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1947-12-05 第1回国会 衆議院 国土計画委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十二月五日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 荒木萬壽夫君    理事 細野三千雄君 理事 松井 豊吉君    理事 内海 安吉君 理事 松浦 東介君       足立 梅市君    伊瀬幸太郎君       松澤  一君    溝淵松太郎君       宮村 又八君    山本 幸一君       田中 角榮君    村瀬 宣親君       今村 忠助君    鈴木 仙八君       高田 弥市君    野原 正勝君       木村 公平君    水田三喜男君       高倉 定助君  出席國務大臣         内閣總理大臣  片山  哲君  出席政府委員         戰災復興院總裁 阿部美樹志君         戰災復興院次長 大橋 武夫君  委員外出席者         議     員 佐々木秀世君         議     員 福田 繁芳君         議     員 千賀 康治君         議     員 坂東幸太郎君         議     員 田島 房邦君         議     員 米田 吉盛君         議     員 村上 清治君         議     員 大原 博夫君         議     長 八木 一郎君         議     員 森 幸太郎君         議     員 寺本  齋君         内務事務官   三島 利美君         内 務 技 官 金子  柾君         内務事務官   賀屋 茂一君         運 輸 技 官 天埜 良吉君         専門調査員   西畑 正倫君     ――――――――――――― 十二月五日  二股川改修工事施行請願内海安吉紹介)(第一三四六號)  天王橋架換え請願内海安吉紹介)(第一三五三號)  飯野川町より下流の新北上川維持區域編入請願内海安吉紹介)(第一三五五號)  新北上川橋梁架設請願内海安吉紹介)(第一四三七號) の審査を本委員會に付託された。 十二月四日  災害防除施設促進竝びに國庫補助増額等に關する陳情書(第六〇〇號)  新堤工事促進に關する陳述書熊谷市長鴨田宗一外七百八十名)(第六一〇號)  山形県における水害復舊對策に關する陳情書(第六一八號)  戰災復興都市計畫事業に對し國庫補助増額に關する陳情書(第六四〇號)  筑後川改修工事促進に關する陳情書(第六六六號)  治山治水對策確立に關する陳情書(第六七三號)  東北地方水害復舊對策に關する陳情書(第六八二號)  南海震災復舊工事費單賣價更生竝びに補助金交付促進に關する陳情書(第六九七號)  群馬県における水害復舊特別助成に關する陳情書(第七〇〇號)  長野県における綜合土木事業畫實施助成に關する陳情書(第七一〇號) を本委員會に送付された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  建設院設置法案内閣提出)(第一二八號)  一 伏木港浚渫費國庫補助請願橘直治紹介)(第七八八號)  二 番匠川改修工事促進請願梅林時雄紹介)(第九六三號)  三 荒川上流改修工事促進請願山口六郎次紹介)(第九八〇號)  四 御正村地内荒川上流護岸工事施行請願松崎朝治紹介)(第一〇四九號)  五 岩手県の水害對策に關する請願山本猛夫紹介)(第一〇七四號)  六 三ヶ尻地区北上川水害復舊助成請願小澤佐重喜紹介)(第一〇八〇號)  七 網走港修築請願佐々木秀世君外三名紹介)(第一〇八三號)  八 豊濱港修築請願福田繁芳紹介)(第一一〇七號)  九 矢作川改修工事促進請願千賀康治君外二名紹介)(第一〇八四號)  一〇 巴川上流調節池築設の請願中垣國男紹介)(第一〇八五號)  一一 白川改修工事施行請願松浦東介紹介)(第一〇八七號)  一二 天鹽川本支流河川改修工事施行請願坂東幸太郎君外五名紹介)(第一〇八九號)  一三 山梨縣水害復舊費全額國庫負擔の請願天野久君外六名紹介)(第一〇九八號)  一四 下妻町外数箇町村地内の鬼怒川堤防改修工事施工請願鈴木明良紹介)(第一一〇二號)  一五 斐伊川改修工事施行請願本村小左衛門君外四名紹介)(第一一一一號)  一六 観音寺、佐馬地間道路改修請願福田繁芳紹介)(第一一一二號)  一七 那賀川改修工事促進請願岡田勢一君外四名紹介)(第一一一三號)  一八 治水對策確立請願葉梨新五郎紹介)(第一一一九號)  一九 芝川改修工事促進請願田島房邦紹介)(第一一二三號)  二〇 伊勢崎市の水害復舊費國庫補助その他に關する請願鈴木強平君外三名紹介)(第一一三九號)  二一 高津川治水工事施行請願松本淳造紹介)(第一一六八號)  二二 重信橋架換え請願米田吉盛君外七名紹介)(第一一七〇號)  二三 重信川治水工事施行請願米田吉盛君外七名紹介)(第一一七一號)  二四 松山港修築継続施行請願米田吉盛君外四名紹介)(第一一七二號)  二五 鳥海川砂防工事施行請願村上清治紹介)(第一一七三號)  二六 農野牛川、牛首川及び十勝川改修促進請願高倉定助紹介)(第一一七五號)  二七 千々石川中流に溜池築設の請願久保猛夫紹介)(第一一七九號)  二八 入野川改修工事施行請願大原博夫紹介)(第一一八六號)  二九 舊呉軍港開港場に指定の請願前田栄之助紹介)(第一一九二號)  三〇 美矢井橋復舊架設請願中垣國男紹介)(第一二〇四號)  三一 馬場川砂防工事施行請願荊木一久君外一名紹介)(第一二〇四號)  三二 太田村地内の地すべり防止工事施行請願田中角榮紹介)(第一二〇六號)  三三 入塩川地内地すべり防止工事施行請願田中角榮紹介)(第一二〇七號)  三四 神谷地内の地すべり防止工事施行請願荊木一久君外一名紹介)(第一二〇八號)  三五 飯野川町地区県道嵩置工事施行請願内海安吉紹介)(第一二〇九號)  三六 富士川下流災害復舊工事施行請願宮幡靖君外二名紹介)(第一二一三號)  三七 吉井川上流改修工事施行請願小枝一雄紹介)(第一二二二號)  三八 御手洗修築請願大原博夫紹介)(第一二二四號)  三九 十勝川下流治水工事施行請願高倉定助君外一名紹介)(第一二五七號)  四〇 和賀川外二十七河川砂防工事施行請願志賀健次郎君外七名紹介)(第一二六四號)  四一 岩手山、八幡平を含む地帯を國立公園に指定の請願志賀健次郎君外七名紹介)(第一二六七號)  四二 仙臺、三本木間三陸縦貫道路開設請願志賀健次郎君外七名紹介)(第一二六九號)  四三 北上川上流改修工事促進請願志賀健次郎君外七名紹介)(第一二七一號)  四四 兵庫県水害復舊費國庫補助増額請願關根久蔵君外五名紹介)(第一二七二號)  四五 埼玉県の水害復舊費國庫補助請願關根久蔵君外五名紹介)(第一二七六號)  四六 伊良湖岬に避難港築設の請願八木一郎紹介)(第一二八一號)  四七 八井谷峠改修請願小島徹三紹介)(第一三〇七號)  四八 淀川水系河川砂防工事施行請願森幸太郎紹介)(第一三一六號)  四九 神戸市復興計畫の道路変更請願佃良一君外二名紹介)(第一三一七號)  五〇 函館、尾札部間道路改修請願川村善八郎紹介)(第一三一八號)  五一 上田、小諸間道路改修請願増田甲子七君紹介)(第一三二〇號)  五二 下都賀郡南部の治水對策に關する請願山口好一君外三名紹介)(第一三二四號)  五三 渡良瀬川沿岸築堤工事施行請願山口好一君外三名紹介)(第一三三〇號)  五四 函館、臼尻間道路開設請願川村善八郎紹介)(第一三三一號)  五五 菊池川改修工事施行請願寺本齋君外二名紹介)(第一三四〇號)  五六 廣瀬川、粕川復舊工事施行請願石井繁丸君外三名紹介)(第一三四二號)  五七 利根川鳥川合流地附近堤防復舊工事施行請願生方大吉君外三名紹介)(第一三四三號)  五八 利根川鳥川復舊工事施行請願生方大吉君外三名紹介)(第一三四四號)  追加  一 二股川改修工事施行請願内海安吉紹介)(第一三四六號)  二 天王橋架換え請願内海安吉紹介)(第一三五三號)  三 飯野川町より下流の新北上川維持區域編入請願内海安吉紹介)(第一三五五號)  四 新北川に橋梁架設請願内海安吉紹介)(第一四三七號)     ―――――――――――――
  2. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これより會議を開きます。  都合によりまして、請願審査をまず始めます。日程に從い、紹介議員の御出席の順序に從いまして議題といたします。  日程第一一、白川改修工事施行請願松浦東介紹介文書表番號第一〇八七號。紹介議員説明を求めます。松浦東介君。
  3. 松浦東介

    松浦(東)委員 簡單に御説明申し上げます。この請願山形最上西小國村長佐藤敬輔君ほか三百八十六名の多人数からなつております。白川というのは最上川の支流小國川の支流でありまして、山形県の北部最上西小國村の東部より北部に流るる川であります。川の上流東北でも有名な森林地帯であり、また下流耕地が約三百五十町歩ほどございます。上流の方は、大正十二年ごろより営林署の伐採の工事が開始せられまして、またその後、殊にこの戰争中には用材竝びに製炭用材が非常に多くとられましたような關係で、非常に現在は荒れはてております。一朝降雨の際には耕地が非常に荒れるのでありまして、貧弱な地元ではとても救濟ができないのであります。昭和十七年には日川上流砂防工事施行していただきましたので、地元民は非常に喜んでおつたのでありますが、これもその翌年の十八年には弱入手難のために、工事が半ばにして中止のやむなきに至つたのであります。昭和十九年七月の洪水、また本年七月、八月の二回の洪水流域耕地決壊、埋没、冠水は百数十町歩に及びまして、護岸及び堤防工事は全部破壊せられ、このまま放置すれば、おそらく耕地がほとんど大半烏有に蹄するのではないかということが非常に心配になるわけであります。しかるに、これが復舊工事には多額の費用を要するのでありまして、とても貧弱な村財政はもちろん、地元としては負擔しきれないのであります。こういう現状をお察し願いまして、何とか御救濟を願いたい。こういう請願でございます。しかるべく御採決を御願いいたします。
  4. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 この際お諮りいたします。會期切迫折柄、各請願紹介は五分以内に時間を制限いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  5. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めまして、さよう取計らいます。  本件に對する政府側意見を求めます。
  6. 三島利美

    三島説明員 お答え申し上げます。山形県の小國川の支流白川が最近年々災害で非常に荒れておりますることは十分承知いたしておるのであります。本年の水害に際しましても非常な被害があつたのでありまして、これが災害復舊につきましては、國庫財政現状ともにらみ合せまして、でき得る限り短期間に災害復舊をいたしたいと思つておりまするし、なおまた縣におきまして、災害復舊のほかに、中小河川改良工事というような計畫がありまする際は、これまたでき得る限り助成の途を講じたいつもりでおるのでございます。御了承願います。
  7. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 この際なおお諮りいたします。請願審査につきましては、第一回の請願審査のときに皆様にお諮りいたしまして、一應紹介議員説明を聴き、政府側意見を聴き、しかる後に最後に採否を決定するというふうに御相談申し上げておきましたところ、會期切迫折柄でもございまするので、一件ごとに採決いたしてまいりたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めまして、今後さよう取計らうことにいたします。
  9. 細野三千雄

    細野委員 本件はこれを採擇せられんことを望みます。
  10. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件を採擇することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  11. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めまして、採擇いたされました。     ―――――――――――――
  12. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第一八、治水對策確立請願葉梨新五郎紹介文書表番號第一一一九號。  この際お諮りいたします。本委員會におきまする請願審査につきましては、審査の慎重を期する意味合いにおきまして、これまた當初の委員會におきまして、紹介議員以外の代行を認めないというふうに取計らつてまいつたのでございますが、本請願紹介議員葉梨新五郎君はすでに議員を辞職いたされております。つきましては本件限り紹介議員以外の方で代行いたしたいと思いまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  13. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めまして、紹介議員以外の紹介を許します。内海安吉君。
  14. 内海安吉

    内海委員 水害對策確立につきましては、當委員會におきましても常に問題になつておるのでありまするが、特に最近各地に頻発いたしまする大水害を見ますにつきましても、その原因はかつて記録なき強度の降雨に禍されておることが多いのであります。從つてこれらのことはすべて不可抗力とも言い得るのであります。一面には戰時中河川改修工事がほとんど休止の状態にありましたことと、水源材が濫伐されましたことが一因であると認められるのであります。この際新日本建設の途上において、これが對策確立は最も緊要であると認めまするによつて、何とぞ御採擇あらんことを希望するものであります。
  15. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側意見を求めます。三島説明員
  16. 三島利美

    三島説明員 ただいまの御請願の御趣旨はまつたく同感でありまして、私どもにおきましても、でき得る限り急速にこの對策を樹立いたしまして、またその間におきましては、あらゆる機會國會のこの委員會の御意見をも十分に尊重いたしまして、今後對策を樹立いたしたいと考えております。現に治水調査會というようなものをつくつておりますが、これはいずれ早晩建設院ができまする際に、正式の委員會といたして、十分國會のこの委員會とも連絡を密にしてまいりたいと思つておる次第であります。
  17. 細野三千雄

    細野委員 本件はこれを採擇せられんことを望みます。
  18. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 細野君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  19. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。本件は採擇いたされました。     ―――――――――――――
  20. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第三五、飯野川町地区県道嵩置工事施行請願内海安吉紹介文書表一二〇九號。  この際お諮りいたします。内海委員より、本日程外請願につきまして、この際緊急上程方要望がございます。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  21. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議ないと認めまして日程は追加いたされました。二股川改修工事施行請願内海安吉紹介文書表第一三四六號、飯野川町より下流の新北上川維持区域編入請願内海安吉紹介文書表第一三五五號、天王橋架換え請願内海安吉紹介文書表第一三五三號、新北上川橋梁架設請願内海安吉紹介文書表第一四三七號。以上五件を一括議題といたします。紹介議員説明を求めます。内海安吉君。
  22. 内海安吉

    内海委員 宮城桃生飯野川町県道嵩置工事施行請願は、飯野川町長五島三右衛門氏外十七名の請願にかかるものでありまして、ぜひこの際國庫補助のもとに、この県道嵩置工事施行していただきたいというのが請願趣旨なのであります。  飯野川町起點として東へ橋浦村及び雄勝へ通ずる一部県道雄勝飯野川線と、さらに同線と橋浦村を經て本吉郡十三濱へ通ずる路線は、新北上川左岸堤防を兼用する唯一の樞要路であります。これが大正初年以來毎年毎年水害のためにほとんど交通杜絶になるばかりでなく、その附近耕地もほとんど冠水いたしまして、収穫が零というような状態になつておるのでありますから、この際速やかに県道嵩地工事國庫補助のもとに施行せられたいというのが請願趣旨なのであります。どうぞ御採擇あらんことをお願いいたします。  次は二股川改修工事請願であります。宮城登米米谷町、錦織町、米川村の中央を貫流する二股川を速やかに改修されんことを願うのでありまするが、本請願登米米谷町長佐藤鶴治外三十余名の請願になるものでありまして、本吉郡界に源を発しました二股川は、三箇町村を貫流する北上川支流でありまして、その流域は戸数一千七百、人口一萬二百人、耕地面積、田三百十九町歩、畑百七十五町歩、關係町村の重要なる主要農産地なのであります。しかるにこの地域は、年々歳々水害のためにこの河川は氾濫致しまして、ほとんど耕作が皆無というような状態になつておるのであります。この際政府におきまして、國庫補助によつて二股川改修を速やかに實施せられんことを熱望いたす次第であります。  第三は、新北上川維持区域編入に關する請願であります。飯野川町長五島三右衛門ほか五名の提出にかかるものでありまして、北上川改修工事は、明治四十四年起工以來二十箇年の歳月と一千三百余萬圓國幣を費して完成し、本川立びに新川流域はその恩恵により荒地は沃土と化し、湖沼は開拓せられ、住民はこぞつて感謝感激しておるのでありますが、その後十数年経過の今日に至りまして、年数回の出水によりまして河床が著しく隆起し、これがために降雨期に際しては毎年流水は増大して、飯野川橋下流竝びに二俣大川の運河堤防は溢水決壊して、耕地面積の作物はことごとく収穫皆無という状態になつておあるのであります。この問題については県當局はもとより内務當局におきましてもよく御承知されておる問題なのでありますが、この際新北上川維持区域を特に國家工事区域編入せられんことをお願いする次第であります。どうぞ本請願も御採擇あらんことを御願いいたします。  第四には、天王橋架換えに關する請願であります。請願者宮城縣桃生飯野川町長五島三右衛門ほか十六名であります。この宮城桃生郡大谷地村及び鹿又村を貫流する北上川に架設せられておる天王橋を速やかに架けかえられたいというのが請願のねらいどころでありますが、この天王橋架換につきましては、すでに内務大臣あてに県知事及び進駐軍よりもこの際速やかに架けかえることでなかつたならば、向う数箇月の間に落橋するであろう、この危険を防止するためには、縣はもとより國においても最善の方途を盡されたいというような文書符箋がつけられておるような次第なのでありまして、すでに御當局においてもこの架換えの必要なことはお認めになつておることと存ずるのでありますから、説明は省略いたしますけれども、これまた前案同様、本委員會において御採擇あられんことをお願いする次第であります。  第五は新北上川架橋工事に關する請願であります。宮城桃生郡大川村及び橋浦村を連絡する新北上川架橋請願は、昭和二十二年三月第九十二議會において、衆議院請願委員會滿場一致をもつて御採擇になりました問題でありまして、今さらここにくどくどしくご紹介申すまでもなく、御承知のことと存じます。政府におきましてもこの問題に對しては御同意を表されておるのでありまするが、この際速やかにこの架橋問題について、國庫において相當の補助金をもつて促進されんことを願うというのであります。この問題も何とぞ御採擇くださつて速やかに工事を開始されんことを請願いたす次第であります。以上で説明を終りました。
  23. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側意見を求めます。
  24. 三島利美

