○栗栖國務大臣 その最初の御注意に對して一言述べさせていただきます。
追加豫算もたいへん遲れまして——これも大
部分において、その筋等の關係において非常に遲れたのでありましたが、まことに恐縮している次第であります。なおそれと同時に提出すべきこの
税法の
改正法律案が、さらに數日の遲れを見たことであります。これも實は
政府といたしましても非常な努力をいたした次第でございますが、その筋との關係、その筋内部の關係におきましてなお數日遲れまして、まことに恐縮に存ずる次第であります。來年度の豫算等につきましては、十分事前に連絡もとりたい。そうしてかようなことのないように注意する次第であります。それから二十三年度の豫算の基本方針についてのお尋ねであります。私は今日までの豫算方針がどういうふうにな
つてきたかということよりも、今後はこの國會と十分なる連絡をとるという必要がございます。そうしてこの二十三年度の豫算は、先般豫算
委員會で申し上げたように、來月中すなわち本年末までに提出はむづかしかろうと思うのであります。できれば一月末までに休みをもぶつ通してぜひ提出するようにいたしたい。こういうお答えをしておるのであります。それにつきましても、なお豫算
委員會の方及び財政金融
委員會の方ではそれぞれ關係をもつものでございますから、隨時連絡をいたしまして、十分御
意見その他を、案をつくりつつも反映し、そうして一緒にその筋との關係をもや
つていきたい。かように
考える次第でございまして、そういうような扱い方をいたしたいと思
つております。それで案をつくりましてごらんに入れて、つくるときにすでに御相談もしていきたい。そうしませんと、その筋との關係等におきましても、十分日本の意思が反映しない點もあると思いますので、そういうふうにいたしたいと思います。それから二十三年度の豫算方針でありますが、これにつきましては、今囘の
追加豫算はすでに申し上げましたように本豫算のインフレによる
物價高、人件費、こういうような方面に相當大きなものが食われまして、
追加豫算の性質上、片山内閣としてのいろいろ
根本の政策等を、十分伸ばすことができなか
つた點も多々あるのであります。しかし二十三年度は、この内閣がさらに初めから豫算を編成する積りでございますから、そこで編成方針としては、この内閣の特質、政策を十分表わすようにいたしたい。まずこう
考える次第でございます。それから
追加豫算でもすでに
考えたことでありますが、十分力を入れることができなか
つたのであります。そういうことになりますと、どうしても二十三年度の豫算というものは、やはり再生産、このインフレを切拔けるには、通貨の壓縮ということも大事でございますが、もつと進んでは再生産ということをやらないと、これは切拔けられぬのであります。そこで再生産、それと同時に
國民生活の安定、こういう二つの面に相當重點をおきまして、
考えたいと思うのであります。それから來年度におきましては、私どもが期待いたしておりますところによると、講和條約もできまして、終戰處理費その他についても相當減少すると思うのであります。なお一面においては、賠償撤去費等あるいはこれは相當大きくなるとも思います。しかし全體を通じまして、そういうような面に使う資金は、減少するのではないかと思
つております。そうしますと、そういう面の資金よりも再生産、民生安定というようなところに重點をおいた豫算を、ひとつ盛りたいと思うのであります。それと同時にいまひとつは、講和條約その他によりまして、日本が國際社會の一員になると思うのであります。そうすれば國際經濟の中にもはいる得ることを期待いたしておるのであります。そういうことになりますと、日本は必要なる生産をする。そのためには設備よりも今資材原料が非常にないのでございます。これを
國民の勤勞によりまして、極力そういうものを輸入し、そういうものを生産をして、また一層輸出に向ける。こういうようにして國際關係を密接にする。貿易を盛んにし、そうしてこの日本のインフレを切拔けるということが、これはどうしても一面においてはせなければならぬと思います。そういう面におきましても、一連の政策それに要する經費その他をも、さらにそういう面を
考えまして、そうして豫算の中に盛りたいと思うのであります。かように二十三年度の豫算については、
根本が再生産、民生安定、國際經濟、貿易とかそういう點に重點を置きまして、それと同時に
課税その他の
國民負擔ということを
考えまして、こういうような
情勢がよほど變
つてまい
つたのでありますから、それに副うように
根本的の
租税負擔の均衡、公平というようなことを
考えていきたいと思うのであります。なお國費が非常に膨脹するということもありますが、これは日本の行政機構の
改革ということが、單に内務省とか司法省だけに止まらないで進んでいくと思うのであります。そういう面から
考えますと、どうしても行政
改革に伴う行政整理ということも行われると思うのであります。これは各種の企業がやはり戰時中厖大な未稼働設備をもち、未稼働人員をも
つておるということに對して、そういうものが企業再建整備と、
經濟力の集中排除等によ
つて整理されていくのと同じような見合いによ
つて整理されていくと思うのであります。この整理をするということは、日本の危機を切拔けて、經濟を建直す大きな要素である、段階であると思うのであります。そういうようなことをいたします場合に、むろん配置轉換、その他の
方法をいたしまして、一方においては人員の整理ということも出ると思うのであります。しかしそういうものを單に失業政策——失業手當というような消極的な面で受けていくということでなしに、すぐ餘
つた人員を生産の面にも
つていくというようにつながなければならぬと思うのであります。それには日本の
將來は貿易向きの工業とか、あるいは中小工業その他に相當人員の整理をも
つていかなくちやならぬ。受入態勢を整えて、單に消極面でなく、積極的な生産面でそれを切りかえるように努めまして整理をや
つていきたいと思います。整理がこの豫算面に大きな現われをすると思うのであります。大體そういうような
考え方をも
つて今内閣でも檢討をいたしておるのでございます。國會に対しても豫算の關係あるいは財政金融の關係の連絡をとりまして、相互にひとつ御協力を願
つて、りつぱなものをつくりたい、こういうふうに
考えておる次第でございます。