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淺利委員 先刻來の各
委員からの御
質問でほぼおわかりと思うのでありますが、
當局におかれては
農家というものに對する認識において何となく物足らぬのであります。殊に
東北のごとき降雪地におきましての
農家は、冬はほとんど室内作業であります。これから穀物を收納する上においても、その收穫はすべて室内でやるのであります。それがわずかに十五坪の
住宅で、わずか三坪ぐらいのものを
作業場兼用というようなことは、はなはだ御認識において缺けるところがあると思うのであります。殊に
東北は牛馬の産地であります。うまやが今囘はほとんど
農家においては流れておるのであります。こういう場合に馬一頭おくにいたしましても——大抵は二頭、三頭おくのでありますが、わずかに三坪以内の増築でうまやも
作業場もかねるということは不可能であります。殊にうまやというものは單に馬を養うというのとは違うのでありまして、これは厩肥をつく
つて肥料にする。そうすると相當の面積を要する。またそれに對する冬分の飼料も蓄えておかねばならぬ。こういう關連をもつた
農家の營業上最も必要なる
作業場、うまや、こういうものに對してもつと御認識がなければいかぬと思います。一方において食糧の増産を唱えておりながら、この
農家經營上絶對に必要なるところの
作業場なりあるいはうまやというものに對する處置において、はなはだ缺けるところがあると思うのであります。あまり時間がありませんからそう詳しくは申し上げませんけれ
ども、そういう點について特別の御
考慮を願いたいと思います。
それから先刻
應急措置の建物は
バラツクであ
つて、
屋根も板張りくらいで濟ますという、ごく輕易なことをお
考えのようでありますが、
東北の雪の深さというものは輕微な建物ではとてももたぬのであります。雪害などはただちに起
つてくるのであります。三尺、四尺の雪の重
つて降る場合において、粗末なる建物では雪害に對してもたぬのであります。そういう點もまた十分に
考慮していただきたいと思うのであります。それから先般の
水害は北上川は十七メートル六十の
増水でありまして、五十八尺いくらになります。一關のごときはほとんど
屋根までついております。この場合において先般戰災のために
復興した平泉のごときは、みんな
坪數の制限のために平屋建であります。ほとんど平屋、家は
屋根裏までついて、家具、家財、
商品一切をみな失つたのであります。わずかに二階をも
つておつたところだけが一部のふとんとか夜具類というものを避難し、あるいは人間もそこに避難したというような
状況であります。こういうたびたび
水害のあるような
場所においては、むしろあまりに
坪數を制限することなしに、
實際に即したように
建築を認めるということも御
考慮願いたいと思います。
それから、これはもう言い古されたことでありますけれ
ども、先刻
東京と地方との
住宅の
補助比率において、
東京は十倍以上、
岩手縣などは八分の一にしか當らぬのであります。これは明らかに戰災のための
復興と
水害のための
復興というものを混同して、
水害に便乘して戰災
復興をするというような
状況になるのであります。地方は少々餘力があると申しますけれ
ども、地方においても
災害地においてはやはり
東京とあまり違わないのであります。引揚者、疎開者、それらの人々が一戸の中に二世帶、三世帶というのはあたりまえであります。また
農村においては耕作の
關係上、これは先刻も局長の
お話しに
なつたように、集團しては建てられぬのであります。そういうふうに見ますると、どうしてもこの
農家のごときは
應急といたしましても、とりあえずこの寒さに向
つて住宅を十分にするということは最も必要なことでありまするから、この點については重ねて十分の御
考慮を煩わしたいと思います。これだけのことを特に申し上げておきます。殊にこの
東北地方の
農家の實態については、一度技術者でも派遣されまして、
實際を調査されんことを切望するのであります。そしてまた
東京方面における
被害者の一戸あたりの人數と
東北における一戸あたりの人數というものはどういう
關係に
なつておるか。そういうことから御比較になりますれば、今のような推定によ
つて、一方は十倍以上、一方は八分の一というような、こんな不公平な
比率は生れてこないと思われますから、そういう點について十分に御檢討願いたいと思います。