    三島説明員 宮城二股川流域は非常に荒廃いたしておりまして、常に洪水の危険にさらされておりますることは御説明通りであります。さいわい復舊につきましてはでき得る限りこの促進を期しまするとともに、なおまた縣におきましても中小河川改良工事、あるいは災害防除工事施行されまする際におきましては、でき得る限りの助成をいたしたいと存じておる次第であります。  なおまた新北上川飯野川下流直轄維持区域編入してもらいたいという御説明でありましたが、これは最近の北上川河状の変化に鑑みまして、私どもにおきましてもその必要を實は認めておるのでありまして、近くその手続をいたしたいと思つておる次第であります。
  25. 金子柾

    金子説明員 お答えいたします。飯野町地内の県道嵩置工事につきましてただいま御説明がありましたが、これはよく實情を調査いたしまして、なお縣の意向も十分質しまして、御希望に副うように努力したいと考えております。  次に天王橋架換えのことにつきましては、これは先ほど御説明のありましたように進駐軍からの要望も出ておりますし、よく實情も調査いたしまして、豫算の許す限り御希望に副うように努力するつもりであります。  次に北上川架橋についてでありますが、これもただいまの御説明通りでありまして、縣の豫算また政府豫算とにらみ合わせまして善処したいと考えております。
  26. 細野三千雄

    細野委員 ただいま紹介飯野川町地區県道嵩置工事施行請願、新北上河橋梁架設請願天王橋架換え請願二股川改修工事請願、新北上川維持区域編入請願、五件いずれも採擇決定せられてしかるべきものと考えます。
  27. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 細野君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  28. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて五件は採擇と決定しました。     ―――――――――――――
  29. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第二八、入野改修工事施行請願大原博夫紹介文書表第一一八六號、日程第三八、御手洗修築請願大原博夫紹介文書表第一二二四號、紹介議員説明を求めます。大原博夫君。
  30. 大原博夫

    大原博夫君 これは賀茂郡西高屋村と東高屋村及び豊田郡の小谷村の三箇村の出しておるものでありますが、これはすでに請願書においてしたためて提出してありますから、簡單に申し述べますと、三箇村は大體高原地帯のような所にありまして、それらから出発する川は、これらの高原地から急に下つてまいりまして、その川の出口は山が非常に迫つております。しかもその河川に沿うて鉄道も通つておりますが、わずか十五町くらいの間にトンネルは二つもはさまつておるという状態で、その河川は非常に屈曲がはなはだしいというので、そうした屈曲地に際會いたしますと、そこがせき止められてそこへ水がたまつてまいります。從つてわずかな水によりましても、これがせき止められるような状態でありまして、一昨年昭和二十年の水害から後というものは川の方が田畑よりも高くなつてきて、流砂が堆積しておるという状態で、そのために田地のある村においては百七町歩、ある村においては二百何十町歩というものが毎回そのために堆積してくるというので、水害のときには鉄道等もまつたく二尺も埋まるというかつこうでありまして、三箇村を通じますと、ある場合においては三百五十町歩また二十年の水害のときには鉄道上の浸水が二尺以上になり、遂道決壊がある、あるいは道路が二キロにわたつて決壊をする。堤防決壊は三十五箇所というような大きな水害を起しておるということでありますので、ぜひとも改修をいたしまして、あるいは遂道をつくつて、川を流す、こういうことにいたしませんと、年々歳々こういうことがありますので、非常にこの三箇村は困つておるのであります。その點十分御了承いただいて、ただいま期成同盟會を結成して、速やかに工事施行をいたしたいと願つておるのでありますから、何とぞ御了承いただいて、この請願趣旨を果しますようお願いいたしたいと思います。何とぞよろしくお願い申し上げます。  御手洗港の請願は、御手洗港は瀬戸内海にありまして、四國と中國との間にあります。風光明媚でありますが、大體徳川時代からあるいは九州の方、あるいは四國の方の諸大名が参勤交代をいたします折でも、必ずここに上り下りに寄港しておつたというようなろころでありまして、今日でも今治、宇品間の定期船の寄港地であります。また機帆線は、形容が大きいかしれませんけれども、從來織るがごときまことに良港であります。この地は気候もまた結構でありますし、柑橘等も相當に産出してつこから送り出しておりますが、昭和四年十二月には指定港湾として内務省の指定を受けまして、二十二年一月十日には観光地として指定を受けておるのであります。地理的に申しますと、伊豫灘と燧灘というものはしばしば暴風に襲われたのであります。こうしたしけに遭遇いたしますと、ここらにおつた船はみな御手洗港にはいつてきてその難を逃れるのでありますが、大正八年以來においても、こうした難を逃れてここにはいつてきたものが二百三十六回、そのために人命救助一千七十二名というような状態でありまして、瀬戸内海の住來にはまことに大切な港でありまして、この御手洗港をひとつ根本的に改修いたしたいという希望であります。そしてこの改修ができますならば、瀬戸内海における大阪あるいは別府間の汽船の航行あるいはその他の機帆船も非常な便益を得ると思います。ひとり御手洗港のみならず、瀬戸内海の交通のためにぜひこれを改修いたしたい。こういうわけであります。何とぞ請願趣旨をおくみとりくださいまして、御採擇あらんことを希望いたす次第であります。
  31. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側説明を求めます。
  32. 三島利美

    三島説明員 広島県入野川の河床が最近非常に荒れて、年々災害を受けておりますことは、私どもも十分承知をいたしております。今年度の災害につきましても、先般係官を査定に派遣いたしましたが年々災害を受ける箇所については、ある程度の改良工事施行して今後の憂いのないようにいたしたいという方針であります。またそうでなく、どうしても根本的な改良工事が必要であるというふうに縣で方針がきまりますれば、豫算の許す範囲内でこれに對して助成をいたしたいと思つている次第でございます。
  33. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 大原君に申し上げますが、御手洗修築請願につきましては、運輸省の政府委員がまだ見えておりませんので、後ほど當局の御意見を求めることにいたしますので御了承願いたいと思います。
  34. 細野三千雄

    細野委員 本請願はこれを採擇と決定せられんことを望みます。
  35. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 細野君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて本件は採擇に決しました。     ―――――――――――――
  37. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程二五、鳥海川砂防工事施行請願村上清治紹介文書表番號第一一七三號。紹介議員説明を求めます。村上晴治君。
  38. 村上清治

    村上清治君 鳥海川というのは秋田県由利郡の鳥海山麓より出ておる子吉川の上流を申します。これは非常な急流でかつ水量の豊富な川でありますので、洪水のたびごとに農耕地が非常な被害を受けておるのであります。本年の水害にも耕地その他の被害が甚大でありましたので、決壊箇所が大小五十数箇所に及びなかんずく猿倉部落の護岸竝びに道路が五百メートルくらい、その他各部落にわたつて損害を受けたのであります。これは砂防工事のない結果でありまして、この際この川に砂防工事を施しまして、水害を除去していただくようにお願いしたい。これが請願趣旨であります。何とぞ御採擇のほどを御願いします。
  39. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側意見を求めます。三島説明員
  40. 三島利美

    三島説明員 鳥海川砂防工事につきましては、豫算に制約されまして、今日までのところ未だ著工していないのであります。今年七月の出水に際しましては、それがために非常な災害を引き起しましたことは、實に遺憾に存じておる次第であります。本年夏の災害後の河床の変化に應じまして、今後の砂防計畫につきまして目下調査中であります。調査がまとまり次第、豫算の範囲圏内におきましてできる限り速やかな機會助成の途を講じたいと思つておる次第でございます。
  41. 細野三千雄

    細野委員 本件はこれを採擇と設定せられんことを望みます。
  42. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて本件は採擇に決しました。     ―――――――――――――
  43. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第八、豊濱港修築請願福田繁芳紹介文書表番號第一一〇七號、日程第一六、観音寺、佐馬地間道路改修請願福田繁芳紹介文書表番號第一一一二號、以上二件を一括議題といたします。紹介員の説明を求めます。福田繁芳君。
  44. 福田繁芳

    福田繁芳君 ただいま御上程くださいました二案に對してごく簡單趣旨説明をいたしたいと思います。  まず第一番に観音寺、佐馬地間道路改修請願について申し上げます。本請願は香川県三豊郡内の三十四箇町村の町村長が代表して本院議長あてにまいつておるものでございます。香川県西南部と徳島、高知両県との交通の唯一の要路であります観音寺、佐馬地線、俗にこれを萬駄越と申しますが、この道路をよくしてもろうことは、阿波讃岐両地方民の歴史つきの要望であつたが、今日まで放置されていることは非常に遺憾である。ところが敗戦という事實を契機として、日本再建の著眼範囲がいわゆる内地のみに極限され、一方民主政治の勃興を招來してきた今日、戰争によつて極度に歪曲された土木行政面についても、これを反省し、愛知産業開発によるいわゆる産業立國を計畫しようとするときに、この香川県西南部において何をおいてもこの道路改修は他に見ない重要なものでありますから、速やかにこれが改修をしてもらいたいというのが要旨でありまして、ここに最も御著眼願いたいのは、目下戰災都市復興に非常に不足を來しておりまする建築用材が、この沿線道路の両側に國有部分林を有しておりまして、面積大體千二百町歩余りの大森林が豊濱町ほか六箇町村の共同経営によつて六十年前に植林されて、今日すでに伐採時期にきているのであります。しかし不幸にして道路が惡いために、それすら搬出することもできない状態でありまして、香川県のみならず、徳島竝びに高知三県を一環する道路でありますから何かと國事御多端でございましようが、まげてこの際やつていただきたいというのが、この観音寺、佐馬地線の道路改修請願の要旨であります。  次に豊濱港修築請願簡單に申し上げますが、これは文字通り豊濱港が物資の集散地として非常に自然條件に恵まれておりますが、昨今狭くて非常に困つておりますので、なんというても瀬戸内海の一般大小帆船の待避港といいますか、重要欠くべからざる地方港でありますから、この際これまた改修してもらいたい。要約いたしますればこういうことになるわけでございます。どうぞ委員諸君にもよろしく御審議の上御採擇あらんことをお願いいたします。
  45. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側意見を求めます。
  46. 金子柾

    金子説明員 萬駄峠の改修についてお答え申し上げます。観音寺、佐馬地線の重要なこつとにつきましては、ただいまの御説の通りでありまして、政府といたしましても、今年度も國庫補助工事として、現在實施しておりますが、未改修区間も相當ありますので、これは國家財政の許す限り、できるだけ御希望に副うように善処したいと考えております。
  47. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 福田君に申し上げます。豊濱港修築請願につきましては、運輸省の政府委員がまだ見えませんので、後刻政府側意見を求めることにいたします。御了承願います。
  48. 福田繁芳

    福田繁芳君 結構でございます。
  49. 細野三千雄

    細野委員 観音寺、佐馬地間道路改修請願は、これを採擇せらるべきものと決定せられんことを望みます。
  50. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 細野君の動機に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なきものと認めます。よつて本件は採擇と決定いたしました。     ―――――――――――――
  52. 荒木萬壽夫

  53. 千賀康治

    千賀康治君 矢作川改修工事促進に關する件でございますが、矢作川は昭和八年に二十箇年の期限で改修計畫が國営事業ではじまつているのでございます。しかしながら物價が非常に高騰いたしまして、その後ほとんど工事が困難になつております。全豫算を投じましても既定計畫の五割できるかできないか、現在のところでは非常に疑問な状況になつております。ところがこの流域で一番多い雨と申すと、昭和七年七月一日には、三日間で七百五十ミリの豪雨が降つております。關東の水災と比べましても、關東の水災が二日間で二百五十ミリといわれておりますが、雨量の多い地方であるということをは、實にこの一事でも思いなかばに過ぎるのであります。あまつさえ昨年二回の震災がございまして、いずれもこの矢作川流域は震源地になつておるのであります。その附近の小さい河川では、堤防が地震のために全く揺り込まれてなくなつた川もございますけれども、この矢作川におきましても、堤防がなくなつたとういうようなところは幸いなかつたのでございますが、その堤防の高さを減じ、脆弱の度を加え、大きな亀裂がはいつたというような状況は随所に見られておりまして、實に危険でございます。この際この改修はぜひとも計畫を建直して、力強く進んでいただきたいと思うのでございます。この流域にあります農地は約二萬町歩以上を有しまして、この農地の愛知県における重要なことは、日本デンマークとしてすでに知られておりますが、實に豊饒無比な地方でございます。これを守る上におきましても、矢作川の改修がいかに必要であるかということは言をまたないところでございます。本請願は岡崎市長をはじめ隣接の町村長二十箇町村長の連署で請願をいたしている次第でございまして、いかにこの付近の町村民が深刻にこの問題を見つめているとかとう一つの証左であると思います。どうか御審議の上ぜひとも御採擇相なるようにお願いする次第であります。
  54. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側意見を求めます。
  55. 三島利美

    三島説明員 愛知県矢作川につきましては、今年度豫算に制約されてわずか百萬圓をもつて工事施行いたしておるのでありますが、現在の物価高の状況下におきましては、この程度の工費をもちましては、いかほども工事が進捗いたしませんことは、非常に遺憾に存じている次第であります。先ほどお話の通り非常な沃野を控えております重要な地點でありますので、來年度におきましては極力豫算の大幅増額をはかりまして、できる限りご期待に副いたいと思つている次第であります。
  56. 細野三千雄

    細野委員 本件はこれを採擇と決定せられんことを望みます。
  57. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 細野君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて本件は採擇と決しました。(拍手)     ―――――――――――――
  59. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これより日程の順序に還りまして、建設院設置法案議題とし、質疑を続行いたします。質疑は通告順によりこれを許します。内海安吉君。
  60. 内海安吉

    内海委員 内閣總理大臣の直接管理に屬する建設院設置法案の審議にあたりまして、片山總理大臣に一、二所信を承りたいと思うものであります。  その一つは、再建日本の現状に即して建設省設置の必要性についてであります。わが國土資源の開発利用が伴う限り、國民生活、と言うよりも人類生存のすべての問題の基礎となるものは國土計畫であり、建設であるのであります。戰争のために極度の荒廃に陥つたわが國土、さらに戰災によつて破壊し尽くされたもろもろの施設、それに引続いて悲惨なる災害によつていよいよ激成する消耗と荒廃の上に立つ現下のあらゆる重要施策の實現に對しては、國土計畫と建設は一切の基礎なのであります。しかしてこの建設はあらゆる産業経濟開発の基礎であるばかりではなく、居住、交通、治山、災害防止等、およそ國民生活の基本的福利を左右する公共の福祉事業であつて、これに關する行政はまつたく一國の最大國務と言わなければならないのであります。特に現下の日本が平和にしてかつ文化的な民主國家を標榜して、破壊と灰燼の中から立ち上がろうとするとき、かかる公共建設を輕視するがごときことあるならば、理想國家の再建は不可能なのであります。この明白なる事實は、ただちに政府最高行政部として発足すべきであつて、性格的にみてかかる重要なる建設行政は独立した一省を設置すべきものであると考えられるであります。なおこの重要性を二、三の事實について指摘して申し上げるならば、現下におけるわが國の建設量はきわめて厖大なものであります。河川砂防工事道路において、あるいは農林、水産、港湾、都市計画、住宅、厚生、電気事業など、昭和二十二年度豫算を集計いたしまするならば、實に百七十二億三千六百四十八萬一千圓となるのであります。この厖大なる建設工事豫算を見ても、最大の政治力をもつて協力に押すにあらざれば、とうてい遂行は困難なのであります。このことは、建設に關する行政が広く各省に分散して、政治的に主力をもたない現行機構のもとでは、國土計畫に基く建設への要請に對する實績が如何に微力なものであるかは、最近關東東北地方の水害復舊緊急對策に處した内務、大蔵、農林、運輸、厚生の關係各省が、責任をいたずらに安定本部に転嫁して、急速に決定し得なかつた事實に徴するも明らかであります。建設行政の不統一と政治力の弱體とを暴露したのは、この一事をもつて雄辯に物語つていると思うのであります。ここに建設行政を一元化して独立の建設省を設置し、専任國務大臣を首班とする國土計畫の總合化をはかり、公共建設の推進に當ることが、急務中の急務であると信ずるのでありますが、この問題に對して總理大臣の簡明率直なる御所見を承りたいものであります。
  61. 片山哲

    ○片山國務大臣 ただいま内海君からの復興事業、新國家発足にあたりましての建設事業の重要性について、詳細に述べられました點については同感であります。十分國家としてこれに力を入れまして、その重要性を認識し、政治機構の上にこれを取扱つていかなければならないのであります。しかし目下のところ、建設省とすべきか、または政府の考えております建設院で進むべきか、この問題でありますが、政府といたしましては、まず建設院で進んでいきたいと思うのであります。それは決して軽んじているわけでもなく、また建設院の機構を附属的のものとしているわけでも決してないのでありまして、一省を設けたと同じくらいの力の入れ方を考えているのでありまして、できるだけこれを拡充し、その能力を発揮いたしたいと考えているのであります。何分今までの建設事業が、各省にそれぞれまたがつておりまして、これをただちに取上げまして、一省にまとめて、一省の方針として、学校の建築もやれば、逓信の建築もやれば、土木問題、河川問題、すべてにわたつて統一したる一省の事業として発足するということになりますと、行政機構の改革と相伴なつていかなければならにあのでありまして、いろいろの點において支障を來しまして、速急の仕事にはなかなかならない、こういうような點もあることを考えまして、まず建設院でいくことが適當ではなかろうかと思つておるのであります。殊に現在の経濟状態豫算編成にあたり、それぞれの財源の問題等を考えてみまするときに、いろいろの問題がありまして、機構に費用を投じてやるというよりも、それらの費用は、できるだけ施設に積極的な方面に使つていつた方がよかろう、かような點等も考えられるのでありまして、建設院の方針で進んでいきたいと思つております。しかし前にも申したように、その活動は最も效果的に、最も能率的に、かつまた一省を設けたと同じような心組みで、内閣直属總理廳の仕事として、政府の責任において十分遂行いたしたいと思つております。また先般の水害等において、いろいろのなすり合いがあつたとか、なわ張りがあつたとか、こういうお話でありまするが、これは一番の問題はやはり財源でありまして、どれだけの費用を災害のために支出するかという點さえはつきりするならば、これらの問題は小さな問題として解消されると思つております。要は重要なる復興事業に、災害對策としてできるだけの費用を捻出して、復興に當りたいと考えております。この點については、建設院としても内海君のお述べになつたような趣旨を十分尊重して、なわ張りとか、そういう小さな争いのないように、今後は注意をいたすつもりでおります。なおまた戰後の復興問題もきわめて重要でありまするから、この問題も決して、ゆるがせにはしていないのであります。お互い荒れはてた焼土の状態を毎日見て、まことにいらいらした気持になるのでありまするから、何とか一日も早くこれを整理して、都市計畫はもちろんのこと、國土計畫の積極的な對策を立てなければならないと考えております。これからの問題についても、建設院としたからといつて、決して軽んずるわけではななくして、十分努力して、再建のために積極的な計畫を立てたいと思つております。用はやはり財政の問題でありまして、ことごとくそこに集中されると思いまするから、建設院の財政計畫、また積極的な計畫も、財政計畫とにらみ合わせて、遺憾なきを期したいと思つて政府全體の努力を払つて、大いに奮闘するつもりでおりますから、その點十分に御了承願いたいと思います。
  62. 内海安吉

