○高倉
委員 私は北海道の家庭煖房用
石炭の量と價格の問題につきまして、御
意見を承りたいと思うのであります。わが北海道は御承知の
通り、約半年の間寒さと鬪
つていかなければならぬところの事情にありますので、この間にいわゆる越冬のためには、最も生活に必要なものは、食糧に次ぐところの
石炭、いわゆる燃料であります。今まで北海道におきましては、相當山に木もありましたので、薪炭を利用いたしまして燃料にしてお
つたのでありますが、最近は伐り盡されまして、近くに木炭その他、あるいは薪炭の燃料等を補給することが困難になりましたために、主として
石炭に依存しておるのであります。約半年の長い間、冬を生活しなければならぬのでありまして、大體において、今まで十一月一ぱいにその冬の燃料を確保するということが、習わしにな
つてまい
つておるのであります。しかし今日ではその家庭用煖房燃料を、主として
石炭に依存しておるのでありまするが、道民の冬の生活は、實に
石炭につなが
つており、また將來も
石炭によ
つてつながると
言つても、決して過言ではないと思うのであります。かくのごとく當面の緊要かくべからざる越年用の家庭用
石炭は、一家庭に今まで毎年約三トンから四トン
程度要してお
つたのでありまして、十月といえばもう雪が降り吹雪にな
つておるのでありますが、この十月から明年の雪融けの四月ごろまで
石炭を焚いておるのでありまして、この半歳以上のために準備をしなければならぬところの
石炭が、今日では輸送
關係、あるいはその他の
關係によりまして、四トンというような大きな數字をわれわれは望んでおることができないのでありまして、大體において三トンくらいでがまんしようというように指導もし、そうしてきつつあるのであります。北海道はすべて農産物が四月から五月にかけて蒔きつけになるのでありますが、收穫が一緒になりまして、十月か十一月末までに完了するのであります。從
つてこれらの農産物等の市場に搬出されますところのものの數量が、米を初めといたしまして、雜穀類におきましても、相當數量が降雪までに大體において運んでしまうというようなことで、これがちようど
石炭の補給と一緒になりますので、われわれは四月から毎月計畫を立てまして、そうして家庭用
石炭の輸送を懇請し、またかように計畫的にや
つてもらうことを道廳當局、あるいは運輸省にも交渉してや
つてまい
つたのであります。しかし今日までの
石炭の事情、あるいは輸送の
關係等に思いをいたしまして、これらの問題が非常に困難なのでありまするけれども、どうしても最低の家庭用
石炭を補給していただかなければ、この嚴寒を凌ぐことができ得ないというので、本年の七月ごろにすでにこれらの問題に對して當局にも陳情いたし、また當局にも努力を願
つてまい
つてきたのであります。一方増産をしなければならぬという問題もありまするので、これらも各
炭鑛に呼びかけまして、努力を續けてまい
つたのであります。二十二年度の道内の所要量の
石炭は、家庭煖房用といたしまして、あらゆる角度から勘案し
調査いたしました結果、百七十五萬トンを所要量といたしまして要求をしてまい
つたのであります。これは一戸平均約基準量が二トン三分としての計算であります。このほかに相當の代用燃料を使うのでありますが、
石炭事情から申しまして三トン、四トンというのはあまりにも使い過ぎであるという節約の心持から、二トン三分を基準量として、かように百七十五萬トンを要求してまい
つたのであります。本年の四月からの所要量を計算いたしまして、配炭計畫を立て、あるいはその輸送計畫とにらみ合わせまして、明年の三月までに完了するということにな
つてまい
つてきたのであります。ところが現在配炭計畫が完了したというところの話を承りますると、大體において、この所要量の三分の一しか配炭にな
つておりません。こういうようなことでは、とうてい今後來るところの寒さに耐えることができ得るかどうかという大きな道民の不安を來しておるような状態であります。嚴寒を控えまして、道民がかくのごとく不安のもとに増産に勵まなければならぬということは、とうていでき得ないところの問題でありますので、再三再四
中央に對しまして、われわれ道選出の衆參兩議員を中心といたしまして、當局に陳情し、あるいは連合軍にも懇請いたしてきたのでありまするが、今日の場合、いまだその三分の一の配炭にもな
つておりません。二トン三分のうちで一トンはおろか、わずかに〇・八トンくらいしかまだ配給にな
つていないような状態であります。かような状態でまいりますと、今後吹雪その他で、また輸送がしかねるというようなことになりますと、どうしていいのかま
つたく思案にくれるような不安な状態に陷れるようなことになりますので、過般の道議會におきましても、この
石炭の問題につきまして
決議をいたし、本道家庭用
石炭の十月分以降の配炭減額は冬期生活確保上絶對反對するものであるというような
決議文をこしらえまして、こちらの方へまい
つておるのであります。かようなわけで、北海道廳の出張所の
調査によりますと、四月の三萬七千三百二十トン、これは全部來ております。五月の五萬九千六十六トンも來ております。六月分の六萬八千百六十八トン、これも來ております。七月の三萬五千五百五十七トン、これも來ております。八月の六萬五千トン、九月の二十五萬トン、八月、九月はこれだけまい
つておりません。十月には二十五萬トンの多くの
石炭の所容量をお願いしてお
つたのでありまするにかかわらず、僅かにこれは——の配給しかなか
つたというようなわけで、十一月、十二月の毎月約二十五萬トン、これが今後いかになるかということを非常に縣念するものでありまして、かようなことでは、とうていわれわれはこれに對して生活の安定を得、そうして増産に邁進することはできないような状態に立至るのであります。北海道は御承知の
