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原説明員 それでは私から各條について簡單に御説明いたします。第一條の目的でありますが、特に「
危險防止及びその他の
交通安全」と書きましたのは、たとえば
道路の
決壞等の場合において、全然
交通を禁止をするというような場合が生じますので、ただ單に
交通安全というよりも、その他の
危險防止ということが含まれますので、特に
危險防止及びその他の
交通と、
危險防止の
制限を加えたわけであります。
第二條はこの法律における用語の意義なのでありますが、問題となりそうな點を簡單に申し上げます。
道路とは
道路法によるいわゆる國道、
府縣道、
市町村道。
自動車道は
自動車事業法によ
つて認可された
自動車道。
一般交通の用に供するその他の
場所と申すのは、ただいま申し上げました以外の鋪道とか、あるいは廣場とか公園とか、いずれにしても
交通の用に供する通路、
場所、すべてを含むのであります。第三項はこの通りであります。「
車馬とは、牛馬及び諸車をいう。牛馬とは、
交通運輸に使役する家畜をいい、諸車とは、人力、畜力その他の動力により
運轉する
軌道車又は小
兒車以外の車をいう。」この諸車の中には、
自動車、自轉者、人力車、馬車、
荷車等すべての車を含みます。ただ
軌道車及び小兒車だけを除いてあるのでありまして、ここにいう小兒車とは、乳母車、小
兒三輪車の類であります。
積雪地におけるそりはこれを諸車とみなしております。諸車の中で特に
自動車を取出して定義しましたのは、
自動車について特別な規則が大分出てまいりますので、特別に
自動車を取出したわけであります。「
道路において、原動機を用い、
軌道又は架線によらないで
運轉する諸車」を
自動車といいます。「
軌道車とは、
道路において、
軌道又は架線により
運轉する車をいう。」
軌道により
運轉するのは、いわゆる
市内電車、架線によるのは
架空式の
無軌道電車、京都市の一部に走
つておるああいうものを指すのであります。
第三條は
左側通行の原則であります。
第四條は、「
歩道と
車道の區別のある
道路においては、
歩行者又は
車馬は、その區別に從
つて通行しなければならない。」但し行列は
車道を
通つてもよろしいということにしてあります。「
歩道及び
車道の
意義竝びに歩道又は
車道の
通行の
區分及び横斷について必要な
事項は、
命令でこれを定める。」
命令で定めようと思
つておりますのは、人は、
歩道、
車道の區別ある所では
歩道、
車馬は
車道を通らなければならないということ、人の
車道に立入る場合の
制限、
車馬の
歩道に立入る場合の
制限、及び人が
車道を横斷する場合の
方法、そういうようなことを
命令で書きたいと思
つております。
第五條、
道路を
通行する
歩行者、
車馬または
軌道車は、
信號機、
道路標識もしくは
區畫線の表示または
警察官吏の
指示に從わなければならない、これらについては
命令をも
つて定めることにしてあります。すなわち、
信號機の赤の時に止まるとか、青の時に發進するとか、あるいは、
交叉點で一時
ストツプのときには
停止線で止まらなければならぬというような點、それから、
區畫線といいますのは、いわゆる
横斷歩道の
區畫線であるとか、
安全地帶の
區畫線であるとか、あるいは
駐車場の
區畫線であるとか、線をも
つて區畫するその
區畫線であります。そのほか、
警察官吏の
指示に從わなければならないその
警察官吏の
指示の
方法、
手信號の
方法等を
命令によ
つて定めたい、こういうふうに考えております。第二項「
信號機、
道路標識及び
區畫線の意義、設置及び管理について必要な
事項は、
命令でこれを定める。」ただいま申し上げましたようなことの以外に、これらの意義及び
設置管理の
方法についての
具體的な
事項は
命令に讓りたい。こういうふうに考えております。
第六條は「
都道府縣知事(東京都にあ
つては
警視總監以下同じ。)は、
危險防止及びその他の
交通の安全のため必要があるときは、
道路の
通行を禁止し、又は
制限することができる。」たとえば、先ほど申したような
道路決壞のような場合において、
道路の
通行を全面的に禁止をするとか、あるいは
歩行者だけの
通行を許可し、そのほかの諸車の
通行を
制限するとかいうようなことができます。
交通頻繁な
道路におきましてある種の諸車の
通行を
制限する、たとえば
銀座通りにおいて何時から何時までは自轉車、
馬車等は
通つてはいけないというような
制限、これらのことを
都道府縣知事ができるようにしてあるのであります。
第二項は「
警察官吏は、
危險防止のため緊急の必要があるときは、一時
道路の
