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1947-10-09 第1回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十月九日(木曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 門司  亮君 理事 矢尾喜三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 川橋豊治郎君       笠原 貞造君    松澤 兼人君       大澤嘉平治君    佐藤 通吉君       千賀 康治君    坂口 主税君       中垣 國男君    大内 一郎君       松浦  榮君    小枝 一雄君       外崎千代吉君    加藤吉太夫君  出席政府委員         運輸政務次官  田中源三郎君         内務事務官   久山 秀雄君  委員外出席者         専門調査員   有松  昇君     ————————————— 本日の會議に付した事件  運輸省關係治安に關する件  小委員選定の件     —————————————
  2. 坂東幸太郎

    ○坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員會を開會いたします。  本日の日程は、地方出先官廳整理に關する件、運輸省關係治安に關する件でありますが、日程の順序を變更して、まだ運輸省關係治安に關する件を審議いたします。
  3. 川橋豊治郎

    川橋委員 第一に、陸上運輸警備命令系統、第二は、陸上運輸警備海上運輸警備警察及び進駐軍との關係、第二に、海上警備船配置状況と現在の運営状況、これらについて大體概略の御説明を願いたいと思います。
  4. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 お答えいたします。第一の陸上治安に關する命令系統でございますが、御承知通りに、終戦前におきましては、すべての治安維持というものは内務省警察力によつて行われていたのであります。自然陸上運送におきますところの鐵道等におきましては、これらの鐵道治安その他のものは内務省警察力に依存してまいつたのであります。また陸上運送と申しましても、自動車あるいは荷馬車等の軽車両、すなわち小運送面におきましても、從來監督權限命令系統内務省におおむね所属いたしておりまして、われわれ運輸省の所管におきましては、行政面におけるところの權限等があつたと申して差支えないのであります。  かような状態でありまして、終戦後におきましての状況から申し上げますならば、ご承知のごとくに非常に國内におきますところのすべての警察力が弱體化してまいりまして、治安の上においても各面において國民に多大の迷惑をかけてきたわけであります。自然内務省治安維持に依存しておりました陸上運輸面におきましても、種々めんどうなる事故を引き起しまして、國民に御迷惑をかけてきたのでありますが、その後國内秩序の確立に伴いまして、漸次囘復をしてまいつたわけであります。御承知のごとくに、陸上におけるところの治安維持責任内務省にございまして、ただわれわれ運輸の面においては、これは申すまでもなく鐵道においては、その運轉上における治安を確保してまいります。また運轉に必要である面においての治安維持を確保してまいりますと同時に、運輸の最も主要なる目的であります旅客並びに貨物に對する輸送面を確保していきまするための對策をとつていく、これに必要なる手段を講じていく、かような面から考えまして、殊に終戦後におきます旅客列車等におきましては、盛んに盗難あるいは暴行破損等が出ましたために、昭和二十二年の一月から試みに東海道、山陽の急行列車の一、四、五、八の列車警乗警官内務省に依頼いたしまして乗車してもらつて、車内における秩序維持してまいりますとともに、乗客整理、各種の障害に對する除去に努めてまいつたのであります。六月一日から全國の四、六列車には定期的に三名ないし、十名、おおむね五名の警乗警察官警乗願うとともに、司法權をもつておりますところの鐵道職員一名をこれに付随させまして、この列車に定期的に乗せてまいつたわけであります。これがためには内務省は全國的に、一目出面におきまし四百三十八名の警乗警察官と、三百七十五名の驛におけるところの連絡警察官を動員していただいたようなわけであります。なおそれ以外に地方ローカル路線に對しましても、各府縣の長官に要請をいたしまして、必要のある場合特に社内における治安維持するため警官警乗を要望いたしまして、實施いたしてきたようなわけであります。  また旅客の面においては、右様の處置をとるとともに、明るい鐵道の週間を設けて、全職員、從業員が一致して、事故防止及び犯罪防止に努めました結果、漸次治安の面については、今日委員諸君がごらんの通り状態に囘復してまいつたような結果を得た次第であります。しかしながらこれをもつても十分なる結果とは申し上げられないのであります。さらにこれに對しでき得る限り増員もし、配置等も適宜に行つて、萬全を期していきたいと日々努めております。貨物の面は、昭和二十一年三月に警備係現場において三千七百名おきました。ただいま申したように警乗警官列車警乗願うとともに、乗客の面においても、乗客係制度を設けて、これに約二千三百名を配置して、この連絡警察官協力して治安維持に努めてまいつたようなわけです。  このほかに本省においても公安局というものを設置して、現在約三十人の職員がこれに從事しております。これは四月一日から開始しておる。各局業務部公安課を設置し、専任課長以下三十名内外の職員をもつて各局ともこれに當たらせておりますとともに、公安係というものを管理部に設けて、大體係長以下十五人の専任職員を配置しております。しかしこの管理部においては、営業事故業務を擔當しておるものがこれは兼務しておりますが、本省公安局から局の業務部公安課、それから管理部公安係、かように縦の面にただいま申した人数を配置して、この管理部とその局とで國全體の鐵道における公安を保持する方針をとつておるのであります。もちろんこの公安係の下には、現在東京においては司法警察と同等の職務、いわゆる警察權をもつている巡察員東鐵においては旅客に八名、荷物において八名、驛長百十六名、車掌區長十九名、自動車區長において七名、驛の擔當選任助役十名、小計百六十八名。名鐵においては百二十四名、大鐵局には百七十五名、廣鐵においては七十九名、四国鐵道局において六十三名、門鐵において百二十四名、新潟においては七十五名、仙鐵七十六名、札鐵六十八名、計九百五十二名が警察權をもつております。司法警察官を配置いたすとともに、司法警察吏、これは直接司法警察官權限をもつております。先ほど申し上げました旅客荷物、驛長、車掌區長自動車區長、驛の擔當助役。これは大體主席助役であります。こういつたものの下に司法警察吏としての仕事を兼務する巡察員旅客荷物車掌、これは大體において自動車區車掌の支區長でございます。それから驛の助役車掌區自動車區助役乗客係警備隊車掌、こういつたものを司法警察吏として、小計千八百六十一名東鐵に配しております。官吏としてぼ司法警察官東鐵總計百六十八名、吏員として千八百六十一名。これは名鐵では百二十四名と八百五十五名。大阪鐵道局では官吏が百七十五名、吏員の方が千百九名、廣鐵では七十九名に吏員の方が六百十名。四鐵においては六十三名に吏員の方が二百二十五名。門鐵においては百二十四名に八百五名、新潟では七十五名と五百十八名。仙鐵は七十六名と五百五十三名、札鐵においては六十八名と五百五十四名。合計官吏の方が九百五十二名、吏員の方が七千九十名となつております。司法警察權をもつておるものは先程申した方々で、下の司法警察吏の方は司法權はもつておりません。しかしこれが現場において事件處理いたします場合には、大體において司法省の訓令に基いて、所轄警察署及び驛派出所等警察官に引渡しいたしまするが、場合によりまして、そのときにこの司法警察官吏が取調べをいたしまして、その犯罪の一件書類とともに檢事局に送付いたすこともあるのでございまするが、原則としては大體警察官に渡しているようなわけであります。