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加賀山政府委員 ただいま臺帳に載
つておりますのは、今仰しやいました十一萬輛でございますが、そのうち實は營業用に使用しておらない
貨車や、また使えなくな
つている
貨車が大分ございます。現在有効に使
つております車は九萬一千輛より
ちよつと上でございますが、實は賠償
關係も多少ございますので、あまりたくさん
貨車をも
つている
ようなかつこうにいたしておきますのはまずいということで、使えない車は車籍から落してしまうという
ようなことを考えて、實は今その手續中なのでありまして、その
ために
實際に使える車もだんだん減
つてきている
ような
状態であります。たとえば今
年度の當初におきましては、九萬七千輛くらいの車が有効車輛として動いてお
つたのでありますが、その中からすでに六千輛くらい落ちて、九萬一千輛くらいにな
つている
ような
状態であります。御
承知の
ように
輸送力は
一つは
貨車の數が問題でございますが、もう
一つは
貨車を
いかに早くまわすかということが問題でございます。われわれはこれを
貨車の運用効率と申しておりますが、戰時中あるいは戰前の非常によい
状態のときにおきましては、運用効率が三八%臺を維持してお
つたのでございます。三八%臺と申しますと、三日足らずのうちに、もう一度
貨車が使われることでございます。現在はそれが二二%臺に落ちております。實はこれが終
戰後非常に惡くなりまして、一三・四%臺に落ち込んだのであります。二〇%と申しますと、一囘積んだ
貨車が五日目に戻り、そしてもう一遍積み込まれるということであります。現在は二二%まで囘復しております。われわれとして今力を入れます點は
貨車の新製が
一つでございますけれ
ども、これは現在の
資材の
關係から見まして、遺憾ながら多くを期待し得ないのでありますから、この
貨車の運用効率を極度に上げるということで、その點から
貨車が殖えたと同じ効果を上げなければならぬ。これは第一の問題としてはもちろん列車囘數を殖やし、構内の作業を敏活にしていく。そうして途中の
輸送期間を短くするということが根本でございますが、それと相竝んで大きな問題は、小運送の問題でございます。著いた
貨車の荷捌きを早くする、そして早く空にして戻すということでございます。そのほかに先ほど御指摘になりました
ような急な操車をいたします場合には、何としても通信が非常に必要でございます。臨機の處置をとるということは、通信にかか
つておるのでございます。これが終
戰後やはり能力が落ちておりまして、現在は一應七〇%臺くらいまで通信が囘復したという
ようなかつこうにな
つておりますけれ
ども、
事實上使う方から申しますと、なかなか七〇%が思う
ように動かない、不便があるということもあります。その他いろいろの理由もありますが、われわれとして大きな點である途中の
輸送の入れかえを早くすることと、小運送に力をつける。小運送に力をつれるというのは、さらにこれを碎いてまいりますと、自動車の問題はもとより、燃料、タイヤ、いろいろの問題にな
つてまいりまして、そういつた問題で、小運送増強對策にわれわれは實はいま熱中している次第でありますが、そういうふうにいたしますならば、この二二%の運用効率が、私は少くとも二五%程度、あるいは二七・八パーセントに上げることう相常困難ではございますが、われわれの力でなし得ると確信いたしております。そうなりますと、二二%の効率が二八%になり、そこに六%上つたといたしますと、
貨車を十萬輛といたしまして、六%で六千輛近くの
貨車ができたと同じかつこうになります。そういうことをねら
つてや
つておりますので、たとい
貨車が新製されなくても、われわれはさらに
努力を重ね、所要の
石炭を配給され、所要の
資材をいただきまして、そうしてさらに、われわれの勤務態勢はもちろん大事でございますが、こういう問題をだんだん囘復してまいります場合には、現在の
輸送力を維持することはできる。われわれといたしましては、現在の
輸送力で月間ほぼ九百
萬トン送
つておりますけれ
ども、これをさらに千二百
萬トン程度までどうしても上げたいということを念願しているわけでございます。これにはさらに
石炭の問題、いろいろ他の
資材の問題も起
つてまいりますが、そうしなければ
いかぬのじやな
いか、さらにいまの
輸送力で滿足し得ないのではな
いかと考えております。現にただいまもここにまいります前に木材の
關係の方が役所に見えまして、非常に悲痛な言葉を述べておられたのであります。
石炭は先ほど申しました
ように、計畫といたしましては一〇〇%を積む。ただ時期的に、あるいは地域的に、
ちよつと窮屈なところはございますが、全體といたしましては、われわれが與えられました責任以上のものを果しているわけでございますが、遺憾ながら木材につきましては
要請されるものに對しまして、よい場合でも六、七〇パーセント最近におきましては、これを五〇%臺に落さなければならない
ような状況でございまして、そういう
事情を囘復するには、われわれの
輸送力をさらに伸ばして
いかなければならぬのじやな
いかと考えております。ただその場合、大量の貨物はできるだけわれわれとしては船の方に依存いたしたい。御
承知の
通り、戰時中これを海運から陸運に轉移いたしましてや
つてまいりましたが、本來大量、長距離の貨物は船がよいのでありまして、現在の
輸送力は、
鐵道が
年間一億二千
萬トンを運ぶのに對しまして、船の方はほぼその十分の一足らずの一千
萬トンそこそこということにな
つているのであります。御
承知の
通り、昔は船と陸上
輸送とは對だ
つたのでありますが、そういうことで
鐵道に對する
輸送の
要請は非常に強くな
つてきております。これが
鐵道が
輸送力を維持する場合困難を感ずる非常に大きな理由にな
つてまい
つておりますので、これはできるだけ船の方に
資材等を注ぎこんで、船の
輸送力を殖やしていただく、これがさらに
鐵道の
輸送を合理的なものにする
一つの途であると考えております。