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北浦委員 こういう
條文は寡聞にして私は諸
外國の
立法例を調べて見ましたが、あまりありません。今
司法大臣がおつしやつたように、そういう
人物は當選しないことが望ましいという、これがいけないのだ。これがいわゆる
選擧干渉になる。たとえば、今から十年前に人殺しをした人がある、それは世間はもう忘れてしま
つておる、そうして今は非常によい
人物にな
つておる、それを明らかにこれで
攻撃する、あいつは人を殺した、こういうことでこういうことをした、これは
選擧には深刻なる影響を及ぼす。それでも、人を殺したということが
眞實であるならば何ら罰せられない。それは不都合じやありませんか。正々堂々の争をせずして……。一體
鈴木さんも
辯護士でありますが、私らも
辯護士である。過去に恥ずべき
行為があつたにしても
——現に横領しようが、詐欺しようが、われわれは辯護する。やはり言い分がある。それを、過去においてやつたからとい
つて、立
候補者に對してそれを
言つても構わぬ。
言つても罰せられない。これはどうも、今當選しないことが望ましいと申されたが、それがいけない。過去にいかなることがあろうとも、今日當選することを望む、そして
國家のために盡そう。あなたは、これは立
候補すれば特定するから、これを
公衆の
批判の前に立たせるのだ、ほかはそうじやないと言われるが、
高等文官試驗でも、願書を出せば特定する。
最高裁判所の
判事は
彈刻法があるとおつしやるが、それはいかにもある。
衆議院議員にしたところで、
除名ということもある。現に醜惡なる
行為をなす者には、懲罰として、
除名することができる。私はついでだから申しますが、現在の
世耕情報に基く
詐欺事件なんかに関係して、そうしてそれから金でもと
つておるという者があつたら
除名に値すると思う。こういう方法がある。
ひとり最高裁判所の
判事に限らぬ。あなた方は、こうして
政府提出原案として出せば、何でもこれを維持しなければならぬということは、これは昔からの惡い
弊害でありますが、
鈴木さんも
代議士だ。
考えてごらんなさい、そういう理窟が正當であるかどうか。諸
外國の
立法例でも、
公衆の
批判の的に立たせる、それはよろしい、けれども、過去の恥ずべき
行為、過去の名
譽毀損になるべき
行為までも、今出してきて、
公衆批判の的に立たす必要がどこにあるか。これはどこまでも
政府の
原案であるから、あなたはいろいろなことをおつしやいますけれども、
選擧の
實際をやられたあなたとしては似合わない
言葉である。
選擧は
主義と
政策と
人格とで闘いますよう。現在の
人格。過去に人を殺しようが、泥棒をしようが、どんなことがあろうが、それは言わない方がよろしい、摘發しない方がいい。そんな
選擧は正々堂々たる
選擧と違う。これは
公選による
議員候補者、これだけを修正する。こういう方向にわれわれは進みたいと思う。これ以上は意見の相違ですからやめます。これで打切りますが、次ぎにお伺いいたしますのは、これはごく小さな問題でありますが、
艦船——敵國とかいう
文字はみな削除されまして、これは結構ですが、私はまだ
研究しておらぬのでわかりませんが、
放火犯のときにも
艦船という
文字がある、從來の妨害にも
艦船がある、住居を犯す罪にも
艦船がある。この
艦船の中の
軍艦というものは、現に
外國に引渡すものはあるかもしりませんが、あるにしてもそれはお
ろらく連合國の管理に屬していると私は思います。
戰争法規の今日には、
憲法によ
つて明白にこういう
軍艦の
制度は禁ぜられている。ほかの削除された「
帝國」の「帝」という字さえ削除されております。私はこの
條文をちよつと見てみたんですが、これはずいぶんあるが全部削られているように思うのですが、第百二十
五條にも、百二十六條、百二十七條、百二十九條、百三十條、こうずらつと
艦船という
文字がありますが、これをどういうわけでこのままおいておくのか、この點お伺いします。