かような面におきましては、これは先ほど申しました公安局の三十名、及び局におきましての三十名、及び管理部における十五名は業務事故係を兼ねておりまして、別にこれといつて俸給を出しておりません。つまり公安局以外のものは局の課長とか、局の以外のものは、管理部は兼務いたしておりまするから、二つの仕事を兼ね合わしてやつておるようなわけであります。  かような組織をもつて今申しましたように、一面列車の内には内務省の方から警察官の派遣を請いまして、警乗警官警乗を願うとともに、連絡警察官連絡して、かつ各驛において、あるいは貨物の面においても、それぞれの擔當區長所轄警察署連絡を取つて治安維持に當つておるわけであります。このうち旅客巡察員及び荷物巡察員事故防止の為に巡察いたしますところの一つ制度をつくりまして、局及び管理部にこの巡察員がおるわけであります。先ほど申しました司法警察官巡察員中、旅客荷物關係の者は地方鐵道局及び管理部におるものでありまして、その驛であるとか、車掌區であるとか、自動車區であるとか、そういつたところにはこの巡察員はおらぬのでありまして、局及び管理部から巡察員がまいりまして、旅客のすべての面における巡察をいたし、荷物事故防止巡察をいたしております。かようなわけで現場と厳重な連絡をとり、一面巡察制度強化をはかるとともに、事前に事故防止していく手段とつております。  かようの手段とつて現業の職員も鋭意努力をいたしておるのでありまするが、試みに今この事故並びに犯罪の面についての統計を申し上げまするならば、昭和二十年度の件数及び人員を申しますると、荷物事故件数盗難が一萬五千五百九十七件、これは件数及び人員なつておるのであります。不著が九萬三千七百六十四、紛失が千五百二、通計で十一萬八百六十三件になつております。これが二十一年度に及びまして、その通計が二十一萬八千九百四十五件になつております。不法行為による職員に對する傷害並びに暴行を受けた件数は、傷害を受けた件数が二千五百七十九件、人員が三千二百七十三人、暴行を受けた件数が三萬二千四百件、三萬二千四百四十六人という人数に上つております。これは昭和二十年度であります。ガラス窓の壊れたのが十二万四千百四件、引戸また開き戸のガラスが四萬五千二百十六、電球が四萬一千五百九十九、腰掛十二萬六千百六十一、背ずれが三萬八千五百十五、網だなが五萬六百三十五、便所、洗面所が五千四百七十四、窓わくが二萬二千百二十二、給水装置が四萬二千百七十八、行先札掛金が一萬五千百六十六、網だな装置七萬八千四百三十八、これは不法行為による各箇所の毀損等損害件数であります。そのほか不法行為による停車場内の毀損、損害件数停車場の客車内の犯罪發生件数営業法違反このうち停車場客車内の犯罪件数のうちで営業法違反が百九萬百八十六件あります。この犯罪の面を見ますと、一番多いのは窃盗が二萬八千三十七件、経済事犯が五萬四千三百三十一件に上つております。  二十一年度においては、これより漸進の形をとつておりまして、先ほど申しましたように、荷物事故件数が前年度十一萬八百六十三件に對して、計数が二十一萬八千九百四十五件に上つております。また不法行為による職員傷害並びに暴行を受けた件数においては、前年度よりも上昇いたしまして八萬五千三百一件、人員八萬六千三十四人に上つております。営業法違反においては二百三十萬二千七百五十五件に上つてきたように、實に犯罪件数が上つてまいりました。  以上おもなるものについて大略申したようなわけでありますが、その中においても、不法行為あるいは傷害等において、國際的な關係を帯びるものもございまして、從來種々なる面倒を引起したようなわけであります。荷物の面においても逐一これを申しますと、はなはだ数字も多岐にわたり、相當時間を要することでありますから省略しますが、大體昭和二十年度における手荷物および貨物等事故件数合計は九萬九千七十二件に上つております。しかしてその請求額は一千百四十九萬四千四百二十圓五十銭であり、これが二十一年度においては事故件数は、ただいま申しました總計において十五萬七百九十一件、これは前年度より漸減をしてきておるのであります。しかし賠償金額は三億一千六百四十一萬一千二百四十四圓七十八銭の請求額を受けておるようなわけであります。かように見てまいりますと、犯罪状況昭和十年度の指数を百とすれば、昭和二十年度においては犯罪指数は一六四・二九というふうに上つてきておるようなわけであります。これのみならず不著の荷物件数におきましても、昭和十年の指数を百といたしますと、これは二四五・七の指数を表わしております。紛失件数におきましても、昭和十年の指数を百といたしますならば、四六九・三、こういうふうに上つてまいりまして、まことに遺憾な現象を示してきているのであります。さようなわけでありまして、目下これが鋭意事故防止犯罪防止治安維持というものに努めております。  今申しましたような大體の制度においてやつているのでございますが、今後におきましては、一層これらの事故及び犯罪防止いたしまして、安心をして荷物が送れる。また眞に公共的運送の使命を全ういたしたい見地から、當省におきましては種々これらの鐵道警察というものを考えておるのであります。内務省におきます今後の日本警察のあり方と並行して、鐵道専任警察を遂行していくという意味で、一つの案を持つておるのであります。その目的といたしますことは、ただいま申しましたように、鐵道公安状態が非常に現今のごとくに悪化の傾向を辿つておりますものを、これを皆無の状態におく目的をもつて、善良な旅客荷物保護をやつていく。鐵道のいわゆる管理責任の立場から、業務に關連する不正事故徹底的防遏をはかる見地から、有能な専任鐵道警察官を設置いたしまして、上下一體の強力なる組織のもとに、鐵道の防衛、善良な旅客荷主の防護、不正事故防止をやつていこうという考えであります。  その組織は先ほどちよつと申しましたように、鐵道總局鐵道公安事務局を設置いたしまして、そうして各地方鐵道局には鐵道公安部をおきます。ただいま局の業務部公安課というものをおいておりますが、これに鐵道公安部をおきます。そうして管理部には、鐵道公安課を設置いたしまして、管理部内の必要な場所には警備所を起きまして警備長を置きたい。大體全國に二百二十六名の警備長を配置いたしたいと思うのであります。現場配置鐵道警察官には、おおむね五人について一班を組織しまして、三ないし四班について組を組織して、それぞれの長をおいていく。全國の組長は四百九十四名、班長は一千六百十六名、かような企画をもつているのであります。この鐵道警察官はすべて鐵道總局地方鐵道局管理部、この全體に所属しているものとしていきたいのであります。この指揮系統は、鐵道警察官はそれぞれ所属長指揮命令に從うことにいたしまして、まずかような職名をふしていつてはどうかというような考えをもつているのであります。鐵道警察總監、これは公安局長であります。名稱は今限定をしてみてのものでありますから、確定的のものでないことを御了承願いたいのであります。大體四月一日から公安局が開始されまして、ただいま三十人と申したのでありますが、この下に鐵道警察監、次に鐵道警察監、次に鐵道警察監補、こういうふうに大體の職名を附してみたらどうかと考えているわけであります。鐵道警察總監總局長官の命を受けまして、警察權執行について總指揮にあたる。鐵道警察官は、所属のいかんを問わず警察權執行にあたり、上級職命令從つてまいる。警察權執行にあたつては、乗客係警備係車掌、その他職務の一部といたしまして警備の任を擔當する者は鐵道警察官指示に從い、また一般職員はこれに協力していく。鐵道職務範囲でありますが、これらの職務範囲公安局公安部及び公安課分掌事項は、大體鐵道豫防警察に關する事項鐵道司法警察に關する事項運輸業務に關連する不正事故防止及び處理に關連する事項荷物事故防止處理に關する事項、それから専任鐵道警察官は同時に司法警察權を与えられる。それから専任鐵道警察官職務範囲は、大體鐵道豫防警察に關する事項の一切、運輸業務に關連する不正事故防止處理鐵道構内または列車内の現行犯處理犯罪種別制限を設けない。進んで通常警察協力し、両者一體となつ犯罪防止處理に當る。あくまでも正當善良なる旅客、荷主の保護に任じ鐵道サービスの向上を期す。そのほかは上官の命令によつてやる。  