通行を禁止し、又は
制限することができる。」
警察官吏がその現場において行うのでありますから、その場合を局限いたしまして、
交通安全のためというような廣い事由でなく、ただ
危險防止のために、しかも緊急の必要がある場合だけ、一時的に
道路の
通行を禁止する。たとえば橋が壞れた、あるいは
道路が決壞したという場合に、一時
警察官吏がその
通行を禁止することができる。それが時間的に相當長時間にわたるようでありますならば、
警察官吏はただちに上司に連絡をとりまして、
府縣知事の禁止または
制限になるわけであります。それまでの間の緊急の事態に處するための一時的な權限を
警察官吏に與えたというわけであります。
第七條、これは
車馬または
軌道車の
操縱者の無謀な
操縱を限定していくということであります。この第七條にいう無謀な
操縱とは、次の五つの項目に分けて書いてあるような、これを指して無謀な
操縱というのであります。第一に「構造及び裝置における重大な故障その他の事由により安全に
操縱できない
車馬を操縦すること。」これは、
車輛檢査は受けてお
つても、たとえば
ブレーキが故障してきかないとか、
ライトがつかないとかいうような重大な故障があり、從
つて安全に
操縱できない、そういう
車馬をあえて操縦した場合に、これを
無謀操縱といいます。第二は「法令に定められた
運轉の資格を持たないで諸車又は
軌道車を
運轉すること。」これは、
自動車の
運轉、
軌道車の
運轉手については、
自動車につきましてはこの法律によりまして、
軌道車につきましては改正さるべき
軌道法によ
つて運轉の資格をきめられるわけであります。その他の輕車輛、自轉車、
馬車等については現在のところ
運轉の資格ということは考えておりません。これらの
運轉の資格をもたないで、すなわち
自動車の無
免許運轉等を指すのであります。第三は、前號のほか、酒に醉つぱら
つて、これは酒氣を
帶びておる程度ではなく、酩酊して正常な
運轉ができないおそれがあるにかかわらず、諸車または
軌道車を
運轉すること。第四は「たづな、
ハンドルその他の裝置による安全な
操縱に必要な操作を怠
つて車馬又は
軌道車を操縦すること。」
ハンドルを手放して自轉車に乘つたり、たずなを全然使わないて馬に乘りまわす、あるいは
ハンドルを手にしないで
自動車を
運轉するというような場合を指しております。五番目は「法令に定められた
最高速度の
制限を超え又は他の
交通に對し不當に迷惑を及ぼすような
方法で、諸車又は
軌道車を
運轉すること。」すなわち
スピード違反、あるいは蛇行と申しますか、
道路をことさらに蛇がのたくるように、他の諸車に不當な迷惑を及ぼすような
方法で
運轉すること、以上の五つを
無謀操縱として、特に重い罰則を加えておるわけであります。
第三項は、これらの
無謀操縱の場合のうち特に第一號ないし第三號の場合においては、
警察官吏は
危險防止のため特に必要があるときは一時その
車馬または
軌道車の
操縱を停止することができる。
ブレーキの全然きかない
自動車を
運轉しておるのを
警察官吏が認めて止めた場合において、爾後その
運轉を續けさせることは非常に危險でありますので、そういう場合において、牽引する他の
自動車がくるまでの間、その
自動車の
操縱を停止せしめるという權限を與える必要がありますので、この第三項が設けられておるのであります。
第八條は、
最高速度は
命令によ
つて定めますが、その
最高速度をいつでも出してよいかというと、たとえば
自動車について、時速五十キロと
最高速度をきめましても、
銀座通りとか、あるいは新宿の通りとかいうような混雜の
場所で、常に五十キロで飛ばしてお
つてよいかというと、そういうものでないので、その
最高速度の
範圍内で、
道路、
交通及び
積載物の状況に應じて、公衆に危害を及ぼさないような速度と
方法で
操縱するということを、
操縱者の義務として課しておるわけであります。なおこのほかに第八條の第二項にありますように、
車馬の
操縱者の
操縱上遵守すべき
事項については、
命令で細かい點を定めたいと思
つております、これは
無謀操縱というほどの重いものではありませんので、
命令に委任したのでありますが、大
體定めようと思
つておりますのは、たとえば
自動車の
運轉手が喫煙をしながら
運轉しないことであるとか、あるいは
自動車が
夜間相互に行き違う場合においては、
ライト、前照燈の
投射方向を
下向けとするとか、あるいは
自動車が
警音機を濫用してはいけないとか、そういうようなことを
命令で定めたいと考えておるのであります。
第九條は
運轉免許の
規定で、
自動車を
運轉しようと思う者は、
都道府縣知事の
運轉免許を受け、かつ、
運轉免許證を携帶しておる者でなけらばならぬ。
