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1947-08-25 第1回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年八月二十五日(月曜日)     午後一時十三分開議  出席委員    委員長 坂東幸太郎君    理事 門司  亮君 理事 中島 茂喜君    理事 川橋豊治郎君 理事 松野 頼三君       大石ヨシエ君    笠原 貞造君       久保田鶴松君    松澤 兼人君       松谷天光光君    佐藤 通吉君       千賀 康治君    大野 伴睦君       大内 一郎君    渡邊 良夫君       外崎千代吉君  出席政府委員         内務事務官   久山 秀雄君  委員外出席者         内務事務官   原 文兵衞君     ――――――――――――― 八月二十三日  大阪市特別市制問題に關する陳情書  (第六六號)  五大都市特別市制の實現に關する陳情書  (第六九號)  地方職員給與に關する大藏省案反對の陳情書  (第七〇號)  引揚者戰災者戰死者遺族等救濟陳情書  (第七八號)  京都特別市制實施反對に關する陳情書外七件  (第九八  號)  京都特別市制實施反對に關する陳情書外七件  (第一〇  八號)  神戸市特別市制實施促進に關する陳情書  (第一二一號)  大阪特別市制實施促進に關する陳情書  (第一二二  號)  京都特別市制實施反對に關する陳情書外一件  (第一二三號) を本委員會に送付された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  道路交通取締法案内閣提出)(第四〇號)     ―――――――――――――
  2. 坂東幸太郎

    坂東委員長 これより治安及び地方制度委員會を開會いたします。  日程にはいる前にちよつと御報告事項がございます。去る二十二日本委員會滿場一致要望によりまして、總理大臣に進言したことについて御報告申し上げます。それは北海道總合開發調査會に關する件でございますが、その進言書を御參考に御報告申し上げます。    進言書   八萬餘方キロの面積、七十萬町の未開地、二十餘億石の山林、百億トンの埋藏石炭及びその他各種鑛物、六億貫の水産収穫の前途、牛馬各百萬頭を飼育し得る容力、將來一千五百萬以上の人口を包容し得る大富源地でありながら、人口僅々三百七十萬にすぎない新日本再建のホープを、ただ單に既開府縣と同一の方式によつて、これを開發せんとすることが不適當なのは自明の理と思う。すべからく國策的の見地から總合的調査によつて五箇年か七箇年の計畫を立て、もつて日本再建に役立たしむべきである。そのために關係各省代表衆參兩院代表學識經驗者代表等四、五十名をもつて北海道總合開發調査會」を設置して計畫の範疇を示し、各省をしてこれを施行せしめ、そしてその事業の遂行は主として北海道廳に當らしむべきである。當常任委員會滿場要望により敢てこれを政府に進言する。   昭和二十二年八月二十三日     衆議院治安及地方制度常任委員會委員長 坂東幸太郎    内閣總理大臣 片山哲殿  これを内閣馬場事務官をして總理大臣に手交せしめました。以上御報告申し上げます。  それでは日程にはいります。本日の日程は、順序を變更しまして、道路交通取締法案であります。この前政府説明を終了しましたから、今日は質疑であります。佐藤君に發言を許します。
  3. 佐藤通吉

    佐藤(通)委員 道路交通取締法案は、從來施行されておつたところの道路取締令自動車取締令警察取締規則、こういう取締規則を廢止して、それに代る法案だと思うのでありますが、この法案内容で、今まで施行されていたところの規則内容を全部包含して、十分の取締効果をあげるかどうか。これについてお伺いしたいと思うのでありますが、いろいろ細部の點について命令でもつて規定するということを書いておりますが、これは大體の基準的な關係だけを示して、詳細の點は全部命令によつて規定される御方針でございますか。
  4. 久山秀雄

    久山政府委員 いろいろそういう點について御質疑がずいぶんおありだろうと思いますので、もしお許しをいただきますれば、簡單に、たとえばどういうふうなことをこの命令確實にしておるかというふうなことを大體御説明申し上げますと、そういう點についてよく了解がいくのではないか。かように考えるのでありますが、もしお許しがありますれば、一應簡單に、殊に命令によつてということはどういうことを考えておるかということを御説明申し上げたいと思いますが、いかがでしよう。
  5. 佐藤通吉

    佐藤(通)委員 一應具體的な點をお聽きしたいと思います。
  6. 原文兵衞

