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近藤政府委員 第一の御
質問の、
農業統計というものは非常にむずかしいものだけれども、今まで
府縣でや
つてお
つたものを
直営機關でやれば
りつぱなものをつくる自信があるかどうか。殊に、今まで
直営の
機關でや
つてお
つたものについても、必ずしもいいものは出ておらないと思うが、どうかという御
質問であ
つたと思いますが、それは御
説明のように
農業の
統計、特に
生産高の測定というのは非常に困難であるわけでありまして、各国ともこれについて色々苦心しているのであります。この前のときにも申し上げたのでありますが、早く知りたい。それから
経費をなるべくかけないで知りたいということがありますために、ずいぶん難しい
仕事になるわけであります。そういう話しでは
アメリカで發達しているサンプリング・メソッドというのが
農業に應用されているのでありますが、これを
日本でも取入れて、比較的少い
経費で早く、しかもどの
程度の
誤差の範囲かどうかということまで
調査していくという行き方でい
つているのであります。ただ今まで
直営の
機關でや
つてお
つたもの、たとえば
作物や
食糧管理の
關係から、村の
調査員の調べたものはだめではなか
つたとおしや
つたのだと思いますが、その點は我々も認めておるのであります。であるからこそ
農林省では縣からも離し、また
農林省の中では
食糧管理局からも離して、孤立の
調査それ
自身の
責任をもつ
統計調査局をつくる。そのために
作物報告事務所というものを今年の四月から設けたわけであります。ただここで
申譯をいたしたいのでありますが、今年の四月から
作物報告事務所が出發して
人員を整えるについては、殊に
統計の
調査に従事する
人員はだれでもいいというわけにはまいらないのであります。向こうの方からの
アドヴァイスによりますと、この
仕事に従事する者は
国家試験をや
つて、その
仕事に適した
能力をも
つた者だけを選べということまで言
つてきておりますので、人を選ぶ場合にも、
客觀的な
調査をや
つてくれるような人を選ぼうということでい
つておりますために、
現状を申しますと、このごろ調べますと、豫定した
人員の
ちようど半分くらいまでしか充員されておらないのであります。今問題にな
つております米の
作況、あるいは
面積のようなものは、實は今までの
食料關係の人に兼務という形で
作物報告事務所の
仕事をや
つていただいたのであります。實は今年の
調査は從來のしかたと考え方を変えようとしておりますけれども、
末端で働いてもらう人は同じなのでありまして、そういう點で今年の
調査についても、われわれ
自身としては非常に不満足に考えているのであります。そういう點を御了承いただきまして、今までの
農林省直営の
調査も十分でなか
つたということを、
農林省も認めているというふうに御了承いただきたいと思います。
なお、お前
たち自信があるかとおつしやいましたが、これは
自信があるのでありまして、つまり
調査が
客觀的にできますならば、
事柄自身はむずかしいのでありますが、ずつと以前こういう統制になります前にも、
統計の中で米の
統計には
かなり力を入れてお
つたわけでありまして、この米の
生産高の
統計につきましては、まず
誤差があ
つても全國で三十万石
程度だろう。
あとで
統計で
収穫はこれくらいだろう。と言いますのは、十二月、年のうちにきめるわけでありますが、なお檢査米その他いろいろなことで、
實際の
数量がだんだん上
つてまいります。それで調べますと、大
體間違いがあ
つても全國で三十万石
程度だろう。それはずつと戦争以前の、
統計がゆがめられない前の
状態であります。前の科學的な方法を用いない、
ほんとうの経験だけで
調査員に
調査してもらうというしかたでも、その
程度の精密さまではい
つてお
つたのであります。これはわれわれ十分に、役所といたしまして
自信のある
数字を得たいと考えております。
第二に御
質問になりました、田の
面積が増加しておると思うが、それはどういうふうにして調べておるかという點であります。われわれも田の
面積は終戦以來増加しておると思うのであります。ただ
統計には減に出ておるのでありますが、この
面積についての
調べ方は、
一つ府縣知事、
市町村長を通しまして、村では
農林統計調査委員という人にお願いして、この
人たちの手によ
つて農家の
申告に基いて、つまり
縣廳を通して
調査しております。今年は八月一日に、臨時の
農業センサスと申しましたが、あの中で田畑の
面積を調べておるわけであります。その仕方でするのが一本。それからほかに、ご
指摘になりましたような
増減を調べておるのでありまして、その
増減は
農家の
申告をまたないで、
市町村長から
報告を求めておる。これはこの前の
會議の時に
農地調査と申しましたが、これがそれであります。
市町村から、お前の村では過去一年間にどのくらい
増減があ
つたか。その増の
原因は開墾のためであるか、あるいは畑を田にしたためであるか、原野を畑や田にしたためであるかというような増加、
減少の
原因別に
市町村長からの
報告を求めておるのであります。それは
申告によらないで、いわゆる
農地調査と言
つております、その中には、たとえば開拓で
面積が殖えるというような
面積は、當然はい
つてくるはずにな
つておるわけであります。しかし今申しました
農地調査というものが、完全とはわれわれみておらないのであります。そういう
意味で、
農地調査の上ですぐ
割當などに使う
數字が得られない
状態であります。それが第二點であります。
それから第三の、
水害の
面積につきまして
新聞などに發表がございますが、御
質問の點は全部水につか
つた面積というものは、
全實収穫がゼロになるだろうかどうかという御
質問だろうと思いますが、むろん土砂などをかぶ
つたところはゼロになりますが、水のつか
つた時間の短い部分などは、
かなり囘復するのがあるのでありまして、われわれの方で前に
試験場などと研究をいたしまして、何時間つか
つたかという時間、それからそのつか
つた水の
濁りぐあい、きれいな水なら比較的長くつかりましても後の影響が軽い、それから水の温度が高いと腐りやすい、それからもつと重要まのは、稲のどういう時期につか
つたか、つまり花のときならだめですし、花が済んでからならよい、もつと早ければむろんよい、そういう稲の成育の時期、そういうつかりぐあいを区別して、こういうような
状態でそれだけつか
つたならば何パーセントの
減収があるものだ、われわれの方ではこれを
被害の
尺度と申しておりますが、そういう
被害の
尺度というものが、一
應不完全なものではありますが、できております。それで今利根川の
被害をや
つておりますが、それがどの
程度のものになるだろうかということを今測定してもら
つております。これでみますと、縣で比較的急だせいもありますが、そういう
尺度を用いないで、大
體目分量でこのくらいの
減収があると見當をつけられた
数字とつき合わせてみますと、
かなりな違いがあるのであります。
埼玉縣の分などにつきましては、縣の
農務課で推計されたものは、われわれが今のような
尺度を用いてや
つたものと比べますと、それの六割半くらいに
減収の計算を出したものであります。今申しましたのは
減収の
程度の
被害の
尺度と申しておりますが、そういうものを
使つてわれわれの方では計算しております。水につかりました全部がゼロになるわけではないようであります。