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山口好一君 時間が經ちまして恐れ入りますが、
簡單に御
説明を申し上げて御採擇を願いたいと思います。
まず第一の
請願の
五行川竝びに野元川の
改修工事施行の
請願であります。これは栃木縣の鹽谷郡氏家町附近を源にし流れる五行川と栃木縣鹽谷郡北高根澤村大字上高根澤字西根附近に源を發します野元川、この兩川は、後に栃木縣芳賀郡眞岡町附近で合流をいたします。この兩川はいずれも通常はあまり水がありませんが、少しく雨が降りますと野水が出て、いずれの川も充滿いたします。これが合流して非常な水量になりまして、
河川の
改修が十分行われておりません
ために、兩岸に溢水して附近の美田、特にこの
地方は栃木縣のウクライナと言われる米穀の非常な生産地でありますますが、その美田にもつていつて溢水いたしまして、この
ために非常な生産の阻害があるのであります。二年、三年ごとに非常な
被害をこうむりまして、今日の食糧事情困難な折から、國家の一大損失であるのであります。從來も五行川、野元川につきましては再三
請願がなされ、またこれの
改修工事も
著手いたされておるのでありますが、不十分でありまするので、なお一層速やかに、かつ十分にこの
改修工事の實施いたされまするように、當
委員會において御採擇のほどをお願いしたいのであります。
次に
文書表一〇號の
巴波川及び
渡良瀬川改修工事竝びに舊谷中村遊水池干拓工事施行に關する
請願でありますが、これは當
委員會におきましても、今度の
水害の御視察をいただきましたので、十分御觀察をお願いできたと思うのでありまするが、
巴波川は栃木市の北方から源を發しまして、南下いたしまして、足尾、足利
方面から流れ來たります流良瀬川と合流し、これがまた利根川とかの栗橋附近において合流しまして南下しておるのでありますが、今度の
水害で明らかに立證せられましたことくに、この
巴波川及び渡良瀬川兩川は、三十年來
改修がなされておりません
ために、河床が非常に上りまして、むしろ土手そとの耕地よりも
河底の方が高く
なつておるというような
状態であります。さらにこの舊谷中村と申しますのは、ちようど
巴波川と渡良瀬川の合流するところにありまして、東京都を利根川の
洪水から救濟いたす
ために、遊水池として谷中村二村が廢止せられまして、他に農民は移住させられて、この三千
町歩、その周圍を合わせますと六千
町歩というこの谷中村が遊水池にいたされてお
つたのであります。ところがこの遊水池もだんだんと埋まりまして、水底が高くなりまして、そうしてこのまま放置いたしますれば
巴波川、渡良瀬川及び谷
中村遊水池というものは川底が非常に高く
なつて、
土砂が堆積しておりまして、もし萬一
洪水があ
つた場合にはどういう
被害が今度は來るだらうかと、非常に危檢視されておりました。その
ためにここに
請願もなされたのでありまして、
關係の町村から
請願が早く出ておりまして、一日も早く
巴波川、渡良瀬川を
改修いたし、遊水池の方はむしろ干拓いたしまして、これを耕地にして、そうして
巴波川、渡良瀬川の川底を
改修いたし、速やかに利根川の方に注ぐようにしていただきたいという
請願が出ておりました。ところがこれが間に合いませんで、今後の颱風と
なつて大
洪水が招來いたしたわけであります。はたせるかなその
被害は實に甚大でありまして、死者、倒壞家屋、その他農作物に對します
被害などは、すでに御實見にな
つたことくであるのであります。この意味におきまして、この問題はすでに實驗濟みで立證されたのであります。
巴波川、渡良瀬川の
改修は緊急の必要である、早く
改修されなければならないということはすでに證明されました、また谷中村を遊水池にいたしておくということも、かえつてこれはその
地方に對しまして水が出たような場合には溢水せしめ、土手を水が越して遂に
堤防は破れるというような危險性も非常に多くな
つたのであります。これはむしろ六千
町歩という耕地をそこに救い上げて、そうして
食糧増産の方にまわし、
巴波川、渡良瀬川の