    内海委員 總理大臣の詳細にわたる御説明はよく了承いたしました。いずれこの問題は來る通常國會においてあらためて審議することといたしますが、もう一點總理大臣に承りたい點があるのであります。それは昨日當委員會において、私の質問に對し、法制局長官は、建設院の長の下に次長を置くことは、同法第十三條によつて別にこれを定めるということを言われたのであります。建設院の長はもちろん國務大臣をもつてこれに當てるというのでありますから、これには何らかの疑念もありませんけれども、その次長の専攻はまことに重大な問題なのであります。建設院本來の技術的使命に鑑みまして、特に慎重の考慮を要するものと考えられるのであります。實はこの問題こそ、現下の内務省解體に伴う内務官僚行政における本質的問題を含んでおるのであります。言うまでもなく建設院の特殊使命は、高度なる科学技術の總合化を必要とするものであつて、從來の法科萬能主義の行政から、正しい民主的な行政に移行するためには、行政を科学化し、刻下重大問題である國土保全と復興に關するあらゆる建設に技術力を集中しなければならないと考える者であります。これがためには、建設院の次長には練達堪能である技術官をもつてすることが適切であり、また正しい方法ではないかと考えるのでございますが、この次長の人選にあたりまして、過去におけるいわゆる法科萬能の官僚そのものを排撃する意味においても、また新しい民主政治下におけるいわゆる科学文化の結集というような點からして、かような方法をもつて、いわゆる技術官を持つてこれに當てるということに對する總理大臣の御見解を承りたいのであります。
  63. 片山哲

    ○片山國務大臣 技術を尊重しなければならない、官僚的な、官吏萬能を排しなければならないというお説は、まことに同感でありまして、私ども平素よりこれを考えておるのであります。とかく技術官は下積みとなりまして、今までは法科萬能であつて從つて事務屋が中心となる。かような傾きが各所に弊害を伴つておつたこことも十分に認識せられるんであります。つきましてはこういう建設事業、國土計畫の事業というきわめて科学的な知識を必要とする國家的な事業については、内海君の言われました御趣旨を十分に尊重して、その人選に當たりたいと考えております。
  64. 内海安吉

    内海委員 私の質問はこれをもつて終わります。
  65. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 今村忠助君。
  66. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 間接員に關してのわれわれ委員會のそれぞれ關係各省に對する質問は、一通り終わつておるのであります。すなわち内務大臣初め復興員總裁、経濟關係で和田安本朝刊、西尾官房長官、それに行セ氏調査會長の齋藤國務相の意見も聴きました。その結果わかつたことは、内務大臣も復興員總裁も、西尾官房長官も、ともに建設省であるべきだと思うとの個人的見解を披瀝しておりました。ただひとり和田安本長官は、現在の国家の経濟状況からは、努めて、経費のかからないようにしなければならないから、それらから勘案して、将來は考慮するとしても、今日においては省とすることはできかねるという説明でありました。そこであらためて質したのですがありますが、それではいつになつたらば建設省をつくつていいという時期がくるのかという質問をいたしますと、前言を覆えして、實はそういうわけではない、これは自分の所管とは違つて、行政調査會あたりで取上げて、各省の關係の問題をうまくしなければならぬということで逃げたのであります。そこでわれわれは齋藤國務相、いわゆる行政調査會長に出てもらつて質問いたしますと、かような建設省設置という問題については、行政調査會ではまだ取上げておらぬということでありました。それでわかつたことは、一體政府は内務省解體という大きな問題を目の前にして、しかもその當時は國務大臣も時間的に制約されて、建設省等の準備ができぬ。こういう逃げ口上でしたが、實はそれ以來数箇月を経て相當の用意する期間もあつたのにかかわらず、また再び建設院設置法案という形で出てまいりました。これは私がそれぞれの係の人からの答辯を總合した結果、結論的に感じたことは、結局片山總理が弱いということである。すなわち現在の農林大臣の決定を見ないと同じように、直接關係のある各大臣、復興員總裁のごとき、また社會党の書記長としての西尾官房長官のごとき、政党としてもいわゆる政策に掲げておる問題でもあるから、ぜひ實現したいのであつて、院議によつて御決定いただくならばぜひ實現したいというように言つてるのであります。この點を見ますと、結局必要であることは直接關係の大臣各位を初めとして、議會委員はもう個人的に皆打合わせて話合つてみてわかつております。皆賛成というか、建設省をつくるべきであると信念的に思つております。結局どこにあるかといえば、多少の反對が和田安本長官にあり、そうしてこのいわゆる存派的な思想の要求であると、いつでも性格の弱い片山氏は乗りきれぬ。現在の農林大臣しかり、建設省の問題しかりと感ずるのであります。これに對して、まず第一に片山總理の見解をお聴きしたいと思うのであります。
  67. 片山哲

    ○片山國務大臣 今村君はいつも問題をそういうところへもつてこられて御質問になつておりますが、ちよつと検討違いではないかと思います。性格の問題などを聴かれるというのは、委員會の審議に屬しないことであつて、そういう問題は別個にお答えいたしたいと思います。政治上における強い弱いは何で一體ご判断になるか。私の考えと今村君の考えとは、もう非常に違つておるのです。無理でも押せ、理屈のないことでもやれというとき、猪突猛進の強いというのが決して政治上強いということではないのであります。今村君もすでに学問を十分にやつておられるから、それぐらいのことはおわかりと思うのでありまして、そういうことをどうして私に聴くのですか、はなはだ不可解であります。性格の強い齢は政治上における信念です。政策に對する所信です。それさえわかればいいのです。それをこの建設院の問題について、建設院としたことが私の弱いせいであるというような御質問は、すこぶる見当違いである。これは全然的はずれの問題と私は考えるのでありまして、一にそれは政策あるいは政治的な所信、こういう問題に今後集中されることを切望いたします。私はだれがどう言うか知りませんけれども、目下、状態においては、先ほど内海君にお答えした通り建設院で進むことが適當と考えております。建設省の御議論はあるといたしましても、政治的な所信として、現下の財政上の問題として、政策遂行にあたつては、建設院で十分にわが國の復興事業をやらなければならないし、またやり得る状態である。かように考えておるので、深くその點は信じております。
  68. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 そういたしますと、内務大臣あるいは復興院總裁、あるいはまた西尾官房長官等より、建設院にあらずして建設省をつくる方がいろいろの點から勘案して必要があるのだという進言がなかつたのでありますか。その點をお伺いしたい。皆これらの人たちは建設省であるべきだということをこの委員會において答辯をしておるのであります。速記を見ればわかるのであります。それなのに、總理大臣が今言うがごときでは、私たちはその答辯を了解に苦しむのであります。どういうわけでそういうことを總理が言われるか。直接衡に當つておられる人が必要だと言うのに、それを今言う總理が取上げない。私はこの點を質したいと思います。
  69. 片山哲

    ○片山國務大臣 一つの政策を決定するのについては、その過程においていろいろな意見があります。建設院あるいは省の問題をとるにいたしましても、省にすべきか、院にすべきか、あるいは在來のままで行くか、こういう問題につきましてはいろいろ意見があります。これは最も民主的なんです。議會において諸君の意見が各方面から出まして、反對の意見もあれば、賛成の意見もあれば、折衷の意見もあれば、いろいろな意見を聴いて最後の決定をする。閣議におきましても同様でありまして、閣僚の意見はいろいろ出ます。お示しのように、建設省にすべしというような意見が出ました。建設院とすべきであるという意見も出ました。結論といたしまして建設院ということにしたのでありまして、これは今日の政治状態においては、當然のことであると考えております。
  70. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 今日の政治状態においては、直接關係ある内務大臣とか復興院總裁等の進言を斥けても建設院で行くべきであるという總理の信念を承りまして、信念のほどはわかりました。今日の政治状態においてはこれがいいのだとお考えになつたと言われるのでありますが、それではその時期は一體どのくらいな時期、言いかえれば、ここ一年や二年では不可能である、数年先のことだとおつしやられるのか、次の通常議會においてならまた考えるというのか、その程度をひとつお伺いしたいのであります。
  71. 片山哲

    ○片山國務大臣 この第一回國會建設院と出しておいて、次の第二回の通常國會におきまして、さらに建設省にひつくり返つてやるというような考えは毛頭ありません。しばらくの間は建設院で進んで行かなければならない。それで實績を上げたい。こういう考えであります。
  72. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 實は先ほどもちよつと私申しておいたのでありますが、内務省においても、復興院においても、西尾官房長官においても、つまり内務省解體というのは、十月一日であるとか、三十日つまり來日までというのであつたか、非常に短時日の間にやむなく解體しなければならぬために、時間的に余裕がないのであるから、ごく近い将來においてその實現を期するということをここで繰り返しております。これはうそだとおつしやるのなら、速記を見ていただけばわかるとおもいますが、政府建設院の關係の仕事に携わる人たちのほとんどすべてが、信念的にそう言うておるときに、今總理に言わせますと、日本の政治状態においては、相當の後でなくては建設省にかえることは不可能だと繰返して言われたのでありますが、この點がどうしても了解に苦しむのであります。つまり建設省不要論にとるのでありますが、この點をもう一度重ねてお聴きいたします。つまり近い将來、数年後にはとても建設省というわけにはいかぬというのは、受け取れない。もう一つ言いかえると、片山内閣の時代には建設省は實現できない。どんなに内務省や司法省の職員組合がビラをはり、旗を立て、いろいろの運動があつても、またほとんど四面ことごとく建設省をつくるべしという声があつても、わが片山内閣においては断じてしないという御決意なのか、それをお聴きしたい。
  73. 片山哲

    ○片山國務大臣 私の申し出ましたのは、この國會で院で出して、次の國會で省にかえるという考えはない。いわゆる朝三暮四、ぐらぐら変るというのはよくないと思います。これがあなたの言われる性格の弱いということに結局歸著するのでありまして、私はそういう弱いやり方はいたしません。一旦これが是なりと考えたことは、あくまでも遂行いたすのであります。しかしかたくなに考えておるのではない。情勢の変化によりましては、あるいは國民大衆の要望といたしまして、またそれが最も取上げるべきであるというような情勢でありまするならば、考えますけれども、当分の間は院で進んでいきたい。これは何年とか年限を切るわけにはいきませんけれども、當分はわが國の祖阪建のために、経濟状態を隆盛ならしめるこの大きな仕事とにらみ合わしていく間は、建設院でいくことが至當なりと信じております。
  74. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 弱い強いということが初めてわかりました。片山總理の弱い強いということが。とんでもないことに頑固なことが強いといように聴いております。われわれが建設省でなければならぬということは、この敗戦の現實に立つて、町を見ようが、農村を見ようが、山河いずれを見ようが、どうあつても民族を養う、この國土をなんとか再建設の前提として見直して、いろいろの面に力をいたしてまいらなければならぬ。だからこれはいかような支障があろうとも断じて置かなければならぬという強い信念をもつてもらいたいのであります。しかるにあなたは、何か考えたことをふらふらとかえることは弱いことで、これを頑固に通すことが強いことだとおつしやられておりますが、これで初めてわかりました。あなたの弱い強いということは、本會議でも一度お聴きして、はつきりしなかつたのがはつきりしました。きようの委員會は意義あつたと思います。  そこでお聴きするのですが、つまり建設省の仕事が、アメリカのクラス大佐がわれわれに言うた通り、自分は五月に赴任してきて、飛行機で日本を歩いてみたときに、なぜ日本人はこの荒廃しておる國土を、あらゆる科学の力、技術の力をもつて再建する努力をまず注がぬかと言つてわれわれに挨拶されております。片山内閣の行う仕事の第一は、それでなければならぬ。しかるにそれをもつて信念的にやつていけないというのであつては、國民は大なる失望を感ずるだろうと思います。殊に社會党はかような事業は一つの省をつくつてつていこうということを、政策に掲げておるのであります。西尾氏ははつきりそのことを言つております。わが社會党の政策でもあるから、速やかに實現いたしたいのであるが、何しろ時間がないから容易にできないのであつて、ごく近い将來において期待に副うようにいたしたいし、國會が院議において御決定いただくなら、これは望外なこととしてすぐにでも建設省をいたしたいというように答えておるのであります。これはまことに私は意外に思うのであります。それでは一體いわゆる建設省の重要性という問題に對する總理の考えのほどがわからぬのであります。一つの内務省がなくなつてくる。さきに労働問題にいろいろの問題があるという見地から労働省をつくつた。殊に建築事務というものは、先ほど内海委員から数字まであげて、厖大な物をもつておるし、とかくこの経費を土木關係に費すということについては過ちも起きやすい。とかくの風評もある。現に片山内閣は物価を恐ろしく釣り上げてその利益のあたまをはねておるのだというくらいの世間の声がある。この建築土木をいい加減な、總理大臣の直接管理するところの廳でいいぐらいのことにしておけば、再びその不評を招く。何億という恐しい豫算をもつその仕事を一院においておくということは、第二のとかくの風評を受けるのではないか。こういう點を勘案してくるならば、當然私は独立した省として、責任ある大臣をおいてなすべきものだと思うのであります。ところが今總理は、とにかく今の事情ではできぬと言つておる。その事情さ加減において、一労働省をつくると、一建設省をつくると、いずれが重大なりやと私は考えたいのであります。その程度をお聴きしたい。労働省にも値しない建設省であるとお考えであるのかどうか。ひとつはつきりお聴きしたい。
  75. 片山哲

    ○片山國務大臣 労働省は労働省としての大きな仕事があり、建設省は建設省として、それぞれ大きな仕事があつてみんな分擔に應じて職能を発揮すべきであつて、労働省と建設省と比較されるということは、これまた無理な話であると思います。私は現在の状態に置いては、建設院が適當であると信じております。行政機構の根本改革が實現されまして、その結果なるほど私が了解し得る行政機構ができましたる際においては考え直しますけれども、現在の状態においては考え直すまでに至つておりません。
  76. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 わかりました。片山總理は建設省の主管事務というものは院の程度でよろしいものだと考えておられるというほどがわかりました。まことにおぼろげない内閣であることは、これでいよいよ國民の前に明かになつてまいつたと思うのでありますが、次にお聴きしたい。省にしかねるという大きな原因が、何かこの経費を厖大に要して…。
  77. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 今村忠助君、御発言申恐縮ではありまうすが、總理はあと約二十分くらいがせいぜいのお時間のようでありますから、恐縮ながらなるべく簡潔に結論を急いでいただきたいと存じますが、いかがでしようか。
  78. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 急ぎますが、これだけの重大問題については、ひとつ時間をゆつくりおいてやつていただきたい。それではきようの續きを後日また時間をもらいたい。そこでお聴きしたいのは、つまり内閣は、建設院でなく建設省にするためには、そのために厖大な経費がぱつと出るようなお考えのように聞いておるのでありますが、片山總理は建設院を省に直したら、どれほど金がよけいかかると一應お考えになつておるのでありましようか。それをちよつとお聴きしたい。
  79. 片山哲

    ○片山國務大臣 そういう計数の問題は政府委員にお聴き願いたいと思います。私は現下の経濟状態をにらみ合わせまして、やたら省をたくさんつくる必要はない。殊に行政機構が全面的に改革されてないのです。内務省と司法省とが關體されまして、新しい機構に移るのでありますけれども、その他の問題におきましては未だ全面的改革がないのでありまして、政府といたしましては、この行政機構の改革と、行政整理と人員の問題を重要なる問題として大いに検討しなければならないと考えておるときでありますから、この状態におきましては、経費の差によつてこれを決定するということのみに重點をおいていないのです。全般的な問題とにらみ合せてやつていこう、こういう考えであります。
  80. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 いよいよもうとんでもないことになつてまいりまして、つまり片山總理の御答辯は根據がないということがわかりました。今日のような日本の状態においては、経費を要するような省というものをつくつていくことはどうかというように初め聴きとつたのでありますけれども、實際どのくらい院を省にしたら経費がかかるかということは知らない。つまり研究した上で建設省はいけない、院でなければ今日の政治状態においてはいけないのだという答辯は根據のないことがわかりました。私たちは政府委員に聴いております。院を省に直したつて経費がほとんどかかりません。ひとり次官をふやす程度か、さもなければほとんどわずかの経費よりかからぬと言つておるのです。そして今言う通りほとんど關係の全部が――私はまだ和田経濟安定本部長官以外の反對の声を聴きません。こういう状態の中にありながら、しかもこの國土建設的なものが、敗戦日本の起ち上る最初の條件ともなるべき重大問題であるというのに、片山總理は結局國管問題で忙しかつたから、農林大臣の後をこしらえるのに忙しいから、結局一つの省――實に日本の基礎をなすところの建設省というような問題に、ほとんど信念的に研究も努力もしてないということがわかるのであります。経費がほとんどよけいかからないということならば、片山總理は考え直して省にする気があるのですか。それをお聴きしたい。
  81. 片山哲

