○
門司委員 ただいま小
委員會の
報告に對する
修正の御
意見の發表があ
つたのでありますが、私は
前提といたしまして
贊成の意を表明いたしておきたいと思います。さらに本問題につきましては、もはや
論議をするこ
とも、その
必要性を感じないほど、
論議が盡されておると考えておるのでありますが、私
どもの考えております一、二の感想も申し上げて、これを御參考に供したいと考えておるのであります。
なるほど今日の
情勢から考えてみますれば、いろいろなことが言い得るとは思いまするが、
大都市が同じ
一つの
行政區畫の中にあ
つて、他の
町村と同じような取扱いを受けておるということにつきましては、これは先ほどの
自由討論の際にも、私本
會議において申し述べてお
つたのでありますが、
一般地方行政の面におきましては、
住民の
生活状態が、ことさらに變
つておる。さらに
自治體みずからの性格、あるいは環境というものを異にいたしておりまする
關係から、その
地方の
自治的の
發展的方向、いわゆる指向というものは、おのずから異
つておるのであります。こういうものが
一つの
行政區畫の中にあるということは、きわめて不健全な
都市行政を成立さすのであります。その
理由といたしましては、
區域の點におきましていろいろ
論議され、あるいは
經濟的の面に
論議が行われ、さらに
復興であるとか、あるいは
食糧であるとか、
地方分權であるとかいうような問題について、いろいろ議論がなされておるのでありますが、私
どもは今日の
日本が新しく立ち直らんといたしまする際におきましては、特に
日本を代表する
大都市の貿易、あるいは
産業というようなものが、きわめて
日本再建のために重要なる役割を演ずるということは、論をまたないことだと考えておるのであります。從いまして、單に一
地方の利害
關係のみを全然無視するというわけにはまいりませんが、考慮する先に、まず
日本をいかにして
文化化するか、
日本の貿易再開に關して、いかにこれに善處するかということが、きわめて重要な問題として取上げられなければならないと思うのであります。そう考えてまいりまするときに、現在
本案において
指定しようといたしておりまする
五大都市のいずれも、説明を申し上げるまでもなく、
日本における代表的の
都市であ
つて、將來
日本が外國貿易あるいは
文化の基礎となるべき、その要素をもつ
都市であるということは、御承知の通りであります。從いまして、これらの
都市が、自由闊達に伸びてまいりまして、そうして
日本の
經濟復興、さらに
文化のために寄與するということのためには、その支障とな
つておりまする二重
行政というものの
廢止を、一日も早く見なければならないと考えておるのであります。二重
行政の點につきましては、先ほどお話のありました通り、いろいろな面について大幅にこれを、たとえば
縣知事の
權限というものを、
地方に屬する
行政官廳と書いてありますが、あるいは
市町村長にこれを委讓することができるというように、
地方自治法の
規定の中に設けられておることは事實でありますが、しかしながら、單にこれだけのことによ
つて、今日の二重
行政が廢せられたものではないので、現在でも
大都市における
府縣の干渉というものは、きわめて緻密な點まではい
つておりまして、たとえば一例をあげてみますならば、
都市が
復興することのために、その財源を得まするため、これの起債の
認可申請をいたしまするならば、その
認可の申請に對しましては、
府縣において必ずこれを斟酌して、さらに
認可申請がまいりましても、それが當該
都市に傳達される間に、きわめて長い時日を要することは事實であります。從いまして、その間における物價の値上り等によ
つて、一旦豫算を組んだものが、さらに豫算を組み直さなければ、當該事業ができないというような支障を來しておると同時に、最も私
どもが奇怪に感じまするものは、そうした起債の面におきましても、これはごく細かいものでありますが、たとえばそういう縣に起債の
認可の申請をいたしますと、一割を縣が、平たい言葉で申しますと、あたまをはねるということにな
つております。場所によりましては一割を超えておりますが、こういう事實は、明らかに
地方財政の上にも、小額であると申しながら、
制度の上にはきわめてよくない
制度を設けられておつたというようなことが言い得ると思うのであります。
それからさらに
食糧の面でありますが、今月やや
ともいたしまするならば、
食糧の面がきわめて窮屈であるから、この面で困るのじやないかという
意見が、しばしば聽かされるのでありますが、今日の
食糧は御存じのように、國が大體統制しておりまして、知事はその配給に對する
運營、
食糧の
委員會を操作する
權限のみをも
つておりまして、いわゆる
食糧營團の操作のみに
權限をも
つておりまして、集荷その他には知事自體は
權限をも
つていないのであります。從いまして、
食糧の面等は、國の
行政の上におきまして行われるものでありまして、決してそれらに對して知事の
權限によ
つて左右をされるものではないということを、われわれはまず考えなければならないのであります。それのみならず、
食糧の面から見まするならば、百萬あるいは百萬を超える
大都市において、その
市長のもつ
食糧に對する
權限というものは、わずかに米穀通帳に家族の
人數を査定し、これを認定するだけに止ま
つてお
つて、
食糧の面に對しては何らの
權限ももち合わしていないのであります。ところが責任の上におきましては、百萬あるいは百萬を超える大
都市人口の
食糧の責任は、一應
市長がも
つておるということであります。この
食糧面には、
大都市はきわめて難儀をいたしておるのでありまして、もしかりに知事と同様の
立場に
市長が立つといたしまするならば、
國家の
食糧配給の割當等に對しましても、十分の發言權をも