    原説明員 それでは私から各條について簡單に御説明いたします。第一條の目的でありますが、特に「危險防止及びその他の交通安全」と書きましたのは、たとえば道路決壞等の場合において、全然交通を禁止をするというような場合が生じますので、ただ單に交通安全というよりも、その他の危險防止ということが含まれますので、特に危險防止及びその他の交通と、危險防止制限を加えたわけであります。  第二條はこの法律における用語の意義なのでありますが、問題となりそうな點を簡單に申し上げます。道路とは道路法によるいわゆる國道、府縣道市町村道自動車道自動車事業法によつて認可された自動車道一般交通の用に供するその他の場所と申すのは、ただいま申し上げました以外の鋪道とか、あるいは廣場とか公園とか、いずれにしても交通の用に供する通路、場所、すべてを含むのであります。第三項はこの通りであります。「車馬とは、牛馬及び諸車をいう。牛馬とは、交通運輸に使役する家畜をいい、諸車とは、人力、畜力その他の動力により運轉する軌道車又は小兒車以外の車をいう。」この諸車の中には、自動車、自轉者、人力車、馬車、荷車等すべての車を含みます。ただ軌道車及び小兒車だけを除いてあるのでありまして、ここにいう小兒車とは、乳母車、小兒三輪車の類であります。積雪地におけるそりはこれを諸車とみなしております。諸車の中で特に自動車を取出して定義しましたのは、自動車について特別な規則が大分出てまいりますので、特別に自動車を取出したわけであります。「道路において、原動機を用い、軌道又は架線によらないで運轉する諸車」を自動車といいます。「軌道車とは、道路において、軌道又は架線により運轉する車をいう。」軌道により運轉するのは、いわゆる市内電車、架線によるのは架空式無軌道電車、京都市の一部に走つておるああいうものを指すのであります。  第三條は左側通行の原則であります。  第四條は、「歩道車道の區別のある道路においては、歩行者又は車馬は、その區別に從つて通行しなければならない。」但し行列は車道通つてもよろしいということにしてあります。「歩道及び車道意義竝びに歩道又は車道通行區分及び横斷について必要な事項は、命令でこれを定める。」命令で定めようと思つておりますのは、人は、歩道車道の區別ある所では歩道車馬車道を通らなければならないということ、人の車道に立入る場合の制限車馬歩道に立入る場合の制限、及び人が車道を横斷する場合の方法、そういうようなことを命令で書きたいと思つております。  第五條、道路通行する歩行者車馬または軌道車は、信號機道路標識もしくは區畫線の表示または警察官吏指示に從わなければならない、これらについては命令をもつて定めることにしてあります。すなわち、信號機の赤の時に止まるとか、青の時に發進するとか、あるいは、交叉點で一時ストツプのときには停止線で止まらなければならぬというような點、それから、區畫線といいますのは、いわゆる横斷歩道區畫線であるとか、安全地帶區畫線であるとか、あるいは駐車場區畫線であるとか、線をもつて區畫するその區畫線であります。そのほか、警察官吏指示に從わなければならないその警察官吏指示方法手信號方法等命令によつて定めたい、こういうふうに考えております。第二項「信號機道路標識及び區畫線の意義、設置及び管理について必要な事項は、命令でこれを定める。」ただいま申し上げましたようなことの以外に、これらの意義及び設置管理方法についての具體的事項命令に讓りたい。こういうふうに考えております。  第六條は「都道府縣知事(東京都にあつて警視總監以下同じ。)は、危險防止及びその他の交通の安全のため必要があるときは、道路通行を禁止し、又は制限することができる。」たとえば、先ほど申したような道路決壞のような場合において、道路通行を全面的に禁止をするとか、あるいは歩行者だけの通行を許可し、そのほかの諸車の通行制限するとかいうようなことができます。交通頻繁な道路におきましてある種の諸車の通行制限する、たとえば銀座通りにおいて何時から何時までは自轉車、馬車等通つてはいけないというような制限、これらのことを都道府縣知事ができるようにしてあるのであります。  第二項は「警察官吏は、危險防止のため緊急の必要があるときは、一時道路通行を禁止し、又は制限することができる。」警察官吏がその現場において行うのでありますから、その場合を局限いたしまして、交通安全のためというような廣い事由でなく、ただ危險防止のために、しかも緊急の必要がある場合だけ、一時的に道路通行を禁止する。たとえば橋が壞れた、あるいは道路が決壞したという場合に、一時警察官吏がその通行を禁止することができる。それが時間的に相當長時間にわたるようでありますならば、警察官吏はただちに上司に連絡をとりまして、府縣知事の禁止または制限になるわけであります。