通りに、
石炭のほかに、ストーブの
石炭をたきつけるところの薪、あるいは木炭のようなものも非常に必要なので、何とかしてこれらのものを入手しなければならぬというところから、努力はしておりますけれども、思うようにこれがいかないのであります。北海道におきましては、内
地方面の各府縣に多くの
石炭を出しておりまするが、木炭も相當に出しておるわけであります。しかるに
石炭に依存しておるところの冬期間の燃料が、今日各工場の工業
方面に必要であるというので、われわれも今までの所要量に對して、わずかほんとうの最低のものを要求いたし、その補充といたしまして、薪等を配給しておるのでありまするけれども、何分にも
石炭ストーブと薪のストーブとは構造が違いますので、これを薪ストーブに切りかえることが容易ではないのであります。すなわちストーブを切りかえるにつきましても、ストーブをこしらえるところの鐵板の入手に非常に困難だというようなことから、容易にこれを切りかえることができない状態にな
つておるのであります。從
つてどうしても
石炭に依存していかなければならぬ
状況なのであります。以上の次第でありますので、現在あるいは今後において、われわれ道民の要求しておりますところの家庭煖房用の
石炭の所要量だけは、何としても補給してもらわなければならぬ。かように存ずるのであります。しかるに過般極東
石炭割當協議會連合會という連合國のもとへ參りまして、懇請いたしましたところが、北海道は
石炭の配給しなければならぬことはわか
つておる。相當に今後寒くなるのだからわか
つておるけれども、北海道は現在やはりわれわれの要求しておるところの
石炭を
出炭していない。今後割當量以上に
出炭したならば、それだけのものは配給はするけれども、これが實行できない場合には、配給することができないということを申されまして、體よくはねつけられたのであります。まことに私たちは遺憾に存じまして、今後増産に對していかなる手を打
つてこれを實現し、われわれの要求を容れてもらわなければならぬということに對しまして、いろいろと協議をしておるのでありまするけれども、今日の場合
出炭意欲の減退でありますか、北海道もきのういただきました表を見ましても八七・七%で、これが一〇〇%に達していないところの實績にな
つておるようなわけであります。かようなことが續きましたならば、北海道の各道民は、おそらく炭山の人は
石炭があ
つて、煖をとることができるのですけれども、ほかの者はこれができ得ない情勢にな
つてくるのであります。すなわち嚴寒を目前に控えまして、餓死よりは凍死しなければならぬところの悲慘事が現出することを、まことにおそれるのであります。かようなわけでありますので、
石炭事情が今後どういうふうにな
つていくか、またどういうふうに御努力を願い、われわれの要求するところの
石炭を圓滑に配給していただくことができ得るか。これについて詳細なる御
意見を承りたいと存ずるのであります。
それからもう一つは、
石炭の價格の問題でありますが、これをお尋ねしたいと思います。今申しましたように、北海道の家庭煖房用の
石炭は必要でありますが、その
石炭の價格がさきに第一改訂價格が発表されまして、
石炭の
一般消費價格が、トン當り一躍千二百八圓という大幅の値上げに改訂されたのであります。これが道民の各期の經濟上に大きな脅威を與えることに
なつたのであります。北海道の各期約六箇月間を見ますと、燃料だけで
石炭がまず大體三トン要ると假定しまして、これに薪が約二百本ばかり、そのほか木炭も要りますので、これらを現在の公定價格で見ましても、一箇年を通じて八千六百圓餘の燃料費を要するのであります。これではわれわれは、道民の越冬生活というものが、いかに經濟上苦しいかということがおわかりになると思うのでありまして、この金額を工業用の
石炭の價格と同様に、いわゆる特定消費價格の六百圓に、ひとつぜひしてもらいたい。かように存ずるのであります。今申しましたように、今日のインフレ生活とこの高い
石炭は、薪圓成金階級の人はいざ知らずでありますが、道民大衆はとうていこの負擔にはたえかねまして、今日では若干の
石炭の配給の通知を受けておるのでありますけれども、のどから手の出るほど欲しい。しかしその高い
石炭では受取ることができないというので、悲嘆のあまり現在毎日のごとく數十名の道民が——殊に引揚者の方々が北海道には相當引揚げてきておるのでありますが、主としてこれらの方々が、市役所その他に相談に來ておるのでありまして、これらのことは
商工大臣も、勤勞大衆が越冬資金の要求を、各業種を通じて要求しておることを見ましても、おわかりのことと思います。かようなわけでありますので、この北海道にのみ
石炭燃料を通じて經濟的負擔が過重されることは、はたして北海道の道民がたえ得るかどうかというところの、大きな問題になるのであります。北海道は先ほども申し述べましたように、相當の木炭が
生産されますので、
生産地といたしまして、東京初め各地に相當數量を送
つておるのであります。すなわちこれも内地の方々がお困りであろうというところの同胞愛から
關連してや
つておるのでありまして、この際北海道のみこの強化されたところの負擔を負わされるということは、まことに遺憾に存ずるのであります。いろいろの豫算の
關係もあると思いまするが、この際最も現在わが國の再建の重要なポイントでありますところの北海道のことでもありまするので、これらを勘案いたされましてこの價格にひとつぜひ何とかの途を講じていただきたい、かように存ずるわけであります。再三陳情をいたしておるようでありまするが、これに對してどういうようなお
考えをも
つておられるか。これも重ねてお
考えを願いたいと思うのであります。
以上お答えを求めましてさらにお尋ねをしたい、かように存じております。