○
鈴木(明)委員 茨城縣久慈川の
改修は、かねて内務省當局において直營
工事をも
つて工事を
促進せられておりまして、戰時中は思う
通りに
工事も進捗いたしませんでしたので、終戰後は
豫算の大増加をはか
つて、急速に
改修實現のことと沿岸民は一般に期待しておりますけれども、本
年度わずかに四百
萬圓くらいの
豫算をも
つてしては、どうしても現在の物價より見まして、思つたほどの
工事もなし得ないということは、まことに私は遺憾に存じております。元來この茨城縣の久慈川は、その流域が九十四里餘に達しておりまして、茨城縣に臨む分はおおむね平坦なる肥沃の
耕地でありまして、平水量が七百立方尺に對しまして、一旦洪水になると十二萬九千八百立方尺と
なつて、實に二百倍に近い
状態であります。全國まれに見る急流でありまして、その慘害も人畜の死傷あるいは田畑、宅地、住宅、そういつたものの流失、埋沒または決壞等、その
被害は現在の物價とにらみ合わせてみますと數千
萬圓に達しまして、實に悽慘な
状態であります。この久慈川の
改修の
促進に對しまして、
政府當局におかれましては、なお一層の
豫算を計上していただきまして、一日も早くこの
工事の
實現されんことを特にお願いいたしまして、この
請願に及んだ次第であります。何とぞ各位におかせられましても、この意をおくみとりくだされまして、特にこの
趣旨に御贊同あられんことをお願いいたします。
なお茨域縣の糸繰川の問題は、これは小貝川と鬼怒川の中間を流れておる一町五箇村に及ぶところの川であります。この糸繰川という川は、大體茨城縣の穀倉地蔕の中間を流れておりまする川でありまして、年々歳々、三百町歩あるいは四百町歩に及ぶ水田が、一年ないし二年に一度、三年に一度必ず水の禍をこうむ
つておる次第であります。この糸繰川の中間にありまするところの大寶の沼池、溜池、これが公用を廢止せられまして以來、その大部分はもとの關係地區民の共有と
なつております大寶騰波ノ江公益組合が生れまして、その收益のことごとくを打込んで築堤もし、それから
水害對策等もしてまいりましたが、とうていその收益のみでは足りません。現在同組合は十三萬餘圓の借金をも
つておる
状態であります。しかるに第二次農地調整法の實施せられるに及び、法人所有地は眞先に買收せられまして、すでに三月末日附近沿岸の裁定地に屬する水田のことごとくは國有と相なりまして、まさに賣渡計畫の樹立中であります。公益組合と關係を絶たれました二百餘町歩の
耕地というものは、耕作農民の手によ
つてのみ守らなければならない
状態であります。
水害に收穫を失つたこの
耕地農民の手で、この大事業がなし遂げられるということは不可能な
状態であります。萬一現在の姿で農民の手にのみ委ねて水禍を繰返すときは、遂に
生産意欲を減退するということも明らかな事實だと考えるのであります。今日農民にとりましても重大なことであるばかりでなく、郷土的にも、國家的にも、私は食糧増産ということを考えましたときに重大なる問題だと思います。この問題を解決するために、糸繰川の河口から約二キロの道程、それから決壞
復舊箇所が四
箇所、半決壞
箇所が五
箇所、そういつたぐあいに堤防の低いところがなおあります。出水時におけるところのいろいろの設備に要するところの用水池というようなものも設置しなければ、とうてい沿岸民の水を防ぐことには困難な
状態であります。このような
施設によ
つて繰返されたところの水渦というものは、まつたく昔の夢であると私は思うのでありまして、この際日本
再建のかぎであるところの國土計畫の眞髓に徹する考えから、何とぞひとつ
政府におかれましても、一日も早くこの救助助成の手を伸べられますよう、特に私はお願いいたしまして、この
請願の
趣旨をおくみとりくださいまして、何とぞ御贊成あらんことを皆樣方に特にお願いいたします。
同時に昨
年度から實施せられましたところの小貝川の問題であります。これは
昭和二十二
年度におきましては、
豫算もわずかの
豫算が計上せられまして、とうていその
工事を滿足に遂行することは不可能な
状態に
なつております。ほとんど内務省の直營
工事で施行せられておりまするこの小貝川の問題といたしまして、わずかの
豫算でありますと、ただその事業に携わ
つておる内務省の技術の人々の人件費に終るというような
状態であります。私はこの
状態を見ますときに、小貝川の上流
改修工事促進會を結成いたしまして、全面的にこの
工事の協力に邁進しておる
現状でありますが、この惡性インフレの餘波と、やみ物價横行のために、日増しにつのるところの
資材竝びに勞賃の高騰というものは、著しく
工事の進捗を阻害しております。初めの
豫算をも
つてしては、人夫の割當募集にも相當困難を感じつつある
状態であります。結局
資材及び勞賃の倍加というものは
豫定事業量の半減を
意味します。工業進行の
圓滑を缺く結果と相なります。ひいては沿岸農民の増産心理に暗い影響を及ぼすものではないか、同時に供出意欲の動搖も來すのではないか、こう私は心配するのであります。現在の經濟危機突破の
根本對策は、主要食糧
生産の増強にありますので、沿岸民一同は小貝川上流
改修工事が
圓滑に進捗し、一日も早く
完成して、惱みの基でありますところの
水害を完全に防禦し、窮迫せる食糧問題解決に寄與して、そうして日本
再建の礎を固めんことを熱望して、寒暑を問わず、萬難を排して増産に勵みながら、
工事勞務に奮闘を續けておるのであります。時局下いろいろの
方面に費用もたくさん重なることでありましようが、この小貝川の
改修工事追加豫算としまして、大體二十二
年度、二十三
年度、この次の
豫算には千五百
萬圓くらいをひとつ御計上くださるよう、特に私はお願いいたしまして、一日も早く小貝川の
改修工事を
促進せられんことをお願いいたす次第であります。何とぞ各位におかれましては、私の今申し上げました事柄をおくみとりくださいまして、御贊成あらんことを特にお願いいたします。