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1947-07-30 第1回国会 衆議院 国土計画委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年七月三十日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 荒木萬壽夫君    理事 藤田  榮君 理事 細野三千雄君    理事 松井 豊吉君 理事 大森 玉木君   理事 内海 安吉君 理事 的場金右衞門君       松澤  一君    溝淵松太郎君       宮村 又八君    守田 道輔君       山本 幸一君    田中 角榮君       原  孝吉君    村瀬 宣親君       今村 忠助君    高田 弥市君       野原 正勝君    松浦 東介君       水田三喜男君    野本 品吉君       高倉 定助君     ――――――――――――― 七月二十六日  五行川竝びに野元改修工事施行請願山口  好一紹介)(第三號)  巴波川及び渡良瀬川改修工事竝びに舊谷中村遊  水池干拓工事施行に關する請願山口好一君  外二名紹介)(第一〇號)  富士岬、本泊間道路開鑿請願坂東幸太郎君  紹介)(第一四號)  久慈川改修工事設計變更促進に關する請願(  庄司一郎紹介)(第二五號)  美矢井橋改築に關する請願坂東幸太郎君紹  介)(第三六號)  酒田港災害復舊工事促進に關する請願金野定  吉君外三名紹介)(第四三號)  酒田港開港場指定請願(泉山三六君外三  名紹介)(第四五號)  酒田港海上保安基地設置請願圖司安正君  外二名紹介)(第四六號)  最上川災害復舊工事促進に關する請願上林與  市郎君外三名紹介)(第四七號)  茶臼山砂防工事竝びに岡田改修工事施行の請  願(小坂善太郎紹介)(第六一號)  新潟、長野兩縣下における砂防工事施行請願  (荊木一久君外一名紹介)(第六二號) の審査を本委員會に付託された。 七月二十八日  英彦山、求菩提、耶馬溪及び日田盆地を含む地  帶を國立公園指定陳情書  戰災都復興に要する經費國庫補助及び新規市  營企業許可等に關する陳情書  昭和二十二年度復興土地區畫整理補助金増額に  關する陳情書  戰災都復興助成に關する陳情書  治山治水事業の一部移管反對に關する陳情書  山陽國道改良促進に關する陳情書  臨時建築制限令に關する陳情書  全國主要道路整備に關する陳情書 を本委員會に送付された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  東北地方水害に關する國政調査承認要求及び委  員派遣承認要求に關する件  砂防工事現地視察に關する報告     ―――――――――――――
  2. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 それではこれより委員會を開きます。  御承知の通り先ごろ東北地方竝びに北陸地方水害がございまして、その惨状、被害も相當なものと聞き及んでおります。つきましては當委員會におきましても、國土畫竝びに災害復舊の立場から、現地委員を派遣いたしてはいかがとの議がございまして、これを實施するにつきましては衆議院規則第九十四條により、水害復舊對策に關する國勢調査の件として、その目的、方法、期間その他所要事項につき、書面をもつて議長調査承認を求むる必要があります。またその承認がありましたならば、規則第五十五條委員派遣を行う議長承認を得る順序と相なります。この承認要求書を提出することに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御異議ないものと認めまして、さよう取計らいます。
  4. 高倉定助

    高倉委員 何名派遣されるのですか。
  5. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 お諮りいたします。ただいまの御決議をいただきました件につきまして、前例によりまして社會黨民主黨自由黨、各派それぞれ二、二、二、一の員數をもちまして、合計七名の委員を派遣することにいたしたいと思います。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 それではさように決定いたします。
  7. 高倉定助

    高倉委員 さらに伺います。農林委員の方も行くようですね。
  8. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 農林委員會もでかけます。農林委員會の方とも一應打合せをいたしまして、できれば一緒に現地にまいりたい、かような心づもりで連絡いたしております。
  9. 大森玉木