それまでの間の緊急の事態に處するための一時的な權限を警察官吏に與えたというわけであります。  第七條、これは車馬または軌道車操縱者の無謀な操縱を限定していくということであります。この第七條にいう無謀な操縱とは、次の五つの項目に分けて書いてあるような、これを指して無謀な操縱というのであります。第一に「構造及び裝置における重大な故障その他の事由により安全に操縱できない車馬を操縦すること。」これは、車輛檢査は受けておつても、たとえばブレーキが故障してきかないとか、ライトがつかないとかいうような重大な故障があり、從つて安全に操縱できない、そういう車馬をあえて操縦した場合に、これを無謀操縱といいます。第二は「法令に定められた運轉の資格を持たないで諸車又は軌道車運轉すること。」これは、自動車運轉軌道車運轉手については、自動車につきましてはこの法律によりまして、軌道車につきましては改正さるべき軌道法によつて運轉の資格をきめられるわけであります。その他の輕車輛、自轉車、馬車等については現在のところ運轉の資格ということは考えておりません。これらの運轉の資格をもたないで、すなわち自動車の無免許運轉等を指すのであります。第三は、前號のほか、酒に醉つぱらつて、これは酒氣を帶びておる程度ではなく、酩酊して正常な運轉ができないおそれがあるにかかわらず、諸車または軌道車運轉すること。第四は「たづな、ハンドルその他の裝置による安全な操縱に必要な操作を怠つて車馬又は軌道車を操縦すること。」ハンドルを手放して自轉車に乘つたり、たずなを全然使わないて馬に乘りまわす、あるいはハンドルを手にしないで自動車運轉するというような場合を指しております。五番目は「法令に定められた最高速度制限を超え又は他の交通に對し不當に迷惑を及ぼすような方法で、諸車又は軌道車運轉すること。」すなわちスピード違反、あるいは蛇行と申しますか、道路をことさらに蛇がのたくるように、他の諸車に不當な迷惑を及ぼすような方法運轉すること、以上の五つを無謀操縱として、特に重い罰則を加えておるわけであります。  第三項は、これらの無謀操縱の場合のうち特に第一號ないし第三號の場合においては、警察官吏危險防止のため特に必要があるときは一時その車馬または軌道車操縱を停止することができる。ブレーキの全然きかない自動車運轉しておるのを警察官吏が認めて止めた場合において、爾後その運轉を續けさせることは非常に危險でありますので、そういう場合において、牽引する他の自動車がくるまでの間、その自動車操縱を停止せしめるという權限を與える必要がありますので、この第三項が設けられておるのであります。  第八條は、最高速度命令によつて定めますが、その最高速度をいつでも出してよいかというと、たとえば自動車について、時速五十キロと最高速度をきめましても、銀座通りとか、あるいは新宿の通りとかいうような混雜の場所で、常に五十キロで飛ばしておつてよいかというと、そういうものでないので、その最高速度範圍内で、道路交通及び積載物の状況に應じて、公衆に危害を及ぼさないような速度と方法操縱するということを、操縱者の義務として課しておるわけであります。なおこのほかに第八條の第二項にありますように、車馬操縱者操縱上遵守すべき事項については、命令で細かい點を定めたいと思つております、これは無謀操縱というほどの重いものではありませんので、命令に委任したのでありますが、大體定めようと思つておりますのは、たとえば自動車運轉手が喫煙をしながら運轉しないことであるとか、あるいは自動車夜間相互に行き違う場合においては、ライト、前照燈の投射方向下向けとするとか、あるいは自動車警音機を濫用してはいけないとか、そういうようなことを命令で定めたいと考えておるのであります。  第九條は運轉免許規定で、自動車運轉しようと思う者は、都道府縣知事運轉免許を受け、かつ、運轉免許證を携帶しておる者でなけらばならぬ。運轉免許證都道府縣に委任するわけであります。第二項は都道府縣知事は定期または臨時に運轉免許證について檢査をすることであります。これは毎年一囘とか、五年に一囘とか定期のほかに、臨時に運轉免許證の檢査をするということでありまして、この檢査がありませんと、運轉免許の整理がなかなか困難なのであります。第三項は「運轉免許を受けた者が不具廢疾者となり、又は故意過失により交通事故を起したときその他特別の事由」というのは、この法律に違反をするようなことがたび重なつたというような場合において、運轉免許を取消すことができるというのであります。なお「又は必要な處分をすることができる」というのは、運轉免許を取消し、または停止する。免許を停止しておいて、その停止期間に特定の、あるいは府縣知事が指定したところの自動車學校等にはいつて實際の講習を受けなければいかぬというような必要な處分をすることができることになつております。第四項は、この運轉免許はある府縣で受けますと、その運轉免許の効力は全都道府縣に及ぶ。