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神田委員 いろいろたとえ話もあ
つたようでありますが、
日本の
現状が手放しの事業をやるような仕組にな
つていない。言いかえますれば、高度の
統制が行われておりまして、そこにいろいろな面が出てまいりますので、この
石炭法案は從來法文化されないでや
つてお
つたところを法文化したにすぎないというようにも私受取られたのでありますが、どうもそこが私
どものはつきりしないところでありまして、今までや
つてお
つたことが無理があ
つたとか、あるいはまたよろしくないという
具體的な例があるならば格別、そういう例を別に私
どもは
伺つていない。ただ高度の
統制がしかれておるので、しかも
資金資材が一定の
わくの中から、しかも多くの割合をも
つて、
炭鑛資金あるいは
資材として放出するので、
國家の
管理を強化しなければならない。それだけでこの
法案をつくるという御
答辯は、
イデオロギーに墮しておるのではないか。
大臣もしばしば
イデオロギーで
炭鑛管理をするのではないのだということを言われておるのでありますが、今の御
答辯、そのものを私
ども靜かに分析いたしますと、やはり
政府は何らかの手をも
つて、言いかえれば、法令に
根據をおいて、
民間の
企業に臨まなか
つたならば、所期の成果はあがらないのだ。
考え方はまことに親切な
考え方であるかもしれませんが、これはまことに重大な問題なのでありまして、名醫が病人に手を出す場合を、やぶ醫者が手を出す場合では、非常な違いであります。
水谷商工大臣が名醫てあるかやぶであるかを、私は申し上げるわけではないのでありますが、少くとも
官廳の機構は
複雜にな
つており、しかも變ることが頻繁なのでありまして、それを
商工大臣に問いますと、
民間の有為の人材を登用して、
石炭局長なり、いろいろの
地位につかしめて從來の
官廳機構とはおよそ異
つたことをやるのだということを聲を大にして
お答えされておるのでありまするが、私
ども産業に經驗ある側からこれを聽いておりますと、
ちようど東條内閣盛なりしときに、
軍需工場或は
管理工場というやうなものを
總動員法に基きまして、どんどん指定しまして、
監督官監理官というものを派遣してや
つたのと、同じやはり
一つ流れがそこにあるように
考えられるのであります。殊に
石炭關係のたとえば本社の方が手薄になるというところから、
一つ石炭局にはい
つてもろう、
石炭局にいれるんだというようなことは、私に言わせますと、入れることは、はいること自體は自由なにおいがいたしますが、實際はこれは
徴用で、一方において
失業しますから、そういう餌で釣られていく、これは
一つの
徴用だと私は
考えておる。そういうようなことでは、
石炭の
増産ということはむずかしいじやないかと思います。私イギリスの
石炭國管の問題につきましても、相當調べておりますのでこれらの點についても本
法案審議の參考として、十分この席上で研究いたしてみたいのでありますが、
大臣のお出かけになる時間も迫
つておるように
伺つておりますので、その方は後囘しにいたしますが、どうも
大臣の御
答辯が切り口上でずつと前の情勢で押しておるというふうに感じられるのであります。
政府と
經營者と從業員が一體にな
つてやるどころではない、この
法案によ
つては、
めちやめちやにな
つておるというふうに
考えられます。不必要な混亂を與えておる。殊に
新聞の
談話でありますが、
勞働者はその
國家的地位に目ざめて
誇りをも
つて働くことができる、
職業に貴賤なし、
勞働は神聖なりということが言われておるのであります。こういうことについては、どういうふうにお
考えにな
つておられるかということを、お
伺いいたしたいのであります。