これらの人々たちを訓練していきますために、教育方面におきまして、鐵道教習所専修部公安課を設置いたしまして、三箇月の教育訓練の上で、鐵道警察官に任用したいと思うのであります。専修部公安課授業科目は、一般は、憲法、刑法、刑事訴訟法司法警察、服務心得、社會常識、英語。警察は、警備、警衛、渉外、保安、交通、経済生活、風紀、刑事手續、防犯、捜査。體育は、體操、柔術、射撃。こういつたような訓練をいたしまして、そのほかにさらに幹部教育ため高等科を設けて、前項の趣旨に從いまして三箇月以上の再教育を施していく。また必要がありますならば、部外の適當機關に委託いたしまして、特別の方法を實施教育をいたしていくことも考えておるようなわけであります。これらの強化等に對しましては各方面の、内務省司法省、檢察庁、府縣庁等適當方々に委嘱していく。これは現在各地にありまする鐵道教習所に科を設けて、これを利用していきたい。大體採用の資格は、中等擧校卒業者またはこれと同等以上の擧力あるものと認められる者を採用いたしまして、年齢二十歳以上の最も思想の穏健な、體格の立派な人を採用する。服装等のことも考えておりますが、その他こういうような事柄のほかに、携持いたします武器といたしましては、警防、火器の携行を許す。火器使用する者は、大體において公安局所属鐵道警察官六十五名の中十名、鐵道局公安部所属鐵道警察官二百六十名中九十名、管理部公安課所属鐵道警察官管理部勤務五百十名中四百七十名、現場配置の方は、所長が二百二十六名、組長が先ほど申した四百九十四名、班長が一千六百十六名、副班長が一千六百十六名、こういうふうで大體鐵道警察官總計八千九百十五名の中、四千五百二十二名がこういう火器または警棒をもつ。こういうふうになるような構想を實は考えているのであります。これらの待遇等につきましても、でき得る限り優遇をいたしまして、すべての福利施設等を十分にいたして、被服の貸与等はもちろんのこと、傷害保険設定等に伴いまして、將來の生活安定を期するようにいたしたいと思うのであります。  これは大體の構想でございまして、かような構想を持ちまして、先ほど申し上げました今後におきまする警察行政の改革とにらみ合わせまして、鐵道省においては専任警察官をもちまして、ただいま申しあげたような組織によつて治安維持をはかつていきたい。かように考えておるようなわけでございます。  以上概括的に、今後に對する鐵道に關しての警備治安に關する現状並びに構想を申し上げた次第でありますが、目下國會に提案いたしております道路事業法案、及び今後提出を企画いたしておりまする通運事業法等によりまして、これが通過の暁には、両法の實施に伴いますところの、小運送方面に置きますところの治安維持につきましては、地方警察に委任をいたしていきたいと考えておるわけでございます。  なお海上におきましての概括を申し上げたいと存ずるのであります。御承知のごとくに、日本は非常に海岸線の長い國でございますのにかかわらず、あるいは燈台でありますとか、水難救護等航路保安施設は、きわめて劣弱な状態で、海難の増加は海上交通を脅かすとともに、なかんずく終戦日本海軍の廃止に伴いまして密航密貿易航海制限違反等不法國船舶は、著しく増加するに至つた次第でございます。これがため伝染病の侵入に加えて、國内の治安維持に非常なる脅威を与えましたわけであります。昨年連合國最高司令部より、その取締強化について指示があつたのでございます。よつて運輸省不法國船監視本部を設け、九州海運局不法國監視部を置きまして、内務、大蔵、厚生の各省の御協力と、海運局所属官廳の動員によりまして、鋭意取締りに當つた次第でございますが、まことに機構設備に缺くるところがございまして、今だ十分なる實績を現わすに至つておりません。しかも海上保安の面にきましては、われわれの取締船武器を持つておらぬのでありまして、密航者の中には武器を持つて、逆にわれわれの監視船が非常に不遇な状態に立ち至つておることも、しばしば過去にあつた次第であります。かような状態でございますから、これを画一的に管理する一つの強力なる機關を設置いたしまして、わが國におけるところの海上警備を明らかにし、如上の不安を除去するために必要なる監視艇の設備と、各關係省の協力が伴うてまいらなければならぬのであります。從つてこれにつきまして、連合國最高司令部に懇請をいたしたのでありますが、御承知通り日本の船舶は、百トン以上は今なおスカジャップによつて抑えられておるような状態でありまして、わが日本政府の自由にならないのであります。かような状態でございますので、種々連合國に懇請いたしまして、四月二十二日附でスカップイン第一、六百二十二号の覚書によりまして、密航密貿易取締航路標識の整備、海難救助航路障害除去、その他の海上保安業務使用條件として、三十八隻の舊小型海軍艦艇の貸下げを認可されたのであります。從つてこれに伴いまして、二十八隻を舊冬受入れいたしまして、今これを配船をいたしたのでありますが、この船も無線の短波の使用は禁止されておりますし、かつエンジン等において故障を生じておるものも多々ありまして、これが修理をいたして、ようやくこのものを、ただいまから申し上げる地方配船をいたした次第であります。なお残り十ぱいの艦艇は、指示あり次第に受取りまして、適當配船をいたし、如上目的を達成せしめたいと思うのであります。大體この船は百十二トンくらいのディーゼルでございまして、九から十、十一くらい速度を持つておるのであります。馬力は四百馬力ディーゼルでございまして、最高十二、航行能力は千マイルくらいでございます。この配船状況は、これは元の驅潜艇でございますから、北海海運局の函館、東北海運局の鹽釜、關東海運局の横浜、新潟海運管理部新潟東海海運局の名古屋、近畿海運局の大阪、舞鶴、それから神戸海運管理部では神戸、高松海運管理部では高知が二隻であります。それから中國海運局の境に二隻、九州海運局の仙崎、それから門司に三隻、博多に二隻、長崎に二隻、厳原に三隻、鹿児島に三隻、大分に一隻、今計二十八隻を配船いたしておるような状態でございます。御承知のごとく日本の船は、百トン以上今スカジャップにおいて抑えられて管理下にあるわけでありまして、海上保安に關する詳細は事柄は、これ以上のことをこの席上において申し上げることは困難かと思うのでありまして、この點御諒承を願いたいと思います。  なお御承知のごとくに、沿岸におきまする機雷の掃海關係は、連合軍指揮のもとに第二復員局が擔當實施しておりまして、現在使用港湾航路は、おおむね最小限度掃海は完了いたしました。主として瀬戸内方面に力を注ぎまして、本年八月末には阪神、關門の幅二千メートルの一貫航路の完成を見て、引続き第二次計画として、下關海峡西口第二水道、下關海峡南東水道の幅四千メートルの拡張作業等が開始されておるようなわけでございます。かようなわけで、まだ相當な重要湾港及び航路掃海が、未掃海のままに残されたことになつております。殊に米側施設感應機雷が、なお當分有効であるとされておりまして、現に九月中におきましても、四件の觸雷事件があつたような状態にありますために、海上交通の安全確保の見地から、まだ十分とは申しがたいのであります。昨年十月これがために設けられました海上交通安全對策委員會に諮りまして、第三次の掃海計画を立てて、その實施に努力いたしておる次第であります。なおこれらの掃海水路の航路標識の整備には、最も努力をいたしておるところでございますが、主要海水路の大部分は大體において、ただいま申しましたように掃海を終つたのであります。しかし今後貿易の開始されますにおきまして、なお必要なところの未掃海の部分を掃海をいたしますとともに、安全な航路標識を設けまして、さらにまた選任のパイロットも用意をいたしまして、外國船の入港のため必要な指定貿易港に對しては、決して危険をなからしめていきたいと考えておるような次第であります。詳細にわたりますことは、先ほど申し上げた通り、この席で説明を申し上げることはお許し願いたいのであります。  以上、海上並びに陸上における概要を申し上げますとともに、なおこれらにつきまして、現在の機能におきまして、できるだけ現業各員の協力によりまして、治安維持に努めていきたいと思う次第であります。右概要を御説明申し上げてお答えに變えたいと思います。
  5. 川橋豊治郎