ある都道府縣で取消しますと、その効力も全都府縣に及ぶ。第六項は、「運轉免許を受けた者は、重ねて同種の運轉免許を受けることができない。」これは兩方とも關係する條文でありますが、たとえば神奈川縣運轉免許を受けた者は、その運轉免許有効期間中は、他の府縣、あるいは警視廳なり千葉縣運轉免許を受けてはいかぬということであります。またその運轉免許について神奈川縣運轉免許を取消された者は、警視廳においても、あるいは千葉縣の管内においても運轉免許のない者でありますから、運轉してはならない、こういうことであります。なお最後の項の「運轉免許に關して必要な事項は、命令でこれを定める」というのは、自動車取締令にありますところの運轉免許の手續であるとか、試驗であるとか、そういう細かい點につきまして命令に讓りたい。しかもその命令は、大體現在の自動車取締令をそのまま採用したいと考えております。第十條、「自動車最高速度は、命令でこれを定める。」最高速度というものはやはり自動車の發達、道路の發達に應じて時々變更せらるべきものでありますので、命令で定めることが適當と考えるのであります。なお都道府縣知事はその最高速度範圍内においても、道路あるいは區域、あるいは時間を限つてさらに自動車最高速度制限を定めることができる。たとえば一般的に自動車最高速度を時速五十キロといたしましても、特に東京都の區部においては、三十五キロでなければいかぬというような制限をすることができるということであります。  次は緊急自動車のことでありますが、消防自動車救急自動車、その他主務大臣の定むる自動車緊急自動車と稱しまして、これらの自動車については、第一項の最高速度を超えた最高速度制限を定めることができる。現在主務大臣の定める自動車としては、このほかには現在のところでは直ちに利用するものとは考えられませんが、いま少ししますと自動車の發達に應じまして、あるいはアメリカあたりで使つているような犯人逮捕用警察自動車であるとか、あるいは火災の場合に現状における電線を切斷するような作業用應急作業自動車であるとか、そういうものが考えられております。なお自動車道につきましては自動車專用道路でありますので「第一項乃至前項の規定にかかわらず、最高速度制限を定めることができる」という規定を置きまして、自動車道における自動車に對して特權を與えていくというわけであります。  第十一條は「道路通行する車馬には、命令の定めるところにより、燈火をつけなければならない。」この燈火をつけるのつけるは附設する方ではありませんで點燈の方であります。やはり命令の定めるところによつて點燈しなければならないという意味であります。その點燈の仕方を命令に讓つておるわけであります。  第十二條は「車馬は、他の交通を妨害する虞のある場合においては併進し又は後退し若しくは轉囘してはならない」狹い道路で二臺、三臺と竝んで通るのは困るのであります。また非常に混雜な場所でいたずらに後退されるとか、あるいは轉囘される、今まで行つてつた道路ぐつとまわつて逆な方向に引返されるということも困りますので、こういう規定を置いてあるわけであります。  第十三條は「道路における車馬の追從又は追越について必要な事項は、命令でこれを定める、」追從は前の自動車のあとに自動車がついていくという場合でありますが、この場合に何メートル距離を置いていなければならないか、あるいは追越しの場合は、自動車自動車を追い越す場合、自動車が諸車——荷車を追い越す場合には右側を追い越さなければならぬ。あるいは軌道車——市内電車を追い越す場合には左側を追い越さなければならぬというような、こまかい規定命令で定めるというように考えております。  第十四條は左折、右折の方法でありますが、左折の場合には道路の左側において徐行する。右折の場合には交叉點の中心の外側をまわつて徐行する。現在東京都内——各市とも同樣でありますが、交叉點でよくごらんになるようなああいう左折右折方法をそのまま採用しておるわけであります。  次は踏切を通過する場合であります。「車馬は、鐵道又軌道踏切を通過しようとするときは、安全かどうかを確認するため、一時停車しなければならない。但し、信號機の表示、警察官吏又信號人指示その他の事由により安全であることを確認したときは、この限りでない。」ここに言う踏切とは、いわゆる鐵道あるいは專用軌道踏切でありまして、道路上の市内電車の線路を横切る場合には踏切とは考えておりません。その場合に一時停車をする。但し信號によつて踏切に遮斷機があつて遮斷するとか、その他警察官吏がおりまして特に指示をするとかいうような場合で、安全であることが確認せられた場合には、必ずしも一時停車しなくてもよいということであります。  第十六條は車馬及び軌道車相互の間の通行についての順位を書いてありまして、その順位が一位が緊急自動車、第二が緊急自動車に外の自動車及び軌道車、三番目が自動車以外の車馬であります。