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高野政府委員 今お尋ねいただきました問題は非常にむずかしい問題でありまして、しかも私ごときがお答えすることのできる問題であるかどうかという疑念をもつのでありますが、私個人の
考えといたしましては大體今
年度の
公共事業費九十五億というものが現
豫算でありますが、これをもし完全に遂行いたしますならば、物價、賃金の値上りというものをこれに加算いたしますと、約二百十八億
程度の
豫算があ
つて、初めて現
豫算を
進行することができるわけになります。すなわち九十五億では四四%しか物價、賃金の値上りの結果できないのであります。これに對しまして一〇〇%やろうとするならば、約二百十八億というものがなければ、すなわち百二十數億のものが
追加豫算としてとられなければ、九十五億というものはできないのであります。ところが
安定本部といたしましては、
國家財政の困難な
見地から、大體七十億
程度のものをも
つてこの物價、賃金の値上りを補い、そしてまたこの業務の輕重を勘案してこれくらいでいきたいという提案を實は進めたのでありますけれども、
國家財政の現状から、とうていそれだけの國庫からの
支出はできないという大藏
當局の御
意見で、結局三十九億、先ほど
大藏大臣が言われました四十億なにがし足らずのもので、一應今
年度はつじつまを合わせていかなければならないという、今のところは段階なのであります。
從つて非常に窮屈な
豫算をも
つて公共事業を賄
つていく。御參考のためにその
災害費がその中にどれくらい含まれているかということを申し上げますと、
災害復舊費として今
年度豫算に九十五億を含んでおりますが、
山林關係、砂防
關係を全部合わせますと、九十五億のうち、合計して十三億九千八百
萬圓、これだけが
災害關係の
費用になります。それから今度の
追加豫算三十九億の中で
いくらくらいの
災害費を追加されているかと申しますと、この點を非常に重點的に
考えまして、十八億「千六百
萬圓というものが
災害費の追加になるのでありますが、それでも
つて全
事業量が今
年度初期に豫定いたしましたもののどれだけできるかと申しますると、一般
公共事業面におきましては五六%しかできません。それから
災害關係では七五%
程度できる、それでも二五%というものは最初の
年度當初の豫定よりも壓縮しなければならぬのでありますが、小さい
わくの中でも
災害復舊というものに七五%くらいの率になるように、實は重點を充てたつもりであります。
これが現状でありますが、來
年度豫算においてどういうふうにやるつもりかというと、私個人の見解をここで申し上げますならば、今
年度の
公共事業費九十五億というものの内容を
檢討いたしまして、
考えてみますと、
農林省關係が三十億、それから
厚生省方面、それから都市計畫、これは全國百十五都市を今戰災都市として都市計畫の範圍に充てておりますが、こういつたことや、また最近起りました六・三制の問題とか、終戰後非常に大きな問題が國策として立てられておるようでありまして、これらに非常な力を注がなければならぬ現状に今まであ
つたのでありますが、しかしそれらのことが、ただいまの
日本の
國家財政上の
見地から、完全に
政府の目標を遂行することができない現實が參つたように
考えるのであります。從いまして、これらの、たとえば都市計畫とか、開墾
關係とか、こういつた特に大きな金を食いますのにつきましては、それぞれの省に來
年度は再
檢討していただくように申し上げたわけであります。それで本
年度もおいおい來
年度の
豫算編成期が迫
つてまいりますので、それらの資料を勘案いたしまして、
災害というものは御承知のごとく續々發生してくるし、なおかつこれが増加する傾向にあることは明らかだと思うのでありまして、これが防止及び事實かかつた
災害地を
復舊する二つの面から、相當の國費を割かなければならぬものではないかと
考えておるのであります。多年にわたり
濫伐され、そして
山林が荒廢し、崩壞して、土砂が下流に流れて來まして川底が上つた。これらのことは、相當の永い時間をも
つてこういう結果にな
つてきておりますので、これが囘復にもやはり相當の期間かかるに相違ないと思うのでありまして、相當の國力を割いて、これに重點をおいていくようにしなければならぬ、こういうふうに
考えております。