○花村委員 そうすると、
新聞にあるのが間違いであるのでありますか。また諸所の警察署長に廳いてみますると、要するに經濟方面を擔當いたしておりまする司法警察官というものは、安本から派遣さてれいるということをどこの警察へまいりましても言うておるのでありまするが、この七千人の、そうした
日本全國の各警察へ按配してあるまする監視官というのは、
經濟安定
本部から行
つているものであると警察署長が申し、われわれもそう
考え、一般もそう見ているのであるまするが、今の説明によれば何だか誤りのようでありまするから、これはまた私の方でさらに調査をいたして見ることにいたします。そこで首相にお尋ねいたしたいのは、ときもかくにもこの安本の機構權限というものが非常に擴大強化されてきた。殊に現
内閣に
至つて、ますますその度合を増してきたということは衆目の見るところであり、しかも今日や
つておりまする政府は、むしろ三派の連立
内閣の
政治にあらずして、安本の
政治なりともいわれているのでありまするが、これに對しまして、首相がこの一週間あまり前の
新聞で見ますれば、この安本の行き過ぎに對して警告を發しておられる旨の記事を見たのでありまするが、この案のごときも、やはり安本の行き過ぎている
事實を證明するりつぱな一つの證據になると、こう申し上げてよかろうと思うのでありますが、これは首相といたしましてそうあるべきことであると、われわれも心からなる贊成を表してお
つたような次第でありまするが、どうも昨今安本の權限というものが、とかく行き過ぎになるというようなことは、これは世間で言うておりまするばかりでなく、
事實であると申し上げてよかろうと思うのでありますが、こういう機構も時局の現段階から
考えまして必要であるましよう。設くることにあえて異存はないのでありまするけれ
ども、たんだん行き過ぎの職務權限を強化擴大していくということは、これはまことに私
どもは愼しまなければならないじやないかと思う。これはやはり前の
同僚からも
質問があ
つたようでありますが、健全財政を保持することと、
行政制理とをにらみ合わせて、なるべく各官廳の擴大強化に對してては、思いき
つた規制を加えることこそ望ましいことである。しかし首相はこの前の
答辯においては、内務省はすでに解體の運命にあるということで、これが
行政整理の一つの手柄のごとく取上げられて言われたようでありますが、本日の
新聞を見れば、また本日上程される議案を見ますと、この内務省の廢止がどうやら變
つてくるような空氣に相な
つてきておるのでありますが、かりに然らずとして、以前のごとく廢止の運命に陷るものと假定いたしましても、これは
行政整理に何らの寄與をしないものである。看板をとりはずすだけで、内務省の多くの機構、あるいは職員というものを、
各省の皆それぞれわけられることにな
つてお
つた。私は内務省の人からそういう説明を聽いたのであります。看板はとりはずしたのであるけれ
ども、依然として内部の機構、あるいは人員に對しては、何らの影響もない。ほとんど首を切られる人もないということである。はたなてしからば、現
内閣において、この健全財政を堅持する
意味において、
行政整理をなされる面が一體どこにあるのか。それは
社會黨としても、あるいは
總理大臣としても、また
社會黨の諸君も、
議會において、その黨の掲げる政策において、まず
行政整理を斷行しなければならぬということは、はつきり聲明されている。しかるに今日
行政整理にほとんど手がつけられていない。それどころか、むしろ
行政は擴大強化される方向に向
つておる。あるいはこの前の
答辯で配置轉換を盛んに言われたのでありますが、配置轉換もある嚴格な
意味から言えば、
行政整理の一つになりましよう。なりましようが、こんなものは消極的のもので、
ほんとうの
行政整理というものではない。
行政整理は機構、過剩人員と經費の思いき
つた節減ということです。これ以外における配置轉換では、一方の場所から一方の場所へ移すというだけで、何ら
行政整理ではない。少なくとも