    ○片山國務大臣 先ほどから申しまする通り、今日の建設事務は各省にまたがつておりまして、これらを一省に統一するのには、全面的な行政機構の改革と相またなければ、新しい発足、新しい案というものはむりである。かように考えておるのです。内務省、司法省だけの改革の程度において、各省にまたがつております建設事務を取上げて、一省にまとめるということはむりでありまするから、今日の行政組織の状態においては、建設院で進むことが適當である。これはりつぱな理由になつておると思います。根據もあることであります。こういう意味において實績は省と同じ實績をあげるべく努力する。これも政府として最も強く考えておるところであつて、諸君の御意見は院であるからできない、省ならばできる。こういうはずもなかろうと思います。要はその働き、その努力、その誠意というところにあるのでありますから、省にしたらできる仕事を院ではできないというようなことはないはずであつて、またそうさせない、さすべきではないと考えておるのであります。
  82. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 時間がないそうでありますから後日に譲りたいと思うのでありますが、結局今の御答辯はあなたの得意な道徳論にいきました。省でなければ仕事ができぬということはあり得ない。こういうお答えでありますが、それならばなぜ労働院をつくらなかつたのですか。労働省をつくつておるではない。それではその他のものも、こういう院でできるならば、むしろこの際大臣をやめて長官をこしらえた方がいいと思うのだが、そしてまた社會党は多年そういうイデオロギーをおもちのようだが、これを直したらいいではないか。ただわれわれの言うのは、建設院の中に包容されておる從來の内務省がもつておつた仕事や、あの大きな事業をもつ復興院というものをまとめた一つのものは、それだけで十分に私は一つの省としてしなければならぬほど大きな仕事であるし、責任をもつてやらなければならぬ仕事であるし、先ほど來言う通り、新日本建設のうちのまず基礎的なものであるのだから、これをわれわれは省にせよというのであります。これは私一人ではありません。ほとんどあげて、先ほども言う通り、和田さんと片山さんを除いて全部そうなんです。それを頑固にいくことが政治上強いというあなたの筆法になるわけでありますが、どうしてもその點が解せない。今言う通り経費は院にしても省にしたところでも大差ないのですよ。そして責任が果たされて、國民の要望にもこたえられて、あなたの社會党の政策も行われて、こんないいことを反對派の自由党のわれわれが言つておるのではありませんか。なぜこれを勇敢に取上げることができないのですか、だから私は先ほど指摘したように、左派の人たちに暗い陰があつて、暗いところをつかれておつて、安本長官が言うか、社會党の左派加藤、鈴木君あたりが言つてくると、その問題を片山氏が乗り切れないと見るよりほかないのであります。どうあつても理屈が合わない。経費もかからぬし、皆必要だと言うし、皆それぞれの擔當の省の人はやつてくれと言う事實のものが、どうしてもやり得ない。西尾長官にしてさえ、さようなものはできぬ。これはどういうわけですか。後日日を與えるならば考え直すというのでありましようか。先ほど今の政治情勢でとは言いますけれども、この政治情勢は二年や三年で変るものではないと思います。経濟的にはますます困難なものがくると私は信じております。最後に私は片山總理に、一體日本経濟状態というものは、一年や二年、簡單に言えば、今年よりは來年、來年よりは再來年は順によくなると、こう思いなのですか。ここしばらく、言いかえれば、來年、再來年はますます困難なものになると思うのか、これこそ大きな政治家の見識でありますが、これをはつきりお聴きしたい。その上でわれわれはまたあらためて後日質問いたしたいと思います。
  83. 片山哲

    ○片山國務大臣 今村君はなかなか繰返し繰返し同じ事を御質問されますけれども、きわめて簡單に私はお答えできると思います。経濟問題については、今村君も専攻であるというそうでありまして、造詣も深いと思います。世界的な経濟状態、特に敗戦の苦痛をなめております日本の経濟状態が、非常な労苦をこれからも續けなければならないということは、きわめて明白であろうと思います。明年になつてすぐよくなるはずもありません。殊に多額の賠償問題を背負つていかなければならないし、戰後の経濟復興のためには、國民あげて最大の努力を払わなければならないときでありますから、経濟復興に最大の努力を払うべきことはもとより當然であります。この問題に主力を注ぎ、インフレ防止のために全力を傾倒するということは、私どもに課せられたる大きな仕事であり、また國會の諸君といたしましても、その問題に重點をおいて進まれることが最も御使命と考えられておることと思います。お互いに協力いたしまして、そして日本の経濟事情をよくして、産業の発展に努力しなければならないということはもう自明の理なんで、繰返しこれを申し上げる必要もないことであります。よつて私は全面的な行政機構の改革がわが國の経濟状態とにらみ合せてでき上つた後においては、考え直しまするけれども、この状態のもとにおいては當分建設院で進んでいくことが適當であると思います。
  84. 今村忠助

    ○今村(忠)委員 それでは一應質問を仕切ります。よくわかりました。
  85. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 田中各栄君。田中君に申し上げますが、先ほど申し上げたような總理の御都合がありますから、内閣總理大臣に對する御質問に要約していただきたいと思います。
  86. 田中角榮

    田中(角)委員 今村君の質問とちよつとダブるところがあるかもわかりませんが、内閣總理大臣に御質問申し上げたいのでございます。  私は土木建築業者でございまして、しかも建設省の設置に對しましては、過去十年間を通じまして設置持論者であります。なぜ建設省をつくらねばならなければならぬかということは、今さら申し上げるまでもなく、わが國の建築行政が多岐にわたつておりますために、非常にわが國再建を阻害しておるということは、總理大臣もお認めになつておると思います。その一例といたしましては、終戰後に最も大きな事業として取上げられた事業の中に、特別建設工事があります。すなわち進駐軍に關する渉外工事であります。この渉外工事に對しましては、一部におきまして、終戰後にインフレを助長したものは土木建築業者であるというようなことも、まことしやかに流布されておりますが、この土木建築業者に流された金の量は實に厖大なものであります。しかし、なぜそのようなうわさを立て、そのようなことを言われなければならないかということは、すなわち一にかかつてわが國の建設行政が多岐であつたという一言に尽きるのであります。それは、御承知の通り、あの厖大なる渉外工事を、ほとんど全部終戰後一年有半にわたつて、外務省の所管に屬して工事が遂行されたのであります。しかも外務省に所管された工事が非常に結果がよろしくないというので、現在の戰災復興院がつくられ、その中に包含され、しかも各省にまたがつておるというので、現在の特別調達廳ができたのであります。特別調達廳の存續理由は、もちろん司令部の御要請によつてできたのでありますが、あの要求の根本は何であるかと申しますと、日本の建設行政があまりにも多岐にわたつてある、これを一元化されなければ渉外工事に對して完璧を期し得ないというので、こういう特別調達廳ができたのであります。その事實を考えましても、私は、敗戰後における日本において、建設行政は一元化されなければならないと思う。しかも與党であるところの社會黨にしても、民主党、國民共同党といたしましても、組閣當時は建設省をぜひつくらなければならないということを考えておりました。しかも七月内務省解體に伴う建設院の案ができましたときに、西尾長官その他の閣僚の皆様に御出席を願いまして、いろいろお話申し上げたときに、内務省の解體は九月三十日までにやらなければならないために、時間的に間に合わないのだ社會党も民主党も國民共同党も、全部あげて建設省にしたいのではあるが、時間的に間に合わないのだ、だから來議會には必ず提案するということを、はつきり西尾長官が御説明になつておるのでありますし、私たちも、現在十二月九日までしかない會期に對して、十二月二日になつてなぜこういう重大な法案を出してきたかということを難詰したいのでありますが、現に出てきておる以上、なぜ早く出さなかつたかということを問う前に、まず十二月の通常國會に建設省案が政府から出されるのだということを前提として、私はこの建設院案を一時通さなければならないということを考えておつたのでありますが、先ほど今村君の御質問に對して、當分の間建設院でやるのだ、しかも建設院をつくつた以上、そうそうねこの目のように変ることはできない。まずこれで實績をあげて、しかるのちによくなかつたら建設省をつくるというようなお話であると、ちよつと私たちの考えも根本的に変わつてこなければならないのではないかというふうに考えるのであります。しかも、當時は行政整理、いわゆる農林省の開拓局、商工省の電力局、運輸省の港湾局、あらゆる省にまたがつておりまするために、これを一挙にやるということは、各内閣がやつてきたのであるが、この行政機構の改革という問題を取上げ得る内閣は過去にもなかつた、しかもこれが内閣の命取りになるのだ、このような重大な問題であるから、行政機構の大改革を今やつてるから、近くこれができ上つたときには、當然建設省ができるという齋藤國務相の御答辯でもあつたのでありますが、この行政整理という問題は現在どの程度まで内閣において進めておられるのでありましようか。しかも、行政整理という問題は、私が申し上げるまでもなく、日本を再建する唯一の途であると私は感じておるのであります。しかも、内務省の解體に伴いまして、次には司法省の解體ということを聞き及びまするので、大體現内閣は示唆があつてから常にそういうことをやつておられるというふうにかんがえられるのでありますが…。
  87. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御発言中恐縮ではありますが、なるべく簡單に結論を出していただきたいと思います。
  88. 田中角榮

    田中(角)委員 一番大きな原因となるところの行政整理の過程はどういうふうであるかとうことを、第一番目に御答辯していただきたい。しかも、行政整理というものが、現在の段階では目標がつかぬ、しかも建設省というものが、それが終りにならなければできないということであれば、そういう御答辯でも結構でありますが、行政整理はどのような状態にあるかどういうことをまずお答えいただきたい。
  89. 片山哲

    ○片山國務大臣 行政整理はなかなかの大問題でありまして、機構の改革と経費の節減と人員の調整問題でありまして、この三つをにらみ合わせてやるのでありますから、なかなかの大事業であります。殊に官僚的機構に一掃し、民主的な機構をも取入まして、かつまた能率を十分の増進せしむる效果的なものにしなければならない、こういう點で、目下、先ほどお示しになりましたように、齋藤國務相が中心となつて、各方面の意見を尊重しつつやつておあるのでありますが、これが來年早々でき上るというのわけにもいきません。しかし、人員の問題及び整理の問題は、一時に出さないで、部分的にでき上がつた案を出したいというので、小出しに部分的に出しまして、いくらかでもわが國の行政整理というものの進歩をはかつていきたいと思つておりますから、全部に一度にでき上がるとうわけにはいきません。部分的にでき上つたのから発表して諸君の御意見を伺う。こういうことになると思います。これらと關連をいたしておるのでありますが、來年早々建設省を設置する案を再び出すという考えはもつておりません。
  90. 田中角榮

    田中(角)委員 第二番目の質問といたしましては、十二月の通常議會に建設省案を政府として御提出する意思があるかないかということを、もう一回はつきりとお答えいただきたい。
  91. 片山哲

    ○片山國務大臣 先ほど内海、今村両君にお答えいたしました通り、來年の通常議會に建設省を設置するという案を政府が出すつもりはありません。
  92. 田中角榮

    田中(角)委員 そこで第三者の質問といたしましては、建設行政の一元化ということの、まず第一段階として建設省をつくるのだということものみこんだといたしまして、現在農林省の建設關係に對しまして、建設廳をつくるというようなことが一部農林省關係ら放送されておるのでありまするが、農林省開拓局その他を全部建設院の中に入れなければいかぬ。建設院であつても入れなくちやならぬ。もちろん建設省にするならば入れなければいかぬと私たちは考えておるのに、一方においてはまつたく逆論であるところの、農林省に建設局もしくは建設廳をつくるのだというようなお話が放送されておるのでありまするが、これに對して内閣總理大臣に、そういうことがあるかないかということを御答辯願いたいと思います。
  93. 片山哲

    ○片山國務大臣 そこまでは考えておりません。全般的な行政機構改革の途上において、あるいはそういう意見が流布されたのではなかろうかと思う程度でありまして、何もその點は決定いたしておりません。
  94. 田中角榮

    田中(角)委員 第四の質問といたしましては、建設院というものを現在おつくりになつて。しかもこの所管する事業は非常に厖大であります。ちよつとその一例を申し上げましても、この建設局の中の住宅という問題でも、現在御承知の通り六百萬戸も不足であるということを考えまして、現在の安本案でいつて二十四萬戸ずつつくつておつたならば、戰前に復歸するまでに、住宅問題だけでも少なくとも三十年間かかるというのが現状であります。私は前に西尾長官がおいでになつたときに、これは非常に與黨としては失礼な言分でございましたが、米もない、着物もない、住宅もないということになりますと、人間生きるためのまつたく必需條件であるところの衣食住、しかもその住宅問題というものは一家の団欒所であり、魂の安息所であり、思想の温床であるその住宅が、三十年間も戰前に戻れない状態であつたならば、これはえらいことになる。高度民主主義を標榜されるところの片山内閣といえども、とにかく住宅は三十年後にならなければ完成できないという状態であつたならば、それから出直していかなければならぬじやないかというようなことも、西尾長官と欧州したのでありますが、その住宅問題だけを考えても、かような厖大なものである。しかも特建工事を含めますと、最も大きな省の豫算よりも、もつともつと大きな豫算をこの建設院そのものでもつのであると思うのでありまするが、總理廳の外局といたしまして――これは理屈で申しますと、各省大臣をおくよりも總理大臣の直轄だから、とにかくどんな発言権もあるし、どんなこともできるということを西尾長官は前には野場得られたが、それはへ理屈であつて、いわゆる總理廳の外局である。こういう意味から考えますと、少くとも省よりも権限が小さい、こういうのでありますが、この建設院というものの内容は非常に重大であり、かつ厖大であるという意味におきまして、總理大臣は普通の總理廳の外局に對する努力よりも、もつともつと建設院の長としての責任は總理大臣が負うのだ。いわゆる建設院の事業に對しては、總理大臣がみずから責を負つて執務されるのであるという気構えをちよつとお聴かせ願いたい。
  95. 片山哲

    ○片山國務大臣 住宅問題ばかりを考えますと、今後三十年かかり、四十年かかるということになりましよう、農民の問題ばかりを考えますると、農民の完全な生活安定、農村の文化建設には今後三十年かかるというでありましよう。いろいろ個々別々にそれぞれの立場を主張されますると、これはきりがありません。今日の問題は總合的に考えて、全般的の問題として考えていかなければならないのでありまして、そこにはむずかしい問題もありまするが、また國全體の復興、國全體の経濟の隆盛を考えて、とつてつて住宅問題に好転をせしめたい、農村の復興をはかりたい、こういうように計畫経濟を立てていかなければならないのであつて、また妙味もあろうと思うのであります。政府といたしましては、全般をにらみ合わせまして、國力の回復、國経濟の充實に力點を置いて、ひいて住宅問題の解決に及ぼしたい、こういうふうに考えておるのであります。この意味から申しまして、この復興事業の重大性を考え、建設事業の最も力を入れなければならない點を考えて、先ほどたびたびお答えいたしまする通り、内閣の直属として外局として置くのでありまして、もちろん内閣總理大臣の重大なる責任においてその発展を期さなければならないと考えております。
  96. 田中角榮

    田中(角)委員 私が質問が徹底しなかつたようでございまするが、建設院というものは、現在の一省よりも大きな事業をなすのであり、しかも非常に重大なものである。しかも總理廳の外局だということは現在までの外局を考えますると、常識的に言いまして、總理廳の外局はいわゆるその長が責任を負つておるのでありまして、總理大臣の直轄であるということではありまするが、事實は一省よりも非常に小さな権限しかもたないというのが現在までの常識であります。しかしこの建設院というものは、建設院でどうしても現在あるほかの省よりも大きな仕事をするのだという意味におきましては、總理大臣が今までのいわゆる外局の長だけに任しておかないで、御自分が積極的に御責任をもたれる、指揮をされるのであるかということをお聴きしたのであります。もし現在までの總理廳の外局というように、長に任しておるのだということであるならば、建設院の長は大臣にあらざる人でもつてできるかできないかというところまでお聴きしたいのが、私の質問の要旨であります。
  97. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 田中君に御相談ですが、あと二人ほど總理に御質問なさりたい方があります。つきましてはくどく申し上げて恐縮ですが、要點だけ切にお願い申し上げます。
  98. 田中角榮

    田中(角)委員 私はもう一點だけです。
  99. 片山哲

    ○片山國務大臣 もちろん責任をもつのでありますが、その事務を一々とるというような意味の御質問であれば、そういうようなことはできませんので、總括的に指揮し、總括的な案に對しましては、總理大臣の責任であることは言うまでもありません。
  100. 田中角榮

    田中(角)委員 もうちよつとだけお尋ねいたします。そうしますと、結局今までの總理廳の外局ということと、同じ建前でいくということであつたならば、私は本法案の第十條にあるところの「建設院の長は、國務大臣を以てこれに充てることができる」というこの條項は、當然内容から考えましても、國務大臣をもつて充てるということが適當だと思います。これに對して御答辯いただきたい。
  101. 片山哲

    ○片山國務大臣 やはりこの條文にありまする通りのやり方をいたしたいと思つております。私の考えはそういう形式にとらわれないで――今まであまり官僚というものは形式にとらわれまして、外局だから極く軽く考えるというふうなやり方をしたと思うのでありまするが、私の考えはそうではなしに、問題の重要性を中心とする、問題が重要な場合においては、いくら機構がそうでありましても、その問題に對しましては十分力を入れてその発展を期する。こういうようなやり方をいたしたいと思うのであります。この問題についてはもう十分力を入れております。
  102. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 田中君、なるべく簡單に。
  103. 田中角榮

    田中(角)委員 もう一つだけ…。そうどうも時間を何分何分とやられると…。この建設院の最後に特別建設局というのがありまするが、この局の中には私は前の大蔵省の営繕管財局に所管したものを建設院の中に入れなければいかぬ。こういうことを考えているのでありますが、建設院ができましても、復興院と大蔵省におかれているものがそのままになつている。これは後で政府委員に御質問申し上げますが、最も重大なるものは國有財産の管理と、遊休建物の利用調査というものを建設院がやるか、やらないか、いわゆる大蔵省で現行通りやるかということが非常に大きな問題でございますが、これは現在の法案通りおやりになるつもりでありますか。それとも別にお考えがあるのか、お伺い申し上げます。
  104. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 政府委員からの答辯は後ほどにいたします。
  105. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私は異なつた方面から總理大臣にお伺いしてみたいと思うのであります。戰勝國であります英國におきましても、復興大臣が戰後の復興につきましては、きわめて重要なポスト、異常な決意をもつてこれに當つているのであります。今日本で一番大事なことは、私の考えによると、完全雇用がどこまで果し得るか。どうかという問題と思うのであります。経濟白書によりますと、すでに滞在、顕在の失業者八百萬と言われております。さらに企業整備等が進みますと、一千萬ないし一千二百萬という失業者を出すと思うのでありますが、これを完全雇用に近い形に進めていう上に、どういうお考えをもつておられるのでありましようか。もう少し詳しく申しますならば、かつて匡救土木事業というものを、わが國において起して失業救濟をしたことがありますが、やがてわが國にも、さような必要が眼前に差迫るのではないかと考えてみましたとき、今まで總理大臣がお延べになつておりましたこの建設院の式で、國力が今のような状態である限り、十分やつていけるというお考えか。ここに失業問題の解決というものを考えてみますと、非常に大きな建設工事と言いますか、建設院の仕事が大きくなつてくると思うのでありますが、これに對する總理大臣の所見をまずお伺いいたしたいと思います。
  106. 片山哲