これは結局は道を讓ることにつきまして必要な規定なのでありまして、すなわち自轉車あるいは荷車は三番目の順位にありますから、二番目の順位にある自動車に、その自動車が接近した場合には、左に避讓してその道を讓らなければならない。そのためにこの規定が設けられているのであります。なお緊急自動車等につきましては、塗色、警音機、燈火等について必要な事項命令でこれを定める。これはたとえば消防自動車は赤く塗るとか、救急自動車は白く塗るとか、あるいはサイレンをつけさせるとか、夜間特別な赤い燈火をつけさせるとかいうようなことであります。これを命令にしてあります。  第十七條は交叉點にはいろうとする車馬または軌道車のはいり方であります。  第十八條は狹い道路から廣い道路にはいろうとするところの車馬または自動車のはいり方であります。いずれも大した御説明の必要はないと存じます。  第十九條は緊急自動車に對するところの、その他の車馬または軌道車の避讓といいますか、進路を讓る規定でありまして、交叉點の附近において緊急自動車が接近したときには、軌道車交叉點を避けて一時停止する。また車馬交叉點を避けて左側に停車して、これに進路を讓らなければならないということになつております。なお緊急自動車につきましては、たとえば消防自動車が火災の現場に行く場合など、特に緊急を要する場合には、ゴウ・ストツプストツプの表示のある場合でも徐行しながら通過してよろしいという規定であります。  次の二十條で、車馬または軌道車の徐行すべき場合について必要な事項は、命令に讓つております。見透しのきかない曲り角であるとか、雜沓の場所であるとか、トンネルの中であるとか、小學校の前であるとか、こういうようなところを通行する場合には徐行義務を課したいと思いますが、こういう細かい點は命令に讓つてあるのであります。  二十一條は、停車または駐車を禁止する場所、その他停車または駐車に必要な事項命令に讓つてあります。たとえば交叉點において、あるいは横斷歩道の上において、停車したり駐車をしてはいけない。あるいは交叉點曲り角から何メートル以内においては駐車をしてはいけない。あるいはトンネルの中、橋の上においては駐車をしてはいけないというような、そういう停車駐車を禁止する場所、その他停車または駐車方法、たとえば駐車する場合には、道路の左側の端に進行方向に向つて駐軍しなければならぬとか、あるいは夜間は駐車燈をつけなければならぬ。あるいはブレーキをかけておかなければならぬ。牛馬車であれば、これを確實につないでおかなければならぬ。そういうような駐車停車方法、こういう事項命令に讓つてあります。なお第二項で都道府縣知事は、駐車の時間または場所について必要なる制限を定めることができる權限を與えております。これは交通頻繁な場所の、特に交通頻繁な時刻については、そこに駐車をしてはならぬというようなこと、たとえば丸の内附近においては何時から何時までは一定の場所以外の所へ駐車をしてはいかぬ、あるいは銀座通りにおいては駐車をしてはいかぬとかいうような、必要な制限を定めることができるということを府縣知事に授權しています。  次に二十二條は、發進、左折、右折、徐行、停止もしくは後退、こういう場合、あるいは後の車馬に追い越させようとする場合に、手、方向指示器、そのほかの方法で合圖をしなければならぬ。その合圖について必要な事項命令に讓つております。たとえば左折の場合には左手を左方に水平に出すとか、あるいは徐行の場合には、左手でも右手でもよろしいが、車體外斜め下に出すとか、あるいは後の車に追い越させようという場合には、水平に手を外に出して前後に振るとかいうような規定命令に讓りたい。こういうふうに思つているのであります。  第二十三條は諸車の乘車、積載または牽引の制限、これは視野を妨げるような積み方をしてはいかぬとか、あまりに長大な交通上危險のあるような物件を積んだり、あるいは牽引してはならぬとか、あるいは乘車の定員とかいうようなことを命令に委任するのでありますが、大體現行自動車取締令の六十三條、七十一條、道路取締令の十三條、十六條を採用したいと思つております。なお警察官吏が諸車の乘車、積載、そのほか牽引について、特に交通危險防止上必要があると認めたときは、一時運轉を停止して必要な處置をとらせることができるという權限を與えています。  次は第三章雜則であります。第二十四條、車馬交通によつて人を殺傷したり、あるいは物の損壞があつた場合には、その操縱者または乘務員その他の從業者は、被害者の救護その他必要な措置を講じなければならないという規定を特におきまして、これに對する違反に對して重い罰則を科しています。被害者の救助その他必要な措置というのは、警察官吏への申告等であります。