運轉免許證は
都道府縣に委任するわけであります。第二項は
都道府縣知事は定期または臨時に
運轉免許證について檢査をすることであります。これは毎年一囘とか、五年に一囘とか定期のほかに、臨時に
運轉免許證の檢査をするということでありまして、この檢査がありませんと、
運轉免許の整理がなかなか困難なのであります。第三項は「
運轉免許を受けた者が
不具廢疾者となり、又は
故意過失により
交通事故を起したときその他特別の事由」というのは、この法律に違反をするようなことがたび重なつたというような場合において、
運轉免許を取消すことができるというのであります。なお「又は必要な處分をすることができる」というのは、
運轉免許を取消し、または停止する。免許を停止しておいて、その
停止期間に特定の、あるいは
府縣知事が指定したところの
自動車學校等にはい
つて實際の講習を受けなければいかぬというような必要な處分をすることができることにな
つております。第四項は、この
運轉免許はある
府縣で受けますと、その
運轉免許の効力は全
都道府縣に及ぶ。ある
都道府縣で取消しますと、その効力も全都
府縣に及ぶ。第六項は、「
運轉免許を受けた者は、重ねて同種の
運轉免許を受けることができない。」これは兩方とも關係する條文でありますが、たとえば
神奈川縣で
運轉免許を受けた者は、その
運轉免許が
有効期間中は、他の
府縣、あるいは
警視廳なり
千葉縣で
運轉免許を受けてはいかぬということであります。またその
運轉免許について
神奈川縣の
運轉免許を取消された者は、
警視廳においても、あるいは
千葉縣の管内においても
運轉免許のない者でありますから、
運轉してはならない、こういうことであります。なお最後の項の「
運轉免許に關して必要な
事項は、
命令でこれを定める」というのは、
自動車取締令にありますところの
運轉免許の手續であるとか、試驗であるとか、そういう細かい點につきまして
命令に讓りたい。しかもその
命令は、大體現在の
自動車取締令をそのまま採用したいと考えております。第十條、「
自動車の
最高速度は、
命令でこれを定める。」
最高速度というものはやはり
自動車の發達、
道路の發達に應じて時々變更せらるべきものでありますので、
命令で定めることが適當と考えるのであります。なお
都道府縣知事はその
最高速度の
範圍内においても、
道路あるいは區域、あるいは時間を
限つてさらに
自動車の
最高速度の
制限を定めることができる。たとえば一般的に
自動車の
最高速度を時速五十キロといたしましても、特に東京都の區部においては、三十五キロでなければいかぬというような
制限をすることができるということであります。
次は
緊急自動車のことでありますが、
消防自動車、
救急自動車、その他
主務大臣の定
むる自動車を
緊急自動車と稱しまして、これらの
自動車については、第一項の
最高速度を超えた
最高速度に
制限を定めることができる。現在
主務大臣の定める
自動車としては、このほかには現在のところでは直ちに利用するものとは考えられませんが、いま少ししますと
自動車の發達に應じまして、あるいは
アメリカあたりで使
つているような
犯人逮捕用の
警察自動車であるとか、あるいは火災の場合に現状における電線を切斷するような
作業用應急作業自動車であるとか、そういうものが考えられております。なお
自動車道につきましては
自動車專用道路でありますので「第一項乃至前項の
規定にかかわらず、
最高速度の
制限を定めることができる」という
規定を置きまして、
自動車道における
自動車に對して特權を與えていくというわけであります。
第十一條は「
道路を
通行する
車馬には、
命令の定めるところにより、燈火をつけなければならない。」この燈火をつけるのつけるは附設する方ではありませんで點燈の方であります。やはり
命令の定めるところによ
つて點燈しなければならないという意味であります。その點燈の仕方を
命令に讓
つておるわけであります。
第十二條は「
車馬は、他の
交通を妨害する虞のある場合においては併進し又は後退し若しくは轉囘してはならない」狹い
道路で二臺、三臺と竝んで通るのは困るのであります。また非常に混雜な
場所でいたずらに後退されるとか、あるいは轉囘される、今まで
行つてお
つた道路を
ぐつとまわつて逆な方向に引返されるということも困りますので、こういう
規定を置いてあるわけであります。
第十三條は「
道路における
車馬の追從又は追越について必要な
事項は、
命令でこれを定める、」追從は前の
自動車のあとに
自動車がついていくという場合でありますが、この場合に何メートル距離を置いていなければならないか、あるいは追越しの場合は、
自動車が
自動車を追い越す場合、