    川橋委員 詳細なる御説明を伺いまして、大體において了承いたしました。今後鐵道建設の組織、構成については、いずれ御提案によつてさらに檢討いたしますが、この際特に申し上げたいのは、大體現在の鐵道人員は、戦前の從業人員と比較いたしまして、約三倍に相當すると聞いております。かくのごとくに從業員が増大いたしまして、しかも鐵道列車運轉数などは戦前に比較いたしますと、相當減退いたしております。しかるに鐵道事故は今示されましたように、むしろ人員の増加と逆比例して年々漸増の形にあるように伺いました。こういうことは運輸省といたしましては、よほど檢討されまして、人員の増大に伴うてやはり、そういうすべての方面に對しても、十分考慮を加えていただきたいと思います。  それから特にこの際申し上げたいのは、衛生警察の問題であります。たとえば現在におきましても、電車もしくは鐵道列車の窓ガラスが割れたままである、冬期に向いまして、こういう點に對しましてはよほど考慮を払いませんと、衛生上最も深憂にたえないのであります。私はこういう點から考えて、鐵道の衛生警察の點を十分御考慮願いたい。殘に長距離の旅客については、相當制約を加えておられますが、大都市を中心とした電車の乗客は、ますます増加いたしまして、このごろ私どもがラッシュー・アワーに乗りますと、乗客が非常に殺到して危険な状態に瀕しております。こういう點はいかがでしよう。要するに治安方面からも、むろん考慮されなければならないが、衛生の方面からも考えて、いわゆる鐵道にふさわしい衛生警察行政も、等閑に付することはできない問題と考えます。ただ私は今申します通り人員が非常に殖えてきた、しかも犯罪事故はそれと逆比例して漸増いたしておる。卑近な例を申しますと、あたかも現在の鐵道は脂肪過多症のような状態で、非常に人員は太つているが、ずいぶん危険性が増大いたしておる。こういう點について、將來のことは別として、現状に即して十分考慮しなければならぬと思います。これについてのお考えはいかがでありますか。
  6. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 鐵道人員が非常に多いにかかわらず、逆比例してじこが多いということは、まことにごもつともな御意見でございます。しかし事故の起つてまいりましたことは、國家の秩序が乱れまして、國民の思想が極端なる變化をいたし、しかも國民経済は、ますます通貨の膨張とともに逼迫してまいり、それによつて生じてくるところの犯罪は、これは鐵道人員の力のみによつて防止することはできないのでありまして、國家政治と國家経済の確立によつて國民生活を正道において、國民の生活の安定とあいまつて、國内の治安維持していくということを根本に考えていかなければならぬのであります。しかしながら鐵道人員は、なるほどお示しの通り五十六萬余の從業員の数を示しておりますが、實際の人員は五十二萬余りであります。未復員者を入れるならば五十五、六萬に到達いたすでありましようが、自然新規採用を停止いたしておりますので、職員は削減の状態を取つております。國鐵の現状から申しますならば、過日來新聞紙上において白書をもつて申し上げました通りに、日本鐵道は戦時中これを酷使しまして、まことに老朽しきつた程度に立至つておるのであります。しかも今日本の國鐵を直そうといたしますならば、鐵の所要量におきましても、本年度政府において計算されております實質の鐵の生産量を、全額頂戴いたしても多すぎるとは申されません。安本の配給計画が七十二萬トンでありますならば、少くとも五十五、六萬トンの鐵は國鐵に頂戴いたさなければ、この老朽した鐵道を直すことは出來ぬのであります。今さしずめ私どもが、これを修理いたしてまいります資材と申すものは、鐵においても十数萬トンの鐵をここに頂かなければ、この鐵道維持して、与えられた責任量の輸送を果していくという確信がもてないくらいまで實は窮地に至つており、その資材の補給について政府において、いろいろと努力を願つているような状態であります。また今日の國民生活と、敗戦によるところの結果が、職員の生活及び福利施設を完備いたすことができ得ないのであります。それがために適正なる配置轉換を行うことができない實體にありまして、もしここに私どもの所要するすべての資材、及びその他のものが入手し得ることが、ある程度まで認め得られますならば、この配置轉換ができるのであります。最も重大な問題は食糧と資材、住宅、その他の福利施設であります。これがために一方に偏して、一方には非常に人手が足りないというような現象も起つているのであります。しかしながら今申しましたような、あらゆる面において悪條件におかれておりますけれども、人員は漸次これを減らしていきつつある傾向をとつておるのであります。別段整理ために國鐵の從業員を馘首しよう、さような考えは毛頭もつておりません。ただ自然減によつても相當に減つてまいりまして、今後におきましては、人員の配置轉換によりまして、できるだけご指示通りにいたしたいと考えておるようなわけであります。またこれに比例して二十年度、二十一年度において犯罪の増加いたしましたことは、先ほど申しました通りに、國内の總括的な治安維持と、いわゆる國家財政並びに食糧の面等からまいりまして、國内の犯罪が自然に車内であろうと、屋内であろうと、國家全體に殖えてまいつたのでありますが、その後二十二年度の六月以降の件数は、漸減してまいつておるような状態でございまして、われわれもまことにこの點については愁眉を開いております。從つて最近鋭意警乗警官並びに乗客各位の御協力によりまして、急行列車内等における犯罪は、ほとんど皆無の状態になりつつありますので、これらも御了承願いたいと思います。しかしながらご指示の點につきましては、十分配置轉換及び今後の資材の創意工夫等によりまして、ご趣旨に副つていきたいと心得ております。  また公衆衛生の面でございますが、私も三、四十分のところから通勤をいたしておりまして、朝夕の列車の混雑は承知いたしております。御承知通りに、戦後におきまして非常に車両が減少いたしまして、また修理状況におきましても、資材の不足のために十分に間に合いません。これがために電車区間内においては、極力修繕をいたしておるのでありまして、もちろん工場における最近の労働能率が約三三%でありますならば、國鐵の從業員は五〇%以上六〇%近い能率をあげていると私は思うのであります。かようにまでやらせて鋭意修理をするとともに、先ほど申しましたように、資材を極度に利用いたしまして、ご期待に副うようにいたしておりまするが、遺憾ながら御満足のいく點にまで、今日到達しておらぬということは、私どもの努力の足らざるところとは承知いたしておりまするが、大體總括的にみて、われわれその心持で御期待に副うように努めておることは御了承願いたいと思います。  同時に衛生状況でございまするが、急行列車においては、最近御乗車くださいますならば、大體においてやや戦前同様の觀を呈しておるのではなかろうかと思うのであります。先般も車内において乗客各位が、ややこれで戦前の汽車に乗つたような心地がするというお話を承りましたときに、私どもも、すべての列車がかくありたいものだ、かように實は考えておるのでありますが、今申しましたように、まことに資材のないために十分に修理が届かないのと、殊に戦災をこうむりましたために、非常に車両を減じております。これがために今新車両も、できるだけ計算を立てて實施面に向わしめております。また冬期を目の前に控えて、できるだけ御指示のような點について注意をいたすと同時に、線路の最も悪い箇所は改善をいたしてまいりまして、來年の四月の一日には戦前同様の平常ダイヤに復してみたい。しかしながら御承知のごとくに、走行キロ数はある程度その筋で抑えられております。できるだけ了解を得て、石炭の増産と相まつて列車運轉を多くいたしたい。願わくば、長崎より國際列車を出してみたい。あるいは各地方において必要なる急行の増發もいたしたい。かように考えて、輸送面の緩和と大衆のほんとうの明るい鐵道、しかもそれが衛生的になれるように努力いたしておるようなわけであります。しかしこれも委員諸君の御理解を得て、資材及びすべての財政の上において、格段の御援助をお願いいたしたいと思うのでありますが、努めて皆様方から、日本國民が公共機關を愛するという道徳觀念にめざめるように、私は議會を通じて声を大にしていただきたいと思うのであります。日本ほど公共機關を粗末にする國はありません。これで日本の文化が發達し、日本の道徳が發達するということはありません。かように私どもは鋭意努めておりまするが、國民自體も、それは國家のものだ、自分たちのものでありますから、國家のものを大切にするというふうにお考えになりますならば、非常に私は衛生も保たれる。たとえば連結器の上に乗ることはならぬ、進駐軍の命令であるとか、いろいろ貼紙しておりますが、いくら乗るなといつても乗ります。そうして車掌室まで押し込んでくる。混んでも、さようにまで一時を争わぬでも、ラッシュ・アワーには東鐵としても、できるだけダイヤを組んで、列車を増發しておるのでありますから、おのずから秩序ある乗降を願い、また徳義のある乗降を願いますならば、物も毀損せず、輸送面も一應緩和できるのではないかと思うのであります。私は特に皆さんを通じて、どうか國民にいま少しく公共機關を大切にしてもらつて、そうして道徳的な立場に立つてこれを愛し、これに乗降願いますならば、今日お示しの公衆衛生の點も、國民みずからが保つていきますならば、できるのであります。いかに洗面所をきれいにいたしましても、洗面所乗客が占據してしまう。洗面所の手洗いのところに、たばこのすいがらをいつぱい入れて、それを詰めてしまう、遂に水が通らぬ。そうするとその一つ洗面所ために、その客車を工機部にもつてつて修繕をするために、非常に莫大の金をかけなければならなぬ。かような日常の事柄を、國民自體が是正していきますならば、非常に衛生を保たれ、かつまた國家に對して非常に利益を与えるのではなかろうか。われわれも努めますとともに、當委員會を通じて、國民衛生のために、國民みずからが立つて國家の機關を大切にするということを、私は併せてこの際お願いをいたしたいと思うのであります。
  7. 坂東幸太郎

