○岡井
委員 一たび
姦通が行われましたならば、
法律ではとうてい解決する力はないのでございます。これをよく認識しなければいけません。すでに
姦通があ
つた以上は、それを
姦通罪で罰してみたところが、
法律の手の届かない世界でございますので、私
どもは古來から
姦通罪を
犯罪の中でも王樣と認めておる。つまり妻が
關係しておる
從來の
姦通罪は、
犯罪の中でも王樣とな
つております大
犯罪でございます。これは一家にと
つても重大な
犯罪でございますが、これはやはり掲げておく方が
法律政策としては相當である。掲げることだけが必要であるというのでございます。一たび
姦通が起きて罰してみたところがどうにもなるものではないのであります。實にばかばかしい話であります。それをよく認識しなければいけません。ただ掲げるということが大事なのではないかと思います。
それから次に
皇室に對する罪も一括してお伺い申し上げますが、
憲法に
象徴という言葉が使
つてございますが、この言葉一つ、それからただいま
花村委員もおつしやいました
外國君主に對する危害罪、名
譽毀損ぐらいはどうでもいいが、危害罪は相當
考えて、
日本の
天皇に對する罪と
外國君主に對する罪とを、一括して
規定を設けられたならば、
外國に對する思惑も同時に解決する問題ではないかと思うのでございます。また理論から申しましても、まさにしかあるべきであ
つて、
憲法に
象徴という文字を使
つてあるのは、だてに使
つておるのではないと思います。
それからもう一つの理由は、
日本で
被害者が即死を遂げておる場合、わきばらへ穴をあけられて即死を遂げたる
事件、これはことごとく殺人罪である。つまり人が死ぬということに向
つて死んでもどうでもよろしいということに向
つて認識がある殺人罪であると思うのでございます。私は統計をとりかけたこともございますけれ
ども、まず八割までは傷害致死で終
つておるようであります。そこで不良少年仲間では、眠らせてもとにかく五六年で濟むということが常識にな
つております。それで人をや
つておいて、五六年したら歸
つてくるよと
言つて出かけるのであります。これは今までの
天皇に對する危害罪を除くということになりますと、この邊のことも
考えなければならぬのであります。今では謀殺とかなんとかなればともかく、その場でや
つたような場合は、ことごとく五六年經
つたら歸
つてくるのです。罪名は殺人罪にあらずして傷害致死なんです。不名譽でもなんでもない。そういうのが今の
裁判の
状態であります。それでは一國の
象徴たる
天皇に向
つての加害者たる場合に、そういうことになると妙なことになりますので、これはやはり今までの
刑法のごとくに、
法律を設ける以上は、法文でも
つてうた
つておくのが至當ではないでございましようか。刑は刑なきを期するというのが私
どもの建前である。私
どもも政治家の末輩でありますが、ここでこういうような小
議論をしておるのは大嫌いでありまして、性分に合わないのであります。しかし法案を出されれば審議しないわけにいかぬので、やむを得ず審議しておるのでございますが、いやしくも
刑法を設ける以上は、やはり大義名分を明らかにして、
道徳にも宗教にも合致するような
法律をつくらなければならない。しかるに今まで承
つておりますと、
姦通罪と過失に對する罪は、
法律などはどうでもいいのだ、
實際に任しておいて心配はないのだ、安心したまえというような御
議論に承れるのでございます。
それから時間をとりますから一括して申し上げますが、こちらは遠慮したつもりでも、向うはかえ
つてばかにしておるようなことがよくあるようでございますが、それでは何にもならない。かえ
つて外國では、議會などでかような立法をしますと、
日本民族は今までもさように聞いてお
つたが、はたしてさようである。實に腹黒き人種である。油斷はならないということを彼らは必ず覺るであろうと思います。そこで
關係方面の眞の腹をお聽きに
なつたかどうか承りたいと思います。またかような大問題について
日本の權威者の説をお聽きに
なつたでしようか。そこらにおるようなへな
ちよこ連中はどうでもいい。大體
日本における權威ある言論が一つも出ないことが、
國家今日の悲況に陷
つた原因であります。私のお聽きしたいのはそれだけでございますが、ただいま
民法の相續の方で大いにお惱みのように拜見しております。私は農地調整法などという、ばかばかしい
法律をどうしてつく
つたかと思
つたが、はたせるかな、これは數十年經ちますと、今の耕作者は小作人の
地位に轉落する。共有者の持分のみいたずらに殖えてきて、それに對する小作人の
地位に轉落するのです。二十七分の一くらいの地主になりまして、二十七分の二十六の地主が後に控えておるというようなことは、わかり切
つたことです。これはいやしくも數學を學ぶ者のわかりき
つた理論であります。それからまた一反の田がわずかに八百圓、これも農村は、ばかにされておる。農村問題は農村部内にあらずして、農村以外の階級のものであるということを知らないから、貧弱なる農村を相鬪わしめておる。一反の田が今だ
つたら靴一足にも足らない、三分一足しか買えない。かようなばかげ切
つた法律をつくるようになるのであります。かような重大なることは、去年の議會でも何ら審議されませんでした。そこでこういう
姦通罪とか、
皇室に對する罪とかいうようなものを廢止するという御
議論にな
つてきますと、法案を出されたが、他にも法案があるから、これをわずか十日や二十日間でやらぬと、後がつかえてやれぬというようなことではならぬ。後から後からこういうものが出てくるということは、官僚と政治家の仕事が殖えて、われわれ飯の食いあげにならないから、結構ではございますけれ
ども、私はこんなことではしようがないじやないか、こういうような感じを懷いておるのでありまして、重大なる事柄に對しましては、前も
つて方法もあ
つたと思いますが、何とかお
考えおきを願いたいものと思
つております。雜駁なことをお伺いしましたが、私の申し上げる點は以上のような點であります。