    ○片山國務大臣 今國家が公企業を起しまして、多勢の人を從事せしめて失業問題の解決に役立たしめるとか、完全雇用の方法を公企業の問題によつて取扱つていこうということは、なかなか至難のことと思います。弱の點において、経濟の點において、國土疲弊いたしております點において、まことに困難であります。大きなダムを起すとか、道路を拡げるとか、あるいは未開墾地を開墾するというような問題は、手をつけなければならない問題でありますが、敗戰國たるわが國いおいては、非常に困難を覚えるのでありまして、その前提として経復興、産業復興にまず手をつけてから後にいかなければならない。しかしこれらは十分に考えていきつつあるのでありまして、建設政策、長期計畫というような問題につきましても慎重に考えているのでありまして、これらは近いうちに立案の運びにいかしめたいと考えております。
  107. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私のお尋ねいたしましたのは、今そういう公事業を起こすという意味ではないのでありまして、今日の状態をもつて進むのならば多くの失業者が出るであろう。それを豫算がたとえどうあろうとも、やむを得ずかつての匡救事業のようなものを起して救濟せねばならない時期がくるのではないか、失業保險法とかいろいろな法律をつくりましても、こういう復興院關係と言うか、國土建設關係によつてこれを救濟せねばならぬ’時期がくるのではないかということをお尋ねするのでありまして、いやそれはそういうふうに失業者が増えたならば、こういう方面に著手するのだというお考えがありますならば、それを伺いたい。
  108. 片山哲

    ○片山國務大臣 今申し上げましたように、やはり關連しておあるのでありまして、今直ちにその事業があるというわけにはいきません。これらの計畫を立てたいと思つて目下考究忠であります。從いまして経濟復興、産業復興ということに力點を入れつつ、建設的な方面をにらみ合わせていくのでありまして、今どこにこういう事業があるから、その事業に失業者を救濟する、こういうことをお答えするのはちよつと待つていただかねばならぬと思ます。
  109. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 しからばお尋ねいたしますが、この第一條竝びに第四條に國土計畫という文字があります。これは広く解釈いたしますならば、國際的政治経濟關係から見た國土計畫、國土保全竝びに開発から見た國土計畫、産業構成から見た國土計畫、人口、人文問題から見た國土計畫というふうになると思いますが、總理大臣がお考えになつておる本法案に使われております國土計畫の内容を簡單に伺いたい。
  110. 片山哲

    ○片山國務大臣 まことに大きな問題でありまして、最もその點に検討を加え、力を入れていかねばならない點であると思います。著眼せられております御意向に對しましては全く敬意を払うものでありまするが、非常に各方面に影響をいたします。重要問題でありまして、實はそういう問題を目下取上げまして、検討いたしておるのでありまして、残念でありまするが、まだ結論に到着いたしておりませんので、しばらくご猶豫を願いたいと存じます。國土全般の問題といたしましていろいろの點から考えておるのでありまして、都市全體の問題、都市集中問題を考え、あるいは学校、向上問題の分布状態を考え、資材運搬の關係、農村の開発、いろいろの點を總合いたしまして計畫経濟を立てたいと思つておるのであります、祖國再建の最も重要なる國土計量は、建設院がもし諸君の御賛成によつてできましたならば、ただちにその基本案に基づいて、具體的に著手することになつておるような次第であります。
  111. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私は戰争を放棄し、總ての國防とか軍備を完全に放棄いたしました日本にとりまして、こらから日本再建の進むための一番力を入れねばなりませんことは國土計畫であると考えております。その國土計畫に對しまして、今總理大臣お答えになつ通りでありまするならば、さような広い範囲の國土計畫を進めていく上に、建設院というような限られた狭いもので、當分要が達するでありましようか。完全雇用の解決におきましても、また今總理の、お述べになりましたそういう遠大な國土計畫というもの考えしても、これはぜひ建設省にする必要があると私は感ずるのでありますが、ただいまお述べになりましたようなことが、建設院で完全にできるとお考えになつておるものか、その點の御所見を承つて置きたいと思います。
  112. 片山哲

    ○片山國務大臣 先ほどからお答えいたしております通り、仕事の能率を上げればよいのでありまして、建設院において國土計畫、祖國復興の問題を全部的に取上げるのではなしに、内閣全體の問題ないとしての建設的長期計畫の中に、國土計畫を入れるのでありますから、その内閣の方針、政府の方針として實践に當たるのが建設院であります。よつて内閣全體の問題として、今仰せられたような問題を完全に取上げるつもりでありますから、御心配はないと思います。そうしてそれの實践に衡に當たるものを建設院としてやつていきたいと考えております。
  113. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 内閣全般の問題といわれるのでありますが、それにはやはり中心が要ると思うのであります。その直接の企畫立案に當たる物が建設院であるといたしますならば、これはぜひ省にせねばならぬと私は考えるのでありますが、これはどうも先ほどから水かけ論になるようでありますから、この程度に止めておきまして、もう一つ、非常にこれは小さい問題のようになりますけれども、非常に實際面に置きまして、日本の復興に重大問題でありますので、特に總理に根本方針を承つておきたいと思います。  第八丈に建築局というものがありますが、今日復興院に非常な非難といいますか、いろいろな声が國民から起つておりますのは、建設行政がうまくいかない。もつと簡單にいいますならば、建築許可が一向下らぬという問題であります。この根本を調べて見ますと、資材の配給の制度にあると思うのでありますが、今日復興の一番の基礎となりますものが建築である以上、これは非常に大きな問題であります。一政府委員に聴けと言つてつておける問題ではないのであります。何ゆえに今日まで建築がはかどらないかという根本原因が、資材の割當の受持場所が正しくないという點にあることは、これは既定の事實なのでありますが、そういう點に對して、總理といたしましては、ただちにこの資材機構を改正になる御意思があるのでありましようか、その點伺つておきます。
  114. 片山哲

    ○片山國務大臣 資材は御承知の通り非常に欠乏をいたしておりまして、乏しき資材を各方面に公平に配分しなければならないところに今日の苦しみがあるのであります。ゆたかであればあれほどどしどしと出せますが、乏しいものを持ち合わさなければならない。また生産力も撃退しておある今日でありますから、非常に窮屈な思いをしなければならないのであります。これがためには乏しき資材を配分するについては、やはり計畫経濟、統制方法を用いまして、それぞれ必要なる度合いに應じまして配分する。こういうことで、わけどり勝手たるべしとういうわけにはいきませんから、在來の方法を合理的にし、かつまた能率的にし關係者の納得のいくような方法で、さらにそれをよくしていきたいと考えておるのでありますが、在來の方針をすぐ変えてしまうとか、自由放任に任すというわけにはいかないと思つております。
  115. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 末端にわたつて總理大臣はまだそういう場合にお突き當たりになつていないという感じがいたすのでありますが、別に資材を多くどうせいというのではないのであります。千トンなら千トンというものはそのままでよいのでありますが、その千トンときましりましたものを、建築を扱う建築局なら建築局に全部お渡しになりますならば、非常にスムーズにいくのであります。建築にはいくら使うと割當がきまりましても、それを他のところにもつておるためにうまくまいりません。それは、政府委員の方によく總理からお質しになりまして、支給にこの不合理をご訂正願いたいと思います。私の總理大臣に對する質問はこれで終わります。あと伏に對して政府委員に質問がありますが、これはこの次にいたします。
  116. 松浦東介

    松浦(東)委員 お急ぎのようでありますから、建設省か建設院かについて一點だけ片山總理に伺いたいのであります。先ほどからの御答辯によりまして、現下の情勢から言つて建設院が至當であるというような御信念はよくわかりました。しかしわれわれのこの建設省設置に對する熱意も、また重要性も、同様の質問によつて大體おわかりと思うのであります。總理は政府の原案としては建設省の設置案を出さないといたしましても、近い将來においてわれわれが議員提出法案として議會の大勢を制したるような場合でも、首相一個の自説を固持なさるかどうか。この點だけを特に承つておきたいのであります。
  117. 片山哲

    ○片山國務大臣 私は以前から議会政治を尊重いたしております。國會の意思はどこまでも尊重いたします。諸君の多数の意見が、最もわが國の状態に適合した公正なる御意見の結果まとまつた意見として出られたる場合においては、むろんこれを尊重するものであります。     午後零時九分休憩     ―――――――――――――     午後二時五十二分開議
  118. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 休憩前に引続いて會議を開きます。  請願審査を続行いたします。紹介議員説明を求めます。田中角榮君。
  119. 田中角榮

    田中(角)委員 まず第一に馬場川水系砂防工事施行請願に對しましてご紹介を申し上げます。信越國境佛ヶ峯に源を発しまする馬場川は中頸城郡水原村地内において、小派川を集め、泉村を貫流、關川に合流しております。延長約十二キロ、その流域はことごとく地滑り地帯でありまして、兩村における地滑りの被害は耕地、山林、宅地、通路等の崩壊、流失のみならず、家屋の倒壊ないしは移転等、無年こうむる損害は莫大なものがあるのであります。肥沃なる美田が一朝にして耕作不能、不毛の地と変じ、りつぱな建物も年ごとに傾斜していく現状であります。こうした生死を脅かす災害は本村農産物生産に重大な影響をもたらす上に、米穀の生産に非常なる減産を來し、あまつさえ村民の人心に不安動揺を與えておるのでありますが、被害はここに止まらず、崩土の流下土砂は關川の中下流部に堆積、附近村落に洪水の危険をを増大せしめ、河口なる直江津港は堆積土砂によつて、その港の死命を犯され、価値を半減しておるという状態であります。國土保全、民政安定をはかり、村民をして安んじて生活し、心から増産に努力せしめんとするのは、第一に砂防工事により郷土を確保する以外のその途のないことを深く認識しておるのであります。政府におかれましては、本事情を至急調査されまして、できるだけ早く本砂防工事を御施行あらんことをお願いする次第であります。  次ぎまして、新潟県古志太田村地内地すべり防止工事施行請願、竝びに新潟縣古志郡上鹽谷村入鹽川地内の地すべり工事請願、竝びに新潟県東頸城郡沖見村地内神谷地内の地すべり防止工事施行請願について申し上げます。  御承知の通り日本における有名な地滑りの個所でありまして、この被害は年々増大しつつあるのであります。三件にわたりまする地すべりの状況は、提出してあるところの請願書通りでありますが、事情御了察の上、できるだけ速やかに防止工事を御施行いただきたく本請願に及んだ次第であります。よろしく御協賛御採擇あらんことをお願いする次第であります。以上をもつて紹介を終わります。
  120. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側意見を求めます。説明員内務技官賀屋
  121. 賀屋茂一

    賀屋説明員 第一に太田川筋でありますが、この砂防工事につきましては、豫算が非常に僅少でありましたために、昭和八年から六箇年間にわずか七萬余圓を費やしておるのであります。はなはだこの點は残念に思つておるのでありますが、その後種々の事情のために中止になつております。その後また災害を受けておりまする事情でありますので、昭和二十一年十一月末に調査いたしたのでありますが、本流竝びに支流などを合わせて工事費が約百五十萬圓もかかるような状況であります。政府といたしましては國家財政の許します限りこれの豫算化をはかりまして、促進したいと考えております。  さらに入鹽川流域砂防工事でありますが、これまた豫算僅少のために未だ著工を見ておらぬような實情でございます。本川筋につきましても約五百萬餘圓の工費が要る有様でありますが、できるだけ豫算化をはかりまして、御趣旨に副いたいと考えております。  さらに神谷川筋の砂防につきましては、これまた本川筋に二百萬近い工費を必要とするという實情でございます。現在地滑りの原因についての根本調査と相まちまして、本川についてはこれに適當する豫算を目下研究中でございますので、これの調査と相まちまして、豫算化をはかりまして工事施行する考えでございます。
  122. 田中角榮

    田中(角)委員 もう一回伺いたいのですが、馬場川は總豫算は幾らでありますか。
  123. 賀屋茂一

    賀屋説明員 昭和二十一年十一月に調査いたしたのでございますが、なお今後八百二十萬余を要するような實情となつております。これにつきましても、御趣旨に副うよう…。
  124. 田中角榮

    田中(角)委員 來年度はいかがですか。
  125. 賀屋茂一

    賀屋説明員 來年度は、これは全般的に豫算を計上いたしておりますから、この馬場川筋のみについては、全體の豫算がきまりましてからさらに御報告申し上げます。
  126. 田中角榮

    田中(角)委員 太田川はいくらですか。
  127. 賀屋茂一

    賀屋説明員 太田川の全體は、大體本川筋に約二百萬、それから支川の大澤の方に約六十萬ぐらいいくようでございます。
  128. 田中角榮

    田中(角)委員 入鹽の方は。
  129. 賀屋茂一

    賀屋説明員 入鹽川の方は五百萬程度でございます。
  130. 田中角榮

    田中(角)委員 神谷川の方は。
  131. 賀屋茂一

    賀屋説明員 神谷川は百七十萬程度でございます。
  132. 田中角榮

    田中(角)委員 この四河川に對しましては、昭和二十二年度豫算といたしまして、計上はできておらないわけでありますね。
  133. 賀屋茂一

    賀屋説明員 馬場川につきましては、昭和二十二年度は十萬圓餘を計上してございます。それから太田川でございますが、この工事につきましては計上してございません。
  134. 松井豊吉

    ○松井委員 動議提出いたしたいのであります。本案を採擇せらるることを希望いたします。
  135. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 松井君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつてただいまの請願四件は採擇と決しました。     ―――――――――――――
  137. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 日程第一三、山梨件の水害復奮費全額國庫負擔の請願天野久君外六名紹介文書表番號第一〇九八號及び日程第二三、重信川治水工事施行請願米田吉盛君外七名紹介文書番號一一七一號は、それぞれすでに本委員會におきましても採擇せられ、議院におきましても採擇と決定いたしました文書表番號三二五號及び同第八七七號と同趣旨のものでありますので、この両請願紹介はこれを省略することといたします。この二件の請願は採擇するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  138. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なきものと認め採擇と決しました。     ―――――――――――――
  139. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第二に、重信橋架換え請願米田吉盛君外七名しようあい、文書表番號第一一七〇號及び日程第二四、松山港修築継続施行請願米田吉盛君外四名紹介文書表番號第一一七二號、この二件を一括議題といたします。紹介議員説明を求めます。米田吉盛君。
  140. 米田吉盛

    米田吉盛君 重信橋は愛媛県と高知県を結びまするところの幹線道路、國道二十三號線に架設してあるのであります。明治三十七年五月建造以來實に四十三年の長年月を経過しておりまするために、腐朽がはなはだしゆうございまして、近時重量物の通行に際しまして、上下左右の振動が著しく、危険になつておるのであります。應急策といたしまして支柱を設けて危険を防止し、かつ重量の制限等によりまして辛うじて今日交通しておるのであります。本橋は御承知の通り、四國地方の太平洋岸と瀬戸内海岸を結びまする重要な道路でございまして、唯一の四國中央横断道路であるということでございます。從つて産業物資輸送の重要性は非常に大きいものがあるのであります。さらに愛媛県、高知県両県の莫大な木材は、本線によつてのみ松山港に搬出せられまして、これが九州、阪神、呉、広島方面の占領軍用施設用材として出されておるのであります。さらに海外貿易が今や再開されるにあたりまして、支那、朝鮮方面に重要な物資を輸出するのも一にこの線を頼る以外にないのであります。ぜひかような意味におきまして、架替えを御採擇願いたい、こういう請願でございます。  それから松山港の修築工事継続の問題でございますが、これはもうすでに戰前から松山港の修築を行うということに既定の事業であります。松山港がどういう關係にあるかということは、くどく申さなくても御存じの通りと思うのでありまするが、戰前は丸善石油というのがございまして、どうしても一萬トン級の船をつながなければならぬという必要があつたのであります。その後戰争が御承知の通りになりましてから、その必要は一転いたしまして、今度は戰後に丸善石油はやはりあそこで事業を継続するということになつておるのであります。それから松山には十数の大きな工場がありまして、これが全部ここから品物を出すわけであります。とりわけ大きな神戸ゴム工場であるとか、あるいは汽車會社であるとかいうような、特に大きな工場が、最近ここを目指してやつてまいつておるのであります。これが一時中止せられるのではないかというようなことを聴くのでありまするが、今申しまするような事情からいたしましても、また松山が今後工業都市として再出発をいたしまする關係から申しましても、松山港外港の修築ということは缺くべからざる條件になつておるのでありまするがゆえに、ぜひこれは御継続願うように請願をする次第であります。
  141. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側意見を求めます。
  142. 金子柾

    金子説明員 重信橋の架替えについてお答え申し上げます。重信橋は、ただいまお話のありましたように國道二十三號線の重要な橋梁でありまして、ただいまお話がありました通りに非常に古い橋で、もう腐つて地方としても非常にお困りになつておることは十分わかつておりますので、何とかしてこれを早くかけかえたいと考えておるのでありますが、實はこの橋をかけかえますには相當多額の弱と資金とが要りますので、これにつきましては弱の關係あるいは資金の關係を十分考慮いたしまして、また県の意向も十分質しまして、できるだけ早くこれをかけかえますように努力したいと考えております。
  143. 天埜良吉

    天埜説明員 松山港が交通産業の枢要地點といたしまして、内港の整備を継続いたしておりますが、外港の整備につきましても計畫を立てておりまして、先ほどのお話のように、すでに戰争中に着工しておつたものであります。それで港湾の長期整備計畫の一環として、ただいま考慮しておりまして、松山におきまする工業の発展と緊切な連繁を保ちつつ、さらに研究を進めていきたい、こういうふうに考えておりまして、さしあたり來年度において外港の防波堤二百五十メートルだけ延ばしまして、これが事業化をはかりたいと各方面に均衡中であります。
  144. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 重川橋は来年度御著手になる御意向でありますか。
  145. 金子柾

    金子説明員 重信川橋は御存じの通り非常に大きな橋でありまして、これをかけかえる計畫を見ますと、これは鐵橋をかけることになつております。それでは鋼材が五百八十トン要ることになつておりまして、來年度の弱とにらみ合わせないと、ちよつと來年度施行できるかどうかということは、今けんとうがつきかねます。
  146. 松井豊吉

    ○松井委員 この二案を採擇されんことを希望します。
  147. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 松井委員動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて以上の二件は採擇に決しました。     ―――――――――――――
  149. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 日程第八、豊濱港修築請願及び日程第三八、御手洗修築請願に關し運輸當局意見を求めます。
  150. 天埜良吉