    ○坂東委員長 ただいま久山警保局長がきておりますから、今の田中政府委員の説明に關連して、御質疑は自由であります。
  8. 外崎千代吉

    ○外崎委員 政府委員の説明は、まことに親切丁寧なことは感謝しなければならぬが、今の説明を聴くと、説明であるか説教であるかわからぬ。短い時間に委員會をするというのに、要點だけの説明を伺えばよいのであつて、一々われわれは説教を聴くためにここにきておるのではない。親切でよいかもしれないが、説明以外に説教が多過ぎるのではないか。なるほどすべての資材はないんであろう。あるいはまた日本國民の道徳は低下しておる。それは第二として、要點だけ説明してもらえばよいのであつて、説教はあとで承るようにやつてもらわなければ困る。  第一私は、日本鐵道は世界に誇るべき鐵道であると信じておつた。しかるに戦争に敗けて以來、衛生状態などまことに悪い。始發驛から水がないようなやり方で、どこに衛生が完備しておるか。戦前に復したと言つておる人もあるかもしれないが、われわれ遠いところから旅行しておるけれども、始發驛から手洗水もなければ、顔を洗う水がないというふうで、どこに衛生状態が完備しておるか。  いま一つは、荷物方面においては、近ごろは遞信省、鐵道くらい、どろぼうの多いところはない。世界的に誇つておつた日本鐵道が、皆さん御承知通り、窃盗とかあるいは横領とか、すべて鐵道や遞信省が一番多いようなぐあいに今日なつておる。こういうことも、はなはだよろしくないと思つておる、われわれの荷物がなくなることは、不注意はやむを得ないが、鐵道自體にそういうことが起きているのをどうそるか。  いま一つ貨物である。一つ荷物を出そうとするのに、順序があるべきはずである。しかるに前から申し込んでおつても、なかなか荷物が出せない。運動金を何千圓か握らせると、あとの荷物が先になつてしまうようなことが往々ある。これらに對して運輸省はどういう考えをもつているか、私は伺いたい。  いま一つは、人員の問題をお伺いしたのであるが、資材をもつて説明している。資材の不足の點もあるだろうけれども、一方において人員が多いということである。それを首切り絶對反對であると労組が先に言つて來れば、それを恐れて整理することができなくて、これを國民が全部負擔しなければならぬ。そうして三倍半ないし四倍半という値上をする。そのためにそれに準じてすべての物価が上つてくる。こういう點において、自分達に都合の悪い點は棚に上げて、都合のいい點だけ言われることは、まことと迷惑である。もう一つ進駐軍の列車に國會議員が乗れるというので、何か紙をもらつた。ところが乗つてみると車掌たちは、そういう通知がないからまことに困るというのですが、その間の説明だけをお願いいたします。
  9. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 私は説教を申し上げたつもりでなかつたのであります。實はこういう機會を利用して、國民の御協力をお願いいたすことが、鐵道をよくするという意味で申し上げたので、その心持が説教したように聞えますならば、まことに恐縮にたえません。その點は私の心持と違いますから、悪しからず御了承を願います。  始發驛の水の問題でありますが、もしそういうことが多く行われておりますなら、厳重に各局に通達いたしましてそういうことのないようにさらに努めますると同時に、もしそういうことを絶えず怠る列車が始發驛においてありますならば、どうか遠慮なく私どもの方に御注意を願いますとともに、もよりの驛長、または始發の驛長に對して、厳重に御注意を与えていただきたいと思います。  盗難の面につきましては、できるだけ今防止をいたしております。先ほどから説明申し上げたように、数字は漸減の傾向を辿つてきております。  また貨物の點でありますが、一定の順序があるにかかわらず、金を出したものを先に送るようなことがある。こういうことのあることも伺つたのでありますが、目下小運送方面におきましても、取扱業者及び各驛に對しては、厳重な通牒が数囘發せられておりますし、それにつきましては當初の監察委員會においても取上げて、厳重に査察いたすことにいたしておるのでありまして、どうも声は聞きますけれども、實際が現われてまいりませんので、これを逆に監察面の方から、それが事實であるか、また實態をつかむべく努力いたしております。もしそういう點が事實ありますならば、どうか遠慮なく私どもにお示しを願いますれば、われわれは根本的にこの面を是正していきたいと考えておるのであります。しかし御承知通り貨車はまず要請量の四五%しか輸送能力がございませんので、各驛においてもずいぶん滞貨いたしておることも承知いたしております。この點につきまして先般來、私はある方面にまいりまして、局と局との境目にある滞貨状況を見まして、連絡を緊密にして貨車の運行効率を上げるように、十分に注意をいたしてまいつたようなわけであります。  それから人が余つているじやないか。まことにごもつともなお話であります。先ほど申しましたように、今の労働基準法からまいりますると——十八歳未満の者が相當数占めております。昔は鐵道職員は長期勤続者が多うございましたが、最近の勤続平均年数は七年くらいで、非常に若い人たちが多く、しかも経験に乏しいと申してもよいと思います。かようなことでありますために、もしこの労働基準法を十月一日直ちに實施されますならば、逆に人を殖やさなければならぬというような實態にもございますので、先ほどから外崎委員のお示しもございました通りに、配置轉換を行いまして有効的に能率をあげさせますとともに、十分現業員の戒告もいたし、新規採用を停止いたして、漸減の方針をとつておるようなわけであります。かようなわけでございますから、この點は篤と御了承願いまして、この鐵道の合理的経営面におきます施策を、しばらくの間ごらん願いたいと思うのであります。  進駐軍の問題は、大體電車区間におきましては、まず一般の一等及び二等の切符を所有されておる方は御乗車願つて結構です。しかしながら席があいておるときにはもちろんかけていただきますが、席がないときには優先的に進駐軍の方がかけられる。あるいは非常にたて混んだ場合には、乗車不可能のことがあるかもしれないことを御了承願いたいということで、各方面に通知をいたしておるはずでありますから、了承いたしておると存じますが、たまたまその車掌が存じておらなかつたのかもしれないと思います。その點につきましては、さらに本局より各局の現業員に對して、十分に知悉いたすように通達いたしまして、今後さようなことのないように取計らいたいと考えております。
  10. 門司亮

    門司委員 私遅くまいりましたので、聴きもらしておつたならば、あとから速記録を見ますから御答辯の必要はないと思いますが、鐵道警察官構想のもとに八千九百十五名を殖やすというお話でございますが、これは現在の日本警察官の約一割にあたると思うのであります。今九萬三千だと思いますが、これを算定されました基礎は一體どこからきておるか、犯罪件数によつてこれくらいの数が必要であるのか。あるいは鐵道の延長のマイル数がそれだけあつて、それに乗車の關係からこれだけの人が必要であるのか、その點をもう少しわかりますならば、明確にお知らせ願いたいと思います。さらに國有鐵道の驛の数が一體どのくらいあるのか。私がこれを聴きますのは、これらの配置がどういうふうに行われるかということを一應知つておきせんと、配置の上で非常に機動力において差を來すと思いますので、一應鐵道の全部のマイル数がどのくらいあるか、驛の数がどのくらいあるか、またこの犯罪が過去の数字によつて割出されたものであるか、もう一應お聴かせ願いたいと思います。
  11. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 これはこういう一つの案をもつておると申し上げたのでありまして、現在では實際にこの人数がはいつておるというわけではございません。今後こういう警察行政の改革に伴つて鐵道としてはこういうふうな案をもつておるというのであります。そこでこれは大體現在の責任輸送の貨物数量、及び旅客人員鐵道の施設とかね合わせまして、大體このくらいのものが要するいう想定のもとに、現行状況からにらみ合わせてつくつたわけであります。詳細なことは次會にお答えをいたしたいと思います。なお大體鐵道の延長キロ数は三萬キロ、その中に運轉休止をいたしておる分もあると思います。それから驛数は、今確實な数字を承知しておりませんから、次會にそれらのことはお答えすることにいたします。
  12. 坂口主税

