであります。そのことを私は思ひまして、まず天氣の惡い時分にはするめができないから、どうしても處理の便法であるし、また
食糧化するに一番都合がいい。殊に燃料の不足なところの
大都市に即刻食べられるところの製造
方法は最もいいというので、するめのできない雨降りとか曇天の場合には煮いかを將勵して拵えたのであります。もちろん内贓を抜いております。きれいに洗浄しまして、そして鹽水のきれいなもので、しかも鹽味をつけてすぐにでも食べられる
ような製品とな
つておりますので、優に市場の價値とすればするめ以上の價値のあることがはつきりしておるのであります。でありますけれ
ども、價格が制定をされておらぬので、
鮮魚として、すなわち一貫目十五圓として取扱われた。そういうことから約一千萬圓近くの
やみか構成されたということにな
つております。それからするめの問題でありますが、これらも
東京の小賣市場を見ますと、一枚十圓あるいは少し大きいのは十二圓、安くても八圓という
ような——あれは
東京都の
公定價格かもしれませんが、われわれ
生産者から見るならばまことに遺憾な價格である。か
ように
考えております。私らの製造加工しておりますところのするめは、あのするめでありますならば、現在一千七百八十圓になりましても、一枚三圓より原價がつきません。もちろん舊價格の九百三十七圓でありますならば、あれは二圓よりつかないのであります。そのものが
東京都へ來まして八圓乃至十圓の價格に販賣されておる時分に、これを見た
生産者がどう思うかということも
一つありますし、それのみならずとにかく價格の妥當でなか
つたということは、その他數種をあげて私が申し上げるとよくわかるのでありますが時間の
關係上ただ私はこの二點だけを申し上げます。そしてするめの價格も昨年の春には大體五百三十七圓という
發表をした。ところが一匹も集まらなか
つた。そこでまた九百三十七圓という
發表が出た
ようであるますが、われわれの要望は千五百圓を主張したのでありますけれ
ども、いかなる場合でも千三百圓乃至一千四百圓にしていただきたいという要望であ
つたのであります。それを無理やりに
生産者の要望をいれずに、九百三十七圓という價格を制定したので、これまた
集荷がほとんどできなか
つたのであります。
從つてその
集荷のできないという状況につけ込んで、各
方面から
やみ屋といいまし
ようか、ブローカーといいまし
ようか、どんどんはい
つて、横流しをした。これらについてわれわれ業界すなわち
生産者の
責任をも
つているものは黙
つていることができないので、何とかこれを抑えて全
集荷をして、これをでき得るだけ安い價格で消費者に商いをし
ようという
考えから、そこに役員會に諮
つて消費地の
荷受團體ともさらに相談して良心的價格でそれを販賣したというのであります。今日價格が改訂をされて、あけてみまするというと、煮いかは大體まだ決定しておりませんが、
當局の
意見で大體六十五圓、それからするめは千七百八十五圓にはつきりこれが公定をしております。そのものを
數字をあげて計算してみると、優にまだ六百萬圓以上も私らの方にもらわなければならぬ。その時期を失したためにこうした
ような犯罪も構成し、世間に御迷惑をかけ、しかも
生産者がこれあることによ
つて生産意欲が失墜いたしまして、われわれ
生産していいかどうかわからぬ。
從つて今後われわれはどうも
漁業會に出すというと、結局公表され、しかも儲けた
といつて税金を高くとられるということになれば、ますますわれわれの
經濟バランスがとれないのだから、これはわれわれは
考えなければならぬじやないかという
ような空氣があるのであります。このことは私に直接
關係のあることでありまするけれ
ども、これらを掘り下げていきましたならば、全道の
漁業會はもちろん、私は日本全國の
漁業會、すなわちそうした
ような
團體、
荷受團體にあると思います。決して私は他の
團體を責めるとは申しません。私の方の
漁業會の問題に限
つては、でき得るならばこの眞相をつまびらかにして、その
當時の
行為がかりに法に反しておりましても、これが良心的であ
つたかないかということを究わめて、そして法を司るところの
當局に何とか
方法を講じてもらうためには、農林
當局、今度は物價局もできましたので、物價局の
當局、さらに司法
當局あるいはG・H・Qの
當局とも私は懇談したいと思いまして、資料を今蒐集中であります。その資料ができますれば、追
つてあなた方の御
意見を拝聽したいと思いますが、この點において何とかお取計らいを願いたいと思います。どうか今後適正價格の制定はもちろんのことでありますけれ
ども、その價格を認めた場合には、時期を失しない
ようにどうかお願いしたい。この點をまず一點お願いします。
それからさらに、
鮮魚の價格は非常に直しやすいのでありまするけれ
ども、製品の價格はとかく延びる。私に言わしめるならば、
鮮魚の價格が變るならばもちろんこれはすぐ製品の價格も變
つてまいらなければなりません。それから今日抜打ち的に鐵道の運賃が上がりましたが、こういう場合も立ちどころに
生産地の價格も
消費地の價格も増さなければならぬ、その間相當の距離があるならば、これまた先ほど申し上げた
ような事情に陥らざるを得ないとも限らないのでありますから、この製品の價格の制定に對しても、どうか速やかに時期を失しない
ように願いたい價格のいろいろの面におきまして、一々例をあげますれば時間も長くなりまするので、それはさらに懇談的に
當局にも
お話し申し上げまするが、
鮮魚の價格にしろ、あるいは製品の價格にしろ、いずれにいたしましても、周圍の事情が變
つてまいりまして改訂する時期には、適正の價格の生み出しと、さらにその時期を失しない
ように再びお願いをすると同時に御