    天埜説明員 豊濱港は香川県の西部にございまして、地理的の條件におきまして、また木材等豊富な資源を背後地にもつておる點から、きわめて主要な港湾でございまして、瀬戸内海における小型船による運送力、増強の面から、二十三年度にはさしあたり防波堤の改良と港内の浚渫をいたしたいと思いまして、目下均衡中でございます。  なお御手洗港についても、地方の小港湾といたしまして、瀬戸内海沿岸の小港湾整備計畫の一環として考慮研究中でございます。本港に關しては來年度舟入潤、護岸、築堤を著工すべく關係方面と均衡中でございます。
  151. 松井豊吉

    ○松井委員 本案も即決採擇されんことを望みます。
  152. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 松井君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて以上の二件は採擇に決しました。     ―――――――――――――
  154. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第一二、天鹽川東支流河川改修工事施行請願坂東幸太郎君外五名紹介文書番號第一〇八九號、紹介議員説明を求めます。
  155. 坂東幸太郎

    坂東幸太郎君 天鹽川は遠く源を天鹽岳に発し、上川、天鹽の平野を蜿蜒迂曲して日本海に注ぎ、石狩川に次ぐ本道第二の大河でありまして、幹川流路七十三里、その流域三百六十四萬里、しかも上川、天鹽の両平野は地味肥沃で、農耕に適し、なお年々歳々幾百の移民と、殊に終戰後は復員、外地引揚者、戰災者等の開拓営農入地者の激増を見つつある現況であります。かくの如く荒野変じて美田良圃と化し、また年歳前述の多数移住し、未開の門戸開放に営々努力するにもかかわらず、経阪民の要道たる治水事業は未だその實行をあげ得られず、茫々幾百萬萬里の流域はいたずらに河水の奔蛇に委ぬるのみで、歴年の被害は枚挙にいとまありません。殊に昭和七年、昭和十四年及び昨昭和二十一年の大水害の如きはその顕著なもので、ために所財産を滅し、生計を失う者陸続し、その被害の甚大なことは数千萬圓に及びます。これを既往四十箇年間を累算せば、その損害は億圓を下らざること明瞭であります。さらに加えて人畜の死傷、國土の荒廃、地方産業の萎縮等、直接間接にこうむつた損失は、その惨禍の莫大なるに慄然たる次第であります。殊に最近奥地の開発と緊急開拓による森林の濫伐は、開墾事業の進展する反面、急激な大出水となり、ひいては氾濫し、必然的に災禍を招來しつつあります。爾今開拓計畫の樹立は慎重探求の上、即治水計畫に直結する總合企畫でなければ意義をなさないと痛感いたします。古來経國濟民の要諦は水を治むるにありと言われます。しかるに國家の富源は北門の鎖鑰である本堂に開拓の治を布き、すでに七十有余年に及びますが、治水の状態なお今日のごときは、本道拓殖上一大疾患であり、為政上まことに遺憾の極みであります。もちろんこの間關係住民の運動と、各政党その他の活動とにより、政府當局がこれを顧みないわけではありません。あるいは北海道拓殖計畫に、臨時災害復舊工事河川防備施設のために若干の豫算は計上されました。すなわち大正十五年第二期拓殖計畫樹立にあたり、總額一千五百七萬圓をもつて大正十五年以降七箇年の継続事業として豫定されましたが、昭和七年の大水害のため豫定計畫を変更し、被害の最も甚大な上流部の智恵文、名寄及び土地別で、とりあえず河道の切替掘鑿竝びに堤防築設工事施行するため、昭和九年以降五箇年継続事業として八十万圓を支出著工し、さらに昭和十四年度以降同十八年まで五箇年間に百萬圓を追加計上し、既定計畫の完成を期するとともに、他面別途に本川下流部中屈曲はなはだしく、年歳災害をこうむる中川附近の切替掘鑿、及び應急堤防を構築するため、昭和十五年度以降同十九年まで五箇年間に経費九十五萬圓を計上し、工事の進捗をはかり、やや小康を得ました。しかるにこの間世局の変転があり、特に支那事変以來の戰時財政の關係上、應急的措置に甘んぜざるを得ず、これは國家大局の急変上やむを得ないとはいいながら、この原始的なままの大河川たる本川の治水工事としては、まことに姑息的對策と言わざるを得ない次第であります。  述上の理由により、過去大小幾数十度びにわたる水害の要因は、全面的治水の未完成にあります。今や終戰後國家再建のかぎは、生産増強による食料問題解決るにあるというも過言でありません。この重大なる使命を擔當する北部本道の産業の興亡安危は、一つにかかつて天鹽川本支流治水の成否いかんにあるを確信します。われわれ流域住民は北方拓発の希望と理想に燃え、祖先墳墓の地を去り、刻苦艱難して不毛を拓き、漸く今日に至りました。しかし、既往の苦労はしばしば河水の脅威にあつて覆され、将來の運命もまた一つにこの成否にかかつております。何とぞ實情をとくと御高察の上、速やかに本治水事業完成の途を開かれんことを切に懇願いたします。
  156. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側意見を求めます。
  157. 賀屋茂一

    賀屋説明員 お答えいたします。天鹽川の改修工事は現在まで北海道廳が拓殖として實施しておりましたので、實は應急的な局部的な改修に止まつておる實情であります。なお本年も相當その附近災害がありましたので、政府といたしましては、これが災害復舊についての緊急工事については、すでに實施いたしておるのでありますが、根本的改修につきましては、國庫財政の許す限り、明年度からは相當本格的な費用を支出しまして、實施したいという方針であります。
  158. 松井豊吉

    ○松井委員 動議提出いたします。本案も即決採擇されんことを望みます。
  159. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 松井君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 異議なしと認めます。よつて本案は採擇と決しました。     ―――――――――――――
  161. 荒木萬壽夫

  162. 田島房邦

    田島房邦君 ただいま議題となりました芝川改修工事促進請願について御説明を申し上げたいと思います。  芝川は埼玉県北足立郡桶川町に源を発し、地方の重要なる用地支川を併せ、工業都市川口市で荒川放水路に流出し、その流域は面積一萬一千余町歩、流路三萬三千七百メートル、大宮市を初め三市三町五ヶ村にわたる河川にして、古來地方民は灌漑利水につきその恩澤に浴しておることが大きかつたのでありますが、舊態依然として河積小なるがため、水害を及ぼすことまた著しく多かつたのであります。よつて昭和十五年埼玉県は東京都協議上、県事業として國庫補助のもとに荒川放水路の開墾事業が開始されたのであります。しかるに大東亜戰争のため、工事半ばにして中絶放任のまま今日に及んだのであり、はなはだ遺憾とするところであります。今日まで沿岸県民は、年々降雨期には洪水を憂い苦しみ來つたのでありますが、たまたま本年九月十五日、関東を襲う暴風雨に際會し、市の南部を流るる荒川の急速なる増水のために、芝川はその流路を絶たれ、三日間市内に湛水し、沿岸の工場家屋の浸水六千四百十一戸に及ぶに至りました。また二千になんなんとする工場の機能もまつたく止まり、田畑の冠水著しく、この被害は二億圓を超える莫大なものであつたのであります。市内は低地にして地下水高く、目下下水工事實施中でありますが、その效果を発揮するに至つておりません。上流よりの地水と相まつて著しく交通途絶し、数箇所に及んだ。從つて、市の行政機能も閉鎖する状態となつたのであります。かかる状況は毎年数回繰返しつつあり、一日も速やかに前記荒川放水路工事を継続して、最も短年月日にこれを完成して市民を安堵せしめ、安心して工場経営に邁進し、専心農業に挺身でき得るよう取計われたいのであります。國費多端の折でありますが、ぜひとも昭和二十三年度から著工できますよう、全會一致本請願を御採擇あらんことを切望する次第であります。
  163. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側意見を求めます。
  164. 賀屋茂一

    賀屋説明員 埼玉県荒川上流改修工事は、下流の東京都内の荒川改修工事の一環をなしておりまして、昭和十五年に東京都及び埼玉県の両県で、國庫補助のもとに仕事を始めたのでありますが、戰時中中止のやむなき事態となりました。本年の災害においても、河川改修が完成しておりませんので、相當の被害を受けたのでありますが、何分にも両都県が強調しなければできない状態でありますので、今埼玉県及び東京都の両當局で、工場の著手の段取について協議されており、近くまでまとまると思いますが、政府としましては來年度豫算にこの改修に對する助成費を計上いたしまして促進をはかりたいと考えております。
  165. 松井豊吉

    ○松井委員 本案を採擇せられんことを望みます。
  166. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 松井君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて本件は採擇と決しました。     ―――――――――――――
  168. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 日程第二六、豊野牛川、牛首別川及び十勝改修促進請願高倉定助紹介文書表番號第一一七五號。日程三九、十勝下流治水工事施行請願高倉定助君外一名紹介文書表番號第一二五七號。以上二件を一括議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  169. 高倉定助

    高倉委員 豊野牛川及び牛首別川は十勝の豊頃村を流れております。この村は有名な二宮尊徳翁の末孫が報徳社を立てられて、これを経営の面に織込まれて開発されたところの有名な豊頃村農村であります。この両河川ともに十勝川に合流しておりますが、豊野牛川は延長約二十キロ、牛首別川は延長約四十キロであり、いずれもその流域百四十平方キロに達する地味豊沃な農耕地に流れております。この地帯は水田の造成が非常に盛んであり、両河ともに十勝河の下流の治水工事があまりできておりませんので、出水量が非常に増加して、洪水の氾濫が浸出して、毎年数回にわたつてこの平野は災害をこうむつている次第であります。從つてこの流域にある約二千町歩の開発も遅れているようなわけでありますので、一日も早く治水工事を完成していただき、肥沃なる田野の開発に寄與するようにお願いしたいのがこの請願の要旨であります。  さらに十勝川の下流豊頃村字茂岩から太平洋の大津河口に至りますところの四里半の地域は、出水ごとに氾濫いたしまして、下流住民のこうむる被害が甚大でありまして、現下國家が最も要請いたしておりますところの食料増産竝びに拓地植民まことに遺憾とするところでありますので、これが一日も早く治水工事施行をお願いする次であります。本工事の沿革は十勝川の豊頃村までの箇所は北海道第二期拓殖計畫改定のためにすでに施行されまして、ただこの下流が残つておりますために逆水がまいりまして、この地域は豪雨ごとに困つておるようなわけであります。この地域におきましては農耕適地が約五千町歩ほどとありますので、このためにここに入地いたしました農家は、この水害のためにことごとく他に移転するような状態にありますので、一日も早くこの下流方面の治水工事施行していただかなければ、水禍襲われるとともに、開発に大きな支障を來すというようなことになるのでありますから、現下の事情ではいろいろと國費の關係もありましようけれども、両案とも何とぞ一日も早く施行していただきまして、開発に寄與するようにお願いしたいのであります。以上のような事情でありますので、両案とも何とぞ御採擇くださらんことを切にお願いいたします。
  170. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これに對する政府側説明を求めます。
  171. 賀屋茂一

    賀屋説明員 豊野牛川、牛首別川はいずれも十勝川の支川になつておりまして、十勝改修計畫の一環をなしております。十勝川はこれまで拓殖経費をもちまして上流から改修工事を進めておるのでありまして、この支川の改修につきましても、本川の改修工事の進みますのに併せまして改修される方針であります。なお下流の方の大津港に至る四里半の工場も、上流から本川を改修しておりますから、逐次工事区域を延長していく豫定であります。今まで國庫の財政の關係で豫算が非常に少うございましたので、工事が進捗しなかつたのでありますが、來年度豫算からは相當経費を計上いたしまして豫算化をはかり、工事促進を期したいと考えております。
  172. 松井豊吉

    ○松井委員 動議提出いたします。  本案は即決採擇せられんことを希望いたします。
  173. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 松井君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。以上二件は採擇と決しました。     ―――――――――――――
  175. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第五五、菊池川改修工事施行請願寺本齋君紹介文書表番號第一三四〇號。紹介議員説明を求めます。寺本齋君
  176. 寺本齋

    寺本齋君 菊池川は熊本県四大河川の一でありまして、阿蘇山系深葉山に源を発し、菊池、鹿本、五名の三郡を貫流する流長實に十六里、沿川町村二十を算し、城北における産業の交通の枢軸をなすのであります。しかるに同河川は紆余曲折の箇所多く、寄州随所に亂堆し、かつ河底の高低はなはだしく、幅員がまた不用でありまして、水流に至大の支障を與えておりまして、年々歳々数回の大洪水の起るを常とするのであります。昭和十五年四月の洪水におきましては、被害田畑一千四百五十町歩救濟人員三百余名、浸水家屋二千二百余、倒壊家屋二十七、流失したもの五、橋梁の流失七五、堤防破壊一三三、道路の欠壊五五を算する惨状を呈しました。これがため同河川改修は沿川住民の多年の宿望でありましたが、さいわいは政府において同工事の緊急性が認められ、昭和十五年より同三十一年まで十六箇年の継続事業として著工せられたが、不幸にして著手直後の戰争の勃発に遭い、工事の進捗著しく阻害され、七箇年の星月を経たる今日においてもなお工程一〇%に達しない實情であります。しかも最近水源竝びに沿川地方において開拓者の入植、山林の伐採増加に伴い、年を逐うて洪水の被害を増大する傾向にあります。沿川住民は雨季にいたれば水害の豫防、災害救濟に寧日ない實情でありまして、同河川の急速なる抜本的改修は菊、鹿、玉三郡民の今日最も熱望するところであります。聞くところによれば政府においては今回全國河川の急速なる改修を企畫せられたと聞いております。何とぞこの際すでに著工せられたる菊池川改修工事の緊急性を再認識せられ、施行箇所を増加し、計畫年限を短縮し可及的速やかに改修を完成し、一日も早く沿川住民を塗炭の苦しみより救い、生業に安んぜしむるよう御配意あらんことを熱望してやみません。何とぞ満場一致本件を御採択あらんことを願います。
  177. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側意見を求めます。
  178. 賀屋茂一

    賀屋説明員 菊池川は昭和十六年に著工いたしたのでありますが、戰争になりました關係で著手早々中止する状態になつたのであります。政府といたしましては本川の改修の緊急性を認めておりますので、本年はただちに工事を再開いたしまして、相當豫算を計上したのでありますが、物價の増嵩のために豫定の工程が上がらない實情であります。本川の重要性も特に認めておりますので、本年度におきましては相當工費を計上いたし、短期完成をはかる方針でおります。
  179. 松井豊吉

    ○松井委員 動議提出いたいます。本案の即決採擇をお願いいたします。
  180. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 松井君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は採擇と決しました。     ―――――――――――――
  182. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 日程第七、網走港修築請願佐々木秀世君外三名紹介文書表番號一〇八三號、佐々木秀世君。
  183. 佐々木秀世

    佐々木秀世君 網走港の改修に關する請願でございますが、ごく簡單に御説明申し上げます。わが國生産の現状に鑑みまして、北海道開拓の一環として、世界三大漁場の一たるオホーツク海の漁田開発、竝びに北見地方一帯の農林鉱産物の移輸出ため、網走港を別記の通り改修拡張せられたいというのでございます。その理由を御説明申し上げます。  網走港は昭和四年築港工事成り、護岸の築設とともに、オホツク海沿岸唯一の商港となりましたが、その目的は主として避難港として修築せられたもので、現在商港施設としては何らの見るべきものがなく、ただ漁業根據地としての施設若干を有するのみで、港湾利用上遺憾の點が多いのみならず、漁業根據地としても、いわゆる河口利用の荷揚場を有するのみで、無尽蔵でと稱せらるるオホツク海の魚田に進出する漁船の増加に伴い、河口内は狭溢その極に達し、漁船のみの収容さへ十分でないのが今日の現状でございます。オホツク海の魚田開発は、網走築港の築設によつて始まり、逐年拡大再生産へと向い、今や全國でも有数の漁獲をあぐるにいたりましたが、さらに港湾の修築により、漁船の増加竝に大型船への改造により、現在の倍額増産も可能であります。のみならず背面の北見地方一帯の森林資源、地下資源及び農産物の輸送は、狭溢なる石北線及び釧網線あるのみなので、これがため北見地方の開発、生産が遅々として進まない現状は、網走港の改修によつて一挙に解決せられ得るのであります。しこうして網走港の改修は左記の通り八項目にわたるのでございますが、網走港の修築整備はわが國生産の現状よりはたまた北海道開拓の一環として刻下の急務なりと思料するものであります。その一つは防波堤補修工事、その延長は四百メートル。第二は荷揚場護岸改築、延長六百九十メートル、第三は北防波堤の延長百五十メートル、第四は本防波堤の新設五百メートル、第五は接岸岸壁の築造延長五百メートル、第六は埋立地の造成であります。面積五萬六千平方メートル、第七は港内、浚渫、浚渫区域十三萬八千平方メートル、第八は網走橋下流左岸護岸新設竝に一部浚渫、この八つの工事でございます。  以上申し上げました網走港の改修及び現下の日本の生産の急務、あるいはまた北海道開墾の點から考えましても、何とぞこの請願を御採擇下さいまして、各委員滿場一致の御賛同をいただきたいと思うものでございます。
  184. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側意見を求めます。天埜説明員。
  185. 天埜良吉

    天埜説明員 北海道の開発は海外の資源を失いましたわが國といたしましては唯一の缺くべからざる急務でございますことは申すまでもないことでございまして、前面にオホーツク海の豊富な魚田を控えまして、また附近には農産、水産、鉱産の豊富な資源をもつております網走港の改修は、経濟上きわめて重大なる意義をもつことは認められるのでございます。先ほどお話のございました八項目の工事要請がございましたが、總合的な計畫につきましては目下研究立案中でございまして、さしあたり來年度におきましては八項目の一項目にあがつております荷揚場の補修ということをいたしたいと思いまして、ただいま均衡中であります。
  186. 松井豊吉

    ○松井委員 本案は即決採擇されんことを望みます。
  187. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 松井君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は採擇に決しました。     ―――――――――――――
  189. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第四六、伊良湖畔に避難港築設の請願八木一郎紹介文書表第一二八一號、紹介議員八木一郎君。
  190. 八木一郎