    ○坂口委員 國鐵の關係につきましては、大體今の詳細な話でわかりました。國鐵におきましても、先ほどお話のように、長距離の急行列車等は秩序がよくなりまして、治安上も、また衛生上も立直つたように思います。但しローカル線に行きますと、まだまだ非常に直り方が悪い。なお先ほどのお話は大體國鐵についてのお話であつたと思いますが、運輸省の厳重なる監督のもとにありまする地方鐵道、軌道、この方面治安秩序状況は、ローカル線が悪いということに比べまして、なおローカル線よりも悪いという實情にあるように思います。運轉上事故というものも相當にあると思います。これは統計上おわかりのことと思いますがお示しを願います。なお治安上、私設鐵道、軌道というものについては、あるいは内務省の管轄になつておるかと思いますが、いずれにしましても、特別厳重な運輸省の監督下にあるわけでありますから、この點についての實情、並びに運轉上事故防止するという意味において、この方の建設、改良という方面にどういう措置をとつておられるかということをお伺いいたします。  もう一つは、これは私が新聞をちよいちよい読み損なつたりしますので、あるいは勘違いかもしれませんが先般賃金の問題について、政府と組合の代表者とのある話合いの席上におきまして、やみの防止、摘發ということを、この從業員組合等に政府より要望しておることがあつたように思います。これについて、たとえば國鐵におきましても、國鐵の從業員組合というものが眞に協力していくということであれば、まことに結構なことでありますが、その協力状況、あるいはまた協力の方法によりましては、組合自體としてのやり方によつて、やみの防止、摘發をするということはまことに結構なことでありますが、事柄國民各自の人權に關係することでありますて、よほど慎重な、適切なお取締りがなくてはならない。それを単に摘發するというような態度のみで、独自の考えでそれぞれ協力されるということになりますと、いろいろな弊害の起るおそれがあると思うのであります。私はおそらく、先ほどお話のありましたような、命令系統によるりつぱな秩序整然たる關係において、この中に含まるべきところの、組合の人たちがやられるという意味であろうとは思いますが、その點につきまして、御意見をお伺いしたいと思います。以上二點について承りたい。
  13. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 私のお答えで不満足な點がありましたならば、次の機會にまた政府委員から詳細な、数字的な點につきましてお答えをいたさせますから、この點も併せて先に御了承を願つておきたいと思います。省線のローカル線並びに地方鐵道、あるいは軌道等におきまする監督面についての御質問がございましたが、大體私どもの方の監督いたしておりまするものは、地方鐵道の財政金融、いわゆる経営面におきまする、施設面におきまする監督でございまして、司法あるいは自治に關する監督權はもつておらないのでございます。ただ財政面から、あるいは會社の経営面を通しまして、種々監督いたすのでありますが、一般地方鐵道におきましては、地方警察力に依存をいたしまして、その自治をいたしておるわけでございます。ただ私どもの方の監督面で見ます場合に、その會社の経理面におきまして、行政面におきまして、あるいは施設面におきまして、あるいは運行の面におきまして、一般的に公共的性格をもつ公共的企業が、公共の福祉に副うようにやつておるかどうか。こういう觀點において十分に監督し、指示をいたしておるのであります。ただこの際に申し上げておきたいことは、私鐵におきまして、すなわち地方鐵道におきましても、戦時中に相當の被害を受けておりますのと、最近におきますところの経理面の内容が、物価の高騰と労銀の高騰とによりまして、非常に財政面において経理面において赤字を出しておる。從つて十分なるところの経理面に施設を行い、公共の福祉に副うようなことが困難な實體にあるような状態でございます。最近地方鐵道及び軌道におきまして、経営困難な面が、二十一年度で見ますと——これは賃金引上前の状況もございますが、主として北海道が非常に多くございまして、四十三の私鐵の経営面を見てみますと、ようやくわずかながらもバランスがとれていつておりますのは、東北地方において津軽鐵道、あるいは山形交通、仙台鐵道、富山地方鐵道、山陽電軌、防石電氣鐵道、それから鹿本鐵道、これはわずかながら、みなバランスがとれておる。これを除きまして、全部私鐵は赤字の状態でございまして、財政的な経理面におきまして、御指摘のように十分なことができ得ないという事態を惹起いたしておるのではなかろうかと思うのでありますが、最近私鐵に對してもできるだけ復金等からの金融借入を斡旋するのみならず、資材等の面についても斡旋をいたして、できるだけ経営面において合理性を保たせていきますとともに、御指摘の運行面においても、公共の福祉に副うようにいたさせますとともに、漸次車内をにおける治安、すべての點におきましても改良いたすように命令をいたしておるようなわけで ありますが、ただいま申しましたような點に制約されて、まだ十分にいつておらぬ點もあると思つております。重ねて私鐵に對しては十分なる考慮をいたしたいと思いまするが、治安關係等につきましては、地方警察に依存しておるので、御了承をお願いいたしたいと思います。  第二點のやみ防止でありますが、運輸省においてのやみ取締りは、まず列車内における取締りをいたす場合には、必ず正規の警乗警官及び檢察行政の指示に從いまして、それらの人々が指導に立つて、當省の者が指導的立場において摘發するということは、一切今日までとつておりません。正規の系統をもつて、またそれぞれの指示によつていたしておるようなわけでございます。またその反面において、やみ防止を労働組合が摘發主義に出て、人格を毀損するということを御念頭になつておられますが、まことにごもつともな點と承知いたしまして、組合においても、そういうことを摘發主義でやつたり、組合自體が摘發するということはいたさない、あくまでも業務の面において正當なる手續の上において行動せしめる、かようにいたしておりますから、その點は御了承願いたいと思います。
  14. 松澤兼人

    ○松澤(兼)委員 簡単にお尋ねいたします。先ほど鐵道警察官制度を近く設けたい問いうお話がありました。その中で、中學卒業程度の學力のある者を新規採用するというふうに言われたのでありますが、これは全然新規に採用するのであるか、あるいはすでに鐵道に從事しておる者の中から抜擢されて、その志望者を鐵道警察官として任命されるのであるか。できれば配置轉換などに關連いたしまして、志望者がある場合には、省内から採用することが望ましいように考えられるのであります。この點一つお伺いいたしたい。  もう一つ、國鐵における鐵道警察官制度は、はなはだ結構でありますが、同時に海上における警察制度というものを、さらに完備する必要がありはしはいか。進駐軍の好意によつて海軍驅潜艇二十八隻を譲り受けられたということでありますが、これはたいへん結構なことであります。私どもよく聞きますが、アメリカなどにありますコーストガードの制度日本にも取入れて、沿岸の哨戒のために特殊の警察制度を設けれる必要がある。大型船は進駐軍の關係もあつて急に入手することには困難かもわかりませんが、小型の哨戒艇をさらに多く各海運局おるいは管理部に配置いたしまして、密貿易あるいは不法入國、その他各種の海上犯罪取締ることは、機宜を得たものであると考えるのであります。陸上の運送がフルの状態にありますので、今後はどうしても海上運送の援助を借りなければならないと思いますが、あるいは荷抜きであるとか窃盗、あるいは不著等の懸念がありまして、やはり海上による輸送が躊躇されておる現状にあるのであります。こういう點を考えましても、鐵道警察官制度と同じように、海上警察官制度を將來實施されまして、警察官理部を海運局に配置し、さらに水上哨戒艇を各海運局に配置して、最も能率的に海上取締りをすることが必要であると考えるのでありますが、その點について運輸省の御意見を伺いたいと思います。
  15. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 お答え申し上げます。第一の御質疑に對しましては御趣旨の通り新規採用をできるだけ避けまして、内省の配置轉換、並びに内省においてこれを充足していきたいと考えております。  第二點の海上保安の整備でございますが、これは今お述べになりました大きな線に沿いたして、今後できるだけ整備をいたしていきたいと考えております。
  16. 千賀康治