自動車が諸
車——荷車を追い越す場合には右側を追い越さなければならぬ。あるいは
軌道車——市内電車を追い越す場合には左側を追い越さなければならぬというような、こまかい
規定を
命令で定めるというように考えております。
第十四條は左折、右折の
方法でありますが、左折の場合には
道路の左側において徐行する。右折の場合には
交叉點の中心の外側をまわ
つて徐行する。現在
東京都内で
——各市とも同樣でありますが、
交叉點でよくごらんになるようなああいう
左折右折の
方法をそのまま採用しておるわけであります。
次は
踏切を通過する場合であります。「
車馬は、
鐵道又は
軌道の
踏切を通過しようとするときは、安全かどうかを確認するため、一時
停車しなければならない。但し、
信號機の表示、
警察官吏又は
信號人の
指示その他の事由により安全であることを確認したときは、この限りでない。」ここに言う
踏切とは、いわゆる鐵道あるいは
專用軌道の
踏切でありまして、
道路上の
市内電車の線路を横切る場合には
踏切とは考えておりません。その場合に一時
停車をする。但し信號によ
つて踏切に遮斷機があ
つて遮斷するとか、その他
警察官吏がおりまして特に
指示をするとかいうような場合で、安全であることが確認せられた場合には、必ずしも一時
停車しなくてもよいということであります。
第十六條は
車馬及び
軌道車相互の間の
通行についての順位を書いてありまして、その順位が一位が
緊急自動車、第二が
緊急自動車に外の
自動車及び
軌道車、三番目が
自動車以外の
車馬であります。これは結局は道を讓ることにつきまして必要な
規定なのでありまして、すなわち自轉車あるいは荷車は三番目の順位にありますから、二番目の順位にある
自動車に、その
自動車が接近した場合には、左に避讓してその道を讓らなければならない。そのためにこの
規定が設けられているのであります。なお
緊急自動車等につきましては、塗色、
警音機、燈火等について必要な
事項は
命令でこれを定める。これはたとえば
消防自動車は赤く塗るとか、
救急自動車は白く塗るとか、あるいはサイレンをつけさせるとか、夜間特別な赤い燈火をつけさせるとかいうようなことであります。これを
命令にしてあります。
第十七條は
交叉點にはいろうとする
車馬または
軌道車のはいり方であります。
第十八條は狹い
道路から廣い
道路にはいろうとするところの
車馬または
自動車のはいり方であります。いずれも大した御説明の必要はないと存じます。
第十九條は
緊急自動車に對するところの、その他の
車馬または
軌道車の避讓といいますか、進路を讓る
規定でありまして、
交叉點の附近において
緊急自動車が接近したときには、
軌道車は
交叉點を避けて一時停止する。また
車馬は
交叉點を避けて左側に
停車して、これに進路を讓らなければならないということにな
つております。なお
緊急自動車につきましては、たとえば
消防自動車が火災の現場に行く場合など、特に緊急を要する場合には、ゴウ・
ストツプの
ストツプの表示のある場合でも徐行しながら通過してよろしいという
規定であります。
次の二十條で、
車馬または
軌道車の徐行すべき場合について必要な
事項は、
命令に讓
つております。見透しのきかない曲り角であるとか、雜沓の
場所であるとか、
トンネルの中であるとか、小學校の前であるとか、こういうようなところを
通行する場合には
徐行義務を課したいと思いますが、こういう細かい點は
命令に讓
つてあるのであります。
二十一條は、
停車または
駐車を禁止する
場所、その他
停車または
駐車に必要な
事項は
命令に讓
つてあります。たとえば
交叉點において、あるいは
横斷歩道の上において、
停車したり
駐車をしてはいけない。あるいは
交叉點曲り角から何メートル以内においては
駐車をしてはいけない。あるいは
トンネルの中、橋の上においては
駐車をしてはいけないというような、そういう
停車駐車を禁止する
場所、その他
停車または
駐車の
方法、たとえば
駐車する場合には、
道路の左側の端に
進行方向に向
つて駐軍しなければならぬとか、あるいは夜間は
駐車燈をつけなければならぬ。あるいは
ブレーキをかけておかなければならぬ。
牛馬車であれば、これを確實につないでおかなければならぬ。そういうような
駐車、
停車の
方法、こういう
事項を
命令に讓
つてあります。なお第二項で
都道府縣知事は、
駐車の時間または
場所について必要なる
制限を定めることができる權限を與えております。これは
交通頻繁な
場所の、特に
交通頻繁な時刻については、そこに
駐車をしてはならぬというようなこと、たとえば
丸の内附近においては何時から何時までは一定の
場所以外の所へ
駐車をしてはいかぬ、あるいは