改修を完全にし、さらに利根川につきましては、早くから計畫されておりまするように、別に放水路を設けて、速やかに水を海に注がしめるというような
根本的な
治水策をおとりくださつて、この遊水池は耕地として干拓ができますようにしていただきたいというのがこの
請願の
趣旨でございます。
次に
文書表第一九七號でありますが、これは
海外引揚者に石材山を拂い下げてもいらたいという
請願であります。場所は栃木縣下都賀郡小野寺村大字新里というところでありまして、面積は六段六畝十歩であります。現在
内務省の所有に屬しております。水成岩をもつてできておる山でありまして、これはこの石材を採掘いたすことが目的であります。もとこれは栃木縣都賀郡岩舟村の高橋善之亟という人の所有であります。これが大正四年の十二月に
内務省に買收されまして、その後は
内務省の所有に
なつておるようであります。このたび海外から引揚げましたこの所有者の善之亟の息子の高橋末吉、これが滿州から引揚げましたが、職がなくて困つておるような
状態であります。さらにそのほかに同じく岩舟村に引揚げておりまする他の二十二名、この高橋末吉を入れまして二十三名の者が共同して組合をつくり、引揚げたがしかし職も何もない、非常に生活に困つております
状態なので、
内務省におきましては、その後廢山同樣全然掘も何もいたしておりませんので、これをその引揚者の團體に拂下げていただいて、そうして一はもつて自分たちの生活の資に供し、一はもつてこの掘り出しました石によつて、今後の建築あるいはこのたびの
水害などに必要なるところの資材を供給いたして、兩兩相立ちまするようにいたしたい、こういう
請願でございます。
それからその次の第一九九號でありますが、これは思川の架橋工費に國庫補助を願いたいという
請願であります。これは栃本縣の南部の生井村、野木村というような
水害地におきまする架橋であります。この
請願に出ておりまする場所は、生井村と野木村をつなぎまする橋であります。從來つくらるべくしてこの兩村におきます架橋はなかなか實現されなか
つたのであります。それは架橋すべき場所も川原に
なつておりまして、なかなか困難な状況もありますが、國家から一向關心が拂われておらなか
つたというところに今日まで遲れてお
つた原因があると思います。實際現地を視察していたできますればよくわかりますが、現在は流れてしまつておりますが、この
水害の前にはごくそまつな舟橋がかかつておりまして、そうして橋錢をとりましてわずかに人畜が渡るに過ぎなか
つたのであります。トラック、自動車その他一切渡ることができないのであります。從いまして物を運びますのに、もう指させばすぐ向うの對岸へ行けるというような近いところにありながら、二里半ないし三里ありますところを、迂囘してもつていかなければならないというような非常な不便を忍んでまい
つた次第であります。このたび
水害につきましても、ここにもし橋があ
つたならば、物を運びますのにも非常に便利であると痛感いたすのであります。ところがこの
工事がなかなか困難でありますので、縣といたしましても十分なる架橋をすることができません。現にこの川とは別な場所でありますが、
巴波川にかけました橋は、この八月に完成いたしまして竣工式をや
つたのでありますが、やはりこの
水害でたちまち流れてしま
つたのであります。少くともピアーはコンクリートにいたしまして、堅牢なものにいたさなければならないのであります。それにはどうしても五百
萬圓見當の
豫算はかかります。しかるに縣といたしましては、なにせ川の多い縣でありまして、いろいろ費用も他にもかけております。ぜひとも必要なるこの架橋が、
豫算の
關係でできないような
状態でありますので、何とぞこの點につきましては國庫の補助を仰ぎ、國庫より
補助金を交付せられて、この架橋を一日も早く完成いたしたいという縣民の
要望でありまして、ここに
請願をいたした次第であります。
以上四件、何とぞ以上の
説明によりまして、なお今度の
水害について皆樣の御視察によりまして、その必要は痛感いたされていることと存じます。御採擇あらんことをお願いする次第でございます。