前項の場合において、乘つていたお客さんであるとか、あるいは主人であるとかいう者が、操縱者がその措置を講ずるのを妨害してはならないというのが第二項の規定であります。  第二十五條は、道路において、交通の妨害となりまたは交通の危險を生ぜしめるような行為で、命令で定めるものは、これをしてはならない。命令で定めるべく豫定いたしますのは、酪酊徘徊するとか、あるいは道路上でもつて投石、投球、野球をやるとか、あるいは自轉車に乘つている者が自動車の後につかまつて自動車にひつぱられて行くとか、あるいは市内電車車體外にぶら下るとか、あるいは道路上で兒童、幼児を保護者なしに遊ばしておくとかいうような、そういう危險を生ぜしめるような行為を命令でもつて禁止をしたい。こういうふうに思います。  第二十六條は「左の各號の一に該當する者は、命令の定めるところにより、警察署長の許可を受けなければならない。」として「一、道路において工事又は作業をしようとする者、二、道路に碑表、廣告板、飾塔等を設置しようとする者、三、道路に露店、屋臺店等を出そうとする者、四、道路において都道府縣知事の定める行為をしようとする者」となつております。その「命令の定めるところ」というのは、申請の樣式とか申請先とかいう手續きを命令できめたいというわけであります。なおこれにつきましては道路管理者の許可があれば警察署長の許可はいらない。二重許可にしないで、道路管理者の許可があれば警察署長の許可はいらないというように命令規定しております。そうして道路管理者と警察署長の間は内部的な連絡をとらせるべく考えております。第二項は「前項の許可に關し、危險防止及びその他の交通の安全のために必要な措置を命ずることができる」ということであります。第三項は、道路上ではありませんが「沿道の土地における工作物その他の施設及び物件が道路における交通に著しい危險を生ぜしめる虞がある場合においては、その占有者に對し、その危險の防除のために必要な措置を命ずることができる。」たとえば沿道における樹木が非常に道路の方に枝が延びてきて見透しを妨げるというような場合には、その枝の取拂いを命ずるというようなことがあります。  第四章は大體今まで申し上げましたことに對しまする罰則でありまするが、ただ第二十七條は「みだりに信號機を操作し、若しくは道路標識を移轉し、」というようなことに對して、今までにこの條項が出ておりませんが、こういうような場合を重く罰するべく第二十七條に規定してあるのでありますが、ここにあるみだりに信號機を操作し、あるいは道路標識を移轉する、あるいは損壞するということはそれによつて必ずしも實害が生じなくても、危險が生ずればすでにこの罰則は適用になるのであります。以下は全部ただいま申し上げましたようないろいろな義務違反に對するところの罰則でありますが、簡單に各條について御説明申し上げました。
  7. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、日本では左側通行でございますが、ヨーロツパ、アメリカ等におきましてはおおむね右側通行をしております。日本では何がゆえに左側通行をお選びになつたか、その理由、それから私もアメリカに三年おりましたが、アメリカの交通は全部右側でございます。それで今後向うからいろいろのトラツク、ジープその他の自動車が輸入されることと思います。そうしますと日本は左側でございますと、あのハンドルを反對の方に向けなくちやなりません。そういうような不便なことをしなくても、向うのものが輸入になつたら直ちに使えるように右側通行をなさるお考えはございませんでしようか。世界各國到るところ右側通行をいたしております。にもかかわらずわが日本の國は何がゆえに左側通行を實施しなくちやならないか、その理由を私ははつきりお聽きしたいと思います。
  8. 久山秀雄

    久山政府委員 日本がどうして左側通行をとつているか、そういうことに至りました根本の理由はよくわかりませんが、從來左側通行するという建前のもとに、いろいろの道路上の信號とか、あるいは道路標識とか、いろいろの電車、自動車の構造がすべて左側通行を建前にしてできております關係上、實は米國では右側である、もちろんヨーロツパ、英國あたりでは左側でありまして、日本と同じように左側通つているというようなことで、世界各國それぞれどういう理由でありますか、これはどちらでもよいのでありますが、どちらか一方にきまつてさえおればその國としての交通の安全上はよいのでありまして、いろいろの理由で右とか左とかきまつているのでありまして、今お話のように、アメリカと特にこれからこういつたような方面における關係が非常に深いというふうな面から申しますれば、今大石さんのお話のように右ということの方がその面からは非常に便利である。