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明禮委員 今まで私がお尋ねいたしましたことによ
つて考えていただきたいことは、
刑法の七十三條以下の
皇室に對する罪をこのたび削除されたことについて、まことに私は遺憾の意を表するものであります。今のお話によりますと、尊屬殺傷というものに對する觀念も、
國民の感情として重く罰することが
社會上必要だから罰することに
なつたというのであります。もちろんそうでありますが、これは一
個人の問題であります。ところがこの七十三條以下の問題は、こと
皇室に關する問題でありまして、もちろん今までも
法律の制定はあ
つたのでありますが、
國民の感情としては、ほとんど一致して動かすべからざるものがあると私は
考えます。殊に
日本國統合の
象徴でいらせられる
天皇に對しては、なるほど
個人と申しますか、
一般社會人のような
立場で野球をごらんになるようなこともありましようけれ
ども、通常
國事その他公務に、從事せられていられることが多いのであります。一面において
國民であるということも私
どもは言い得ないこともないと存じますけれ
ども、とにもかくにも、
憲法において
象徴として特別の
地位がおありになるにかかわらず、その
地位に對する大君に對して危害その他の侮辱があ
つた場合に、何ら特別
規定がないということは、私はどうしても片手落ちである。何とかしてこれはこういう
規定の、たとえば不敬罪という、その不敬罪と言う言葉はよくないかもしれませんが、今日の民主的と言います
立場から、不敬という言葉は、これは訂正してもいいけれ
ども、誹毀罪といいますか、あるいは侮辱罪といいますか。要するに特別の
規定を設けて、そうして今統計に申し上げましたような
犯罪に對する防止、あるいはそういうことはめ
つたにないことでありますから、いわゆる
社會政策といいますか、刑事政策の上からい
つても、あるいは
國民の感情の上からい
つてもまた
法律論からい
つても、どうしてもかような
規定がなければならぬと私は
考えるものであります。その點についての御
意見を伺います。