銀座通りにおいては
駐車をしてはいかぬとかいうような、必要な
制限を定めることができるということを
府縣知事に授權しています。
次に二十二條は、發進、左折、右折、徐行、停止もしくは後退、こういう場合、あるいは後の
車馬に追い越させようとする場合に、手、
方向指示器、そのほかの
方法で合圖をしなければならぬ。その合圖について必要な
事項は
命令に讓
つております。たとえば左折の場合には左手を左方に水平に出すとか、あるいは徐行の場合には、左手でも右手でもよろしいが、
車體外に
斜め下に出すとか、あるいは後の車に追い越させようという場合には、水平に手を外に出して前後に振るとかいうような
規定を
命令に讓りたい。こういうふうに思
つているのであります。
第二十三條は諸車の乘車、積載または牽引の
制限、これは視野を妨げるような積み方をしてはいかぬとか、あまりに長大な
交通上危險のあるような物件を積んだり、あるいは牽引してはならぬとか、あるいは乘車の定員とかいうようなことを
命令に委任するのでありますが、大
體現行自動車取締令の六十三條、七十一條、
道路取締令の十三條、十六條を採用したいと思
つております。なお
警察官吏が諸車の乘車、積載、そのほか牽引について、特に
交通危險防止上必要があると認めたときは、一時
運轉を停止して必要な處置をとらせることができるという權限を與えています。
次は第三章雜則であります。第二十四條、
車馬の
交通によ
つて人を殺傷したり、あるいは物の損壞があつた場合には、その
操縱者または乘務員その他の從業者は、被害者の救護その他必要な措置を講じなければならないという
規定を特におきまして、これに對する違反に對して重い罰則を科しています。被害者の救助その他必要な措置というのは、
警察官吏への申告等であります。前項の場合において、乘
つていたお客さんであるとか、あるいは主人であるとかいう者が、
操縱者がその措置を講ずるのを妨害してはならないというのが第二項の
規定であります。
第二十五條は、
道路において、
交通の妨害となりまたは
交通の危險を生ぜしめるような行為で、
命令で定めるものは、これをしてはならない。
命令で定めるべく豫定いたしますのは、酪酊徘徊するとか、あるいは
道路上でも
つて投石、投球、野球をやるとか、あるいは自轉車に乘
つている者が
自動車の後につかま
つて自動車にひつぱられて行くとか、あるいは
市内電車の
車體外にぶら下るとか、あるいは
道路上で兒童、幼児を保護者なしに遊ばしておくとかいうような、そういう危險を生ぜしめるような行為を
命令でも
つて禁止をしたい。こういうふうに思います。
第二十六條は「左の各號の一に該當する者は、
命令の定めるところにより、警察署長の許可を受けなければならない。」として「一、
道路において工事又は作業をしようとする者、二、
道路に碑表、廣告板、飾塔等を設置しようとする者、三、
道路に露店、屋臺店等を出そうとする者、四、
道路において
都道府縣知事の定める行為をしようとする者」とな
つております。その「
命令の定めるところ」というのは、申請の樣式とか申請先とかいう手續きを
命令できめたいというわけであります。なおこれにつきましては
道路管理者の許可があれば警察署長の許可はいらない。二重許可にしないで、
道路管理者の許可があれば警察署長の許可はいらないというように
命令で
規定しております。そうして
道路管理者と警察署長の間は内部的な連絡をとらせるべく考えております。第二項は「前項の許可に關し、
危險防止及びその他の
交通の安全のために必要な措置を命ずることができる」ということであります。第三項は、
道路上ではありませんが「沿道の土地における工作物その他の施設及び物件が
道路における
交通に著しい危險を生ぜしめる虞がある場合においては、その占有者に對し、その危險の防除のために必要な措置を命ずることができる。」たとえば沿道における樹木が非常に
道路の方に枝が延びてきて見透しを妨げるというような場合には、その枝の取拂いを命ずるというようなことがあります。
第四章は大體今まで申し上げましたことに對しまする罰則でありまするが、ただ第二十七條は「みだりに
信號機を操作し、若しくは
道路標識を移轉し、」というようなことに對して、今までにこの條項が出ておりませんが、こういうような場合を重く罰するべく第二十七條に
規定してあるのでありますが、ここにあるみだりに
信號機を操作し、あるいは
道路標識を移轉する、あるいは損壞するということはそれによ
つて必ずしも實害が生じなくても、危險が生ずればすでにこの罰則は適用になるのであります。以下は全部ただいま申し上げましたようないろいろな義務違反に對するところの罰則でありますが、簡單に各條について御説明申し上げました。