實は進駐軍の方からも昨年でありましたか、そういう話もありまして、いろいろ日本側において調査研完をいたしたのでありますが、何ぶんすべてが左側で線路の敷き方なり、電車のポールの敷き方なり、信號器なり、そのほか全部左側でものができておりますから、今これを右側に變えることは、物質的な損害というか、非常な費用がわかりまして、こういう厖大なことはやれないということで、實は進駐軍に對しても、現在を維持するということで了解を願つて、現在までそういうようにやつておるという關係がありますので、差當つて今考えなければならぬ點としては、將來はどういうふうになりますか、現在の道路のそういう方面の實状から申しますと當分は左側でまいらなければ、そういうことをするだけの資力、餘裕がとうていないという状況でありまして、そういうことが主な理由でこの際特に右側に改めることでなくいきたいと考えております。
  9. 佐藤通吉

    佐藤(通)委員 いろいろ條文内容について具體的な檢討を加えていけば、どうかと思う點が二三ありますが、私が警察官廳の一幹部をしていた過去の經驗から、この取締りをいかにするかという問題を中心にして考えると、やはり現場中心でいかなければならぬのではないかと常に考えております。たとえば、とつさの場合に警察署長が、直ちに職務の權限において取締を現實にやつていくということは、實際は署長がやるのではなく、現場におる警察官がやるのでありますから、そういうことをはつきり法規の上にうたつておいた方がよいのではないかと考えておつたのであります。たとえば九條三項に「都道府縣知事は、運轉免許を受けた者が不具廢疾者となり、又は故意過失により」云々という規定がありますが、この場合、取締の立場から言うならば、一瞬といえども運轉することができないというように、現實に取締を徹底するようにしていかなければならない。そうでなければこれが故意、過失によつて事故を起したかどうかということを認定して、免状を取消して、それから運轉ができないということになると、その間の時間的關係は相當長くかかると思います。これは立法技術に多少關連がありますが、緊急の場合には、現場警察官吏が臨機的處置をとるという意味の條文を入れる方がよいのではないかと考えます。それから從來非常に疑問に思つていたことは、警察官吏とは何をさすのか。もちろん司法警察の觀念では司法警察官、司法警察吏というのがあつて明らかな限界がありますが、行政警察の面ではこれを警察官としたらどうかと考えます。何故警察官吏としなければならぬのか。もちろん從來の用語は全部こういうふうになつておるが、これには何か深い根據があるのかどうか。主務大臣は知事と警察署長といわゆる關係警察官吏と、おのおの取締る立場また取締る權限が違つておりますが、これに對しては何か基本的なお考えがあつてなされたのでしようか。條文をみると警察官吏に任しておいた方がいいのではないかという點も二、三あるのですが、こういう場合には警察署長、こういう場合には警察官吏、こういう場合には知事というふうに、根本的な考えがこの取締の理念としてあるのかどうか、この點をお聽きしたいと思います。それから命令というのは、これは主務大臣のいわゆる省令になりますか、どうか、この點も一應……
  10. 久山秀雄

    久山政府委員 命令主務大臣の、今で申しますれば内務省令というようなことで出したいと考えております。都道府縣知事と警察署長と警察官吏、こういうふうにそれぞれの權限を使いわけているのでありますが、これはやはり現實にその場で取締に從事しておりますものは、警察官吏でありますので、その現場において即時處置を要する事項については、警察官吏にその權限を與えているのであります。それから一般的に東京都の區域内における交通制限はいくらにするとか、あるいは運轉についての免許證を與えるとか、そういう基本的な立法を定める權限、一般的な規則をつくるようなものは、すべてこれが府縣知事權限になつているのであります。  それから警察署長は、交通の安全を保持するために、道路等におきまする工作につきまして危險防止のために適當な措置がとり得る、これは結局警察官吏の報告に基いて行うのでありますが、この程度のことは即時現場でというよりは、一応警察署長において適當な措置をとる、こういうふうにそれぞれ職務の態樣に應じまして、現場の第一線から基準的な法規的な基礎をつくるというところにわけまして、警察官吏から警察署長及び都道府縣知事、こういうふうに權限をわけて定めているわけであります。警察官吏ということにつきましては、ここに書いてあります警察官吏ということの範圍を、全部の警察關係者と言うと語弊がありますが、巡査からずつと上まで、要するに警察官のことでありますが、これが司法警察權の職務の方の規定におきまして、司法警察官というものと、司法警察吏いいうものを使いわけているのでありまして、警察官といたしましても、そういうような意味で字を使えば同じことでありますが、普通一般的に言います場合に、警察官吏というふうに使つておりますから、ここにそういう言葉を使つております。別にこれは警察官ということにいたしましても、それはあるいは同じ意味に使い得るように解釋をすればそれでいいかと存じますが、一應警察官という言葉が司法警察官というような場合に、警部補以上のいわゆる從來の判任官の人にこれを適用いたし、巡査及び巡査部長につきましては、司法警察吏というふうに使いわけております關係から、警察官吏という言葉によりまして、その全體を包括した言葉というふうにこの條文では言葉をきめたわけでありまして、警察官ということと同じ意味であります。大體そういうように御了承願います。
