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西田委員 今の
平井さんのお話は、あなたがこの
條文をおつくりに
なつたのかどうか知りませんが、この
條文をおつくりに
なつたお氣持はわかりました。今の御
答辯の中に、私の申し上げたことが、一方的に
炭鑛管理者あるいは
事業主に
業務計畫の案を出させて、それを押しつけるような感じがないでもないというようにとられてのお話がありましたが、私はさような
意味のことを申し上げておるのではありません。もし、
事業主が
炭鑛管理者をして
原案を作成せしめるという言葉がそういうふうに聞えたならば、その言葉の
解釋は
妥當でない。私が申し上げたのは、いわゆる
事業主と
炭鑛管理者との
關係は、
炭鑛管理者は
事業主が選任して、この
條文によ
つても、
商工大臣の承認を受け、
生産協議會の議云々ということにな
つておる。これは當然
事業主の代人の性格をも
つておるのであります。だから、
事業主は當然一體でなければならない。一體と
なつたものと考えた場合に、いわゆる私企業の長所が完全に活かされる次第であります。
事業主は
炭鑛管理者をしてつくらしめた
原案が
生産協議會を經たならば、それから先は
炭鑛管理者がその
原案の執行を完全にや
つていく。それをやらせる場合において、初めて
現場が重點的にな
つていくものであるという考えをも
つておりますが、あなた方の考えは、最初から
現場でなければならぬという考えをどうもも
つておられるかのごとく私は
解釋するのであります。少くとも企業計畫の
原案をつくるまでは、
本社と
現場との
關係は離してはならぬというのが、私どもの考えであります。今
日本に四百三十いくつかの
炭鑛がありますが、財閥の大きな
炭鑛の所長、坑長にな
つて、今おる人たちの何人が、いわゆるほんとうの企業の運營についてまとま
つた力をも
つておられるとお考えでありますか。これは今のあなた方からみたら、ほんとうにせないと思われるような、あの厖大な
本社機構のもとにおいて總上
調整をやる、それを
指示し、指導して、初めて
個々の
炭鑛の坑長とか所長とかが、
自分に任された範囲内の事業の實際の運營をしてい
つておるのが、今
日本の
炭鑛の
實情であります。
本社がただ案をつくて出す、それを
現場にも
つてくるというような形の上だけの
炭鑛の運營では、ほんとうの事業運營の
實態に則さない機構をつくり上げることとな
つて、これは誤解もはなはだしい。しかももしそういうことにしたならば、
石炭局とか、
石炭廳とか、あるいは
炭鑛管理委員會とかいうものが、
本社機構に代るだけの實力をもたなければ、
炭鑛企業運營の
實態は把握できないと考えておるものであります。そこでいかに
商工大臣が
本社より
現場がお好きであ
つても、事業計畫の作成という面までは、どうしても
本社と
現場とは、いわゆる
生産企業という面で結集しておるものと考えておる。それから先の
現場のことは、
原案がきま
つてから運營の問題については
商工大臣のお考えのように、
本社より
現場という方法も、また
一つの方法であると考えておるのであります。しかしながら、それが
商工大臣の御談辯は抽象的でわからないし、今
平井さんの御
答辯を聽いてみても、やはり
現場と
本社とを切離すというようなことに重點を置いて考えておられる。しかも
生産協業會において、
現場管理者がつく
つた原案そのものが、
生産協業會の議を經ないということが起きた場合、あなた方のお考えでは、いわゆる
本社がそれに筆を加えて出すのだ。それがまた經ない場合は、當然先の計畫とか何とかいうものでやらなければいかぬというように、理窟の上でお考えにな
つておるのですが、それが
現場管理者の責任として、その責任者のつく
つた案が
生産協議會の議を通らなか
つた場合には、
生産協議會の信任を得ていないのだと私は考える。しかも
現場管理者は、
本社から變
つてきた計畫が通
つても通らなくても、
炭鑛管理者としての事業運營上の信念をも
つておる、その信念を
生産協議會で斬りつけられると申しますか、そういうような場合に
なつたら、
現場の運營はその
現場管理者として完全にいかないと私は考える。そこで私が恐れるのは、
現場管理者というものは、いわゆる
炭鑛の山々の
生産協議會というものの力と言えば語弊がありますが、一種の力を恐れて、そうして
生産協議會に順應するような
原案をつくるおそれが多分にある。そこで
現場管理者だけに
原案を提供させるということをやらないでおいて、そうした
本社と
現場と密接
なつながりにおいて
原案をつくらして、
生産協議會にも
つてい
つてかけるという行き方を、どうしてもやらなければいかぬと私は考えております。あなた方は、ただ理窟を言
つたり、文書を書いたりすることはうまいかもしれませんが、國際
炭鑛の
現場の運營の状態は、そんな簡單なものでありません。いわゆる勞働攻勢に押されると一口に申しますが、山の經營者側に立つものは、職員組合に中にはいらない何十人、これが
炭鑛管理者であります。あとは全部從業員でありまして、その背後の何人か、何十人かの代表者が出て、
協議會をするでありましようけれども、いわゆるその背後には勞働大衆の壓力を感じながら、
生産協議會が運營されていくと思います。そういう場上に
炭鑛管都者という、これは完全な偉い人であれば結構ですが、そうでないものでは、今
本社という機構があ
つて、それが十分に指導し、援助して、初めて
炭鑛管理者らしい仕事をや
つてい
つておる。これをのけてしま
つて仕事をやらせるということでは
炭鑛の
現場の運營は完全にいかないと信じております。どうしても十
八條の
規定は、もう少し
商工大臣に御勇斷を願
つて、何とか改善をしてもらうことが、絶對不可缺の
條件だと私は信じております。
平井さんも
炭鑛に關しては相當の御知識が豐富だと考えておりますが、これは
平井さんに聽いても何ですし、長官をいじめても氣の毒ですが、この問題は十
八條は殘しておいて、機會があ
つたらまた御勉強も願いましようし、
實地の調査も願いましようし、そうして
法案が審議を終る過程において、御
質問をもう一遍したいと思います。この十
八條はこれで打切りにします。
從つて第十九條も打切
つておきます。私が今まで申し上げましたことについて、今も
つております案を一
通り讀んでみます。十
八條、十九條の
條文を、私はかようなふうに書きかえたらいいのではないかと考えております。すなわち前條の
規定による措示があ
つた場合にはその
指示に從い、
命令の定めるところにより
指定炭鑛の事者主は、
炭鑛管理者をして
業務計畫の
原案を作成し、
所轄石炭局長に提出しなければならない。
炭鑛管理者は前項の
原案を作成する場合には
生産協議會の議を經なければならないと前提して、三、四、五の項目を削除したい。前項の場合において、
生産協議會の議を經ることのできないときには、
事業主は當該
業務計
畫案を提出するとともに、
命令の定めるところによりその旨
所轄石炭局長に報告しなければならない。こういうふうに
規定すれば、十
八條は十分、十九條は、前項の
規定による
指示があるまでは、
事業主は前條第一項の
規定により、
所轄石炭局長に提出せる
業務計畫の案により、
指定炭鑛の
業務を行わなければならない。かように
規定すれば、十
八條と十九條とは
はつきりして、ややこしい
規定をつくらなくてもいいのではないかと考えております。私の
意見だけを申し上げておきます。
第三節の
炭鑛管理者の段にはいります。第二十三條の第三項、
管理者の選任は、會社の場合には、支配人の選任の例によ
つて行う、こう
規定してあります。支配人の選任の例によ
つて會社の場合行うという
理由を、ひとつ
平井政府委員から御
説明願いたい。