○冨吉
政府委員 中小商工業の振興局の設置についてお答えいたします。中小企業はわが國の産業構成上にきわめて大きな比重を占めておりまして、今後中小企業によらなければならない。人口はますます増大する情勢にございますが、中小企業を援護育成することは、
経済の再建、
國民生活の安定のために、強く要請される重大な問題でございまするので、
政府部内に中小企業に関する総合的
責任を有する特別の機構を設けまして、中小企業に関する各分野の専門家を包含いたしまして、中小企業
一般に関する施策の案画推進に任じて、その公正なる利益を代表するとともに、中小企業形態を主とする適當なる業種を、直接所管せしむる方針のもとに、目下
関係方面と折衝いたしておる次第でございますが、現在の
経済危局突破の根本方策といたしまして、原材料の輸入について一言いたしますならば、現在の
経済危機克服のために、また産業復興のために、わが國の多くの
物資を海外に仰がざるを得ないことはもちろんでありまして、これらの貿易上の諸問題とも関連してまいるのでございますが、
政府はこの各種の
物資の輸入を極力懇請している次第でございます。資金の
不足、その他の
事情によりまして、おおむね
國民の最低
生活維持のために、不可欠とみなされるもの以外の
物資につきましては、輸入の實現がなかなか困難な
状態にあるのでございます。しかしながらこのたび連合國の好意によりまして、民間
貿易再開の機会が与えられましたので、主として輸出原材料の輸入のための回転金の制度をも設けたりして、ようやく中小輸出企業再建の
一つの途が開かれるに至つたのでございます。
政府といたしましては、當面の危機突破のために、右の機会を大いに活用して、前述のごとき中小企業の対策を立てて、これを推進してまいりたいと
考えておるのでございます。その建前によりまして
商工省においては、つとにこの中小企業対策なるものについていろいろ研究してまいりましたが、また同時に
関係方面と種々折衝を重ねて、ようやく
一つの成案を得ましたので、これによりまして閣議に諮り、十一月七日に閣議
決定を見たいわゆる中小企業対策要網なるものを得たのでございます。これはすでに新聞その他で御了承のことと思いますが、この資金の問題、あるいは資材の問題、あるいは経營の合理化に関する方策、あるいはこの
製品の検査、並びにこれを統括いたしまする機構の問題といたしましては、
商工省に中小企業総局を設けまして、その総局の長官は次官級の者をおきまして、これを議会その他に対する代弁者とする等の措置を講じ、並びにこれに関しましては、豫算的なあるいはまた法律的な措置をとることも
決定されまして、逐次
具體的な方策を現在進めつつあるわけであります。その
一つの私見を申し上げたいと思うのでありますが、わが國の中小商工業というものは、從来とても非常に大きな貢献をわが國
経済発展のためになしてきたのでございますが、不幸にいたしましてわが國の
経済が、いわゆる後進資本主義國なるがゆえに、これらの中小企業は往々にして大財閥、大産業のもとに、隷属的な地位に立たされてまいつたのでございます。從いまして、この経營及び
製品におきましても、必ずしも十分なる発達を遂げておらなかつた点等もございますが、終戦後の新しい情勢はすなわち財閥の解體、独占禁止法の制定、あるいは目下御審議を願
つております
経済力集中排除等の問題ともからみ合わせまして、この中小企業というものが、独立の形において、強力な
基礎をもたなければならないという方針が、當然
日本の
経済の上に大きな
一つの問題と
なつたと思うのであります。從いましてこれに関しましては
政府といたしましても、極力さきに申し上げましたような措置を講じたのでございますが、その
考え方の点においても著しく
経済の民生化という線に沿うて、從来の
考え方すなわち大工業、大産業、大資本といつたものから、この中小商工
業者の擁護あるいは促進というような方向に、その大體の方針がかえられなければならないと
考えておるのであります。私
ども目下その線について
努力をいたして、この御陳情の目的に副うべく
努力中であるということを、御了承願いたいと思います。