  11. 佐藤通吉

    佐藤(通)委員 大體意味を説明していただきましてわかりましたが、この第二十六條の場合に、警察署長の許しを受ければ道路の使用ができるということになると思いますが、この場合に道路管理者との間の關係でありますが、もし純然たる法律理論からいきますと、後法前法の關係で道路取締法というものがもちろん議會を通過して法律になつた場合には、結局後法は前法を覆えす理窟から、この法律をそのまま生かしていくことになりますと、事前に道路管理者から許可を受けた者が、それはそのままでいいわけでありますけれども、今のお話のように道路管理者の許可を受けた者が、新たに警察署長の許可を受ける必要はないというお話であつたようでありますが、これを一元的な取締の立場から、むしろこの法律に統一されて取締られたらどんなものと思う。  もう一つは小さいことを申上げるようでありますが、第一條の「危險防止及びその他」という「その他」は何を意味するのか、どうも了解に苦しむのであります。よく法律には具體的事項の列擧を避けて、その他のという字句を使つておりますが、そういう含みならば、この際字句の訂正、修正をなさつた方がいいじやなかろうかと思つております。
  12. 久山秀雄

    久山政府委員 交通の安全を保持いたしまするために、道路においていろいろの交通の妨害になるような施設をやるという場合に、交通の平安を維持する責任をもつておる警察署長の許可を受けなければならぬということは、どうしても必要になつてまいるのでありまして、一方道路法におきまして、道路管理者は道路の維持管理につきまして責任をもつておりますので、そういう施設をされて道路を毀されては困るというふうな、もつぱら道路の維持管理補修という立場から、どうしても管理者の許可は別の法律により、また別の角度から必要になるのでありまして、それぞれ違つた觀點から實は許可がどうしても必要になつてくるのでありますけれども、事實現實に許可を受けます人から申しますと、道路管理者の許可はどうしても受けなければならぬと思うのでありまして、道路管理者がよろしいといつたものを、警察署長の方からさらに許可を改めて受けまして、交通保安取締上もよろしいというふうに二重になる必要はないのでありまして、それは内部の連絡によつて道路管理者の方の許可を受けられることによりまして、その形をどういうふうにしますか、同時に兩方の名前を書いたものを道路管理者の方に、一通を書類を出すということによつて、内部の連絡によつて同時に許可の手續をいたしますか、あるいは道路管理者のみの許可の形によつて、現實に行政官廳の連絡でその許可が同時にあるようにいたしますか、いずれにいたしましても、改めて二重に別々に許可を受ける必要がないということだけは、内部の連絡でいたしたいというふうには考えておるのでありますけれども、法律の建前としては、どうしても別個のものでありますので、こういうふうな別の許可が要るということに建前としてはなるのであります。しかしそれによりまして、現實の工事をいたします者の不便は、今言つたようになくいたしたいと考えております。  それから第一條の「この法律は、道路における危險防止及びその他の交通の安全を圖ることを目的とする。」この交通安全を圖るということも、當時言葉にとらわれて考え過ぎて、こういうふうになつたきらいも多少あるのでありますが、交通の安全をはかるということと同時に、全然交通そのものを止めてしまう。從つて交通の安全をはかるのでなくて、危險そのものをなくするというふうな立場からも、内容におきまして規定をいたしておる點がありまするので、危險の防止、及び危險の防止ではないが、その他の交通の安全をはかる、こういうふうに書きわけておるのでありまして、そういうふうな御疑問が起るかとも思いまするが、内容をよく見ますると、やはりこういつたような言葉において法律の目的を規定しておく必要があろう、かように考えるのであります。
  13. 坂東幸太郎

    坂東委員長 二時から國土委員會がありますから、この委員會はこれをもつて散會いたします。次會の日程は追つて公報をもつて通知いたします。     午後二時十二分散會