    ○千賀委員 私は二つお伺いたしたいのであります。一つは、東軍鐵道の三等列車に乗りますと、まことに煽情的ないい文句で、旗は道ずれ何とかということが書いてあります。また見ますと、ときどき絵までかきまして、混んでいるときには四人掛けのところへこうしたら六人掛けられるのだ、また向き合つてその間にはいれば八人掛けられるのだ、というようことまで指示をしてあります。しかしながら二等車の方に乗りますと、そういう額のかかつたこともなければ、また八人乗れる絵をかいて、混んだときにはそうやつて乗れということも書いてあつたことがない。これは鉄道省の指導原理といたしまして、三等車の乗客というもの、二等車と違う國民、たとえば指導しなければならない人々が乗るのだという前提で、この指導を書いておられるのか、私はいずれも日本國民として同じ指導下にあるべきでる。三等車に一ますに八人掛けることを指導するならば、二等車においても同様に指導をしなければならない。ここに人間の權利として三等車だけが特にこうした窮屈な指導をせられる。汽車賃が安いということだけで、この取扱が分けられるということはあるまじきことだと思うのですが、どういうわけで三等車だけにああいう指導をせられるのか、この點が伺いたいのであります。  一つは、やみ物資でありますが、先ほど第一議員倶楽部の方から、從業員の不正行為について、買収をする場合だけ貨車がまわるかどうだというお話があつたのでございますが、私もそれと大同小異なことを認めなければならないのを悲しむのであります。と申しますのは、列車の中に移動警察官が乗りまして、ときどき旅客荷物を調べるのです。私が事實其々驛で目撃いたしました事例にしましても、すつと廣い部分に大麦が青々と砂利の間に生えておるのです。なぜそんな現象が起るかと言えば、時ならぬ時に乗客荷物を調べ出すから、麦をもつておる氣の小さい乗客が、扉の反對側の窓から線路に捨ててしまう、それで廣い面積に見かけるのであります。その原因がいかがあろうとも、この食糧不足のときに、このような現象を見ますことは、國民の淳風美俗を傷つける上におきましては、最大なる効果があると思われる。實に不愉快なものであります。なぜほんとうの原因を除去しないのだろう。私をもつて遠慮なく言わしぬるならば、汽車に乗る者は、たとえば一尺四寸立方の物よりいけないとか、カバンならば何尺のカバンよりいけないとかいうことを明示しておりますので、それ以内の荷物をもつてはいる者ならば、たとえその中に米があろうと麦があろうと、芋があろうと、さようなことは鐵道が車内において、警乗警察を使嗾してこれをとやこう言う必要はないと思う。むしろ汽車に乗る前に、それ以上の大きな荷物をもつて來た者を乗せないことがいいのじやないか。これを乗せないことがいいのだけれども、乗せざるを得ぬというのは、職業的な常習的なやみ商人たちが、驛の吏員たちを買収するくせがついておるから、その人々を乗せざるを得ぬことになつておるのではないか。私はこれを考えますときに、ほんとうに政府が現在の配給だけで國民が生きておるという確信があるならば、厳重に大きな荷物をもつておるような人を乗せなくてもいいのではないか。乗せておいて内で調べるというようなことは、まことに卑法でもありますし、鐵道の経営方針から言いましても、これは實に不快なことであると思うのであります。また國民が生きていくために、現在の配給ではいけないのだ、どうしても相當な荷物を運ばせなければならないという立場で考えるならば、むしろそのやみ屋のためにときどき有益貨車を一列車ずつ増發をいたして、これでやみ屋がいくらでも荷物をもつて運ぶようにさせたらいかがなものであろうか。そしてまた治安の上から調べたいというならば、そのやみ列車だけに適當に手を入れて捜査をしたらいいのではないか。私はこういうふうに考えますが、現在のように乗ることだけはどの驛からでも乗せておいて、内で抜打ち的にやるというようなことは、百害あつて一利ない、むしろやみ屋の方では、三遍に一遍はひつかかるから、二遍のやみ値段に一遍分を含ませた値段で取引が始まるというだけだで、これは國民全體の消費面から考えましても、いたずらに高くつくばかりで非常にこれはよくないと思います。どうしてもその必然性を思うならば、むしろやみ列車というものを一日に一本や二本は増設をしてもいいのではないか、かように思います。この點を當局はどうお考えなつておるか、伺いたいのであります。私の氣持を率直に申し上げるならば、すでに荷物の大きさを規制せられております以上は、これは乗客の權利として、別に鐵道省がその内容について列車の内で調べられる必要はない。また治安維持責任ある當局の方では、列車の内でやらなくても、それらの人が降りてから調べるとか。乗る前に調べるとか、適當に調べるときはあると思うのでございます。
  17. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 千賀委員の御質問にお答えいたします。列車内においてポスターによつて秩序と道徳を表示しておる。そのポスターが三等車内に掲示されて、二等車内に掲示されていない。そこにいわゆる階級的な等差を設けておるのじやないか。こういう御意見と承つたのでありますが、さような意思表示をして、三等と上級の二等の方々に偏見的な取扱いを業務上しておるということはないのであります。あるいは二等車内にも、乗客が混んでまいりました場合には、當然お互いの道徳によつてお譲り合いを願つて、皆さんが平等にかけていただけるように仕向けていくのであります。それは便宜乗客専務車掌がその行為をいたすべきはずでありまして、絶えず訓練をいたしておるわけであります。またそういうような考え方で、三等の方々がすべての秩序の面、道徳の面において足りないから、ことさらに三等にもつていつた、さようなことは考えておりません。これは平等であります。御指摘のように、もしそういう點が如實に現われておりますということは、まことに遺憾であると存じます。できるだけ早急に、さような面はないように取計いをいたします。さようなことはないはずでございます。  第二點の問題でございます。たいへんむずかしい質問でございまして、いかがお答えいたしてよろしいやら私も困るのでありますが、御承知通り國家は、流通経済の確保をいたしております。やみを撲滅して、すべての物を正常にのせて、このインフレを防止いたしていかなかつたならば、國民全體は非常に困難なる状態に陥つて、遂に國家の経済力を破壊いたすということは、今さら私が申すまでもないと思うのであります。流通経済の確立の上におきまして、私どもは第一線の仕事を擔當させられておるのでございます。しかも車内にもちこむ荷物の規格は決定いたしておりますが、あるいはそれを一々寸法をはかつて。あなたは長い、あなたは小さいと言うことは、たいへんな煩雑でございます。また御指摘のごとくに、多数の乗客がお乗りになりますのに、一々その荷物を檢査するということは、おそらくこれは私は、日本國民に對して鐵道が人格を毀損するということになりはすまいかとも考えられるのであります。大體規格いたしました荷物の範囲内において御乗車くださいますということは、私はされていいのではなかろうかと思うのであります。但し今日の流通経済上におきまして遺憾ながら、やみが存在をいたしておることは事實でございます。その面において正しき權限を有せられる方が、車内秩序の上におきまして、流通秩序確保の上におきまして、その荷物を車内において檢査なさるということは、これは當然であろうと思うのであります。先ほど説教めいたことを言うといつてお叱りを蒙つたのでありまするが、國民方々がこの點について御協力を願うよりほか、私どもの手によつて、御指摘のような面をやつていくいとうことはでき得ません。またやみ列車を通すということは、國家の今日の施策の上において第一できないことでございますし、資材的に申しましても、石炭というものにおいて制約されておる現在において、緊要な列車を運行いたすことも、はなはだ困難なことでございますから、この點は特に御了承仰ぎたいと存ずるのであります。
  18. 門司亮

    門司委員 ちよつと私聴きたいのですが、鐵道警察はもちろん結構だと思います。荷物であるとか、その他鐵道責任に属するものに關する取締りについての鐵道當局の警察官は結構だと思いますが、その他一般犯罪、要するに列車内だけで行われる犯罪でない一般犯罪が、列車の中で行われた場合の取締りの關係でありますが、これは警保局とか普通の警察との關連はどういうふうにもたせるか。その點を御説明願いたい。
  19. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 犯罪交通連絡いたしておりまして、車内といわず、すべて連絡をもつておりますし、また車内の犯罪と線路上におきましての連絡犯罪が企圖せられるということも考えなければなりません。從つて鐵道はまず原則として、鐵道内部における貨物旅客、その他鐵道施設一般に關する範囲内に止めておきまして、他は他の警察當局と協力してやつていく、こういう建前で行くよりいたし方ないと考えます。
  20. 門司亮

    門司委員 くどいようですが、もう一つお聴きしたい。鐵道責任の範囲において行う犯罪に對する取締りと、それからもう一つ、當然普通の警察取締犯罪が、同じ犯罪でも私はあると思う。一例を申し上げますが、すりのようなものは、車内で行うすりも道路上で行うすりも同じ犯罪である。それが車内だけは特に鐵道警察官行つていくということは、普通の警察と密接な何か連繋がないと、犯罪の檢挙その他において往々間違いを起しやすいのではないか。警察の建前として、運輸省のもつ責任の範囲内における取締りと、一般公安上の取締りとの關係を、もう少し明確にしておかぬと、その辺のなわ張り争いが將來起るようなことはないだろうかということが懸念されるが、この點はどうですか。
  21. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 鐵道業務上における犯罪は、はつきりと鐵道の範囲において行われることになることはもちろんであります。一般犯罪につきましても鐵道の内部において行われるたとえば、お示しのすりのごときは一般警察方々連絡をしまして現在とつておりますような、犯罪防止ため警乗警官に御警乗つて防止するというように、連絡とつていただくといいと思うのであります。しかしながらあるいは列車内で殺人事件が起きることもありますし、あるいは堕胎事件が起きることもありましようし、いろいろな犯罪列車内において起ることと思うのであります。これは優秀な警察官を一應鐵道省業務でも願うということにして、犯罪の共通防止の上に立つていただくという措置をとらなければならぬと思うのでありますが、これは構想でございまして、もしいよいよ警察行政が改革されます場合に、鐵道警察をつくるということになりますなら、あらためて具體的な事柄を詳細に列記したところのものを、それぞれの委員會に提出いたしまして、御了承を得ることになるだろうと思うのであります。これは大體今構想されておるものでありまして、推測的なものでありますから、確定的というわけにはいかないのでありまして、その點もどうか御了承願いたい。
  22. 千賀康治