意見を拝聽するのであります。
それからもう
一つは魚肥の價格の問題であります。もちろん今日の
食糧事情の疲弊困憊している時分に、魚で肥料を拵えるということはあるいは妥當でないかもしれませんが、私は別な角度から肥料の増産を一面にはか
つて、農産物の増産をはか
つた方がむしろ
食糧問題の解決に寄與するのではないかと
考えております。その例といたしまして、一昨々年から隠れて魚肥と米の物交が始ま
つていたことは、農林
當局も薄々聞いているだろうと思います。その結果において大體一段歩について
いわしの魚粕を八貫目入れると、三割ないしよい水田になると四割の増産ができたということが明らかにな
つたので、農民は魚粕と米のリンクの問題を取り上げて、本年いよいよそれが實施されたのであります。その率は米一俵半と粕一俵すなわち粕一俵は二十四貫でありますから、やはり一石々々の交換であります。これらをしておるために、
漁村ではどうにか、米が缺配にな
つておりますけれ
ども、食いつないで増産をしておるということにな
つております。これはリンクした場合にはそれでいいのでありますけれ
ども、肥料を全面的に増産をして、そうしてあすの米の増産をはかるということになりましたならば、
生鮮食糧の許す範圍内において、
いわしの肥料をつくらしたらどうか。
いわしは
水産局長も御承知でありまし
ようが、大量にとれる魚であ
つて、まず第一囘のものは
鮮魚でや
つてもよろしい。それをわくへおとす。これは専門的な言葉でありますが、その下積みにな
つたものは鮮度が落ちるために
食糧にはなりません。いきおいフイつシユ・ミールにするか、魚肥にするよりほかにないのであります。フイッシユ・ミールにすると、もちろん價格がいいので、これをこしらえたがるのでありますけれ
ども、フイッシユ・ミールにして肥料にすれば、すなわち農民に與える價格が高くなるので、農民の負擔が大きくなる、負擔が大きくなるということによ
つて、米價が上がる當然の理由になりますので、魚粕にすれば、フイつシユ・ミールにするよりはるかに安くできるのであります。先ほど申し上げました
通り魚肥を水田に入れること、すなわち八貫目ないし十貫目入れることによ
つて、三割以上の増産ができます。日本の米が現在五千萬石、それの三割の一千五百萬石、合せて六千五百萬石に
向上する、それにさらに馬鈴薯なり甘藷なり、また麥とか、そういうものの増産をはか
つたならば、私はさまで今日の
食糧の窮迫が長續きしないで、解消させることができるのではないかということから、肥料の増産をはかるために、ある
程度までの價格を引上げなければならない。いわゆる適性價格にしなければならぬ。もちろん先ほど申し上げました
通り、
生鮮食糧としてのことも
考えなければならぬので、價格が引合うからと言
つて、無計畫に肥料におとすということは非常に惜しいので、これは
考えなけれならなぬが、とにかくただいままで申し上げた
ような事情から、魚肥の價格を相當大幅に引き上げて、
生産者が引合う
程度に、しかも計畫的にこれを増産することが必要でないだろうか。このことについてお伺いしたいと思います。
それからもう一點は、これは直接の問題ではありませんが、
魚價と
輸送關係が非常にあるのであります。早く食べさせるには、
生産地から
消費地への
輸送を一日も早くしなければならぬことはもちろんと
考えますので、これは農林省、物價廳は
關係外でありますけれ
ども、鐵道
當局と交渉をしまして、米同様に
鮮魚に限
つては優先
輸送をすることに話をしてはどうか。さらにもう
一つは、運賃は三倍半も値上りにな
つたのでありまして、これは消費者の負擔が相當に大きくなると思います。今日消費者の中には相當の勤勞者もお
つて、千八百圓の生活のわくをきめられていても、生活に相當困難があると思
つております。これらを
考えますときに、鐵道運賃の特別の割引をすることをも
考えて、消費者大衆の榮養に資さなければならぬのじやないか。すなわち
魚價を低める
方法をとらなければならぬのじやないか。こういうことを
考えますので、この點もお伺いしたいのであります。
さらにもう
一つは
夏堀委員から伺
つたようでありますが、
生産地には今
集出荷の部面が複數になるというので、相當いろいろな名前を使
つて、入り込んでおるのであります。それは先ほど夏堀さんが詳細に申し上げたから、内容は申し上げません。それがために
漁村は混亂しております。
漁村の困
つているところは、彼等は役人によ
つて聞いております。お前等は
資金の面に困
つておるだろう。
資金も持
つてきてやろう。
資材も困
つておるだろう。關西
方面へ行けばたくさん
資材があるから、それを持
つてきてやろう。り
ようどあいた口にぼた餅みた
ようなもので、それで今乘りつつあるのであります。これらを放任して置いた時分には、今は機嫌をと
つておるでし
よう。しかしやがて私は昔の
問屋の
ような姿に變
つて、相當に
搾取する時期がくるのでないかと思う。
從つて漁業者、いわゆる
生産者の
經濟を非常な窮地に陥らしめる時期も遠くはないのだ。か
ように
考えております。のみならず今は
團體法がまだ
發表されてはおりませんが、
生産團體法を改定いたしまして、民主的
漁業團體をつくるというときにあたりましては、これらに相當
考えを及ぼして、その問題を解決つけていくということにしなければならぬのではないか。この
許可なりあるいは免許なりを、どこまでも複數にするというので、
資格がある
といつても無限にこれを
漁村に入り込ませるかどうか。この點においては先ほどの夏堀さんの御
質問に對して御答辯がなか
つたようでありますから、この點をお伺いしておきます。以上が私のお伺いしたい點でありますが、御答辯によ
つてはさらにお伺いしたいと思
つております。