徹底した
行政整理ではない。ところが、どうでありましようか。今日の
各省の機構というものは、ほとんどその機構において、人員において、戰時中のそのままが、依然として残
つている。ところが、戰時中は、要するに官僚と
軍部が結託をいたしまして、軍備の方面と官僚機構の方面に對しては、いやが上にも擴大強化している。從いまして、今日
役人の數がわが國において二百五十萬ないし、三百萬と呼ばれている。六世帶の一人の
官吏がある。これはこのまま推移いたしますならば、
官吏亡國の結果をみねばならぬとまで絶叫せられておる。戰前の昭和十一年の
役人の數と今日の數を比ぶれば、二倍強に相な
つております。殊に鐵道あるいは逓信のごときにおいて
——鐵道に關します一例だけをつまんであげてみますならば、國鐵において戰前の昭和十一年に二十二萬八千人の職員であ
つたのでありますが、それが二十一年には五十七萬八千人に相な
つておる、二倍半です。そして本年なおかつこれに十萬あまりの職員を増加しようとして、増加しつつある。そこで昨今までの鐵道の
役人の平均給料が一箇月に千百圓でありましたが、これがこのころ新物價體系で發表された千八百圓の
俸給に直しますと、そこの五十億圓の
俸給が増額されなければならないということになる。かような次第でありまして、戰時中と機構はほとんど變らない。縮小しておらぬどころじやない、大きくな
つておる。そこで、それはそれだけの
仕事があるかということを
考えてみなければいかぬ。ただ大きくな
つたということばかり
考えちやいかぬ。それに正比例して
仕事が殖えてまい
つてきておるならば、これは何をかいわんやであります。ところが、
各省の
仕事を檢討してみますれば、戰時中よりいずれも減
つておる。統制經濟で認可許可に忙しか
つた役所、あるいは切符制で忙しか
つた役所も、あるいは企業、なかんずく軍需工業等でいろいろと
仕事の多か
つた役所も、敗戰後は
仕事がずつと減
つておる。減
つて、多くの役所へ行
つてみますと、あくびをしたり、腕組みをしておる
役人が相當おる。もちろん忙しい役所もありますが、遊んでいる役所も相當あることは現在われわれも見ておる。
總理大臣も見ておりましよう。野におる
當時は、社会黨の諸君はそういうことを盛んに言われた。
役人が遊んでおるじやないか。しかるに、これに對して、今日とにかく
日本の敗戰後における
政治工作としては、第一段階を突破して、大體平常時の城につつこんできておる。
日本再建の土臺は大體築き上げられてきておる。その土臺の上に、どうわが國を押し立てていくかというところへ進んでおる。この場合において、しかも困難な
國家財政の上からみて、石橋藏相は千百四十五億圓の豫算を組んで、これが健全財政なりと主張し、そして追加豫算は出さぬとまで言明した。しかるに現
内閣に至りまして、千五百億圓の追加豫算案が出るのではないかということを
新聞で書き立てたのでありますが、けさころの
新聞でみれば、どうやら九百億圓か、あるいは一千億圓に落ち着きそうであるということに相な
つておるのでありますが、こういう莫大なる追加豫算を出したのでは、とうてい健全財政の維持はできぬことは明瞭であります。私は斷言する。殊に特別會計の方面を見るときにおいておやであります。でありますから、
國家財政の健全性を失うということは、まことに遺憾ででありまするが、これらの點から勘案して現
内閣の在野
當時における
主義主張として、また首相の強く叫ばれた主張として、この
行政整理こそ、まず第一に手をつけなければならない問題である、こう私は斷言してはばからない。しかるにただいま申しまするように、
行政整理をするどころか、ますます擴張するがごとき方向に向か
つておりますることは、まことに遺憾であります。これは在野
當時主張しておられましたる首相竝びに
社會黨の政策を捨てるとおつしやるのであるか、あるいは配置轉換以外に何らかの
行政整理をや
つておると言われるならば、具體的に例をあげて、美辭麗句はやめて、簡単に御
答辯を願いたいと思うのであります。