    大森委員 北陸地方の問題も同じことですか。
  10. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 その具體的現地視察につきましては、後ほどお打合せを願いたいと思いますから御了承を願います。     —————————————
  11. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次に先般御決議をいただきまして、山梨縣治水事業視察にまいりました結果につきまして、概要を御報告申し上げます。先般衆參兩院國土畫委員會は合同しまして、荒廢しておりまする國土復興に對する技術的認識を深める意味をもちまして、山梨縣下における治水工事を、去る七月十八日、十九兩日にわたつて詳細に現地視察をいたしたのでございます。參加人員合計十四名でありまして、衆議院八名、參議院側六名でございます。視察概要は、山梨縣は南北に縦走しまする富士川と、この支流が同縣下主要河川でございまするので、このうち主要工事施工箇所十數箇所を視察したのでございます。  まず第一に日川、この日川砂防工事はほぼ完成しております。延長二十八キロの小さい川でございますが、笛吹川に入り、さらに富士川に合流しております。明治四十年と大正三年に大氾濫を生じましたので、上流堰堤十四箇所を設けて、勾配を緩和して土砂流出を防ぎ、その下流に七十四箇所の水制工事施工し、さらにその下流部に五箇所堰堤を設けて、在來の川床勾配三十分の一を五十分の一にいたしましたので、川床もほぼ安定し、かつての河原地帶逐時見事なる葡萄園化しつつある状況でございます。  第二に御勅使用にでございます。主要堰堤のみ完成して、その他の砂防工事施工半ばでございます。延長二十キロの小川でございますが、縣下隨一の氾濫します川で、下流部においては川幅八百メートルに達するところもあります。堰堤八箇所の中間各所に二十一箇所の床固工を施工し、川床はほぼ定著したようでございますが、今後引續き豫定の山腹渓間工事施工するにあらずんば、萬全とはいえない状態であります。  第三に御勅使用にと富士川との合流地附近、この地域地下水が深く、いわゆる原七郷の乾燥地帶でありまして、これに早川上流野呂川の水を導入したいというのは地元民三百年來の願望であるようであります。しかるにこれとまつたく利害相反するのは、その下流地方南湖村等であつて、富士川逆流の關係もあり、千三百町歩は二毛作も不可能な濕田地帶で、これにさらに上流より野呂川の水を流下されるという状態では、地元としましては反對の意向があるようであります。この相矛盾します兩者の要求をいかにして滿足せしむるかということが、相當問題でありまして、大規模な灌漑計畫が必要であろうと思うのであります。  次には富士川笛吹川との合流地域は、さらに横川、瀧野川坪川等が合流しまして、水位が低く、洪水のときには、富士川より逆流するため、相當廣範圍にわたつて濕田地帶と、いわゆる天井川を形成する状態であります。これが對策としましては、富士川水位を降下すること、背割堰堤延長すること等が考慮される問題であります。  次に船山川。これは砂防工事が完成しておる模範的な河川で、沿岸はまつたく落ちついております。延長五キロの間に堰堤十八、底固め二十九、谷止め五、山腹石垣六、護岸延長三・五キロを完成して、荒廢しておる川原數町歩を田園化しておる状態であります。  次に戸栗川でありますが、延長九・五キロの急流河川でありまして、砂防工事著手でありましたために、昭和二十年十月の豪雨に大氾濫を起し、いまだにその名殘りを殘留しておりますが、逐次上流より堰堤工事等施行中でありまして、これが完成は地元民一同の待望するところであります。  最後に現地視察いたしました所見を簡單に申上げますと、治水工事は、水源地より河口に至るまで全區間を、一定計畫のもとに、上流砂防工事を逐次組織的に施行すべきであります。由來我が國は山國でありまして、地勢急峻急流が亂流しておりまして、雨期における水害は世界的に著名であります。殊に昭和十六年以降河川改良費の大削減は、洪水の暴威を倍加せしめて、最近年々災害復舊費は増加の一途をたどるのみであります。國土計畫の根本理念國土完全利用にあります。いまや我が國土は爆撃の脅威はなくなりましたが、水魔の脅威は依然として去りません。この脅威より國土を解放するのが、我が國土畫委員會に課せられた、重大なる責任の一部と考えております。わが國におきましては洪水河川の流れ出る量の約二割は土砂でありまして、これが災害の原因の大半を構成するものでありますから、その土砂を豫防する砂防工事治水工事基礎的條件であると確信いたします。山梨縣實例におきましても、明治四十四年の大水害以來砂防工事の擴大を企てまして、昭和十一年までに工費二百萬圓を費したのであります。偶然昭和十九年九月の大洪水に遭遇しまして、砂防工事施工河川がほとんど災害をこうむらず、これに砂防工事施工せざる場合を想定いたしますれば、約一千萬圓災害復舊費を節約できる計算となつたのであります。砂防工事中最も重要な點は渓流工事でありまして、堰堤、床固、護岸等によりまして地滑崩壞等を防ぎ、川床後方において緩和し、土砂流出を扞止し、一定流路を整理するものであります。また砂防工事の所管が、溪流工事は内務省に、山腹工事は農林省に、別別に歸屬する點に再考の餘地があるのであります。野呂川の水力と林産資源開發を副産物といたします。原七郷の灌漑工事南湖附近の濕地帶の改良工事とは、山梨縣下としましては増産上相當問題であろうと見受けられます。  以上概略でありますが、先般山梨縣治水工事現地視察をいたしました視察報告を申し上げた次第であります。  今日はこれをもちまして散會にいたしたいと存じます。  午前十時四十五分散會