つて、十分の仕事ができ得るのでありますが、遺憾ながら、今日そういうことが行われておりませんので、
食糧の面に對しましては、
市長は市民生活の責任を負う
立場にお
つて、
權限に對しては何らの
權限をも
つておらないというような不都合な部面が現われておるのであります。
さらに
行政の部面でありますが、
農村行政と
都市行政との
觀點について
論議がありましたので、一應私申し上げておきたいと思いますことは、今日
日本における
各種の
都市の
行政を見まするに、
大都市をも
つておりまする
府縣における
地方行政というものは、必ずしも
農村を
中心とした
地方行政が行い得ないのであります。私自身も
地方議會におりまして、その體驗をも
つておる者でございますが、やや
ともいたしまするならば、
經濟力をもち、
政治力をも
つている
都市に、すべての
行政あるいは
文化の
施設というものが集中されて、そうして
農村は忘れられがちにな
つておるということが實情でありまして、これはわが國の將來の
都市計畫に對しまして、きわめて重要な問題であると考えております。殊に
大都市を含む
農村行政というものは、簡單には行い得ないのでありまして、その性格を異にいたしておりまする
大都市制度というものを別に設けまして、そうして
五大都市のごときものが
獨立いたしますことによ
つて、初めて
農村行政というようなものが正しい
方向に向けられて行き、一切の
農村を
中心とする
施策を設けることができ得るかと考えるのであります。私
どもは
地方行政に對する
特別市制度の見解を、そういうふうに考えなければならないかと考えておるのであります。殊に
日本の民主化が叫ばれてまい
つておりますが、
日本を民主化しようといたしまするならば、おのおのの
立場のも
つておる生活環境というものを十分に勘案いたしまして、その角度に副うて
日本の民主化が行われなければならないと考えております。生活環境が違い、おのおのの
地方自治體の指向いたしまする——目指して
發展いたそうといたしまする環境の異りまするものが、同じ
行政の區畫の中にあ
つて、ちようど二人三脚のような形にあります場合におきましては、なかなか
日本の
文化の向上、
文化の
發展というものは望み得ないのでありまして、われらはこれを切り離して、そうして十分に切り離された
都市、郡部、殘存
府縣が、そのみずからの信ずるところによ
つて、十分なる發達性、
發展性を見るということ、またさらにわかれました特別市は、
國家の要請に基きまして、そのものの信ずるところに、おのおの十分なる發達を逐げるというような
方向に進むことこそが、ほんとうに
日本をして民主化せしめる一大要素であると考えられるのであります。こういうことを申し上げますると、きわめて長い時間を要しまするので、私その煩雜性を避けたいと思いますが、要するに私
どもは前の
議會において——前囘のことを必ずしも私
ども申し上げるわけではございませんが、前の
議會において、
大都市特別市制というものが必要であるとして、新しい
憲法のもとに、その特別
地方公共團體に關しまするところの
自治法案ができておりまして、その
趣旨に基いて、さらに
本案を檢討することは、決して時期を失したものでもなければ、決してこの考え方が古いとは毛頭考えられないのであります。この
法案のできましたのは本年の三月でありまして、そうしてこれの
施行は五月三日から
施行するということの
前提のもとにここに可決されましたこの
自治法は、必ずしも時日を非常に長い間經て、古い考え方だとは毛頭考えられない。こういうふうに考えておるのであります。
さらに
地方分權の考え方でありますが、從來の
日本の國情というものは、すでに皆さんも御存じの通り、官尊民卑の思想がきわめて濃厚でありまして、その最も弊害の大きか
つたのは、今日の縣の
一つのあり方であつたと考えられておるのであります。これは
地方分權を叫んでおります矢先におきまして、これが
行政の面にどういう
關係をも
つておつたかということは、いまさら申し上げるこ
ともないと思いまするが、われわれは少く
とも百萬、五十萬以上の人口をもつ
大都市が、この
地方分權の叫ばれておりますときに、當然
經濟あるいは
施設、
施策、あるいは事業等において、
府縣よりも大きな仕事をし、大きな豫算をも
つて、人的要素におきましても、はるかに構成の大なるものが、小さなものに
監督を受けておるという
一つの行き方、いわゆる依然とした
一つの官僚の行き方に對しましては、官僚
政治を打破する
意味におきましても、そういうものを廢しまして、そうして眞に
地方自治體の民主化をはかりたいと考えておるのであります。これは御存じのように、縣の役人の構成と、市の役人の構成とは、同じ吏員と申しましても、格段の相違をも
つておるのであります。いわゆる市における吏員は、御承知の通り
市長の任命によ
つてせられ、局部長等に對しましては、
自治體の
會議の議を經なければ、これが異動ができないというような、きわめて民主的な
行政のあり方にな
つておりますが、
府縣におきましては、知事のみが公選にな
つており、そういう面におきましては、副知事が辛うじて
縣知事の推薦するものを
自治體が認めてそれを承認する。そういう形に置かれておりまして、やはり中央
官廳と
地方官廳間におけるいろいろな交流が行われておるというように、私
ども考えますときに、
地方分權と
地方の民主化のためにも、これらの點を勘案いたしまして、當然
獨立し得る
行政の力、さらに
經濟的と、諸般の要件を備えております
五大都市というようなものが
獨立することこそが、
地方分權のために、
地方の民主化のために、最も必要な
一つの要素であると考えられるのであります。こういう
觀點から考えまして、先ほどの
矢尾君の
修正意見を取入れました案件に對して、
贊成の
意見を表するのであります。