    ○千賀委員 先ほどの私の質問に對して、大體當局が御答辯なさることは、當然かくあるべきだろうと思つておつたのであります。實はさような答辯を受けると、私はまだ言いたいことが胸にこみ上つてくるのですが、わが黨の次官ですから遠慮します。しかし私の言いますことは、どうしてもこれはやむにやまれない、何と言いましようか、實際國民生活の實態からきて、ただ形式だけ、またあなた方のお考えになるかくあるべきはずだという以外に、何か國民の生活の間に根強い要求があればこそ、緊迫せられても、たたかれても、米を鐵道路線に捨てても、次から次にと犯罪が起つてくるのだということは喋々を要しないのであります。そこで私は一應、今は當局の御答辯は、それ以外に今日としてはあり得ないということは期待はいたしておりますけれども、しかし私の申し上げますのは、ほんとうに人間生活の現實に即して、こういうこと、私の指摘するようなことが、どうしてもあり得るのでありますから、私の希望いたしますところは、警乗警察が要らぬというのではない。警乗警察があるため列車内の集団強盗であるとか、あるいは列車内の追はぎ、その他列車内の恐喝等の犯罪は、ほとんど根絶されたということは非常に結構でありますけれども、どうしても私は列車内において乗客荷物と臨檢するついうような制度は、一日も早く、これはやらぬでもよいような世の中をつくりたい。それは政府だけに要求してもできますまい。日本國民全體の協力を得てできることでありますが、少しでも早くその時期をわれわれは實現いたしたいということが理想であるということを申し上げまして、質問を終ります。
  23. 佐藤通吉

    ○佐藤(通)委員 いろいろと質問なり御囘答によつて、大體輸送系統の警察の現状並びに將來に對する當局のお考えはわかりました。それで私はお伺いをかね、また私の希望でありますが、日本警察を將來どうしていくかという問題に對しては、まだはつきりした案はしようであります。しかし漏れ承るところによりますと、國家警察地方警察と二つにわけて、日本警察というものを將來この方向によつてつていくということが、大體の構想であるように考えておるのでありますが、そういう場合に輸送警察を一本建にするならば、國家警察地方警察と輸送警察の二本建になることになるじやないかと思う。もしこの輸送警察の機構をば、この國家警察の中に取入れてそうして輸送警察に從事する専門の警察職員を置くことを、機構上お考えなつてはどうかという點が第二であります。なお海上警察というのは、元來が輸送關係とは全然別個に考えるべきものだと思う。それで海上警察も當然これは國家警察の範疇の中にはいるべき性質のものだということを考えますならば、運輸省でお考えなつているこの海上警察も、將來國家警察と密接なつながりをもつ意味において、いろいろと立案上ご配慮を願いたいと思います。
  24. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 佐藤さんの警察組織の上におきましての御意見は、まことにごもつともな點もあると存じます。この問題は國家全體の總合的な問題でありまして、いずれ内閣におきまして近く何らかの發表があると豫想されます。それと關連いたしまして、御指示のように十分檢討をいにしていきたいと思います。
  25. 中垣國男

    ○中垣委員 簡単にお尋ねいたします。先ほどからの國有鐵道警察構想につきましては、詳細に御説明を承つてよく了承したのでありますが、私鐵の治安警備というような點で、何かほかにお考えがあるかどうか、お伺いいたします。
  26. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 はつきりと今別に私鐵の治安設備に對する構想はもつておりません。しかしながら國鐵だけではなく、私鐵におきましても非常にキロ数を多くもつておる重要路線を扱つておる地方鐵道はたくさんありますから、この點につきましては一應國鐵と同様に、いかなる面においてこれを一般警察と國家警察なり、今後の警察のあり方の上において、治安上マツチしていく方がよいかということについては、一應十分に考慮してみたいと考えております。目下のところはでき得るだけ地方警察協力をいたしまして、治安に遺憾なきを期するようには十分申しておるような次第でありますから、御了承を願いたいと思います。
  27. 外崎千代吉

    ○外崎委員 これは治安の問題と違いまして、お願いでありますが、もちろんわれわれ敗戦國の國民として、あるいはゆきすぎかもしれませんが、私鐵の電車の進駐軍専用車に乗れるように、鐵道にしましても一人か二人しか乗つていない汽車が動いておる。こういう場合にはせめて國會議員だけでも、進駐軍の列車に乗れるように御交渉をお願いしたい。この點が一點と、いま一つ鐵道警察はすこぶるよいが、鐵道員も団體の買出を一體どうするのか。私どもの方の五能線で、停車場でないところに列車を止めて、魚の買出しをした例があつて、新聞でも騒いだことがあつたのであります。それを處罰する方法はどうなつておるのか、同時に鐵道員が制服制帽でもつて、五人も七人も団體を組んで、あるいは米の買出し、魚の買出し、あるいは青物の買出しで、乗客荷物をおくことができないほどたくさんの荷物をもつて堂々と歩いておる。そうして各驛々に連絡とつて買出しをやつておるのであります。この點について、どういうふうに取締をやられるのか、この點をお伺いしたい。
  28. 田中源三郎

    田中(源)政府委員 今御指摘になりました五能線で、鐵道職員が停止すべからざるところに停車をして、食糧の買出しをやつたということは、私初めて伺いました。これはゆゆしき問題でありますので、監察制度を運用して一應厳重に取調べて、しかるべく私どもも考えてみたいと思います。しかしながら鐵道職員の集団的な買出しは、いたすことまりならぬというようなことは再三訓示いたしました。また各局の局長よりも、訓令を發しておる次第であります。もし今後さような現實の面におきまして、旅客に御迷惑をかけるような點がありましすならば、遠慮なく何月何日にこうしたことがあつたということを御指摘を願いたいと存じます。私の方も十分取締をいたしております。しかし何分多量の職員をもつております。中には不心得の者もあるかもしれません。十分その點には私どもも戒告をして、みずからいたしておりますとともに、職員に對しても、やかましく申しておるようなことでございますから、今後努めてさような御指摘を受けるようなことがないようにいたしたいと存じますが、もしさような事態が發生いたしましたならば、何とぞ直接に私の方にお教えを願いますならば、適當に處置をいたしまして、皆様に御迷惑のかからないように、萬全を期したいと思います。  それから私鐵の進駐車列車の乗車はごもつともであります。なるほど空車で走つておることも多々見受けるのであります。しかしながら、これは向うの方と實は再三交渉したのでありますが、まだある地方において同意を得るところに至つておらぬのであります。今後におきまして機會あるごとに交渉をいたして見たい、かように考えておるようなわけであります。どうかこの點御了承をお願いいたしたいと思います。
  29. 川橋豊治郎

    川橋委員 陸海運輸警察に關する問題については、田中政務次官の親切丁寧な御説明により、大體了解いたしました。もとより先ほどお話になりました組織構想につきましては、一般警察問題の討議の際に、關連事項としてさらに審議することにいたしまして、本日はこの程度で打切つたらどうでしようか。さらに本日の議題である地方出先官廳整理に關する件であります。これはこの際小委員を選定し、出先官廳の中で存置すべきを適當とするもの、また廃止すべきを適當とするもの、及び合併すべきを適當とするものを審議すべしとの動議を提出いたします。
  30. 坂東幸太郎

    ○坂東委員長 川橋君の動議に御異議ございませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり]
  31. 坂東幸太郎

    ○坂東委員長 そうしますれば改めて地方出先官廳整理の件を議題に供します。委員の選定の方法及び委員の敷はいかがいたしましようか。
  32. 川橋豊治郎

    川橋委員 委員長に指名を一任いたします。
  33. 坂東幸太郎

    ○坂東委員長 それでは指名いたします。その数は八名といたします。すなわち矢尾喜三郎君、笹原貞造君、佐藤通吉君、中島茂喜君、大内一郎君、松浦榮君、小枝一雄君、外崎千代吉君、の八名を指名いたします。なお御参考までに申し上げますが、政府でも行政調査部において相當立案の整理調査をしておりますから、小委員會ができますれば、行政調査部の方を呼びまして、十分に照らし合わせて研究あらんことをお願いいたします。本日はこれにて散會いたします。     午後零時四十六分散會