    八木一郎君 戰後の産業の再建は、何と申しましても輸送の敏速圓滑化をはかることが急務であるということは申すまでもありません。しかしながら陸上輸送につきましては現在石炭の不足、電力の制限等のいろいろの悪條件があるために、多くを望まないのでございますが、勢い経費の少いかつ輸送量の多い海上輸送に頼らなければならない實情であります。今名古屋港を中心とする海上輸送の状況を見ますると、伊勢湾、三河湾、渥美湾に稼行いたしております。機帆船は、六百艘あります、このうち師崎水道、中山水道等を経まして稼行するものは年間二萬一千六百艘に及んでおりますので、このほか三重県を初め紀州沿岸各港より木材あるいは遠く阪神、九州、北海道方面よりの石炭、コークス、セメントなどの輸入及び關東、阪神、九州、四國方面への陶磁器の移出等に稼行する機帆船の非常に多くがこの伊良湖水道を経て取引せられ、その移出入貨物数量は百六十八萬二千百トンに上りまして、今後ますます発展の趨勢いに向つております。
  191. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御発言中恐縮ですが、八木君に申し上げます。日数の切迫しております關係上、一件當り五分以内に止めるという決議になつておりますから、さよう御了承願います。
  192. 八木一郎

    八木一郎君 承知いたしました。以上の機帆船の状況と併せまして、水産關係におきましても、また伊勢湾渥美湾から外濱に向かいまして、漁獲を追うて小さな船が用意しておりましても、どうしても出ていかれない實情があり、特に伊良湖畔が今まで要塞港であつて、民間船が寄りつけなかつたために目的が達せられずにおつたのでございます。このような實情でありまして、機帆船の實情はもちろん、近海の漁船の事情より申しましても、この線を達成しますために、三十年來の懸案といたしまして、要塞があるためにできなかつた伊良湖港を、ぜひともこの際避難港といたしまして、ただちに著工をお願いいたしたい。以上がこの請願の要旨でございますが、何とぞ漁船の方面、機帆船の方面、両方面よりいたしまする切迫した實情を御明察いただきまして、一日も早く伊良湖畔に避難港が設置できますように、そうして食糧の増産、輸送の確保、民心の安定をせられるように、重ねてお願い申し上げる次第でございます。何とぞ御採擇のほどをお願い申し上げます。
  193. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側意見を求めます。天埜説明員。
  194. 天埜良吉

    天埜説明員 伊良湖港を避難港として修築いたしますることは、機帆船輸送の稼行率向上、あるいは輸送量の増加、竝びにまた水産資源の開発というような點に資するところが大である、こういうふうに考えられますので、全國避難港網の設定の一環といたしましてただいま考慮中でございます。伊良湖港は非常に技術上難しい問題がたくさんあるところでございます。十分これが検討をいたしまして實現をはかりたい。こういうふうに考えております。さしあたり來年度におきましては、まず防波堤を著工いたしたいと考えまして、ただいまの關係方面と均衡中でございます。
  195. 松井豊吉

    ○松井委員 動議提出いたします。本案は即決採擇せられんことを希望いたします。
  196. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 松井君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は採擇と決しました。     ―――――――――――――
  198. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次は日程第四五、埼玉縣の水害復舊費國庫補助請願關根久蔵君外五名紹介文書表番號第一二七六號、紹介議員説明を求めます。田島房邦君。
  199. 田島房邦

    田島房邦君 本請願は今般の水害によりまする埼玉県の耕地の被害はきわめて広範囲にわたり、その復舊費は一億八千萬圓に達しております。しかるに政府の割當復舊費は僅かにその一割四分にすぎないのであります。これではいかにその復舊に努めても、なお二十余萬石の減収を豫想せられるのであります。つきましては、補助金を交付して、もつて明年の植付期までに復舊事業を完成されたいというのであります。どうぞ滿場一致本案を御採擇あらんことを切望する次第であります。
  200. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側意見を求めます。
  201. 賀屋茂一

    賀屋説明員 ただいまの請願耕地復舊についての請願のようでございますので、災害の關係につきまして内務省が所管しております點につきましてお答えいたします。埼玉県の災害利根川突堤その他大災害でございまして、内務省が所管している範囲でも、最近復舊の設計を樹立したのでありますが、数億圓に上つている實情であります。内務省といたしましては、災害既定の示す通り補助をいたしますことはもちろん、さらに縣の財政の状態も考えまして、國庫財政の許します限りなるべく國庫補助をもちまして、これが復舊工事の迅速に完成いたしますよう努めておる次第であります。
  202. 松井豊吉

    ○松井委員 本案は採擇されんことを希望いたします。
  203. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 松井くんの動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は採擇と決しました。     ―――――――――――――
  205. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 日程第四八、淀川水系河川砂防工事施行請願森幸太郎紹介文書表第一三一六號、紹介議員説明を求めます。
  206. 森幸太郎

    森幸太郎君 淀川水系と申しますと、滋賀県の琵琶湖に注いでおります全部の河川淀川水系になつておるのであります。請願いたしております河川は、京都府に接近いたしておる琵琶湖の湖西に臨んでいる河川であります。この河川は地図でごらんくださいますとわかりますように、山が琵琶湖に迫つておりますので非常に流域が短かいのであります。それで少し降雨時期になりますと河川が氾濫いたしまして、昭和九年のごときは非常な惨害を來したのであります。御承知くださる方もあると思いますが、屋根上川と申しまして、川の下を道が潜つておりまして、知内川、百瀬川というように、ほとんど下流が湖辺に迫つていく場合には、川というものは見られぬような實に奇跡的な川ができておるのであります。これは地勢が琵琶湖と山と迫つているためにそういう関係があるのであります。そのために本年のわずかな水害によりましても、この木戸川、犀川方面が非常な決壊をいたしまして耕土を荒しているのであります。この河川改修につきましては、地方の力ではとうてい根本的な改修ができ得ませんので、この際淀川水系改修の意味において、國家の非常な援助によつて根本的な改修をしていただきたいというのが請願趣旨であります。三年目、五年目に繰返すような非常に水害のあるところでありますので、政府の力によつて根本的な改修をいたすように、本請願委員會において御採擇くださることをお願いする次第であります。
  207. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 本件に對する政府側意見を求めます。賀屋説明員。
  208. 賀屋茂一

    賀屋説明員 請願になつております。この六河川砂防工事につきましては、實は昭和十四年度から二十一年度まで六十余萬圓を投じておる次第であります。二十二年度におきましては、工事費が非常に僅少でありまして、数萬圓を投じているような實情でありまして、この點はなはだ遺憾と存じております。本請願地域の荒廃ぶりは、昨年度調査いたした實情によりますと、これが工事費は一億数百萬圓もかかるという實情でございますので、國庫財政の許します限り、政府といたしましてもこの砂防工事につきましては、できるだけ豫算化をはかりまして、工事の迅速な完成を期したい考えております。
  209. 松井豊吉

    ○松井委員 動議提出いたします。本案は即決採擇されんことを希望いたします。
  210. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 松井君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は採擇と決しました。  本日採擇した各請願はいずれも議院において採擇の上は内閣に送付すべきものと認め、これを報告する手続をとります。     ―――――――――――――
  212. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 この際議事日程の順序に歸りまして、午前中に引續き建設院設置法案に關する審査を進めます。質疑を許します。質疑は通告側によつてこれを許します。村瀬宣親君。
  213. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 本法案は内務省國土局及び戰災復興院の所掌事項を一つにまとめたというのでありますが、今まで國土局及び復興院に設けられておりました各局と、この官房竝びに六局との關係を簡單にお尋ねいたします。
  214. 大橋武夫

    ○大橋政府委員 内務省から本院に統合されますのは現在の國土局でございます。戰災復興院の全部がこれに統合されますが、戰災復興院のただいまの局の編成は、計畫局、土地局、建築局、特別建設局の四局になつております。それと新しくきまります六局との仕事の關係についての御質問でございますが、官房において取扱います事務は、現在復興院の官房、竝びに内務省國土局の關係におきます内務省官房において取扱つておるような事項をまとめたわけでございまして、これは特に從來と変化はございません。すなわち秘書、文書、會計というような事項、それに新たに啓発、宣傳その他の事項を明文をもつて定めただけでございます。  次に總務局でございますが、これは現在の復興院の計畫局と内務省の國土局と、双方の共通的な事務をここに一括してございます。このうち第一に掲げてあります國土計畫、及び地方計畫に關する事項。これは内務省國土局において取扱つておつた事項でございます。それから二の地理調査に關する事項は、陸地の測量及び地図の調整の事務でありますが、これまた内務省の國土局の仕事がここへきておるわけでございます。資材、資金等に關するものは、戰災復興院及び内務省國土局の双方の資材、資金を一括して總務局で取扱うことに相なつたわけでございます。なお土木建築工事、請負業に關する事項は、先に商工省から戰災復興院の計畫局に移管になつておつた仕事でございますが、これまた建設院の各局に全般の關係ある仕事でございますので、總務局移にした次第でございます。  その次に土木工事に關する仕事は、内務省地方局において從來所管せられておつた仕事でございます。これは地方計畫ときわめて密接なる關係があるという理由によりまして、今回内務省解體に際して、特に國土局と一緒の建設院の方に引継ぐことになつたのでございまして、これは從來の内務省の地方局から事務だけこちらへはいつたわけでございます。都會地転入抑局は、内務省國土局からまいつた仕事でございます。  その次の水勢局で取扱います仕事は、すべて内務省國土局の河川課及び砂防課において取扱つておつた事務を、一括して水勢局と相なつたわけでございます。地勢局における仕事のおもなものは、道路と土地問題でございますが、道路は内務省の道路課において取扱ておつた仕事でございます。  なおこのほかに戰災復興院の土地局において取扱つておりました土地の管理使用、収用事務に關する事項は、土地収用の方は、内務省からまいつた仕事も一部包含されております。それから戰災地の土地物件等の処理に關する事務は、これは土地局からきた仕事であります。それから都市局における事務は、戰災復興院の計畫局においては從來都市計畫事業中戰災都市に關する都市計畫だけを取扱つており、その他の一般的の都市における都市計畫は、内務省國土局の都市計畫課で取扱つてつたのでありますが、これを今回都市局におきましては、戰災都市であると否と問わず、都市計畫課で扱うことに相なつたのであります。戰災都市における水道は、戰災復興院の都市局において扱い、その他の都市における水道及び下水道は、内務省の國土局の道路課において從來所掌しておりましたものを今回國土局で一括して扱うことにしたわけであります。建設局において新しく取扱う建築に關する事項、住宅に關する事項は、いずれも戰災復興院の建築局から引継いだ仕事であります。なお戰災復興院の建築局においては、この建築に關する事項及び住宅に關する事項のほかに、國費支辯に屬する建造物の営繕に關する事項を取扱つてつたのでございまするが、今回建設院の特別建設局にこの仕事を移すことになり、特別建設局に起きましては、從來の進駐軍關係の工事についての技術的な監督の事務と、併わせて官廳営繕取扱うことにしてございます。
  215. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいまの御説明に關連しまして、第十三條についてお尋ねいたします。「建設院の職員について必要な事項は、法令でこれを定める」となつております。また第十三條の第三項に、「第三條乃至第九條の規定にかかわらず必要があるときは、建設院の長の定めるところにより、個々の場合につき部局の所管事務の一部を変更することができる。」となつておりますが、これは扱い方によりましては、相當所管の内容その他この法案全體に影響を來すおそれがあると思うのであります。これの實際の運用についての具體的な説明を伺いたいと思います。
  216. 大橋武夫

    ○大橋政府委員 まず第一項の制令でこれを定めるという事項でありまするが、これは建設院に設けられまする總裁、次長、局長その他の職員を規定いたします。特にこれらの定員等につきましては、制令に委任をせられた次第でございます。  それから第三項の點でございますが、まことにごもつともなお質問と存じます。從來の官廳におきましても、各局相互の仕事の振合いというものは、大體平生の仕事の良を基礎にいたしましてきめてあるのでございますが、最近のように非常にいろいろな仕事が錯綜いたしてまいりまする時期におきましては、特にある時期におきまいては、特にある時期においてある局に仕事が非常に多くなる。たとえば同時に数個の法律案を一つの局から起案して國會提出するというような場合もあるわけでございまして、從來といえどもさような場合には特に臨時にその役所の中限りでもつて、この法案はひとつ何局長の受持でこれをやつてもらいたいというようなことを定めたこともあるわけでございます。そういうふうに特に臨時必要のありますときに個々の場合についてやるわけでございまして、この運用によりまして、各局の所管事務がめちやめちやに変わつて、管制とまつたく違つたようなものになるというふうなことは想像いたしておりませんような次第であります。
  217. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 「第三條乃至第九條の規定にかかわらず」という意味と「部局の所掌事務の一部を変更することができる」という意味でありますが、これはここに第三條ないし第九條に揚げました分のうち、個々に應じてこれをいろいろと変更するという意味でありますか、場合によつては「第三條乃至第九條の規定にかかわらず」先ほど御説明のありました、商工省の方から請負工事の方をこれに入れたと言われますが、そういうふうに外の省等から適當なものをこれに入れて、所掌事務の一部を変更するという意味なのでありますか。その點お伺いいたしたい。
  218. 大橋武夫

    ○大橋政府委員 ここに規定しております意味は他の省からある事務をもつてくるようなことではなく、ここに書いてあります事務の中で、必要に應じて他の局の中の所管に一時するという意味でございます。
  219. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 所掌事務の一部とありますが、これをあまりに奔放に変更されますると、自然課長の數が非常に殖えたりいろいろなことが起こるのでありまして、その點は非常に注意を要するものであります。最後にこの附則であります。「各省大臣の所管に屬するものについては、昭和二十三年五月二日まで、なお、從前の例による。」とあるのでありますが、五月二日という期日はどういう意味できめるのでありますか。
  220. 大橋武夫

    ○大橋政府委員 現在の行政の官廳法は五月二日までを有効ということにできておあるわけであります。從いまして來年の五月二日以後におきましては、政府といたしましては行政機構について全面的に考え直すというふうな必要に迫られておる次第でございまして、そのときまで現在の状況をいじらずにおきたい、こういう趣旨でございます。
  221. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 出納閉鎖の関係とはいかようになるのでありまするか。二年度にまたがることにはならぬのでありますか。
  222. 大橋武夫

    ○大橋政府委員 この官廳の事務の移管につきましてのことでございまして、出納の問題とは全然別箇になつておるのです。出納閉鎖とは關係ありません。
  223. 田中角榮

    田中(角)委員 政府委員に御質問申し上げたいのでございますが、第一條の原案によりますると、「建造物の営繕(建造物の性質その他の事由により所管大臣が内閣總理大臣と協議して定めるものを除く。)」というかつこが、「別に法律の定めあるものを除く」というふうに訂正をされてございますし、しかも私の考えまするには、一番最後の條項に「備品の調達(特別調達廳の行うものを含む。)」當然現在の機構におきまして特別調達廳は建設院の中に含まるべきものということを常識的に考えられるのでございますが、原案とただいまもつておりまするところの修正案と違つておるのでございまするが、この間の事情を御説明願えましたらお願い申し上げたいと思います。
  224. 大橋武夫

    ○大橋政府委員 ちよつと速記を止めて…。     〔速記中止〕
  225. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 速記を始めてください。
  226. 田中角榮

    田中(角)委員 そうしますと「(建造物の性質その他の事由により所管大臣が内閣總理大臣と協議して定めるものを除く。)」ということを、「別に法律の定めあるものを除く」と改めたについては、前の大蔵省の営繕管財局、あの當時の状態まで、建設院の特別建設局に含まれるところの官廳営繕はもつていくというふうに解釈してよろしゆうございますか、それとも現在のように――この所管大臣が總理大臣が總理大臣と協議をするというのは、前には非常に限つた場合であつたのでありまするが、今はほとんど各省の大臣が、自分の営繕を使つて工事をやつている。そのために工事には非常に弊害を伴つている。一例を申し上げますと、ただいま申されたように、司法省の刑務所關係の工事などは技術者がおらず、工事の責任者は裁判長が工事施行の責任者になつているというような状況が各省に起こつております。それがために各工事は同じ二十二年度の官廳営繕工事でありながら、その豫算に非常に開きがある。こういうようなことが現に起きておるのでありまするが、この法律で定むるものというのは、かつて営繕管財當時のように、非常に厳密な意味に解してよろしゆうございますか。それとも政府のお考えは、現在のままで行かれるのでありましようか。重要なる事項でありますから、政府の御見解を聴きたいと思います。
  227. 阿部美樹志

    ○阿部(美)政府委員 この前段にありました、今田中君の読み上げられたのは除くことになります。從つて今後は法律できめたもの以外には、各省が扱うことができぬという強い意味をであります。ただし現在それを変更することが相當困難を伴いますので、最後に伏の第三項、昭和二十三年五月二日までは現在の通り、こういうことで規制してあります。
  228. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいま復興院總裁の御答辯にありました通り、先ほど村瀬議員の質問に對しても私は關連して、最後の伏と非常に重大な關係がありますために、第一に御質問を申し上げたのでありますが、私も現在の官僚営繕のやり方に對しては、非常によろしくないという結論をもつておるのであります。しかも建設院ができる以上は、建設院の官廳営繕係においては、できるだけ広範囲に統一したところ、できれば過去の大蔵省の営繕管財局というような方法でもつてつていただきたいと考えております。その意味から言うと、この豫算關係で、先ほどたくさんはないと言われたのでありますが、最後の伏の二十三年五月二日というのを、昭和二十二年度の豫算工事だけに限つて昭和二十三年三月三十一日というふうに変更するわけには参りませんでしようか。五月二日ということになると、二十三年度の工事がまだそれにまたがるために、そのままずるずるべつたりに現在の機構そのままを続けるのではないかという懸念がありますために、お伺いを申し上げる次第であります。
  229. 大橋武夫

    ○大橋政府委員 将來のことでございまして、はつきりこうなるということは、まだ申し上げかねる次第でございますが、おそらく來年の三月までの間には、この間の、つまり五月二日以後にどういう権限をどういう省にもたせるかというこの法律をきめなければならぬ。從つてその決定の結果は、來年度における工事が、今後他の省で行われるものと復興院で行われるものが明確に相なりますので、實際問題としては、來年度の工事は支障なく進め得るのではないかと想像しております。
  230. 田中角榮

    田中(角)委員 第二條の六局制でございますが、局を殖やすというようなことはお考えにあるのですか。殖やすことができるかできないか、さらに豫算等の關係についてお伺い申し上げたいと思います。なぜならば、私はこの建築局なるものを住宅局その他にわけたらどうかということも考えておるのでありますが、提案された政府としましては、豫算關係でできないということになればそれでいいのでありますが、その間の事情を御説明願いたいと思います。
  231. 阿部美樹志

    ○阿部(美)政府委員 現在のところ六局以上殖やす考えはないのであります。ただいまお話のように住宅局と建築局を離そうという意見もありましたけれども、現在それでやつております關係上、とりあえずこの六局をもつていこう。こういうことにきめたのであります。
  232. 田中角榮

    田中(角)委員 そうするとこの六局の中でやらなければならぬのでありますが、現在第八條の中にあります建築局の中に官廳営繕が含まれておりますのに、今後の新法案によりますと、特別建設局の中に含んでおるようでございますが、この間の關係はどういうものでありましよう。しかも特別建設局というものは、先ほど大橋次長からお話がありましたように、特別調達廳で行うところの事業に對する監督竝びに監視ということでございますが、官廳営繕ということは、東京から申しますとやはり建築局に――むしろ局が増設できれば別でございますが、六局でもつてつていくということであつたならば、建設局にはいるものではないか、こういうふうに考えるのでございますが、何か特別建設局に入れた方がよろしいという根據があれば承りたい。
  233. 阿部美樹志

    ○阿部(美)政府委員 これは二つの意味があると思います。第八條の建築局は主として建築行政を扱つておる。ところが第九條の方でやります営繕の方は、直接工事を設計實施しておりますから、その關係からいきまして、從來進駐軍工事ををやつておりました特別建設局と同じようなやり方になりますから、そこに置いた方がいい。こういう考えからきたのであります。建築の監督行政から實施方面のことを引離した形になります。實際問題といたしましては第八條の建築に關する事項、住宅に関する、これが非常に重いのであります。量から言いまして二局三局にしなければならぬほど大きい。たとえば炭鉱住宅問題のごときは、非常に大きな金を要するものでありまして、この方があまり重すぎますから、建設局の方には二つの都門だけを置きまして、営繕關係は引離して第九條の方にもつていつた方がよろしい。こういうふうに考えたのであります。
  234. 田中角榮

    田中(角)委員 そうしますと、第九條の特別建設的に含まれるところの官廳営繕と、この國費の支辯に屬する建物の営繕に關する事項と、ちよつと素人考えによりますと、普通の営繕というようになりますが、これは御承知の通り、議院會館をつくるといういわゆる新営工事を全部含むものでありますが、現在の営繕では國有財産の管理、國有地、遊休建物の利用の調達という當然建設院でやらなければならないものが大蔵省に分属されておるというために、非常に官廳営繕そのものが活発に運用できておらないように考えるのであります。この國有財産の管理、國有地、遊休建物の利用調整という面を、この建物の営繕に關する事項というところにもつてきて、これを局になさるというようなお考えはございませんか、これが一緒になれば當然大蔵省営繕管財局というあの大きな局になると思うのですが、これに對するお考えを伺いたい。
  235. 阿部美樹志

    ○阿部(美)政府委員 一元的に考えましすとそうなつた方がいいと思いますが、現在のところは從來軍の施設であつた土地建物は大蔵省の國有財産局にはいつておりますから、これをことさらにこちらにもつてこなければならぬことは考えておらないのであります。現在のところは官廳営繕に止めておる次第であります。
  236. 田中角榮

    田中(角)委員 私は現在住宅不足その他の問題で隘路をなしておるものは、いわゆる軍の厖大なる施設を遊ばしておきながら、なぜこれがただちに活用できないか、これはすなわち大蔵省に所管されておりますために、手続その他が非常にむづかしいというようりも、官廳間のいろいろな事情がありますために、あの厖大なる施設を遊ばしておく、こういう現状から考えますとき、この國有財産の管理竝びに遊休建物の利用調整は、ぜひともこつちにもつてこなければならぬと考えておるので、これは私の意見でありまして、次に移ります。  次に土木出張所、建築出張所竝びに特別建築出張所の三つの出張所を地方に設けると言つておりますが、現在は御承知の通り物干一つつくるにも復興院總裁の許可を得なければならぬのでございまして、先ほどの片山總理大臣の御答辯によりますと、乏しい資材をわけ合つておるのだからと言つておるのですが、これはもうあきるほど聴いたことでございまして、こういう答辯なら問題にならないと私たちは申し上げたい。なぜならばこの臨時建築制限令というものが十二坪で制限しておる。十五坪の制限から十二坪になつたというのでございますが、乏しい資材と言いますが、現在十二坪ぐらいの、しかも冬を目の前にいたしまして、ただちにつくりたいというものは木材だけでできます。何らほかの資材を必要としない。基礎はくいを打ち、土台も木材で流し、屋根もこばぶきでよろしい。ガラスがなければ板戸でよろしいということになれば、木材だけでも家ができるという状態でありながら、實際の建築を阻んでおるものは、いわゆる建設制限令である。こういう意味でのこの特別建設出張所もしくは土木出張、建築出張所に、現在復興院でもつてなすつておるところの建築許可に關する事務を分掌させる、移管するというお考えがないか、いわゆる建築認許可はどこでもつておやりになるかということに對して御答辯願いたい。
  237. 阿部美樹志

    ○阿部(美)政府委員 お話の通り、なるべく許可認可は簡單にした方がいいのでありますが、乏しき資材である限りそういうことになるのでありますが、私どもといたしましては、決してこれがために建築の促進されることを阻むという考えはないのであります。從いまして十二坪以下のものは地方の建築出張所で直ちに認可し得るような方法を講じております。これは各方面からの要望もありまして、非常に煩瑣あるいは時間をとるというようなことを聞きましたので、いろいろ調べました結果、十二坪というような程度のものなら、簡易に認可を出す方がよろしいということから、出先の出張所において認可し得るようにいたしました。從つてお話のような不便はもうなかろうかと存じております。
  238. 田中角榮

    田中(角)委員 そうではなくて、いわゆる現在できるできないではない。お聴きしたのは、いわゆる土木出張所、建築出張所、特別建設出張所の認許可はどこでお出しになるつもりですか。
  239. 阿部美樹志

    ○阿部(美)政府委員 お話は縣に委譲する考えがあるかないかということですね。
  240. 田中角榮

    田中(角)委員 そうです。
  241. 阿部美樹志

    ○阿部(美)政府委員 これはできるだけそういうふうにしたいと思いますが、現在木材が十七品目の重要資材の中にはいつております關係上、安定本部の定まつた量によりますものと各地方にわけまして、切符を出さなければならないという手続上の関係から、これを地方廳に委譲することが非常に困難ではなかろうかと思います。目下そのことについては私の方でも相當に研究をしておりまして、できるだけのことは地方に委譲しようと思いますが、そういう點で困る點がありますので、決定にはなつておりません。從つて今のところ地方にこれを委譲するということはできない實情にあるのであります。
  242. 田中角榮

    田中(角)委員 最後にもう一つだけ。附則「この法律は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。」いわゆる本年の十二月三十一日以降にまたがつてはいけないということに對して、これは内務省解體ということだけでございますか。それとも延ばせるものでございますか。
  243. 阿部美樹志

    ○阿部(美)政府委員 これは内務省解體と同一の理由によつて、そういう期日が定められてあるわけであります。
  244. 田中角榮

    田中(角)委員 これで終わります。
  245. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 以上もちまして、總括的質問及び逐條的質問の通告順による御質疑を一應終えたわけであります。
  246. 松浦東介

    松浦(東)委員 緊急動議提出いたします。すなわち、本法案につきましてはまだ質疑は十分とは思いませんけれども、去る七月の委員會においても、あるいは合同審査會を開き、あるいは小委員會等を開きまして、内容については相當研究をいたされました。しかしてまた事實緊急を要するところの法案でもございますので、この際質疑打切の動議提出いたします。
  247. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 松浦君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑は打切られました。これより五分間休憩いたします。     午後四時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後四時四十一分開議
  249. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 休憩前に引続き再会いたします。  質疑は終了いたしました。細野三千雄君より修正案が提出いたされております。この修正案提案理由についてこの際発言を許します。細野三千雄君。
  250. 細野三千雄

    細野委員 各派共同提案といたしまして次の修正案を提出いたします。すなわり第十條中の「ことができる」の六文字を削除します。第二點の修正點は、第十一條中に「土木出張所」とあるを「地方建設局」と修正する、この二點であります。  修正の理由を簡單に申し上げます。この荒廃した國土を復舊し、かつこれを積極的に開発するということのために、強力なる一つの行政部門が必要であるということにつきましては、ほとんどこの委員會における各委員の共通した意見と思うのあります。それがために現在内務省、戰災復興院はじめ他省にもまたがつているところの建設行政部門を一つに總合するということが望ましいことにつきまして、政府側においても、各政府委員個々に、あるいは表現の仕方にいろいろありましたけれども、理想的なものができることについては反對はないようであります。從いまして、ただ今後この建設院というものが提案されました際に、これを根本的に修正して、理想的なものにしたい考えをわれわれはもつているのでありますが、一方におきましては、内務省解體に伴つて、現在ある機構を早急になんとかしなければならぬという時間的な制約をここに受けて、しかも會期が非常に少ないということのために、ともあれこの理想的なものに近ずけるために、以上の第一の十條の六文字を削除するという案をまず提案した次第であります。この六文字を削除することによりまして、建設院の長は大臣をもつてあてるということになり、午前中の片山總理大臣の説明によりますれば、この點必ずしも大臣というような官僚的なことにこだわる心配はないような御意見もあつたのでありますが、しかし現在の建設行政の實體を見ますと、あるいは内務省と農林省とが、たとえば利根川の放水路の問題、あるいは霞ヶ浦の干拓を農林省がやろうと計畫しているのに、片一方の内務省關係では霞ヶ浦の排水についての十分な工事ができておらぬ、工事に後先がある、あるいは阿武隈川上流で農林省は開拓をやろうとする、商工省では電力の発電をやろうというようなわけで、そこでお互いに仕事矛盾する。こういつた矛盾が各所に発見できるのであります。そういう場合に新しくできる建設院の長が大臣であるかないかということは、これは相當影響することでありまして、どうしても他省の長が大臣であります限りは、この建設院も最も當然大臣でなくてはならない、かように考える次第であります。從つてまず第一段として、将來理想的な建設省ができる前提として、その一歩として、これを必ず大臣とするということを修正する次第であります。この建設院の各部内をみましても、たとえば水政局などという名前があります。これを英語に飜譯すると、水政局の方はリバー・アンド・キャネルということになつておつたようでありますが、それを文字通り記せば、川と運河ということになるが、ここに水政という広い文字を使つていることにも、私はこの建設院というものが将來理想的な、完全な建設省に発展していく含みをもつていると思うのでありまして、そういうような點も考え合わせて、われわれは次の國會にはお互いに十分検討して、理想的な建設省というものを、あるいは場合によつては公聴會を開き、広く各方面の意見を聴き、ぜひともこの國土の建設を理想的な省によつて、一日も早くやるようにしたいと思うのであります。  次に第二點の第十一條の「土木出張所」とあるを「地方建設局」と修正します理由は、現在土木出張所は各地方に存在しておりますが、この一出張所のみでも数府県にまたがる主要な災害復舊工事、大規模の河川改修工事、國道改修工事、連合軍關係工事等を擔當して、數億の工費と數萬労働者を使用しているのでありまして、この建設能力はわが國土建設の主軸をなすものであります。しかるに土木出張所というのは明治三十八年以來の奮名でありまして、現在の厖大なる機構には全然適しない。今日大部分の修正はすべて通常議會に譲るといたしましても、せめて地方民の福利に直接關係の深いこの土木出張所の名称は、これを地方建設局と変更するのがよろしいと思うのであります。以上の理由によりましてこの修正案を提案する次第であります。何とぞ各委員のご賛同あらんことをお願いする次第であります。
  251. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これより建設院設置法案議題として、討論に付します。討論は通告順によりこれを許します。松澤一君。
  252. 松澤一

    ○松澤(一)委員 日本社會党は今回の建設院の設置に對しましては多大の不滿をもつておるのであります。われわれの理想からいけば、今修正意見として出された細野君の内容にもある通り、機構その他をもつと廣く包含して、もつて日本再建に資したいという考えをもつてつたのでありますが、時間の關係上機構改革の上に、どうでも會期の迫つたこの議會において通過させなければならないというやむを得ざることのために、私たちは将來に希望を残しまして、十條の字句の削除と十一條の字句の修正との修正案に贊意を表すると同時に、その他を除く全部の原案に對して賛成するものであります。
  253. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 本法案は内務省の廃止に伴い、緊急臨時の立法として提出せられたものでありますがゆえに、私は民主党を代表して、各派共同提案の修正部分を除き、本法案に賛成を表するものであります。思うに邦土の四割五分を失つた狭溢なる國土の上に、八千萬の人口を養わねばならなくなつたわが國の現状において、祖國の再建成るか成らざるかは、總合的、有機的、大規模な國土計畫の實施にあるのであります。かの戰勝國たるイギリスにおきましても、復興大臣の任務と責任が戰後経濟再建の中心となつておる事實に照らしましても、焼土と化した敗戰日本の復興のためには、國土建設事業こそ政治経濟の枢軸とならねばならぬと存するものであります。今にして各省にわだかまるセクショナリズムの陋習を放擲し、虚心坦懐、國家の總力を傾注して國土の再建に精進するのでなければ、わが國の前途には容易に光明が輝かないと存ずるものであります。ここにわれわれは内務省の解體に伴い、時間的制約のもとに、とりあえず建設院を認めようとするものでありますが、たとえ名前は建設省でなくて建設院でありましても、わが國全般にわたる國土計畫の指導権は勇敢にこれを推し進められんことを希望するのであります。すなわち國際的政治経濟から見た國土計畫、國土保全竝びに開発から見た國土計畫、産業構成から見た國土計畫、人工文教問題から見た國土計畫等につき、ただちに積極果敢なる活動をなし得る機能を與えるよう、運用にあたつて政府の深甚なる考慮を煩わしたいのであります。  なお本法第十三條第一項及び第三項の運用にあたつては、細心の注意をもつてして、いたずらにこれを濫用して本法案の規定を乱ることなきよう戒心の必要ありと存ずるものであります。また二箇所にわたる細野委員の修正には、衷心より賛成をするものであります。私は名實ともに祖國の再建のための總合的、大規模な國土建設を實施し得る建設省の一日早く實現することを期待して、本法案に賛成をするものであります。
  254. 松浦東介

    松浦(東)委員 日本自由党を代表して、本法案に對し意見を付し、各派共同提案にかかる修正箇所を削除したる原案に賛意を表するものであります。  私どもは元來内務省解體のこの機會に、広く建設を要望したのでありまして、本法案、すなわち建設院置法案は内務省解體に伴うところのあくまで臨時的な緊急性を帯びたところの法案と解釈することによつてのみ、やむなく賛成するのであります。私は從來なげやりにされた國土計畫、地方計畫、または治山治水等を含む一切の建設行政は、今までのようにばらばらであつてはならない。これは強力な一本に總合統一化されることによつてのみ圓滿なる遂行が可能であると信じまするがゆえに、建設院のごとき總理廳の一外局のごとき弱體のものでは、その業務の遂行多大なる不安をいだかざるを得ないのであります。あくまで建設省または國土省ともいうべきものをつくるべきだと思います。しかうしてこの意見は決して私一個の意見に止まらない。すでに國を憂うる世の識者のひとしく認むるところのものであり、天下の大勢であり輿論となつております。從つてまた本委員會のほとんど一致した意見と申しても過言ではないのであります。しかるに政府はこれをまとめて原案をつくり得ず、今期議會中にこの大事をなし得なかつたことは、まことに遺憾至極であります。政府がやる気がなかつたためか、またはいいと思うことでもあえて行う気にならず、惡いと思うことでもなかなかやめられない。從來通りやるのが一番無難で安易だと心得る官僚に引きずられたためか、一言にしていへば、現内閣の政治力の欠除によつてこの長い二百余日にわたる本議會中に、提案したり引込めたり、今日に至つて暫定措置として、たとえ一時的申譯的にせよ、バラックの建設院をつくらざるを得なかつたことは、まことに遺憾至極でございます。しかしながら片山首相も今日の本委員會において、議會の多数の意見であれば、その意見を尊重するという議會中心の考え方を明確にいたしました。私どもは次の議會において、きわめて、近い将來において、本委員會が主體となり、公聴會のようなものを開いて、あらためて天下の輿論をすなおに聴き、議員提出法案としてこの根本問題を解決するの責任を痛感するのであります。山も河も荒れはてたこの國の姿を建て直すことを思うとき、われわれは勇気を出さねばならないと思います。私は近き將來において、公共事業一切を掌る建設省または國土省のごとき一元化された行政官廳をつくるべしとの意見を付して賛成するものであります。  なお一言附加へますることは、本法案第十三條のうちの職員の件ですが、當然建設院の長を輔佐する次長を設けなければならないが、この次長の人選について希望があります。建設院の長は第十條を修正いたしましたるごとく、國務大臣でなければならない、これは當然であります。有力な政治的発言力を保持する人がすわるべきであると思います。これに配する女房役の次長には、ぜひ練達なる技術官をもつてこれに充てるべきであると考えます。申すまでもなく建設院の使命は高度の科學技術の總合化を必要とするのであります。政治家の長を配するには事務屋の次長では、その意義を没するおそれなしとしないのであります。この問題につきましては先ほど片山總理は本委員會におきまして、建設省次官の人選につきましては技術官を尊重するという答辯がありました。私は片山總理大臣のこの言を信ずるものであります。次長の人選につきましては練達の技術官を充てられんことを特に強く要望いたしまして、本案に賛意を表する次第であります。
  255. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これにて討論は終局いたしました。原案に對しましては、細野三千雄君より各派共同の修正案が提出されております。この修正部分を切離して採決いたします。まず細野三千雄提出の修正案すなわち第十條中の「ことができる」とあるを削除し、第十一條中の「土木出張所」とある地方建設局と修正する。以上の修正案に賛成の諸君は、起立を願います。     〔總員起立〕
  256. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 起立總員、よつて本修正案は可決確定いたしました。  次にただいまの修正部分を除く原案につき採決いたします。修正部分を除いて原案に賛成の諸君の起立を願います。     〔總員起立〕
  257. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 起立總員、よつて修正部分を除く原案は、可決確定いたしました。  本日はこれをもつて散會いたします。次の委員會の日時は、公報をもつて御通知申し上げます。    午後五時一分散會